僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

マーベル ライジング:始動

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MARVEL RISING: INITIATION
監督:アルフレッド・ヒメノ
アメリカ 配信アニメ 2018年 全6話
☆☆


という事で、コミック版に続いてアニメ版の方を。
こちらは1話につき4~5分程度のショートアニメ。INITIATION=始まりというタイトルの通り、序章といった感じ。この後30分だったり90分だったり、エピソード毎に形式が変わっていくようです。

 

最初に発表されたのがこちらですが、ゴーストスパイダー(スパイダーグウェン)が殺人の容疑をきせられ、警察とかシールドに追われるのですが、当然彼女は実際には親友が殺された現場に居合わせただけで、犯行に及んだわけではなく、自分で犯人を捕まえようと活動を開始した、ぐらいまでの所で終わるので、このエピソードだけでは話は解決せず。

 

警察の要請でシールドからパトリオットとクエイクが出動。逃亡した先にたまたま居合わせたMs.マーベルとスクイレルガールのコンビがグウェンを捕まえようとするも・・・みたいな話。

 

コミックの方に出てたインフェルノアメリカ・チャベス(ミスアメリカ)は後の方の話になってから出るようです。あとアイアンハートとかも。そういう意味じゃまだあくまで今回は顔見せって感じの作品でしょうか。

 

マーベルの今後を担う新世代ヒーロー達って感じですが、今回の作品、髪だけハイライトは入ってるのですが、肌とか服とか影の無い単色塗りです。当然フルアニメーションなはずもなく、リミテッドアニメ形式なので、動きもわりと一昔前の日本のアニメっぽい感じ。

 

影無しの単色塗ってさぁ~、私は「Vガンダム」を思い出してしまいます。コストカットで作業効率を上げる為にVガンでそういう事やってたんですよね。確かガイナックスの外注回だけそこ守って無くてやたらとクオリティが高い回がたまにあったりしましたけど。

 

なんかマーベル新世代のお披露目というか晴れ舞台なのにこのクオリティなのはちょっと可哀相とか思ってしまいました。

 

その中でも注目はスクイレルガールでしょうか。元がギャグキャラなだけに原作でもタイトルによっては結構特異なポジションのキャラですけど、今回は終わり際に「次回のお楽しみ」とかメタ発言したり、ジャパニーズアニメスタイルでいくわよ!とか言ってアクションを必殺技として叫んだりとわりとやりたい放題です。

 

今回、グウェン・ステーシーが髪先がピンクのグラデーションの入ったデザインなので、素顔の見た目が凄くグウェンプールっぽい。元々がパロディーから生まれたキャラなので、多分アニメとか実写ではグウェンプールって今後あまり出そうには無いですし、そういうのも含めてあえてその要素を入れたりしてるのかなって感じもします。

 

このシリーズは何本かあって順番がよくわかりませんが、次は多分「シークレット・ウォリアーズ」っぽいのでそちらを見てみようかと思います。

 


マーベル ライジング:始動|第1話|ディズニープラスで配信中!

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ザ・セル

ザ・セル [Blu-ray]

原題:The Cell
監督:ターセム・シン
アメリカ映画 2000年
☆☆☆☆

 

<ストーリー>
心理学者キャサリンの研究所では、最先端技術により人の潜在意識に入り精神病を治療する実験を続けていた。一方、女性の異常連続殺人を捜査していたFBIは、犯人スターガーとあるビデオを発見する。ビデオには、被害者の女性がガラス張りの独房(セル)に閉じ込められ、セルを満たす水の中で溺れ死ぬ様が記録されていた。しかしセルの所在を知るただ一人、スターガーは分裂症発作で昏睡状態に陥っている。捜査陣は、スターガーの脳に入りセルの場所を捜して欲しいとキャサリンに依頼する。

 


インモータルズ」ついでにターセム×衣装デザイン石岡瑛子のこちらも。
ターセムのデビュー作。オープニングの砂漠のシーンからして、メチャメチャ凄いビジュアルを撮る人だな~って引き込まれますね。

 

植物人間状態になった人に対して、精神世界をリンクさせてそこにダイブ、というSF設定ですが、私は「エクスシスト2」の珍妙極まりないヘッドギアをつけて精神リンクさせるあれを思い出してしまって、そのシュールさがちょっと微笑ましかった。

 

進撃の巨人みたいな筋肉スーツ(というか石岡瑛子の定番モチーフなので進撃は多分そこから持ってきてる)もちょっと変ですが、夢の中のビジュアルとかは来るっててやっぱ凄いし、デザインも面白い。

 

異常犯罪者の心理に迫るっていう部分では「セブン」とか「羊たちの沈黙」とかその辺のサイコサスペンス要素も強め。そこに強烈な見た事が無いビジュアルが加わるっていうんだから、今まで見た事が無い新しい映像っていう感じで、こういうのは物凄~~~く好みです。

 

