僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

ヴェノムバース

ヴェノムバース

VENOMVERSE
著:カレン・バン(ライター)
 イバン・コエリョ(アーティスト)
訳:秋友克也
刊:MARVEL ヴィレッジブックス
アメコミ 2018
収録:VENOMVERSE #1-5(2017)
☆☆

 

ヴェノム大戦勃発!
キャプテン・アメリカデッドプールウルヴァリン、ロケット…
並行世界から集まったヴェノム軍団が究極の戦いに挑む!

 

2015年のクロスオーバー「スパイダーバース」に続いて今度はヴェノム編。スパイダーバースは並行世界のそれぞれのスパイダーマンが集結、という形でしたが、こちらのヴェノムバースは色々なヒーローがヴェノム化したものが集結という形。

 

キャップ版ヴェノムとかそういうヒーローバリエーションが楽しい。で、敵がポイズンと呼ばれる寄生生命体で、そっちは白い色でそこも乗っ取り系なので、ポイズン版○○みたいな敵もバリエーション系。

 

ポイズンは結晶体生命?みたいなやつなので、角ばってトゲトゲしてるので、メカメカしくて割と日本人にも刺さる感じのデザイン。

 

今回のシリーズには出てませんけど、アイアンマンのデザインってやっぱ凄いと思うし、凄くアメコミらしいと思うんですよね。日本のヒーローとかロボットとかって、やたらと角生やすじゃないですか。パワーアップとかしちゃうと更に角マシマシ、みたいな。やっぱり角とか尖った部分があるとカッコいいなとは思うし好きなんですが、アイアンマンってマーク○○とか色々なバリエーション作っても角は生やさない。あれ、アメコミらしいなって思う部分なんですよね。

 

角でゴテゴテさせずにデザインするって面白いなと思います。日本とは違う文化を感じられるからこそアメコミって面白いなと思ってる部分もあるので、その辺りは「違い」として下手に融合しないで進化していってほしい。単純に見た目だけならヴェノム化よりポイズン化の方がカッコいいよな、なんて思ってしまうだけに尚更。

 

所謂、正史世界アース616からはエディ・ブロックヴェノムのみ登場。並行世界のヴェノムとポイズンの戦いに巻き込まれてしまう、という感じ。
○○化した奴で、一人だけこれ元は何のキャラだろうってのが一人いて、ヴェノムサイドにマニアってのが居ましたが、実はこの子も正史世界のキャラだったのね。一時期エディベノムのサイドキックやってたキャラのようです。元々あまりヴェノム詳しくないので、本編読み終えてから解説書で初めて知ったキャラでした。

 

エディってヒーロー集合の中でセンターに立てるようなキャラなのか?とか思いながら読んでましたが、キャップとかストレンジに比べると流石にキャラとしては弱い感じはしつつ、結構頑張ってる感じ。

 

デッドプールがヴェノム化もポイズン化もして、かなり美味しいポジション。さほど大きな活躍はしないものの、グウェンプールもポイズン側で登場。アメコミでピンク色ってやっぱりちょっと他にすぐ思いつかないし目立ちます。

 

スパイダーマン、ヴェノムと来たら次はカーネイジ?と思ったらカーネイジはカーネイジでこちらに乱入(まあヴェノムの亜流みたいなもんか)こちらも凶悪な暴れっぷりを見せてくれます。

 

でもまあ、スパイダーバースと比べてしまうとインパクトの面で劣るし、スケール感とかもやや小さく感じてしまった。単純にバリエーションを楽しむ感じで読む分には面白いんですけども。

 

3部作として出たので次は前日譚の「エッジ・オブ・ヴェノムバース」です。

 


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映画 プリキュアオールスターズNewStage3 永遠のともだち

映画プリキュアオールスターズNew Stage3 永遠のともだち 特装版 [Blu-ray]

監督:小川孝治 脚本:成田良美
日本映画 2014年
☆☆☆☆☆



プリキュア映画16作目。オールスターズとしては6作目。プリキュアシリーズ10周年記念作品として放送されたTVシリーズ11作目「ハピネスチャージプリキュア」春の新人研修映画。「プリキュアオールスターズNS」3部作として一区切りでNS締めの作品にあたります。

 

NS1・2とニューステージへの思い入れを語ってきましたが、こちらも3部作の最後も負けず劣らず大好きな作品です。NSシリーズは1作1作ちゃんとテーマのある映画になってるので、そこが大好きで何度繰り返し見たかわからないくらいです。確か劇場でもNS3は2回見たんだったかな?

 

あくまで「お祭り」として始まったプリキュアオールスターズの「DX」シリーズですが、最初はイベント映画でしか無かったものが、回を重ねるごとに定番化してただのお祭り映画じゃないものを、という形に変化したのが「NS」で、もう少し「作品」として良い物が作れるんじゃないか?という試行錯誤が感じられるのが本当に好き。

 

お祭り映画だって映画の一つの形、一つのジャンルではあるし、そこを批判するものではないですが、やっぱり「作品」と言うよりは「商品」の面が強いように思います。そもそもプリキュアという作品自体が、おもちゃを売る為の商業作品ですから、そこを否定しちゃったら的外れな見方しか出来なくなる。


でも、それだけでもないだろう、まさしく次のニューステージに進もうとしたのがこのNSシリーズ。ただ好きなキャラクターを愛でるのが楽しみ方のメインではなく、ちゃんとテーマなりを作品に籠めよう、映画として良いものを作ろうっていうのが凄く伝わってくるのが本当に素晴らしい。

