僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

スーペリア・スパイダーマン:ネセサリー・イービル/スーペリア・ヴェノム

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SUPERIOR SPIDER-MAN: NECESSARY EVIL/SUPERIOR VENOM
著:ダン・スロット、クリストス・ゲイジ(ライター)
 ライアン・ステグマン、ジュゼッペ・カムンコリ、
 ウンベルト・ラモス(アーティスト)
訳:秋友克也
刊:MARVEL ヴィレッジブックス
アメコミ 2021年
収録:SUPERIOR SPIDER-MAN #17-25(2013-14)
☆☆☆☆

 

宿敵ピーター・パーカーを亡き者としたオットー・オクタビアスは、
自らの優越性を示すべく、スーペリア・スパイダーマンとなった。

オットーはその頭脳と財力で犯罪との戦いを優位に進める一方、
素顔の“ピーター”としては心を寄せるアナ・マリアとの絆を深めていく。

公私ともに順調な日々を送るオットーだったが、
その裏では、大敵グリーンゴブリンの陰謀が着々と進みつつあった。

そして今……。

スパイダーマン2099、エージェント・ヴェノムなど、
多彩なゲストも登場するシリーズ第4弾!


という事で通販限定で発売されました「スーペリアスパイダーマン」4巻です。
今回は原書で言う所の4巻と5巻のTPB2冊分を一挙収録。前半はスパイダーマン2099編で、後半がヴェノム化するという、ある意味通過儀礼みたいなもんです。

 

まずはスパイダーマン2099の方から。90年代からのファンとしては懐かしい感じですね。邦訳版とかは出ませんでしたが、90年代に新しいファンの獲得を目指して、100年後のマーベルユニバースという触れ込みで、いくつかの既存タイトルの「2099」シリーズがスタート。

原作版「スパイダーバース」は当然としてアニメ映画版「スパイダーバース」にもおまけ部分で出てましたが、スパイダーマン2099ことミゲル・オハラはシリーズの中では比較的知名度は高い方です。

でも2099シリーズって5年くらいで終了してたんですね。当時のマーヴルクロス誌とかで紹介されてたのでその存在は知ってたのですが、まあ読みたいかと言えば微妙な所でしたし。結局はオリジナルと何かしら関連性のある部分以外はそんなに興味は湧きにくい題材でした。

ただ、設定としてはマーベルの未来世界として、伏線とか関連性とかを持たせて、あれこれが未来に繋がるのかな?みたいに使う分には今となっては面白い題材なのかも?今回も未来に出てきてたアルケマックス社というのがここで設立されたんだよ、的な設定の面白さを使ってるかなという感じ。

 

それ以上に現行作品としては、ついにピーター(オットーだけど)が自分の会社を立ち上げる、というのが変化としては面白い部分。そして新しい恋人としてアナ・マリアと上手く行きつつ(毎回スパイダーマンの任務入っちゃうけど)、今度はオットーの過去の恋人であるスタナーこと、アンジェリーナ・ブランケールが登場。

実体を持つホログラムという何それなヴィランで、筋骨隆々な大女というビジュアルがなかなかにインパクト強し。本体はぽっちゃりオデブさんという、アナ・マリアを含めてルッキズムに色々と突っ込んでくるなぁという感じです。

 

アナ・マリアと言えば、メイおばさんに紹介する流れで、将来子供を授かる時に障害を受け継がないのか?と心配になってついそれが言葉に出てしまい、メイおばさんに対して本気で怒るピーター(オットー)という、これまた色々と突っ込んだ複雑な描写も。こういうのを普通に描けるのがアメコミの先進的な部分だなぁと感じます。メイおばさんもやっぱり高齢ですし、年配の人はそういうのつい口に出してしまうって、上手い描き方だなぁと思います。

 

そこ考えると、後編の「スーペリア・ヴェノム」編もそうで、フラッシュ・トンプソンは戦争で両足無くしてますしね、そう言う所もアメコミならではって気がします。

 

で、ヴェノムですよ。フラッシュに融合していたヴェノムを無理矢理引きはがし、自分の精神の強さならヴェノムをコントロール出来ると、スーペリア・ヴェノム化してしまう。この辺は流石にオットーの傲慢さが出てますよね。

 

結局暴走したスーペリア・ヴェノムに対してアベンジャーズ・アッセンブルです。

さらに、実はまだ残っていた(何で?)あの人の意識も協力し、なんとかアベンジャーズはその場を収める。実はヴェノムに操られてたからここ最近の自分の様子が変だったんだよ、とそれをも利用する流石のオットーです。ただ、前回精密検査をした時には不在だった、アイアンマンのみがその異変に気づいた様子です。流石は天才。

 

そして続くゴブリン軍団の暗躍、という辺りで最終巻の次巻「ゴブリン・ネイション」へ続く。
いや安定して面白いですこのシリーズ。次も楽しみです。

 

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パンケーキを毒味する


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監督:内山雄人
日本映画 2021年
☆☆☆

 

第99代内閣総理大臣菅義偉の素顔に迫った政治ドキュメンタリー。
私のいつも通ってる映画館ではちょっと遅れての今週公開でしたので先日、菅総理の退陣が発表された後では旬を逃す事になっちゃったかな?とも思いましたが、まあそれでも今の世の中を知るには良い機会ですし、前総理の安部さんが退陣してからまだ1年未満とかじゃないですか?それで1本ドキュメンタリーを作るって凄いなと感心するし、これはやっぱり見ておかないと、という感じです。