90年代後期くらいかなぁ?ああ、「アメリ」とかこの作品も2000年代頭なのか。単館系作品が物凄く注目されるようになった辺りの映画が物凄く私は好きで、今まで私が知らなかった新しい世界が見れる事が凄く楽しかったんですね。それは単純に私がその辺りから映画が好きになって沢山見るようになったっていうだけの話で、80年代のアメリカ娯楽映画の黄金期なんかもそうだし、それ以前も含めて映画ってどんどん新しい表現が取り入れられていくから、もしかしたらその年代その年代毎に全て当てはまる事なのかもしれないですけど、「今まで自分が見た事の無い新しい世界や表現・映像」に触れる喜びみたいなものが映画を見る面白さの一つにはなってると思うんですよね。だからこの「ザ・セル」なんかもそういう所の面白さだよなと思います。

 

私はそんなに乗れなかった作品ですけど、それこそ「マトリックス」なんかまさしく、こんな映像今まで見た事無いぞ!っていう斬新さみたいな所が世間に届いたんじゃあないかなと思います。

 

ひねくれた性格なのもあってか、日頃から見た目だけには囚われないぞ、ビジュアルなんかよりテーマとかドラマとかそっちの方が本質なんだし、そこが重要なんだ、とかついつい言いがちな人ではあるんですけど、今まで見た事が無いビジュアルに触れる喜びや驚きみたいなものも、それはそれできっと大切な部分ではあるよな、と改めて思って見たりもしました。

 

相手の心に入るんじゃなくて、自分の心に呼び込むことでイニシアティブをとるってそういう事なのかこれ!?みたいなちょっとずっこけちゃう部分もあるにはありましたし、凶悪な犯罪者も自分のトラウマが原因で、みたいな所はちょっと安易かなと思ってしまいましたが、それでもビジュアルの面白さだけで十分に惹きつけられる好みの作品ではありました。

 

そうか~「落下の王国」がCGに頼らず凄い絵を作るっていうあの作品なりのコンセプトがあったから凄かったのであって、元々は普通にバリバリCGは使ってたのかと。でもCGじゃない部分の方がやっぱり凄い絵だなと感じるなこれ。

 

決して中身の濃さではないんでしょうけど、好みの部分が凄く大きい作品でした。


ザ・セル(The Cell)予告編

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マーベルライジング

マーベルライジング

MARVEL RISING
著:デビン・グレイソン、ライアン・ノース、G・ウィロー・ウィルソン(ライター)
 マルコ・フェイラ、ジョージ・ドゥアルテ、ロベルト・ディ・サルボ、
 アイリーン・ストリカルスキー、ラモーン・バッハ(アーティスト)
訳:御代しおり
刊:MARVEL ヴィレッジブックス
アメコミ 2019
収録:MARVEL RISING #0(2018)
MARVEL RISING:ALPHA #1(2018)
MARVEL RISING:SQUIRREL GIRL/Ms.MARVEL #1(2018)
MARVEL RISING:Ms.MARVEL/SQUIRREL GIRL #1(2018)
MARVEL RISING:OMAGA #1(2018)
☆☆☆

 

リス娘×伸び伸び女子高生
これからのマーベルを担う若手ヒーローが集結!
新作アニメ『マーベルライジング』原案


リスパワーのスクイレルガール、伸縮自在のMs.マーベル、新世代
のマーベルヒロインがタッグを結成!アルバイトでプログラムの授業を
受け持ったスクイレルガールの生徒は、なんとMs.マーベル!
例によって事件に巻き込まれた二人は、互いの正体を疑いながら
解決に奔走するが、事件の裏には意外な真相が隠されていた!
アニメ『マーベルライジング』原案の新感覚コミック登場!

 

という事で、ディズニープラスで結構な本数が配信されてる「マーベル ライジング」シリーズ。そちらに手を付ける前にせっかくなのでこちらから。(発売時に一度読んでますが)

 

原作というより、新しいファン層に向けたマーベルの新世代ヒーローを集めたアニメを作ろうっていう企画ありきで、じゃあコミックの方もそれに合わせた企画でっていう感じで刊行されたもののようです。

 

アニメの方はマーベルユニバースの複雑な歴史を知らなくとも楽しめるよう別アース扱いの話のようですが、こちらはメインユニバースのアース616基準。詳しい背景は出てませんが、キャラ説明的にはチャンピオンズはもう結成後のようです。ただ、基本はカマラちゃんとスクイレルガールが初対面で意気投合してチームアップ、そこにインフェルノアメリカ・チャベスが合流というような形になってますので、あまりメインストリームの流れとかは気にする必要は無し。

 

カマラちゃんはスーパーヒーローのファンフィクション(同人小説)を描きつつ、ゲーマーだったりとオタク要素強めな中で、スクイレルガールもその手のノリに合わせられるキャラなので、相性は良い感じ。

 

ヴィランとなるエミュレーターがゲームキャラを実在化させるという能力で、全体的にゲームネタ多い。そんな所からもイマドキの若い人向けを狙った話というのは凄くわかりやすい。MMOをやりつつ、ドンキーコングとかも出て来ますけど、レトロゲーはレトロゲーとして、昔はこういとこからゲームが始まったんだよ、くらいの認識はあるって事でしょうか。

 

孤独感を募らせたインフェルノが黒幕のあいつにメールで上手い事言いくるめられるって辺りも凄く今風。黒幕は古参ヴィランなので、逆に古臭さが強調されていて、そこでも新世代の台等みたいな所はきっちり描かれてます。