 

脚本はプリキュアライターとしては定番の成田良美でTVシリーズも映画ももう何本もやってる。それでも過去の作品と違って見えるのはやっぱり監督が何を目的に作るのかによって作品って全然変わってくるんだなぁと改めて思います。監督の小川孝治は昨年までやってた「ゲゲゲの鬼太郎」第6期のシリーズディレクターなんかをやってた人で、結構話題になってましたね。元の鬼太郎が持ってるものとは言え、社会性とかテーマ性とか強めの作品でしたので(ゴメン、私ちゃんとは見て無い)その辺は監督のカラーなのかと思います。

 

「NS1」はプリキュアあこがれる普通の女の子。「NS2」はプリキュアの隣に居たい妖精の男の子(を通して男性ファンの見立てとしての解釈も可能)が描かれました。じゃあその次のこれ、「NS3」は何を描くのかと思ったら、今度は親です。

 

うん、この流れだけでももう凄い。流石に親を主人公的な存在として描くのは色々難しいと思ったのか、前作のエンエンと近いキャラとして妖精のユメタをメインに置いて、そのお母さんのマァムが何と敵。勿論、ストレートに悪さをする悪役では無く、親の愛情をきちんと描いた上で、過保護になりすぎていないか?それは子供の夢じゃ無く、あなたの夢だったりしないか?と見ていてドキッとする所があったりして、メチャメチャ面白い。

 

キモオタな私は普通に一人でプリキュア映画を観に行きますが、田舎では同類はほとんど見かけたことありません。お子さんが一人で映画館に来るはずもなく、周りに居るのは全員親子です。これ、親御さんはどんな気持ちで見てるんだろうか?とか思ってしまいます。多分、子供が喜んでくれてるのならそれ以上何も無いよ、くらいなのかなとは思うのですけども。

 

で、NS3としてはそこが軸なんですが、3部作の締めとして、NS1のあゆみちゃん(キュアエコー)、NS2のエンエンとグレルも出てきて、私にはパートナーの妖精が居ないの、私のパートナーになってくれる?ですよ?何これ1億点。

 

NS2の時に散々語りましたけど、私はエンエンに思いっきり自分を重ねて見ました。エンエンは俺なんだと。で、そのエンエン(とグレルも)がキュアエコーのパートナーになる。何これ最高じゃん。うん、私はプリキュアにもなりたいけど、プリキュアのパートナーにもなりたい。夢のような展開です。


この後のオールスターズ映画にも何度かキュアエコー出てますが、「NS」3部作という感じできっちりまとめてくれたのは本当に良い作りだったなとしみじみ感じます。

 

過去キュアも全員にセリフがあるわけではないのですが、世代問わず上手い具合にフィーチャーしてあって、その点でも満足度は高い。


「夢」の世界に閉じ込められたプリキュアの中で、最初にこれは夢の世界だって気づくのもキュアドリームこと夢原のぞみさん。「夢はね、ただ叶えばいいってものじゃないよ。夢が叶うって言うのはなりたい自分になる事だから、自分の力で叶えなきゃ」と。

 

毎度おなじみコメディリリーフとしてのキュアマリンもそうですが、個人的にはこっからキュアハッピーも別枠でコメディキャラになってくのもハッピーに特別な思い入れがある私はとっても嬉しい。

 

ハッピーと言えば特典映像の声優舞台挨拶も今回華やかで良いのですが、今回に限らず毎回なんですけど、福圓さん他の人が話してる時に見切れたりしてるの映ってると、すごく独特の表情をされていて実はそこも凄くツボ。笑顔でにこやかに、じゃなく変(に見える)な視線がちょっと面白いので、見る機会があったらその辺にも注目してあげて下さい。

 

とまあこれだけ語ってきて、当の現役世代の「ハピネスチャージ」にまだ触れてませんね。作中でも「お待たせしました」ってギャグにして使ってますけど、これがなかなか変身しない。プリキュア映画にしてはこの展開、ちょっと珍しいです。


やっぱりメインの客層は子供達ですし、現行プリキュアをまず見せるのが作品としては本来は正しい。大概の映画では始まってすぐに変身シーンがあって軽くアクションとか普通やってからその後にお話を進めるのが大半。まず子供達の心を掴むのが基本ですから。

 

そういう意味では、実はあまりよろしくは無い事を今回はやってるのですけど、大人目線で見る分にはその辺の溜めて溜めてから変身っていうの楽しくって好きです。そう言う所も、実は映画としてちゃんとしたものを作ろうっていうのが垣間見える部分ですよね。


で、そういう大人と子供の視点・受け取り方の違いと言えばキュアハニーです。TV放送より先にこっちで登場。セリフは無しですが、ピンチの時にちょっとだけ駆けつける、という形になってます。

この作品は「オールスターズ」ですから、本来であれば新人がピンチの時にかけつけるのは先輩プリキュアで良いはずなんですよね。じゃないと役割がかぶっちゃうから。

確かスポンサーの意向でハニーも映画に出してほしい、という意見をくみ取った形だったんじゃなかったかと記憶しております。(そういう意味じゃNS2に絡めてソードの加入が早まった前作と似てますね)

 

キャラクターとしては番組中盤から入る所謂「追加戦士枠」はキュアフォーチュンが担当ですので、(TVシリーズだと1話から出てはいるものの、仲間になるのが中盤でフォーチュンは映画に出て無い)その前に加わるハニーは丁度児童誌とかではキャラの存在だけは先に明かされてた状態。なのでTVではまだ出てないけど、情報だけは知っているという時期での映画公開です。