 

あと、プロデューサー河村光庸という人は「i新聞記者ドキュメント」も手掛けられている人なんですね。官房長官時代の菅氏との質疑応答で話題になった東京新聞の望月衣塑子記者のドキュメンタリーでしたし、ここは菅さん2部作という感じで捉えても面白いかなと。

 

以前の菅さんと言えば私の中では「令和おじさん」のイメージだったんですけど、国会とか質疑応答とかでの、あの前もって書いてある書類以外の事は絶対に言わないぞ!っていう姿勢や(全然質疑応答じゃねーじゃん!っていう)コロナ禍での強引な五輪決行と、この明らかに頭おかしい人間って何者なの?こんな人がトップに居る国って何?と言う意味では、非常に興味をそそられる題材でした。

 

まあ基本的には菅批判みたいな所も多いし、そういう目的で作られてる映画と言うのは疑いようも無いのですが、それでも菅さんの政治的な生い立ちみたいな所もきちんと描かれていて、へぇ~菅さんってこんな人だったのか?というのはなかなか興味深く観れました。

むしろブラックユーモアみたいなのを無理矢理入れてる所は逆にちょっと鼻につく感じだったかも、くらいです。

 

私は政治思想的には左側の方ですけど、この手の映画の結局は左思想の人しか見なくて、そっち側の人達だけが狭い中で喜んでる、みたいなのはちょっとそれどうなんだろうなという気持ちも同時にあったりしますので、ただむやみに批判するだけとかよりは、まず相手がどんな人なのかを掘り下げて知っていくという所がちゃんとあるのは良かった。

 

うん、でも菅さんって、勝負所で一か八かの賭けに出るような部分は過去にもあった人なのね。コロナにしてもオリンピックにしても、賭けに出たけど負けちゃった、という部分ももしかしたらあるのか。いやいや、「カイジ」とかじゃねーんだから人の命を賭けんなよ、駒にされるこっちはたまったもんじゃねーぞ!って言いたくなる所ですが、どうせ祭りごとで忘れ得ちゃうのが日本の国民性でしょ?っていう舐められた感覚を作ってきたのはまさしく国民なんでしょうけど。

 

私は政治にあまり詳しくないので、私の中での菅総理のイメージというか役割って、安部が逃げ出した後に、泥をかぶる役割だけど、嵐が過ぎ去るまでの間だけで良いから総理の役割をやってくれと。その分の報酬だけは弾むからと、最初からただの代理で損な役目を仕方なく買っただけの、ある意味可哀相な人なのかな?って思ってました。だから自分の言葉や意見なんて一つも無くて、上から(総理なのに!)指示された事を一字一句読むだけのただの傀儡、操り人形でしかないのかなと。

 

でも今回のドキュメンタリーを見た限りでは、自分はこの賭けに勝って、バカにしてきた奴らを見返してやるぞ!と思ってたけど、やはりというか当然というかその賭けに負けてしまって、誰も味方をしてくれる人もおらず、ただのしっぽ切りで捨てられてしまった哀れな人間、という感じになっちゃったかなぁと。そういうドラマとして見ても面白いかもしれない。いやいやいやいや、国を動かす総理でそんなドラマやっちゃダメだろう!という感じではありますが。

 

これもまた素人考えだけどさぁ、このコロナ禍って、ある意味では政治的にチャンスでもあったと思うんですよね。自民党が本当に国民の事を思って、多少強引でも、ちゃんと国や国民を救う政策をしていれば、変な話、ここ20年30年ともう自民が圧倒的な支持を得られて、もう自民党の盤石な支持基盤が作れたと思うんです。自民党だったからこそ日本は救われたんだっていう感じで。

 

そうすれば今後の憲法改正とかも、まあ自民のやる事だから支持するよ、っていう土台にもなったなじゃないかと。

それがコロナのドサクサに紛れて無理矢理法案を通そうとしたり、この状況下でさえ私腹を肥やす事しか考えていないっていう・・・。

あんたちょっとセコイよ!と言いたくもなりますわ。

 

勿論、そこは政党の根本的な部分で、自由民主主義って基本は自分が良ければ他人なんかどうなったって構わない、勝てない奴は努力が足りないだけ。それは自己責任ですよっていう価値観から生まれてくる考え方ですよね。政治家はお金持ってるから、国民が困ろうがくたばろうが関係無い。だって自分は一生食っていける財産もう持ってるも~ん!自分は困らないからあとは自分で勝手に努力してね、自分は努力して政治家になったんだから他人にとやかく言われる筋合い無いよ!って事っですよね。

 

今回の映画の中にも出てきてましたが、国はお前ら助けないから自助で!って言ってるのが自民の基本理念だし。菅が退陣しようが、自民が政権を握ってる以上はそこって絶対に変わりません。

 

「政治なんて誰がトップに立っても変わんないでしょ」って言うのが政治に無関心な人の常套句でありますけど、そりゃ自民の内部で人が変わろうが世の中はかわらんわな。同じ政党内なんだから。でも現野党とかに政権が変われば世の中って多分変わりますよ。政治に興味の無い人はそこら辺がわかってないのかな?という気がします。いや昔の自分もそんな感じで政治の事はわからないものと思ってましたし。

 

ああ、野党で思いだした。野党って与党に対して批判的な事ばかり言って、揚げ足取りみたいな事をやってる印象、っていう人もたまに居ますよね。いや中央政権が暴走しないように監視するのが野党の役割だから、そういう役目を担ってるんだよ、という社会構造の基本的なルール、仕組みを覚えてもらうのは基本なんだけど、そんなルールの話じゃ無く、感情的な部分でさ、「批判される事を物凄く嫌がる人」って多く無いですか?