 

解説でも触れられてますが、チームの4人中3人が女ってのも今風ですよね。ここはポリコレうんぬんじゃなくて、マーケティングでの部分。

 

アメコミはもはや30代40代のおっさんオタクしか読まないとか言われるようになってから結構経ちますが、MCUの隆起とかもあって、今の内に新しい読者層を開拓していかないと未来が無いそっていうのがコミック業界の悩みの種だったわけですが、幼年層の取り込みとかはこれまで通り狙いつつ、新しいマーケットとして女性層の取り込みというのもあって、新生Ms.マーベルとかが話題性・注目度も高くて、その辺りを契機に若手ヒロインキャラが乱立、というような状況。

 

ここは日本のアニメ業界なんかにも通じる部分があって、私はアニメ全般にはあんまり詳しくないですけど、今だと各期ごとに十数作品とか新作が出てますけど、半分とは言わないまでも1/3くらいは結構女オタク向けの作品になってますよね。
アニメじゃないけど、ゲームの「アンジェリーク」とか昔から細々とニッチな層を狙った作品とかはあったんですけど、そういうのが今はある程度の市民権を得たって事だと思います。

 

これって、最初は美少女物とか男オタクがお金を落としまくってた時期があって、それが段々と渋くなっていった中で、じゃあ次はとマーケティングとして女オタクに狙いを定めた形で、それが実際ヒットに繋がっていったんだと思います。
多分それもそろそろ乱立しすぎて頭打ちな印象がありますので、次はアニメ業界どこを狙うのかな?って個人的には注目してます。
と同時に女性向けでありつつ、そこを飛び越えて社会現象・或いは批評的にでもアニメ史に残る作品がいずれ生まれるまでに成熟してほしいとも思ってたり。「鬼滅」がそれに近いけど、一応あれ少年ジャンプ枠ですしね。

 

で、アメコミに話を戻すと、アメコミは決してヒーロー物だけではないし、それこそ女性向けとかも細々とあるにはあるんだけど、やっぱりそこはオルタナティブ。どうしてもスーパーヒーロー物がメインストリームというのはあるので、日本のアニメ業界で起こったような例が、メインストリームのスーパーヒーロー物の内部の流れの中でこうやって表れてくる、というのが割と面白い所。

 

あっちのアメコミオタクとか実際の子供達がこの流れを見てどう思ってるんだろう?というのは興味のある所ではありますが、流石に私はそこまでは精通してないので、単純に一オタクとしては、女ばっかになっちゃったけど話は普通に面白いし、可愛い女の子キャラ見れるなら別に悪くは無い、という感じだったり。

 

そんな感じのどうでも良い事を考えてしまう「マーベルライジング」でしたとさ。
さてアニメの方も見てみよう。

 

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ラ・ヨローナ〜泣く女〜

ラ・ヨローナ ~泣く女~ [DVD]

原題:The Curse of La Llorona
監督:マイケル・チャベス
アメリカ映画 2019年
☆☆☆

 

<ストーリー>
1973年、ロサンゼルス。息子クリスと娘サマンサを育てるアンナ・テイト=ガルシアは、少々大雑把なお母さん。彼女はケースワーカーとして児童相談所に勤めており、その日は児童虐待が疑われる女性パトリシア・アルバスの家を訪問。彼女は長年、アンナが担当してきた人物だったが、いつもと違い酷く怯えて攻撃的だった。子供達は部屋のクローゼットに監禁されており身体にも傷があったため、虐待は確実と思われたが、子供達は母親がやったのではないと言う。そして、どこへ逃げても無駄だと絶望した表情で呟く。

子供達は聖ビクトリア教会の福祉施設へ入ることになったものの、深夜になってアンナへと連絡が入る。子供達が川で溺死したと言うのだ。アンナはクリスとサマンサを連れて溺死現場へと向かった。そこにはパトリシアも来ていたが、彼女はラ・ヨローナという悪霊から子供達を守ろうとしたのだと言う。だが、アンナが連れ出したせいで、死んでしまったと責め立てる。

パトリシアがパトカーで去って行く様子を目にしたクリスは、興味本位で現場へと向かう。茂みの中からこっそりと窺ったが、ふと背後から女の泣き声がする。クリスはそこで白布を被った長い黒髪の女が泣いているのを目撃し、更に右手首を掴まれてしまう。
MIHOシネマさんより引用)

 

死霊館ユニバースの6作目。アナベル人形と関わりのあるペレズ神父が出てくるという所での世界観の共有なので(アナベル人形も回想シーンでちょっとだけ)、ストーリーの関連性は薄い。同じような「死霊館のシスター」は本編でも結構なインパクトはあっただけに、シリーズの1作という感じではあったけど、こっちはそれ以上にスピンオフっぽい印象。

 

ただ、ペレズ神父が紹介する形で、協会からは抜けたけども、悪霊退治を営んでいるラファエルという人が登場、こちらは他の作品にも絡めていけそうなキャラなので、今後は楽しみな存在かもしれない。

 