 

でね、映画館で私2回見ましたけど、どっちの時も、観ているお子さんが「キュアハニーだ」って声を上げてました。これがちょっと面白かった。

 

私はどちらかと言えば、前情報はあまり入れないで作品を見たいタイプです。特に好きな作品なら尚更情報はあえてネットとか触れないようにしてネタバレとかは避けたい方。その方がより楽しめると思うから。


プリキュアは結構普通にTVだけ見ててもCMとかで玩具バレとか多めなのがちょっと困りどころ。何だよこっちは純粋に作品を楽しみたいのに情報の出し方考えろよ、とか最初の内は思ってました。

 

でもこの映画における幼女の「キュアハニーだ!」で気づいたんですね。プリキュアのメインターゲットは未就学児ですから、正直言ってきちんと話を理解して見ているわけではありません。(でもそこで手を抜いたりしないのがプリキュアの凄い所でもある)ライダーや戦隊でもそうなのですが、児童誌が情報公開として一番先に出たりするケースは割と多い。これ、何だろうって思ってたけど、

 

子供達はストーリーとかを見てるわけではないので、そういう新しいキャラとか、新しいアイテムにわくわくするんですね。先に児童誌とかで見て、これTVでいつ出てくるんだろう?みたいな感じでいるわけ。なので今回劇場で聞こえてきた「キュアハニーだ!」の声は、やっとアニメの画面の中にも出てきた、っていう部分と、お母さんなり劇場の周りにいる人達への「私この子知ってるよ」という、優越感だったりアピールだったりするわけです。そこ、面白かったりしません?

 

大人なら前情報が無いと「謎の知らないキャラが出てきた」というサプライズの面白味になりますが、子供達にっては「知ってるキャラが画面にも出てきた」面白さになるわけです。おお~プリキュア(というか子供向け作品)はそういう所も奥深い。

 

なので、情報解禁前にスクープとか出したり見たがる人は、幼稚園児と同じ目線で見てるんだなって、思うようになりました。あんまりそういうのには関わりたくないものです。

 

で、ハピネスチャージとしては、今回敵が一応マァムとそれが出す悪夢という形で、他の映画と比べるとボスキャラとしての強さはあまりない。(それは前作のNS2も同じ)その分、物凄く苦戦してボロボロにされる新人っていうのがあまりないから、結構わちゃわちゃした感じの作品になってて、そこも好きなんですよね。

 

私は「ドラゴンボール」的な、ただ強さのインフレ起こしてくだけのボスキャラとかあんまり好きじゃない。荒木飛呂彦じゃないけど、強い敵を倒したら次のもっと強い敵が出てくる、それって終わりが無くないか?と思っちゃう方。


プリキュアだとまさしく「オールスターズDX」がそのインフレを繰り返してて、その先に収拾がつけられなくなっていったのと同じで、そうじゃないものを作ろうと言う「NS」らしさがそこにも実は現れてたりする。

 

ここまで語ってきたようなそんな工夫が随所に溢れていて、NSシリーズ、ホントに良い3部作になったなぁと思います。私はとっても好きな作品です。

 

そしてそのエンディングに流れる「プリキュア・メモリ NewStage3 Version」


映画 プリキュアオールスターズNewStage3 永遠のともだち ED


もうプリキュアCGムービーここに極まるというくらいに圧倒的に凄い絵。そして歴代タイトルの歌詞が入って、それを歴代のピンクキュア声優が歌う。
もうこれだけでもまた1億点です。うん、本編1億点のEDで1億点だからNS3は2億点の映画と言う事になりますね。

最後の最後に聞こえる、野太い男の声で「ありがとぉ~っ!」はきっと私の心の声です。


予告「映画プリキュアオールスターズ NewStage3 永遠のともだち」 2014年3月15日(土)より全国ロードショー

 

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SHIROBAKO ~上山高校アニメーション同好会~

SHIROBAKO ~上山高校アニメーション同好会~ (1) (電撃コミックスNEXT)

SHIROBAKO Kaminoyama highschool Animation club
作画:ミズタマ
原作:武蔵野アニメーション
脚本:杉原研二
刊:KADOKAWA 電撃コミックスNEXT 全2巻
2015-16(連載2014-16)
☆☆☆

 

TVアニメ「SHIROBAKO」スピンオフコミック。宮森あおいら5人組の高校生時代を描く。

上山高校アニメーション同好会の話なので、5人全員出てますが、アニメの方では一応おいちゃんがセンターで主人公的な立ち位置でしたが、こちらはスピンオフっぽさを出す為か絵麻たそがメインの立ち位置。

 

ただ、アニメの方って5人組がメインキャラとして作品の顔的な感じにはなってましたけど、個人的にはやっぱりお仕事物アニメという事で、ムサニ全員の話っていう感じで見てました。なので5人とほとんど同列として矢野さんも井口さんも瀬川さんも小笠原さんも作品の中の登場人物としては、メインキャラとサブキャラっていう程に差は感じ無かったかも。それぞれのキャラに一つくらいは印象に残るエピソードありましたしね。

 

ただそこも、キャラクター物としての面白さよりも、純粋にアニメ業界の内側みたいな所が面白味だったので、女の子が可愛いとかそういう視点ではあまり見て無かったかも。瀬川さんもモデル居るのかな?その辺まではよく知らないのですが、プリオタな私は瀬川さんと川村女神を重ねて見てたりも。