 

イマドキの若者は打たれ弱いから批判をとにかく嫌がるっていう、ありきたりな若者論もあれば、同時に年寄りも批判をとにかく嫌う人って結構居ます。歳くってる場合だと、今まで自分が築き上げてきたものが否定されるようで、まるで自分の人生そのものが間違っていたみたいに言われるのが嫌、という感じなんだと思います。

 

私は左寄りというのもあってか、何で自民なんか支持するんだ?国会中継とかニュースとか見てても、野党の方が真っ当な事を言ってるケースの方が多いような?という気がするのですが、もしかしたらそこには前述のような「批判してくる人を嫌がる感情論」みたいなものが働いているのかなぁ?という気もしています。

 

今回、映画の中で共産党の機関紙である「赤旗」編集部の内部が描かれてるのですが、そこはめっちゃ面白かった。正直、全体的には微妙な映画かなぁと思ってた部分もあったのですが、赤旗の部分だけで十分におつりが来ました。「共産党」というだけである意味世間からはちょっと特異なものとして扱われがちですので、あんまり見る機会が無いものなんじゃないかと思います。

 

共産党ってやっぱり連合赤軍とか中国共産党とかのイメージが強くて、政治に無関心な人には「ヤバイ人達」みたいに今でも思ってる人が中には居るのかなぁ?とか思ったりしますが、本当にそんなヤバい人達だったら、そもそも国会に出席したり出来ません。国家転覆を企むアナーキストだとか、管理社会を生む独裁者だとか、そんなわけねーから。むしろ今は自民が格差社会を生みだして管理国家のディストピアまっしぐらを目指してるわけですし。

 

私は単純に共産、社民、立憲、れいわとかの現野党の方がみんなが幸せに生きられる社会に繋がると思ってるので、そういう意味で左よりかなぁぐらいです。
アベンジャーズとかのアメコミヒーローだって、日本の仮面ライダースーパー戦隊プリキュアだって多分、大概人を救うヒーローは左ですよ。みんなを救いたい、みんなが幸せに生きられる社会をっていうヒーローなんですから。

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透明人間

透明人間 [Blu-ray]

原題:THE INVISIVLE MAN
監督・脚本:リー・ワネル
原作:H・G・ウェルズ
アメリカ映画 2020年
☆☆☆☆★

 

<ストーリー>
セシリアは恋人の天才科学者エイドリアンと、海岸沿いの豪邸で暮らしていた。彼女は精神的にも肉体的にも彼の支配下にあったため、束縛から逃れるため家出を計画する。睡眠剤ジアゼパムで彼を眠らせ、家中のセキュリティーを解除し、妹エミリーの車で屋敷から逃げ出した。
それから2週間後。親友のジェームズ刑事の自宅に身を寄せていたセシリアの元に、エイドリアンが自殺をしたという知らせが届く。さらに、彼の兄で弁護士をしているトムに呼び出され、彼女に500万ドルの遺産が残されていると告げられる。彼女は相続金を受け取ることに同意。
しかしその夜から、セシリアは家の中に別の存在がいるように感じ始める。誰もいない部屋で人の気配がしたり、消したはずのガスコンロが着火するなど、奇妙な出来事が次々に発生し・・・。
MIHOシネマさんより引用)


誰もが知っている「透明人間」のリブート作。
本来はユニバーサルピクチャーズのかつてのモンスター映画「ドラキュラ」「狼男」「フランケンシュタインの怪物」「ミイラ男」らのコンテンツをユニバースとして共有するダークユニバースという企画があったものの、トム・クルーズ主演の「ザ・マミー」が惨敗に終わってしまった為、それぞれ別の単独企画になってしまった、という事らしい。「大アマゾンの半漁人」の系譜の「シェイプオブウォーター」はアカデミー賞まで獲ったんですけどねぇ。

 

ただ今回の「透明人間」小規模なジャンル映画ながら、圧倒的に面白い。私は原作の方も未読ですし、最初の1933年版の映画も未見。見た事あるのはポール・バーホーベン版「インビジブル」くらいかな?あとはアラン・ムーアの「リーグオブエクストラオーディナリージェントルメン」にHGウェルズ版透明人間も入ってたかなくらい。

 

包帯グルグル巻きでサングラス、それを外すと・・・みたいなのはもうアイコンというか、透明人間のイメージはまずそこですよね。今回そういういかにもなシーンは無くて、今描くなら「プレデター」とか「攻殻機動隊」辺りで描かれた光学迷彩っぽい路線。

 