死霊館シリーズ、割と面白くって、5作目の死霊館のシスターまでは見ました。アナベルの3作目はこれから。ブログ再開するちょっと前くらいまでに見た感じなので、前5作の感想が記録として残せてないのがちょっと勿体無い。あんまりストーリー的にどうこうってとこまでは正直憶えて無い。

 

基本的には「ひゃぁ~怖かった、でも面白かった」ってのが毎度の印象と言う感じなので、それ以上どうこう言うものでもないってのもあるんですけど、オカルト好きとしては結構楽しんでます。

 

死霊館の1作目が結構上手く作られている作品で、私のフェバリット作品の「エクソシスト」の系譜として、きちんとあれを研究して、今風にアップデートする感じで作られてます。「エクソシスト」の何が素晴らしいかと言うと(あくまで1作目の話。エクソシストは3も面白い出来なんだけどあれはまた別路線の面白さなので)いきなり悪魔払いのオカルトとかじゃあない所から話が始まる。これは死霊館1作目にも共通していて、悪魔憑きとかそういうの迷信だから、科学的には、或いは医学的には現実としてこういうものですよっていう、一度きちんと否定する所から入る。しかもドキュメンタリータッチのリアルな路線で。しかもそこもまた違う意味で頭がおかしくなりそうな感じで怖い。

 

そういうのを踏まえた上で後半はそういう神と悪魔の戦いみたいな所に踏み込むんですよね。だから面白いの。死霊館1作目も、そのままとは言わないまでも、近い作り方をしていて、おお~考えて作ってあんなこの作品はって感心しました。

 

私もホラー全般に詳しいわけではありませんが、割と好きで結構見てる方でしたが、しばらくこういう作り方は途絶えていて、今だとリアリティラインの揺さぶり方とか越え方っていう言い方になるのかもしれないけど、その辺りの作り方が面白かった作品。2とかアナベルシリーズとか、以降はまあいかにもシリーズっぽい作り方にはなっちゃうけど、ホラーの割に割と尺は長めにドラマを作っていて、その辺りはまだ他の作品には無い部分と言える気がします。

 

で、そこから更に「死霊館のシスター」とかこれとかになっちゃうと90分物のいかにもなホラーで、まさしくスピンオフくさく遠い所に来ちゃったなという感じの作りにはなってるのですが、「死霊館のシスター」は世界観の掘り下げみたいな所に行って、今回はいかにもなホラーエンタメみたいな感じになってる。

 

前半は割と普通のホラーなのですが、後半は前述のラファエルの登場からちょっとバトル物っぽくなってるのがちょっとした面白味でした。前半と後半の転調をこういう形でやるのね、っていう。

 

ただそこもね、バトル要素とまでは言わないまでも、それこそエクソシストの時からヒーロー物っぽい部分はきちんとあって、私はそういうとこも含めて好きですし、今回そこが何だかんだ言っても楽しかった。

 

なるほどなぁ、もしかしたら「貞子VS伽椰子」とかもこんな感じの事をやりたかったのかも?なんてちょっと思ってみたりも。


映画『ラ・ヨローナ ~泣く女~』本予告【HD】2019年5月10日(金)公開

 

調べてみたら「ラ・ヨローナ 彷徨う女」なんて同じ元ネタの別な映画もあるんですね。そっちは結構色々な賞とってるみたいだし、それはそれで見ておきたいかも。

映画 Go!プリンセスプリキュア Go!Go!!豪華3本立て!!!

映画Go!プリンセスプリキュア Go!Go!!豪華3本立て!!!(Blu-ray特装版)

監督:貝澤幸男/座古明史/宮本浩史
日本映画 2015年
☆☆★

 

プリキュア映画19作目。TVシリーズ12作目「Go!プリンセスプリキュア」秋の
単独映画です。

 

今回はタイトル通り今までのプリキュア映画には無いちょっと変わった構成で、短編・中編・長編の3本立て。短編・中編の方はフルCG作品で、長編のみこれまでと同じ手描きアニメ。尺が3本合わせて75分と他の映画の1本分と変わらないので、長編とは言いつつ他の映画と比べたら尺は短く、目新しさはあるものの、ちょっと物足りない感じ。

 

ひとつ前の春映画「プリキュアオールスターズ 春のカーニバル」もこれまでとは違った実験的な感じでしたし、それに続く今回の秋映画もまたもや実験的な形。前年の「ハピネスチャージプリキュア 人形の国バレリーナ」が映画として結構ビックリするくらい良かったのと、TVシリーズの「ゴープリ」が非常に高いクオリティで進行してたのもあって、ゴープリは2作とも映画には恵まれなかったなぁと、ファンはモヤモヤした感想を持ったというのが正直な所でしょうか。

 

ただこの辺は制作側がゴタゴタして足並みが揃っていなかったとかでは無くて、時代に合わせて常に進化・アップデートしていくっていうプリキュアらしい部分もあってこそなので、ここでの試行錯誤を安易に批判したって仕方無いかな?というのが今の気持ちですかね。勿論、私はリアルタイムで劇場に観に行って、今回はイマイチだったなぁって思っちゃったのは事実だし、多分ソフトを買ってその後に1度見ただけで、今回でようやく3回目くらいだと思います。