 

私は見た目だとやっぱり黒髪ぱっつんとか好きなので、単純にキャラデザとしては絵麻たそが好みなのですが、やっぱりそこはドラマですので、見た目の好みとはまた別に、話の流れとかでこの子いいなっていうのは出てきたりして、絵麻たそ好きだけど、矢野さんも井口さんも好きだな、なんて思えてくる辺りがやっぱり作品としての面白味。

 

見た目とか第一印象から気になるキャラとはまた別に、作品を見ててこのキャラ面白いなっていう感じに好きになったりする感覚、実は私の中では結構特別。アニメでも映画でも漫画でも何でもいいんですけど、そういうのあるとね、これはドラマの力だよなって思えて、そういうの凄く好きな感覚。ただキャラを消費するだけで終わらなかったぞ、それは私がこの作品に感情を動かされたんだ、それは作品を見た意味がちゃんとあったんだなって思えるから。

 

丁度NHKで再放送やってますので、そっちも見てますが、1週目で、これは作品としてちゃんと凄いなって思えたのは、ずかちゃんのエピソードだったり。声優さんですし、それが普通と言ってしまえばそれまでなのかもしれませんが、言葉で語らずその演技を声優の演技にちゃんと委ねてたのが、ああこれは凄いなって思えた。

 

それはともかく、こちらのコミックの方の話。
アニメーション同好会で、5人の役割がそれぞれ違うので、この形でもある程度はお仕事物としては作れるだろうけど、アニメ本編の方はあれだけたくさんのキャラクターを出して、アニメにはこんなに人が関わってるんだよ、というのが良い所なのかなと思ってましたので、こっちの方は「お仕事物」より「キャラクター性」の方に振ってる作品なのかな?それでSHIROBAKOの魅力が伝わるものかな?と読む前はちょっと不安でしたが、読んでみるとこれがなかなか上手く作ってあった。

 

キャラクター性に話は振ってあるのはそうなんだけど、割とキャラの描き方が等身大な描き方で、人としての悩みみたいなものが話のメインで描かれる。引っ込み思案でなかなか自分を出せない絵麻が主人公っていうのも作品のカラーに影響してるのかもしれませんが、その絵麻がひたすら悩みまくる所と、なんかひたすら突き進んでいくおいちゃんがとてもおいちゃんらしくて、そこは面白かった。

 

水着回&浴衣回とかいかにもくさいエピソードもありますが、5人の描き方、キャラ付けが上手く出来てて、違和感無くというか、より掘り下げが描かれてると言うか、素直に良いものを読んだ感覚が強くて読後感はすこぶる良いです。

 

本編に匹敵する面白さ、とまでは言いませんが、スピンオフ的な物としては十分すぎるくらい普及点です。読んでおいて損はしないと思います。

 

因みに、舞台の上山高校は私の住んでる山形県です。確かアニメの方でもおいちゃんが実家に電話かける時に山形弁だったと思いますし、間違い無いはず。
なので、ちょっぴりご当地物的なものも期待したのですが、その辺はほぼ無かった。山形の設定になってるのはアニメの方のメインスタッフに山形出身が居たのかな?その辺はわかりませんが、地元とかだとやっぱりちょっと嬉しいじゃないですか。

 

でも、地元だとやっぱり土地勘もありますし、上山高校に付属中学とか無いぞ?とか逆に細部の違いとかも気になったり。背景にちゃんと山があったりするのはたまたまなのか、調べたのかどちらでしょう。山形市(上山はすぐその隣です)は盆地なので四方が山に囲まれてて、どこを向いても山が見えるのです。住んでる身としてはさっぱり気にしてなかったのですが、他県から来た人と話してて、そこ指摘されてああそうなんだって初めて気付いた。作中で出てきたアニメイトはかろうじてあります。

声優さんだと上山高校じゃなくて他の高校ですが、「マクロスF」のシェリル役で有名な遠藤綾が山形出身です。ずかちゃんと共通する部分あるんでしょうか。ちょっと遠藤綾に聞いてみたいものです。

SHIROBAKO ~上山高校アニメーション同好会~ (2) (電撃コミックスNEXT)

 

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デッドプール VS. パニッシャー

デッドプール VS. パニッシャー (ShoPro Books)

Deadpool vs. The Punisher
著:フレッド・ヴァン・レンテ(作) ペレ・ペレス(画)
訳:高木亮
刊:MARVEL 小学館集英社プロダクション ShoProBooks
アメコミ 2020年
収録:Deadpool vs. The Punisher #1-5(2017)
☆☆

 

※過激につき
良い子は
読んじゃダメ♥

MARVELが誇る
アンチヒーローが激突!
モラル無視のド派手な戦い!
勝者はどっちだ!