ああ、そういえば「僕のヒーローアカデミア」の透明人間の葉隠さん。アメコミオマージュで「ファンタスティック・フォー」のインビジブルガール(ウーマン)だよなくらいにしか思ってませんでしたが、彼女が実はスパイなんじゃないかっていう考察もあるんですね。(あくまで考察でまだ原作でも誰がスパイかは明らかになってませんのでその辺はご承知おき下さい)服は着れるんだし、何かしらの形で顔が描かれてもおかしくないけど、これまで描写が無いのはそういう事?たしかに可能性ありそう。

 

という脱線話はさておき、今回の透明人間。
「ソウ」インシディアス」の脚本を手掛けたリー・ワネルというのも関係してるかもしれませんが、まずカメラの使い方が抜群に面白い。いわゆるJホラーの手法が使われてるんですね。

 

直接は見せないカット割りというか、なんか怖い物が出そう出そうで・・・出ない。でもたまにチラっとだけ映る。これがあるから何も無い部分までが、もしかして何かが映ってるんじゃないかという緊張感と怖さに繋がって、より恐怖感が増す、という演出です。確かリー・ワネルは関わって無いシリーズですが「パラノーマル・アクティビティ」なんかでもあちらの映画で使われた演出。

 

今回「透明人間」と言う事で、何気ないシーンでも、もしかしたらこの画面の中に見えてないだけで実はそこに透明人間が居るのでは?という面白い演出になってる。意味ありげな視点だったりカット割りやカメラの動き。いや言われてみればこの演出、透明人間がテーマの作品にぴったり。昔の映画もこんな演出あったのかな?ちょっと興味わいてきた。

 

で、そんな劇中内の部分に関してもそうですが、そもそも映画って我々観客側が透明人間みたいなものなんじゃないの?そんなメタ要素も考えてしまう面白い演出で、これは新しい視点を与えてくれる結構画期的な映画なのでは?とも思えます。

 

社会的弱者としての透明人間。世間的に居ても居なくても特に感知されるような存在じゃ無いという意味での「透明人間」っていう解釈も、大きくはフィーチャーされてないものの、そう言う部分も含ませてある感じではありましたし、直接その透明人間が物理的に存在している事が見える瞬間は思わず声が出てしまうくらいビビらせられましたし、いやこの場には流石に居ないだろうってとこで実はいきなりビックリさせられたり、「透明人間」で考えられるアイデアがここぞとばかりに描かれてて、もうメチャメチャ面白かった。

 

こんな古臭くて使い古されたようなアイコンを使って、ここまで面白く出来るのか!と唸らされる大傑作じゃないでしょうか。難点を言えば、透明人間と取っ組み合いみたいな事をしてるシーンが、流石にそこは一人芝居をしてる感があったかな?くらい。

 

私は映画の面白さや評価なんてその人それぞれによるものだと思ってる人なので、あんまり人にお勧めとかはするつもりは無いのですが、この作品は割と万人にお勧めできる作品かも。

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里見八犬伝

里見八犬伝 デジタル・リマスター版 [DVD]

SATOMI HAKKEN-DEN
監督:深作欣二
原作:鎌田敏夫新・里見八犬伝
日本映画 1983年
☆☆☆★

<ストーリー>
悪霊につかえ、不死身の妖怪となった玉梓は、かつて里見家に征伐された恨みを抱いて館山城に攻め入った。里見一族は虐殺され、静姫だけが生きのびる。その姫の前に仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の各字を刻んだ八つの霊玉を持った八剣士が集まる。妖怪軍団の巣窟へ攻め入り、激闘の中で一人一人命を失ってゆく八剣士の中、親兵衛と静姫は最後の力で玉梓に挑むのであった。

 

「スーパーヒーロー戦記」で物語の中に入り込むという展開があって、一つは「西遊記」でもう一つは「里見八犬伝」だったのですが、作中でもどんな話だっけ?なんてセリフがあり、そういや私もよくは知らないなぁという事で、ちょっと気になってしまい、こちらの映画を。

 

勿論これがオリジナル、というわけではなく、本当のオリジナルは江戸時代に描かれた日本文学史上最大の長編小説と言われる『南総里見八犬伝』というのが大元にある。それを所謂「角川映画」として新たに小説・映画化したのがこちらの作品。

 

そういえば先日この作品にも出演されてる千葉真一さんがコロナで亡くなられたそうです。私は千葉さんの作品にはそんなに触れていないのですが、世界的に有名な方ですし、やはり千葉さんと言えばJAC(ジャック=ジャパンアクションクラブ)の創立者で、今もその系譜が日本特撮にはかかせない存在ですので、その面でも功績は大きい方です。

 

千葉真一真田広之大葉健二と今回の映画も特撮好きには馴染みの深い面々が方が出演されてます。

 

うん、というかあまりよく知らないで見たんだけど、特撮映画なのかこれ。
魔界転生」みたいな路線のSF特撮時代劇でした。


薬師丸ひろこ主演の角川アイドル映画の面も勿論ありますが、その部分よりはるかに特撮物要素の方が強いです。

 

監督が深作欣二で、そこも「ええっ?」って驚いたんですが、まずそれ以上にね、これって戦隊物映画なんじゃないかと。そんな気分で見てたもんだから、これがすこぶる面白い。いや、映画としては正直何これレベルですよ。大百足とか大蛇の特撮のショボイ事ショボイ事。