 

ブログで感想書いててちょこちょこありますけど、これは確かイマイチだったなぁとか思いながら見ると、でも意外と面白かったなってなりがちで、やっぱりあまり期待値上げてハードルを高くするより、あまり評判は良くないけど、意外と見所はあるよ、みたいな方がある意味幸せな部分はあるかもしれません。

 

これね、私は友達とかにもこれ超面白いから見てよ!みたいにお勧めするのはあまりしません。だってそう言っちゃうとハードル上がるじゃん。これは割と万人が面白さを理解出来る奴だなって場合は行けるのですが(例えば「ヒックとドラゴン」とかね)意外とそこは難しい所。私はどこからどう考えてもガチオタタイプの人ですから、一般人的な感覚との乖離、例えオタクでも割とライトな感じのオタクの人の感覚とはやっぱり話してても違うなって思うんですよね。そこら辺は難しい所です。

 

でもやっぱりそういう客観的な視点って言うのも大事で、大人としては今回の映画は物足りないと感じてしまうかもしれないけれど、もしかしたらメインユーザーの子供達には3本も見れてお得!いつもより楽しかったって思ったかもしれない。

 

これまでもたびたび書いてきましたけど、プリキュアのメインターゲットは「子供」と言っても、実際のデータから言えば小学校に入る前の未就学児がメインの客層になってたりする。プリキュア映画が70分弱くらいなのは、そこらへんの層の集中力を踏まえて短くなっていると。しかも未就学児とひと括りにしてしまっても、この年齢層の子供は1年違えばその辺りの成長の幅も全然違うと。その辺りが難しい部分と言うのはシリーズ問わず、インタビューなんかで何度も目にしてきました。

 

今回の「ゴープリ」から、立ち上げの初代~5GOGOまでの5年目のプロデュサーだった鷲尾Pが復活してます。プリキュア単体のプロデューサーという立場では無く、東映アニメーション全体を総括する立場として(要は出世したのね)再びプリキュアにも戻ってきたと。

 

TVシリーズ7作目「ハートキャッチプリキュア」を売上的には頂点として、そこから少しづつ下がり始めていた時期です。10周年を越えて、コンテンツとしては世間に対して十分に定着していた半面、定番化すればマンネリだ何だと好き勝手言われがちでもありますし、男児女児問わず人気が出た「妖怪ウォッチ」とか、アナ雪の大ヒットによる「ディズニープリンセス」という新しい枠組みのコンテンツなんかも台頭してきた頃ですし、近接ジャンルの女児向け物でも「アイカツ」やら「プリティーシリーズ」とかが成長してきた所もあります。この辺は2年目の「MH」の時に「ラブ&ベリー」の人気に食われたような所とも共通していて、プリキュア映画の興行成績が10億前後以上には決して広がらないように、ある程度のパイが決まっていて、その中でシェアを取り合っている、というような状態である事は読み取れる。

 

「春のカーニバル」を成績の良かった映画ハトのプロデューサーにまかせて、新しいアプローチを試みたり、今回の映画見たいにプリキュアを立ち上げた初代プロデューサーのお墨付きで、これまた春映画とも違う新しい方式を試みてみたりと、この辺りはきちんと流れがあった上での試行錯誤になっている。

 

ただのプログラムピクチャーとして同じような事をただ繰り返して微妙に縮小していく事を続けるより、シリーズの今後を見据えて変化させて行く事を選ぶ辺りがとってもプリキュアっぽくないですか?鷲尾さんが当初は10年続くコンテンツにという目標を掲げて、それを達成した今となっては、今後の20年に向けて、今度は親子2世代コンテンツとして育てるって言うのをここ数年はインタビューで言ってます。その辺りはプリキュアに復帰したこの辺りからやっぱり考えていたんだろうなというのはよくわかる作りになってる。

 

DVD解説書に載ってるインタビューでも、「S☆S」の時もデジモンとの併映とかやってましたし、昔は「東映まんがまつり」とか何本か合わせてやってたの東映お家芸じゃないですか、とか言ってます。オールスター映画も東映お家芸でしたし、実際プリキュアとは別枠で「東映まんがまつり」を鷲尾さんは復活させたりしてますし、その辺りは面白い部分。

 

で、3本の作品それぞれを見て行くと、単純に面白いかと言えば個人的にはまあそこそこくらいの感想にはなっちゃうんですけど、スタッフの配置とか作品の方向性としては色々と面白い部分はある。

 

まずは1本目。
キュアフローラといたずらかがみ』(短編)
こちらは監督が後に「キラキラプリキュアアラモード」を担当する事になる貝澤幸男監督。貝澤さんはプリキュアに関わるのはこれが初めてですが、東映のベテランアニメーター。「プリアラ」も二人監督体制で、そこはベテランと若い子を組ませて、技術とかを引き継がせていくという目的があっての事でした。それはプリキュア単体のみならず、東映アニメーションの未来を見据えてって事ですよね。

 