マーベル邦訳版新刊。久々に出ましたデッドプール
一時期はやたらとデップーとDCのハーレイクインが結構出てましたが、そこはやっぱり売れてるから。続き読みたいのに続刊が出ない邦訳アメコミとか山ほどありますし、売れない物はあっさり切られる悲しい世界。個別タイトルは1冊しか出て無いものとかもいっぱいありますね。

 

実はデップーはあまり好きなキャラクターでは無いので、邦訳が出始めた初期の頃はその度に読んでましたが、その後は結構飛び飛びでしか読んで無い。買うだけは買ってるんですけどね。でもこれだけ数が出てるのにデップー初出の話が邦訳版出て無いのはちょっと残念。「Xフォース」でしたっけ?いつか出てくれるの待ってます。90年代Xタイトルは私がアメコミに入るきっかでもありましたし、尚更そこは切望。

 

それはともかく、今はブログも書いてますし、単発で読めるミニシリーズとしてせっかくですので買ったばかりのこの作品も読んでおくことに。

 

デッドプールのお金を管理しているバンク=銀行は闇社会との繋がりが強く、そこに狙いを定めたパニッシャーが処刑執行に現れる。逃亡するバンクを追う二人の前に、タスクマスターが立ちふさがる。

 

うん、タスキーが出てるのが良かった。ちゃんとタスクマスターらしい立ち振る舞いと立ち位置なので、そこに関しては満足。トリッキーなデッドプールがタスキーとそこそこ戦えるのはわかるのですが、パニッシャーも意外と健闘してるのが意外な感じです。ただ勿論、相当に必死。

 

なんとか共闘して奇策でタスクマスターを退け、めでたしめでたし・・・では当然終わりません。タイトル通り、何だかんだと最初から最後まで幾度も戦う事になるデップーとパニッシャー

 

1話毎にラストでどちらか勝利の表記が入るのですが、3話目のラウンド3のラスト、デップーが撃ち抜かれて倒れてるのに何故デップーの勝利?そこだけよくわかりませぬ。

 

ヒーリングファクター持ちのデップーなので、半分死にかけても全然大丈夫と便利な感じにやられまくります。パニッシャーも勿論、その度にダメージを受けつつですが、基本的に一般人でスーパーパワー無しですので、デップーほど手痛いダメージは何とかまぬがれて、そこはね、話の都合で仕方ないよねなんて風に思いつつも、これがラストなら存分にやられても大丈夫だろうと、後半になるほどガチ具合が大きくなってそこは面白かった部分。

 

パニッシャーも90年代はアンチヒーローの代表格として凄く人気のあったキャラですが、そこは割と時代があってこそ。バブルがあってこそアンチも個性が際立つわけで、逆にこういう暗い世の中の時代になると、逆にアベンジャーズみたいな王道ヒーローがより輝く、というのも面白い部分です。

 

パニッシャーが悪をバンバン裁いていくカッコよさ、というより生身の体で必死に生き抜く悲壮感、みたいな所の方がキャラとしては輝くという感じに変わってきたんでしょうかね。少なくとも今回の作品ではそんな感じでした。

 

あとはタスクマスターの良さは先に触れましたが、同じ髑髏マスクのキャラでドン・オブ・ザ・デッドというメキシカンハットのB級ヴィランが出てたりしたのもちょっと面白かった。

 

不朽の名作、って感じの作品では無いですが、それなりには楽しめました。

 

 

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君は「MIHOシネマ」を知っているか

皆さまごきげんよう

ツイッターの方でちょこちょこ「いいね」とか「リツイート」いただいている映画情報サイト「MIHOシネマ」様よりお声掛けいただき、私なりのスタイルで構わないので、というお話でしたので、せっかくですので今回はそちらの方のお話をさせていただきます。

 

1.MIHOシネマとは
2.MIHOシネマの特徴
3.MIHOシネマのここが凄い

その他、「MIHOシネマ」について僕はこんな事を考えている


■その1、MIHOシネマとは。

サイトはこちら

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mihocinema.com

そしてツイッターがこちらになります

twitter.com「映画のあらすじ解説の総合メディア」というあまり聞いた事が無い肩書を使ってますね。

 

■その2、MIHOシネマの特徴。

先ほど触れたように、あらすじ解説がMIHOシネマさんの特徴です。
所謂よくあるレビュー系とは違っていて、起承転結の形で、映画の最初からラストまでのあらすじが掲載されています。

 

重要なネタバレなどがある場合は、ネタバレありの表記もありますので、そこまでは見たくない、或いは逆にそのネタバレが目的の方などは用途に合わせて参考にされてみてはいかがでしょうか。

 

所謂映画の1幕目、イントロダクション的なものは公式サイトや映画データベースにも大概載っていますが、作品全体のあらすじ、おおすじが丁寧に掲載されているのは割と珍しいのではないでしょうか。

 


■その3、MIHOシネマのここが凄い

2020年11月現在、8000以上の作品が掲載されています。
勿論、企業が運営するようなほぼ全てに近い作品が載っているデータベース的なサイトには及びませんが、そういった所では映画全体の筋までは掲載されていないものですので、個人サイトとしては8000というのは相当の数です。これは凄い。

 

そして何より、マイナーなB級作品なんかが数多く掲載されているのが映画好きにとっては非常に面白い部分です。毎日の更新を見ているだけで、何この聞いたこと無いタイトル、みたいな作品が次々取り上げられるのでその辺りも面白味です。

 

おすすめ映画や、サブスク配信の情報なんかもありますので、是非、足を運んでみてください。

以上、MIHOシネマさんのご紹介でした。

 

 

ここから先はいつものやり方でMIHOシネマさんを語ってみたいと思います。
お時間のある方だけ読んでいただければ幸いです。

■「MIHOシネマ」について僕はこんな事を考えている

ええと、私のブログは昔ながらの熱量重視で思った事、感じた事などをただひたすら書きなぐる、という形です。自分でもちょっと読みにくいなとは思いつつ、昔は映画ブログはこういうの結構ありましたので、そういったスタイルなりの面白さがあるだろうと思って2020年1月より再びブログの世界に戻ってきました。

 