 

でもね、姫の元に8人の宿命の戦士が集うって、まるで「スーパー戦隊」みたいじゃないですか。大場さんも出てるし。戦隊で8人は多いだろうって思う人も居るでしょうけど、最近はぶっちゃけそうでもないし、この作品では尺の都合もあるのか、仲間を集めていく過程でも、基本2人1セットみたいな感じで八犬士が揃う。

 

ここがね、仲間内でも対立軸が多少あったり、敵側も数人いるので、敵幹部との因縁のライバル対決とかがちゃんとあったりする。一応、薬師丸ひろ子真田広之のダブル主演っていう形っぽいですけど、(当時はJAC所属ながら真田広之もアイドル的な存在とされてた様子)その真田さんが、最初はマスコットキャラ的な番外戦士なのかと思いきや、実は闇の健族の血を引いており、一時は敵対、その後光に目覚め、正式に「八犬士」として加入するという、なんかもうスーパー戦隊みたいなノリ。

 

しかも最初は大葉健二が敵側に居て、ああ大場さんそっち側なのかぁと思ってたら、真田広之と共に光に目覚めて八犬士になるという怒涛の展開。

 

いやこれ闇堕ちだの光墜ちだの、追加戦士のパターンじゃないですか!


おお~、スーパー戦隊の原型がこんなとこにあったのかと、面白くて仕方ない。

 

1983年って「科学戦隊ダイナマン」ですので、もうスーパー戦隊は始まってますが、まだこの時期は追加戦士の概念は無い時期です。(その前の「ジャッカー電撃隊」のビッグワンも追加戦士としての走りでルーツではありますが、路線変更の影響とかそっちの話ですし)

 

勿論、今見たらそんな風に思えるっていうだけの話なのですが、元々の江戸時代からある「南総里見八犬伝」っておそらくですけど、娯楽小説として親しまれたものなのかなと思いますし、そうやって仲間集めで八犬士が少しづつ登場してきて、そこから決戦に挑むって、私らがヒーロー物とかプリキュアをワクワクしながら見てるのと同じような感覚だったのかなぁ?なんて思えてきて、すごく面白い。

 

敵だったやつが八犬士になった!とか一喜一憂してたんでしょうね。いや勝手な想像だけど。

 

ついでに言えば、八犬士はそれぞれに光の玉を持っていて、そこに一文字づつ漢字が浮かび上がるんですよね。

仁・義・礼・智・忠・信・考・悌

いや私これ「鎧伝サムライトルーパー」で見た奴だ!
ってサムライトルーパーだと仁・義・礼・智・信の5人が主人公側で、敵は四魔将としてそこに「忍」の字が加えられたりしてましたけど、そっちも確か光の玉を持ってた気がします。これが元ネタだったのか。サムライトルーパーはアニメだけど戦隊物っぽかったですしね。(聖闘士星矢がヒットしてクロス物が流行して、その和風路線という作品でしたが)

 

音楽もなんかRPGっぽい感じで、なんかオタク受けしそうな感じでしたし、(主題歌は何故か洋楽でさっぱり雰囲気に合ってませんでしたが)ぶっちゃけ映画としてはショボイ映画だなぁと思っちゃうんですけど、なんかオタク的な別の視点で見ちゃうと、やたら面白くって、正直夢中になって見てしまった。

 

やっと八犬士が揃って、いざ最終決戦へ!これは8人が力を合わせて凄い力を引き出すんだろうなぁ、とか思ってたら、ベタもベタな「ここは俺に任せて先に行け!」展開でせっかく集まった八犬士がガンガン死んでいくので、力合わせるんじゃないんかい!って思わず突っ込みたくなったのですが、それぞれの見せ場が割と面白いんですよね。ベタだけど。

 

しかしこれ、そんな特撮オタク向けのマニアックな映画じゃなくて「角川映画」なんですよね?大ヒットしたのかどうかまではよくわかりませんが、一般層がこんな映画を見て喜んだんだろうか?と不思議な気持ちになります。まあ角川映画つっても色々ありますけれども。

 

80年代、スピルバーグの映画とかもVFXとかが売りになってる面はあったでしょうし、なんかそういう部分でも邦画も負けないぞ的にやってたのかなという気はします。

今見ると、どうしてもしょぼい映画だなぁと思っちゃうんですけど、それでもまた同時にわくわくさせてくれてぶっちゃけとても面白かった。

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リーサル・ウェポン

リーサル・ウェポン [DVD]


原題:LEATHAL WEAPON
監督:リチャード・ドナー
アメリカ映画 1987年
☆☆★

 

<ストーリー>
過激な捜査ぶりを買われ、麻薬課から殺人課へと戦いの最前線へ踊り出た男、マーチン・リッグス。人は彼をリーサル・ウェポン(人間兵器)と呼ぶ。一方、50の坂にかかろうとする温和なベテラン黒人刑事、ロジャー・マータフ。およそ接点のないはずの2人が、ひょんな事からコンビを組まされ、今、LAを震撼させる麻薬組織に飛び込んでいく!