SD体型で、フルCG作品ながら、モーションをプリキュア歌手&キュアソードの宮本佳那子が担当してたり(モーションキャプチャーでなく、先に演じてもらったものをベースに手付けで動かしたそうな)「スイート」の時にやったプリキュア人形を動かすみたいなコンセプトの「プリキュアオールスターズDX the DANCE LIVE ~ミラクルダンスステージへようこそ~」の延長と言う意識もあったそうな。

 

映画の冒頭に5分くらいの短編が付くって、ディズニー/ピクサー映画なんかでも毎回やってますし、そういった所への挑戦でもあると。しかもサイレントで動きのみで楽しませると言う色々と凄い挑戦。

 

CGも髪の毛一本一本を細かく描くタイプの奴で、やはりディズニーピクサー的な物への挑戦でもあるし、そんな感じで、過去や未来も踏まえていれば、海外コンテンツへの挑戦もありつつ、サイレントという表現の内面への挑戦もある。なんか凄い頑張ってますよね、これ。

 

続いて2本目
『パンプキン王国のたからもの』(長編)
こちらは普通のセル画・・・はもう使って無いか。まあいわゆる普通のTVと同じく手書きのアニメーション作品。ゴープリ映画と言えば基本的にはこれを差す、いわゆるメインの作品。

 

監督はTVシリーズ「フレッシュプリキュア」の座古明史監督。なのでキャラデザもフレッシュの香川さん。何気に面白いのは脚本を書いたのが「5GOGO」でアナコンディさんを演じた山像かおりさん。今回も声優としては王女様役で出てますが、自分の所属する劇団で脚本・演出なんかもやってるらしく、鷲尾さんの要望で今回の脚本を担当する事になったそうです。

 

富や名声よりも家族が大事って最後に王様王女様が改心するのですが、そこに至るドラマが正直無いのが尺の足りなさかなぁと思ってしまうのですが、その原因としての悪役のウォープとか、単純にプリキュアのアクションシーンとかはなかなかカッコ良くは描かれてはいます。

 

ヒロインのパンプルル姫を演じるのは花澤香菜。挿入歌まであったりするのですが、その後はざーさんプリキュアに出れてませんね。割と映画のゲストとかを経てレギュラーとしても再登板って結構あるパターンなのですが、その後はプリキュアで独特のファッションセンスを披露するには至らず。

 

今回見返していて、おっ!と思ったのが、パン・プウ・キンという変な声だけでセリフらしいセリフも無いキャラですが、その3人組の妖精の一人を後のプリアラでキュアジェラート/立神あおいを演じる村中智がやってたのにちょっと驚き。

その辺りも過去と未来の交差って部分かもしれません。

 


そして3本目
プリキュアとレフィのワンダーナイト』(中編)
これ順番的に短編・中編・後編の方が良いのでは?と思ったんですけど、シームレスにエンディングのCGダンスに繋げる為、というのもあるようです。

 

監督は宮本浩史。元々CG畑の出身で、これまではエンディングCGの方に関わってきた中で、今回は初の監督職。で、これが「プリキュアドリームスターズ」に繋がり、超傑作の「オールスターズメモリーズ」にまで発展するという事を踏まえると、結構な重要作です。

 

初CGエンディングになったフレッシュからプリキュアのCGは凄いけど、「スマ」「ドキ」「ハピ」でセルルック(アニメ調)CGはもう極まった感がありました。私もこの時期の可愛いに特化した感じがメチャメチャ好きです。そこを担っていたのがこの監督。

 

ゴープリからちょっと方向性を変えちゃったのもあって、今回の中編もセルルックでなくそっちに合わせたらしいのですが、ゴープリは必殺技バンクをCGで作ってたのもあって、そこは宮本さんがこの映画の為に抜けたのか、ちょっと微妙なんですよね。そこはゴープリの中でも数少ない残念な部分。決してクイリティが低いわけではないのですが、前作までのCGEDで極まったレベルと比べちゃうと若干見劣りしてしまう感じでした。

 

その分、こっちの作り込みは相当に凄いのですが、プリキュアよりレフィの方に肩入れして作ってる感もあって(そこは次の「ドリームスターズ」でもそうでした)若干物足りなさも。その分じゃないですけど、敵のナイトパンプキンが東映的にはフリーザ、プリオタ的には「スイート」のノイズ様でお馴染みの中尾隆聖という豪華すぎる配置で、そこまとても楽しい。

 

CG特有の、正確なモデリングなんだろうけどのっぺりしていて味が無い、みたいな要素が全く無く、CGでも手描きと同じレベルの凄いアクションとか見せてくれます。

 

そういった感じでこれも同様に過去の遺産と未来を見据えた作りになってる。

 


3本の総括としては、リアルタイムだと目新しい部分はあるにせよ、物足りなさの方が上回ってしまった印象でしたが、そこから数年たってこうして見てみると、ここら辺を切っ掛けにして、次のステージへ進もうとしてたんだなぁ、というのがよくわかる感じでした。

 

プリキュアは世代を越えて受け継がれていくもの。そういう視点で言えばこれも決して悪くは無かったかな?とは思える感じです。

 