「昔ながらの」というのはブログを再開するにあたり、映画の感想とかを検索したりしてみた所、かなりの頻度で内容の薄いアフィリエイト系のブログにひっかかるのが気になった所でした。恐らくは、昔からずっと続けてる人は居るんだとは思いますが、感想系とかは検索上位には入りにくい感じになっているのかと思われます。

 

最初は何これと正直思ったのですが、昔はインターネットと言えばパソコンでやるのが普通な時代。でも、今はスマホが主流ですよね。私みたいに長い文章をダラダラと書くよりも、わかりやすさが必要とされる時代なのでしょう。それは書く方も見る方も両方です。

 

ふっ、時代が変わったようだな、まさか坊やみたいなのがブロガーだとは・・・とは言いませんが、当然、私が前のブログをやっていたのは10年とか前の話。変わらない時代などそりゃありません。

 

さてここでMIHOシネマさんの話になります。
最初観た時にはよくあるアフィリエイトブログかなと思ったのですが、その掲載作品数の多さと、マイナーB級映画なんかも沢山あるのが面白いなと思いました。

 

そしてご覧頂くとわかるのですが、感想と言うより「あらすじ」がメインのコンテンツになっています。実はこれ、結構珍しいんじゃないかと。

 

私も感想を書く時は公式サイトとかからイントロダクションを引っ張ってくるのですが(昔はあらすじも自力で書いてたけど、今は流石にそこまで時間使えないので)当然そこは映画で言う所の一幕目くらいまでの情報になります。


こんな人物や設定で、それが映画の中でこれからどうなるのか?くらいまでですよね。普通の感想系ブログなんかでは、大体そんな感じが多いかと思われます。

 

そういう部分では、MIHOシネマさんって、映画の感想とかを求めてしまうと弱いのですが、そこにはまた別の価値があるんだろうなと思いますし、他の人がやっていない事をやっているのはあきらかな強みです。


私は他人と同じ価値を見出して共感を得る面白さもありつつ、逆に違うからこその面白味や発見もとても好きです。

 

映画のネタバレを載せてページビューを稼ぐタイプの商業系ブログも今は沢山あって、私はそういうのあまり好みませんが、それはそれで安易な単純明快さを求めてしまう今時らしい方向性ですし、それこそある意味ネットの利点みたいな部分もあったりしますしね。

 

ただ、そういう安易さに単純に走ってるだけ、とは言い切れないのがMIHOシネマの面白い所だなと思うし、凄い所です。わざわざ起承転結に分けて、あらすじを丁寧に書いてらっしゃる。

 

これね、読むほうは簡単だけど、実は書く方は結構大変な作業です。どういったスタイルであのあらすじを書いてるのかはわかりませんが、私も昔、簡単なあらすじまで自分の文章で書いてた時、結構それに時間をとられてました。あらすじって簡単なようで書くのは大変なのよ。

 

でも、自分で考えて書いてるとそれはそれで、「ああこの映画はこういう形だったんだ」だとか「あれ?この構造は映画の序盤と終盤で対になってたりする?」とか、書いてみて初めてわかる話の立て方や人物の置き方、映画を作る側の視点だったりが透けて見えたりする部分って結構あったりします。

 

時には、つまんない映画だったな、と見終わった時には感じても、そうやって構造なんかを含めて映画を再考していくと、「実はこの映画面白いんじゃね?」なんて思う事もしばしば。

 

映画って、基本的にはエンターテインメントなんだから、なんて言われる事もよくありますが、映画ってそんな単純なものではありません。何も映画は難しいものなんだって言いたいんじゃなくて、もっと多層的な構造になっていて、いくらでも踏み込める奥深いものなんだよ、という事です。映画に限らず、そんなの何にでも言える話ですけどね。

 

とにかく、言いたい事をまとめると「あらすじ」と簡単に言っても、そこから見えてくるものはいくらでもあって、これが結構大変なもので、そこを丁寧にやっているMIHOシネマは凄いんじゃないか?という話。

 

大変なので私はもう自分ではやりません。今はそこすっとばして感想を書いてます。そんな大変な事を律儀にやっている人がいらっしゃるなら、そこはちょっと言い方悪いかもしれませんが、有意義に使わせていただきましょうと。

 

「映画の最後までをあらすじでまとめる」というのは意外とやってる人が居ないので、調べ物をする時なんかは凄く便利なのです。手間をかけているものには、やはりそこにかかった手間や時間なりの価値があるものです。

 

単純なデータベースとしてなら、フィルマークスとか個人で無く企業が運営してるようなサイトの方がそりゃ充実してます。でも、そこに無いものがあるからこそ価値が生まれる。

 

このたびお話をいただいて、単純なアフィリエイト稼ぎだけのサイトでしたら正直、わざわざ紹介しないしお断りしてたと思います。ある意味、私がやってるようなブログとは真逆の価値観みたいなもんですし。

 

いかにもアフィリエイト稼ぎでやってる所って有名な売れ筋作品の紹介ばっかなんですよ。そりゃマイナーな作品を紹介したってページビュー稼げないし。

 

MIHOシネマ面白いなと思ったのは、こんなの誰も知らないだろうって言うB級作品とかも山ほど紹介されてるとこです。通好みの、監督の名前で通じるような知ってる人は知っているような奴とかじゃないですよ。いやそれ誰が見てもB級な奴だろっていう作品がとても多い。

 