 

リチャード・ドナー監督追悼企画その4。
シリーズが4作ほど続いた人気作・・・だけど初見かも?子供の頃にTVで見たような気がしなくもないけど、割と印象的なシーンがいくつかあるものの、全く記憶に無い感じでしたので、多分見て無い。

 

リーサルウェポンズなら知ってるし好きだけども。

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後は小島秀夫作「ポリスノーツ」の元ネタにもなってて、メル・ギブソンとダニー・クローヴァーのバディ物。そういう意味ではプリキュアの元ネタと言えなくもない。初代プリキュアは女の子のバディ物をやりたいっていうコンセプトでしたので。

勿論、バディ物ムービーなんて山ほどありますが、バディ物と言えばこれっていうくらいには有名な代表作。

 

ただ、そういう文脈で見ても、やや時代を感じずにはいられません。今はバディ物をやるとしても、多分、対等な立場の相棒っていう感じになると思うんですよね。白人の相棒が黒人であって、黒人の相棒が白人、みたいなちょっとしたニュアンスの違いですけど、当時はあくまで前者であって、後者の方は多分出来なかったんじゃないかなと。(勿論、映画なんてごまんとあるから探せば中にはあるでしょうけれど)でも今なら多分逆でも出来ますよね。そういう意味じゃあ時代ってやっぱり多少なりとも変化はしてるのかなとも。

 

2作目以降はコメディ要素が増えて行くらしいのですが、1作目は凄くシリアス。奥さんを事故で亡くして、自分も死ぬべきかと常に闇をかかえているからこそ、自分の命も顧みず、自殺まがいの危険な行動に出てしまうと。それがゆえにリーサルウェポンと言われていると。

 

ちょっと映画とは関係の無い話になってしまいますけど、第二次大戦の時とか、日本兵が恐れられたのって、そういう自分の命を投げ打ってまで襲いかかってくるのに米兵とかは恐怖を感じたってよく言われてますよね。何だかんだ言っても最後は自分の命が惜しい。それは私は人として当たり前の事だと思います。その理解を超えたものがあったからこそ、特攻までする日本人に恐ろしさを感じて「カミカゼ」とかそういうのを特異なものに感じた、というのはなんとなくですがわかる話です。

 

後は、「武士道」とかもそう。「武士道とは死ぬこととみつけたり」ってまあ私はSNKの「サムライスピリッツ」とかそんなのの印象の方が強いですが、あれって実は死に急ぐとか死と向き合うとかそんな意味じゃ無く、自分の命を捧げられるくらいの君主に使える事こそが武士の本懐だ、というような意味ですよね。で、それに感銘を受けたフランク・ミラーがそんな武士道精神を東洋にも当てはめて描いたのが「300 スリーハンドレッド」だったりもしますし、その辺はなかなか面白い部分。

 

メル・ギブソン演じるリッグスも、ベトナム帰りの特殊部隊出身というバックグラウンドもあるのせよ、それ以上に、自分の死を恐れない命知らずだからこそ強いっていう理由付けがしてあったのが興味深いポイントでした。

 

話運びが割と雑かなと思いつつも、価値観の違いから反目しあう二人が、いつしか友情を結ぶっていうバディ物のお約束は十分に描かれてるし、まさに80年代アクションスターって感じで思った以上に銃撃戦も多い。最後のタイマン勝負はちょっと「ゼイリブ」のダラダラしたプロレスパートみたいでいただけないけど、ラストの同時射撃とか決めシーンはやはりカッコ良い。

 

とまあこんな感じで、リチャード・ドナーの有名作を4作ほど見て来ましたが、後年に与えた影響を考えるとやっぱり凄いです。改めてご冥福をお祈り致します。

2以降は気が向いたらいずれ

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のぼる小寺さん

のぼる小寺さん [DVD]

監督:古厩智之
原作:珈琲
日本映画 2020年
☆☆☆

 

<ストーリー>
ライミング部に所属する女子高生の小寺は壁を見るとウズウズしてしまうほどボルダリングのことばかり考えていた。卓球部に所属する近藤は、隣で練習する小寺からなぜか目が離せずにいた。小寺としゃべれることがうれしい近藤は、次第に彼女に惹かれていった。しかし、そんな小寺を見つめているのは近藤だけではなく……。

 

ルパンイエロー役、工藤遥主演のボルダリングをテーマにした映画、ぐらいの情報しか知らずに観たのですが、漫画原作物だったんですね、しかも吉田玲子が脚本だとは知らなんだ。

 

その上、え?これ高校生の青春映画だったのか、と予想してた物とは全然違う映画でした。私はドルオタではないので、アイドル時代の工藤遥って全然知らなくて、「怪盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」で初めて知りました。ルパパトは近年の戦隊でも特に面白かった作品でね、ヒロインはルパン側もパト側もどちらも可愛いのですが、そんなルパンイエローの人の主演映画があるならこれはちょっと観ておこうかなと。

 

ただ、ルパンイエロー/早見初美花は割と活発なイメージでしたし、イベントとかインタビュー映像でも芸能界慣れしてるからか、工藤さんは活発ですごくよくしゃべる。なのでそのイメージで見ちゃったんですけど、今回の小寺さん役、割と寡黙な役どころでした。ルパンイエローも設定上は確か高校生でしたけど、そこは回想シーンくらいで、基本ジュレで働いてましたので、え?高校生の役なんだってそこでもちょっとビックリ。