TV本編の「ゴープリ」は単体で物凄く完成度が高かったので、そちらだけでも十分な評価を与えられる作品かと思いますが、そこで生みの苦しみを味わった田中裕太監督も、今度は自身が後にそうやって変化していく事を自覚して、今度は映画スタプリにテーマとしてそれを落とし込んで行く事になります。その話はまたいずれ。(いや映画スタプリの感想でほとんど書いちゃってるけども)とりあえず次はコンプリートブックに絡めてゴープリ本編を語りたいと思います。

 

映画単体でのサブテキストはアニメージュ「Go!プリンセスプリキュア特別増刊号」が相変わらず良い仕事してますので是非。

『Go!プリンセスプリキュア』特別増刊号 2015年 12 月号 [雑誌]: Animege(アニメージュ) 増刊


一挙に三つのエピソードが展開!映画『映画Go!プリンセスプリキュア Go!Go!!豪華3本立て!!!』予告編

 

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サクラクエスト外伝 織部凛々子の業務日報

サクラクエスト外伝 織部凛々子の業務日報 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

SAKURA QUEST SIDE STORY
漫画:まっくすめろん
原作:Alexadre S.D.Cilibidache
刊:芳文社 MANGA TIME KR COMICS 全2巻(2017-18)
☆☆

 

本編コミカライズついでにこちらも。UMA大臣凛々ちゃんがメインのスピンオフ作品。

 

本編を別視点から描くとか、本編で描かれなかった別の出来事とかではなく、基本はギャグ物。でもキャラだけを使った本編とは離れたパロディとまでは割り切っておらず、世界観はそのままで作風を変えた感じという所でしょうか。

 

お仕事シリーズ3作目として、或いは社会学の視点で見るサクラクエストの面白さみたいな所に作品として惹かれた方なので、そういう意味では特にこちらも凄い面白いので読むべし!って感じでは無いのですが、そういう真面目な部分ともまた違って私の好きな要素は結構多いので、割と楽しめはしました。

 

黒髪ぱっつん、そして童貞を殺す服みたいなリボンがついてヒラヒラの清楚な服とか、私もオタクの例に洩れず、好みで言えばドストライクではあるので、メインの5人で誰が好きかと言えばやっぱり凛々ちゃんが可愛くって好きです。

 

でもドラマの面白い所というか、私が面白いなって思う部分として、ストーリーと共にドラマが進行していく中で、それぞれのキャラの掘り下げが成されて行って、最終的には結局どのキャラもわかる部分があるし、どのキャラも好きになっていく。

 

プリキュアとかもそうなんですけど、やっぱり最初は見た目の印象とか、わかりやすいキャラ付けとかで、今回はこのキャラが好みかなっていうの始まる前はあるんですけど、結局最終回まで付き合うと、どのキャラもそれぞれの個性があっていいよね、って大概はなります。その辺りが、きちんとドラマが描けてたんだなって思えて、楽しい部分なんですよね。まさしくドラマの力だなぁと。

 

表層的で記号っぽいキャラ付けだと、凛々ちゃんはUMA好きっていう所で、私もその辺のジャンルは昔から好きですし、話と言うかギャグがその辺が結構大きかったりするので、そこも楽しめました。

 

つーか「スタプリ」のひかるとかもその辺りの趣味ありましたが、実際そっち界隈って女子はどうなんでしょう。ゼロって事は無いと思うけど、割合的には女子率ってそんなには高くなさそうなイメージ。その手の番組に出てる辛酸なめことか居ますけど、あの人はそういう方向でキャラを売ってるっていうのもあるでしょうしね。可愛いので好きですけども。なんかちょっと「オタサークルの姫」感も無きにしも非ず。

 

勝手なイメージで偏見かもしれないけど、オカルト方面だとガチにスピリチュアルとかの方に女性は行ってしまいがち、というのが私のイメージとしてある。

 

これも自分の勝手なスタンスというだけの話ですが、私の場合だと、オカルト方面って「いやいやそんなのあるわけないでしょう。こういうのは半分ネタとして楽しむのがたしなみ」なんて自分は冷静ですよっていうのを装いつつ、その手のトピックとかあるとついついクリックしちゃうし、実は心の奥底ではあってほしいと思っちゃってる方。未確認生物を捉えた映像が、みたいなのをうぉぉぉ~って興奮して見ちゃうタイプです。

 

とかいうUMA話はほどほどにして、漫画の方に話を戻すと、序盤は飲み会とかやだなぁと実は本心では思ってた凛々ちゃんが、後半の方では全然普通に打ち解けてたりする辺りがギャグ物ながらドラマとして変化があって良いですし、最後の最後だけアニメ&コミカライズの最後よりちょっとだけ先のその後のシーンが入ってたりするのは悪くないです。

 

決して本編に負けず劣らずの名作って感じでは無いですし、スピンオフとして絶対に目を通しておくべき一冊、とかではないですが、おまけとして読む分には悪くないです。

 

サクラクエスト外伝 織部凛々子の業務日報 2巻 (まんがタイムKRコミックス)

 

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ゴーストバスターズ(2016)

ゴーストバスターズ (エクステンデッド・エディション) (字幕版)

原題:Ghostbusters
監督・脚本・製作総指揮:ポール・フェイグ
アメリカ映画 2016年
☆☆☆

 