一つ一つの記事に見られるサブスクの情報も載せてますので、基本的には商業ベースのブログかなとは思うのですが、そういうB級もまた愛すべき映画でしょ?っていう感じが映画好きとしては面白いですし、ネット上にデータとして残るなら、それ実は結構な資産になると思われます。

 

繰り返しになりますが、他の人がやらない事をやる、というのはとても大切な事。それは商品・商売としてもそうですし、個々の思いの詰まった作品としてもそうです。

 

今回、お話をいただいて、どうしよう?何書こうかなと思いましたが、いつもやってる感じで私の思いもついでに書いちゃえ、と指を走らせてみたのでした。物事は何でも視点一つでいくらでも変わるものです。そこは楽しいよね、という話でした。

サノス・ライジング

サノス・ライジング (ShoPro Books)

THANOS RISING
著:ジェイソン・アーロン(作) シモーヌビアンキ(画)
訳:光岡三ツ子
刊:MARVEL 小学館集英社プロダクション ShoProBooks
アメコミ 2016年
収録:THANOS RISING #1-5(2013)
☆☆☆★

 

比類なき、ヴィラン
サノス。
ここに明かされる、悲しき過去と波乱に満ちた運命……。

 

「インフィニティ・ウォー」まで来たのでついでにこちらも。
ただ、「インフィニティガントレット」でも触れましたが原作版のサノスはMCU版とは結構違ってます。


MCUだと宇宙の均衡を保つために、みたいにサノスなりの倫理観で自分の目的を達成しようとする、みたいな所がヴィランだけど魅力がある的に好評を受けた感じですが、原作の方は基本的には死の象徴という感じ。サノスの名前も死のタナトスから来ているとされています。

 

デビューは1973年ですが(「ガーディアンズオブギャラクシー:プレリュード」収録)サノスの誕生から生い立ちみたいな所を現代的な解釈でアップデートしたのがこちらの作品。

 

赤ん坊のサノス、少年時代のサノスとか、ぶっちゃけそんなの誰得?読みたいのかそれ?という気がしなくもないですがこれが意外と面白い。

 

MCU「ブラック・ウィドウ」の次に公開される予定の「エターナルズ」ですが、サノスも種族的にはそのエターナルズに属する存在。太古の神々的な存在であるセレスティアルズが人間の神的な存在を作ったのがエターナルズと呼ばれる種族で、容姿端麗で聡明。次にセレスティアルズが作ったのがディヴィアンツと呼ばれる種族で、こちらは多様な実験の結果で、いびつで醜悪な容姿であったと。

 

サノスもエターナルズでありながら、突然変異的にディヴィアンツの遺伝子?も持つのであんな紫ゴリラの容姿になってると。エターナルズの中でも超天才児で優秀な存在ながら、では自分の存在は何の為にあるのか?と自問し、「死」の概念を追求していく、というキャラになってると。

 

その辺は「インフィニティガントレット」で描かれた、死の女神デスを妃に迎えようと、ひたすらデスの為に死を積み重ねていきつつ、当のデスからはガン無視され続ける、というある意味での面白描写を、凄くシリアスにそして尤もらしく丁寧に描いてあるのが結構凄い。

 

あの元ネタをこう解釈していくのか、という所が面白味。デスの正体とか、決して目新しいオチでは無いですし、読める人は序盤でもしかしてと思ってしまう人も多いかなという気がしますが、決してオチだけが全てみたいな作品になってるわけではない。

 

今風に解釈すると、やっぱりソシオパス?サイコパス?的に描くのが自然なんだろなとは思いつつ、それでもサノスが「死」をどう受け入れていくか、世の中に対する恨みなのかもしれないし、単純にそこに自分のアイデンティティを見出そうとしているのか、デスも単なるイマジナリーフレンドであるのかもしれないし、自分の心の中の葛藤や決意みたいなものを、あえて具現化させたものかもしれないし、死と言う概念に取りつかれてしまったのかもしれないしと、読み方・解釈しだいで色々と想像できるのが面白味かなと思います。

 

単純に、これがサノスのオリジンだっていう設定話として読むよりも、サノスをこういう解釈で捉えるのかっていう、ややメタ視点ありきで読むと面白いのではないかと。

 

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サノス初出

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 ジェイソン・アーロン作

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キャプテン・アメリカ:スティーブ・ロジャース/サム・ウィルソン ロード・トゥ・シークレット・エンパイア

キャプテン・アメリカ:スティーブ・ロジャース/サム・ウィルソン ロード・トゥ・シークレット・エンパイア

SECRET EMPIRE PRELUDE
著:リック・レメンダー、ニック・スペンサー(ライター)
 ニック・クレイン、カルロス・バチェコ、スチュワート・インモネン
 ヘスス・サイス、ダニエル・アクーナ、エンジェル・ウンズエタ、
 マット・ヤッケイ、ポール・ルノー(アーティスト)
訳:秋友克也
刊:MARVEL ヴィレッジブックス
アメコミ 2020
収録:CAPTAIN AMERICA v7 #21 #25(2014)
 AVENGERS STANDOFF:ASSAULT ON PLESANT HILL ALPHA #1(2016)
 AVENGERS STANDOFF:ASSAULT ON PLESANT HILL OMEGA #1(2016)
 CAPTAIN AMERICA:SAM WILSON #7-8(2016)
 CAPTAIN AMERICA:STEVE ROGERS #1-2(2016)
☆☆☆☆

 

超人兵士血清を失い老人となったスティーブ・ロジャース
新たなキャプテン・アメリカを襲名するファルコン
ファルコンとウィンターソルジャーのコンビが誕生
平和な町「プレザント・ヒル」に隠された秘密とは
スティーブ・ロジャースの復活と…裏切り!?
ハイル・ハイドラ!