 

ボルダリング、ロッククライミングみたいなのに命をかけるスポコン物とまではいかないものの、職業物なのかなと思ってみたので、なんか色々と(勝手な)予想を裏切る作品でした。

 

事件を起こして干された伊藤健太郎君とのダブル主演みたいな感じで、黙々とスポーツに打ち込む小寺さんを見て、伊藤健太郎演じるダラダラと高校生時代を過ごしていた近藤君が、彼女に近づきたい下心が半分、同時に彼女の真剣さに影響されて、自分も部活の卓球に真剣に取り組んでいく、という感じのお話。

 

淡い青春の日々、みたいな所と、「アルプススタンドのはしの方」みたいに、一生懸命になる事をダセぇと思っている人達が、本気で何かに打ち込んでいる人を見て、ああ本当にダサいのは自分の方かもしれない、と気付かされる感じ。

 

ええ、勿論私は部活とかに真剣に向き合った事もありません。勿論高校生の時は彼女なんかも作れるはずもなく。家庭の事情が色々あったので、高校生の時はずっとアルバイトしてました。あとはゲームとか漫画とかそんなのに走るただのつまらないオタクです。しかもオタクでもどっちかと言えば今みたいにガチで色々なものに情熱を注ぎ込むとかではなく、ただダラダラと・・・でもないか?「Vガンダム」がリアルタイムだったので、Vガンは毎週5~6回は繰り返し見て、ノートにメモとか書きこむみたいなガチっぷりは当時からあったかも。

 

まあそんな青春時代でしたので、実はあまりこういう青春映画みたいなのはあんまり好きな方では無いです。自分はロクな青春なんかなかったし、と思う方ですが、「アルプススタンド」にしても、この作品にしても、なんか一生懸命になってる人達とは自分は違う人種だよね、っていう視点があるので、そこは割と入りやすいし、心の傷を抉られる感じはして、グッと来る部分はあります。

 

原作からそうなのか、脚本が吉田玲子だからそうなったのかはわかりませんが、小寺さんも勿論可愛いのですが、写真撮ってるメガネっ娘みたいな子も居て、まあオタク的にはそっちの方がド直球で刺さります。ああ、この子可愛いってやっぱり思ってしまう。

 

バイトをしてたので、女の子とは事務的なやりとり以外はした事が無い、程では無かったんですけど、まあそれでも普通に話を出来たかはあやしい所。変に意識して上手くしゃべれないみたいなのは多少あったかも。今はおっさんになったので、女性と話をするのは苦手とかそんなのは1ミリも無いですけども。

 

う~ん、それでも異性との関係とかは私は遅かった方で、20代前半くらいでしょうか、このままダラダラしたオタクやってるだけでは自分はダメになる一方だなと自分で思って、それくらいになってから色々と踏み出せた感じ。ただ意外と話をするにしてもネタというか引き出しが無くて、そういう引き出しを作る為に一般的な映画とかも観ておこうか、みたいになってそういうのが映画を見る切っ掛けにもなった部分もある。勿論それだけではないけれど。それ、どうでもいい話か。

 

この画を撮る為にこの映画を作ったのか!と思えるインパクトのあるシーンもありますし、クスっと笑えるシーンとか、ああ青春だなぁとか、これが若さか・・・みたいに思える部分もあって、超絶面白い映画とかでは無いものの、割と良さげな映画ではありました。


同級生のヤンチャしてる子が居て、学校もあんまり着て無いんだけど、ふとした事から小寺さんと仲良くなるギャルっぽい子のエピソードなんかもわりかしグッと来る部分でした。あと卓球部の友達が一度離れちゃうんだけど、みたいな部分も描かれてるのは面白い部分。何かに一生懸命取り組んでる人の熱が伝染していくって凄く素敵です。

 

傍から見たら私のブログだって、何これダセぇと一蹴されるようなものかもしれませんが、100人に一人でも1000人に一人にでも、ああ、なんか凄いな、何かに一生懸命になって熱くなるのって悪くないかもな、とかもし思ってくれる人が居たらそれはとても嬉しいです。

 

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フリー・ガイ

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原題:FREE GUY
監督:ショーン・レヴィ
アメリカ映画 2021年
☆☆★

<ストーリー>
ルール無用・何でもありのオンライン・ゲーム<フリー・シティ>のモブ(背景)キャラとして、平凡で退屈な毎日を繰り返すガイ。ある日、彼は新しい自分に生まれ変わるため、ゲーム内のプログラムや設定を完全に無視して自分勝手に立ち上がる―。ありえないほど“いい人”すぎるヒーローとして。ゲーム史上最大の危機が迫る中、はたしてガイに世界は救えるのか…!?