<ストーリー>
ニューヨーク。コロンビア大学素粒子物理学博士エリン・ギルバートは世界初の心霊現象の科学的立証のため、日夜研究を重ねていた。
しかし、大学側に一方的に研究費を打ち切られたことをきっかけに、その知識と技術を活かすため、“幽霊退治”を行う会社「ゴーストバスターズ」を起業するが―。

 

と言う事でせっかくなので「1」「2」と来たら3作目のこちらも。
元々続編として3作目の話はたまに上がってはいたものの、前作のメインキャストのハロルド・ライミスが死去というのもあって、監督のアイヴァン・ライトマンも企画から完全に手を引いて、宙に浮いていた形になっていたものを、リブート企画として実現に至ったのがこちらの3作目。女性版ゴーストバスターズ、といういかにも今風な形でのリブート。

 

劇場では見て無いですけど、何年か前に一度見てます。その時は正直ただ女性版というお題目だけでやってるどうでもいい映画だなぁと思ってしまったのですが、1・2と続けてみると意外と今回は楽しめました。ハードルが下がった状態ってのもありますけど、オマージュとかが続けてみるとわかりやすかったり、そもそもゴーストバスターズってそんなに映画としては超名作とかいう感じでも無くて、くだらない事を楽しくやってるというコメディ映画なので、そういう意味では今回のもあながち間違ってはいないのかな?という気がしました。

 

アメリカのコメディ映画ってやっぱりちょっと日本の感覚とはツボが違うのもあってか、例え有名な人が出てても近年はほぼビデオスルーになっちゃう事が多いですよね。

 

ゴーストバスターズの笑いって、意外とシュールな笑いが多いんだなって前2作を見て感じたので、その辺は結構上手く引き継いではいると思う。最初に見た時はクリヘム以外の部分はさっぱり笑った記憶が無いんだけど、今回見直して、意外と笑えました。前作のキャストのカメオ出演も、見た直後だとおっ!って思えますしね。

 

今回の特徴の部分では、今で言う所の「シスターフッド」って奴なのかな?女の友情みたいな部分も私は割と好き。なんて言うんでしょう?世間的にはあまり認められていないはぐれ者達が共同体を形成して、あたしらはあたしらなりの道を行くよ、っていう路線は嫌いじゃないです。

 

「ブックスマート」を見て、ストレートに乗れたかと言うと個人的にはちょっと微妙なのですが、現代性ってこういう事なのかなと思う所はありましたし、その辺りの感覚の延長戦上で考えると、こういうのも悪くないとは思った。

 

結構美味しいとこを持って行くクリス・ヘムワーズですが、メイン4人にあいつ可愛い奴なんだよって何度も言われるんですよね。男が「可愛い」って言われるのって、結構現代的な感覚かなぁと。

勿論、女性から見たかわいい男の子って感覚自体は、遥か昔からあるものだとは思うんですけど、なんて言うんだろう?形容詞としてね、なんだか凄く当たり前に使われてるって割と最近な気がする。


クリヘムじゃないけど、MCUだとやっぱりスパイダーマントム・ホランドとか見てると、なんか男から見ても可愛い子だなって凄く思いますもの。まあそこは私がオッサンだから、若い子を見て微笑ましく感じるっていうだけかもしれませんが。

 

で、そんな感じで、今風で結構上手く作ってあるな、と割と感心しました。でも、同時に前2作を見返した流れで見るとさ、「ゴーストバスターズ」ってそんな「上手く作ってある事に感心」するような作品じゃねーよな、とかも思ったりする。80年代の雑な作品だからこそ半分ノスタルジックな要素も含めて面白いのであって、コメディーとして笑える部分はあるにせよ、ゴーストバスターズってこんなおりこうさんの作品じゃないのでは?とか思ってしまった。

 

いや、敵のブ男の扱いとかこの作品も雑ではあるんだけどさ、昔の映画を今風に作ると、色々と考えてアップデートさせなくちゃならなくて大変だよね、みたいに思わせたら「ゴーストバスターズ」って成り立たないんじゃないの?とかも同時に思ってしまう。

 

「2」の感想で、同じ事をやったって二番煎じの出涸らしにしかならないよね、と私は書きましたが、表層上の「女性版」っていうジェンダー要素だけでなく、何か違う解釈、違う角度で面白い事が出来たのでは?と思ってしまうのはちょっと欲張りすぎでしょうか。

 

2でもそうでしたが、ラストの唐突感のあるNY愛みたいなのもさ~、お騒がせの厄介者達だけど、俺達はお前ら大好きだぜ!みたいな市民に受け入れられるクライマックスがちゃんと描かれて無いのが致命的。せめてそこが描けてれば、決して悪くない印象の作品になってた気がします。

 

ライムスター宇多丸と同じ感想になっちゃいますが、やっぱり「2」よりは面白いけど、という感じかなぁ。

 

ゴーストバスターズ/アフターライフ」予告を見る感じではまたちょっと違うアプローチな印象なので、そちらの方を楽しみに待ちたいと思います。

 


映画『ゴーストバスターズ』予告編

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