 

という事で「シークレット・エンパイア」編のプレリュードが出ました。
というか、「アベンジャース・スタンドオフ」編の前後にキャップが老化してしまう話と、復活した直後の話をセットでまとめた感じなので、次のシークレットエンパイア編の序章でありつつ、単品でも前々読める話でした。これだけでも十分に面白かった。

 

最初の2話だけ時系列的にちょっと前の話で、「アクシス」「シークレットウォーズ」ではちょこっと老化したキャップはとサムがキャプテンアメリカの名を引き継いだ姿ではもう出てましたので、その老化に至った話と引き継ぎが描かれた話が収録されてる感じです。

 

何だかんだと結局細かい所は解説書で読んだだけになりがちな邦訳アメコミですので、こうやってその話単体のみでも読めるのはとても嬉しい。アベンジャーズ新旧メンバー揃えた中での新キャプテン・アメリカのお披露目とかもなかなか感慨深いものがあります。バッキーの時もそうでしたけど、キャプテン・アメリカという存在は皆にとって必要なものなんだ、っていうのが良いです。


単純に個人の理由だけじゃ無く、象徴としてのキャプテンアメリカ。まあ、バッキーも以前に引き継いだ時は苦労したし、時間が飛んで次の話の時はスティーブとサムがもう微妙な距離を置くようになっちゃったっていうのも、間が無いと、え~っ?悲しいじゃんそれっていう感じではありますが。

 

で、その後の「アベンジャース・スタンドオフ」編が今回のメインの話で破壊されたコズミックキューブの破片が擬人化。何故かコービックという小さい女の子の姿で現れる。その現実改変能力をシールド長官マリア・ヒルが利用し、ヴィランを善良な市民の姿に変えてしまうと。

 

それは流石にあまりにも倫理を逸脱した行為だと、コマンダー・ロジャース、ウインターソルジャー、サムキャップがその行為を止めようと奔走する。

 

しかし、そのヒーロー側の軋轢の合間に、バロン・ジーモがヴィランを纏め上げ、反撃を開始。クロスボーンズと共に老人になったスティーブをボコボコに痛めつける姿は本当に痛々しいんだけど、ゴメン、ちょっとスカッとした。いや、私キャップ嫌いとかじゃなくて、思いっきりキャップ派の人なんだけど、ヴィラン側は今まで幾度となくボコボコにされてきた方ですしね、長年の恨み晴らしてやるぜ!っていう気持ちがちょっとわかる気がして、ちょっとだけ高揚してしまった。

 

ジーモの狡猾さ、老人でも決して手を抜かないラムロウと、ヴィランなりのカッコよさ(?)も描かれつつ、それでもやっぱり超人になる前からいくらやられても不屈の闘志で立ち上がってきたキャップとかをオーバーラップさせる演出が相まって、凄く良かった。

 

暗躍するレッドスカルもらしいし、キャップ系のヴィランじゃないけどクレイブンの優秀さとかも存分に生かされてて楽しい。スタンドオフ編の前の方の話にしか出てないけど、アーニム・ゾラも出てるし、「キャプテン・アメリカ」誌ならではの感じが凝縮されてる感じがして、物凄く面白かった。

 

面白いと言えば、今回、何故かギャグ描写(ユーモアセリフ)が多い。これ、MCUの影響とかなのかな?基本シリアスですが、何か本題に入る前にやたらと面白会話が入る。MCU関係で言えばセルヴィグ教授もMCUからコミックで逆輸入されて今回の話が初登場のようです。

 

何だかんだと事件は無事解決し、キャップも復活し、マリア・ヒルが更迭されつつ、最後の2話はエピローグ的な感じで、シールドからは距離を置いて独自のスタンスをとる事にしたスティーブ。フリースピリットとジャック・フラッグなるキャラと共に戦っていく事に。新キャラでは無いようですが、多分邦訳版では初登場。


星条旗コスチュームを身にまとい、なんかバットマンにおけるバットファミリーみたいな位置付けに見えます。バッキーとサム、シャロンもそうですし、前述の通り、キャプテン・アメリカ系列のアークヴィランも総登場な感じで、ただのプレリュードに留まらない、キャプテン・アメリカ誌ならではの面白さに溢れた一冊で、とても満足度は高いです。面白かった。

 

ああ、因みに「エンドゲーム」でも使われたキャップの「ハイル・ハイドラ」ですが、本国でもこれが刊行された時にリアルタイムで結構荒れたらしい事は耳にしてましたが、なんだこの時点でちゃんとコズミックキューブの影響でそういう風に改変された、というのは最初から明確にされてたのね。単純に実は元からこんな設定だったんだよ、みたいな後付け設定改変されたのかと思ってました。やっぱり実際に読んでみるもんですね。

 

あと、個人的に気になるのはカナの「ハイドラ」表記。今は公式に日本語統一されたのかな?「ファーストアベンジャー」の時はヒドラ党って言ってたような?RPGとかでも基本ヒドラヒュドラの方で馴染みがあるので、読み的にはハイドラの方が本当は近いのかもしれませんが、「ハイルヒドラ」の方が良かったかも。

 

とりあえず次の「シークレットエンパイア」本編も楽しみです。
解説書がついに中閉じにまでなっちゃってるこの熱量がまた素晴らしい。

 

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