 

観ようかどうかちょっと迷ったのですが、世間での評判もすこぶる良い感じなので、じゃあせっかくだし観ておくかぁ!と挑んだものの、う~ん、正直私は微妙でした。

 

まず大前提として一番最初に凄く大事な事を言っておきます。私はいわゆるオープンワールドのゲームを1本もやった事がありません。この映画のベースになってる部分に全く馴染みが無いのです。まずそこがついていけなかったポイントの一つ。

 

あともう一つ乗れなかった理由があります。その作品の独自のルールを最初に提示してきて、それを途中で壊すって言う作品、私は物凄く苦手なのです。まあ、クリストファー・ノーランとかの映画がそんな感じ。
え?それってアリなの?ルール的に変じゃ無い?と思ってしまうとね、そこはあまり気にしないで流れで見てねっていう作りなんでしょうけど、なんか途中で細部が気になっちゃってついていけなくなるんですよ。

そういう意味でちょっと苦手なタイプの映画でした。

 

モブキャラでも生きててその人なりの人生があるんだよ!っていう部分と、AIが自我に目覚めてしまうっていうテーマの部分は決して嫌いじゃないのですが・・・いやAI物も細かいとこ気になって結構乗れない方かもしれない。

そういう雑音の部分が気になってテーマとかに集中して観れなかった。

 

例えばですね、そもそも私はオープンワールドゲームを知らないので全然間違ってるのかもしれませんが、私が昔ギリギリゲームをやってた頃にも「GTA」とかが流行って、凄く自由度があるゲームとして話題になりました。(例に出すのがGTAとかいつの時代だよって時点で察してください。PS2版、私買ったけど結局封も切らずに積んでた記憶が。)通行人を撃ち殺したり車を奪ったりできる。で警察が来たら逃げ切ればいい。メインストーリーとそういうのがどう絡むのか知りませんけど、う~ん、そういうのって面白いのかな?と。何度も言うけど実際にはゲームプレイしてないのでただの想像ですよ。なんかそういう暴力性が強いゲームで、多分今回のフリーガイもそんな感じのイメージのゲームなのかなと。

 

で、ガイはそういう事じゃ無く善行を重ねてレベルを上げると。暴力的なゲームに対してのアンチテーゼ的なものなのかな、までは想像がつく。そこまでは良いです。

 

気になっちゃって集中できないっていうのはそこからで、そもそもそいうのでレベルが上がる仕組みなの?それはどれくらいの時間がかかるものなの?何回も死んでるっぽい描写はあったけど、それでも記憶を引き継げるってどういう仕組みなの?とかいうのがわからない。

 

私の中ではゲームってプログラムされてる以上の事は出来ないという認識なので、例えばコーヒー以外のものを注文するってなった時、キャラメルマキアートを頼んだとしてそれはゲームのデータにあるものなの?というのが気になって気になって進めなくなる。


行動に関してはまだAIが自我に目覚めてプログラムされて無い行動をとって、それが話の進行にも繋がるので、まだわからなくもないのですが、物理データはどういう扱いになってるのかよくわからなかった。

 

逆にね、AIゲームの島は、このゲームの元になったプログラムだから、隠されてはいるけど物理的に存在するっていうロジックだったじゃないですか、そこは凄く納得出来る。

 

でもサーバーを破壊したからと言ってあんなゲーム内の壊れ方はしないだろうとか、あくまでガイから見た世界は現実と変わらない世界という体なのか、ブルーシャツはブルーシャツでもワイシャツからポロシャツみたいなのに着替えるけど、それはゲームのデータとして存在するのかとか、でもオンラインだからネット空間とリンクしてAIと同じく自由に拡張出来る可能性もあるんだろうかとか、とにかくありとあゆる所が気になって、テーマとかそっちのけで、これどういう事?に溺れてしまった。

 

明日にもパート2が発売されて、データ引き継ぎ無しなのに、こんなにユーザー居るの?2の前に最後にやっておこうみたいなユーザーなのかな?と、前提が私にはよくわからない事だらけでした。要するに、この作品がモチーフにしているゲームとかの知識や経験の前提が私には無いから、理解に及ばないのです。昔流行った「バカの壁」みたいな奴です。(あれは確か説明してもその前提や経験が無いから言葉でいくら説明してもわからないんだよ、っていう本でした)

 

毎日同じような事を繰り返してるだけの俺達は所詮ガイと同じくモブなんだよ、でもそんなモブでも一歩踏み出せばヒーローになれる、的なメッセージまで私は辿りつく前に、私はこの複雑なシステムについていけずにログアウトしてしまった。

 

う~ん、「レゴムービー」+「シュガーラッシュオンライン」+「トゥルーマンショー」にAI覚醒シンギュラリティみたいなのを足した感じか。
最初にも書いたけどAIが自我に目覚めるシンギュラリティも、フィクションとしては面白いけど、実際には私は懐疑派。でもオンライン上なら無限のデータベースにも繋がれるから不可能ではないかもしれないな、とは思うんだけど、そうすると多分データの複製が出来るから、一つの場所や形にこだわらなくなるだろうし、う~ん、う~ん、と
そこは答えが出ません。

 

マーベルネタもせっかく20世紀FOXもディズニー傘下に入ったんだから、と付け足したように思えて、ちょっと微妙でもありました。勿論、本筋から離れた形でネタになるというのは、それくらいアメコミヒーローもメジャー化したんだなって思えてそこは喜ばしい事ではあるのですが。

 

つまんない映画だな、なんてディスるつもりは無いです。むしろ、こういうのに全然馴染みが無くて付いていけなくなった自分が、ああやべぇ世間の当たり前についていけなくなってる自分が居る、と逆に焦りを感じてしまった映画でした。
そう言えば「レディプレイヤーワン」も全然乗れなかったのを思い出しました。

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