英題…Snowpiercer
監督・共同脚本…ポン・ジュノ
原作…「Le Transperceneige」ジャック・ロブ、バンジャマン・ルグラン、ジャン=マルク・ロシェット
韓国・アメリカ・フランス合作映画 2013年
☆☆
「パラサイト 半地下の家族」公開前にひとつ前の作品を。
ポン・ジュノは以前に年間100本くらい映画見てた時期にもう名前を上げてた人なのでそこそこ見てたはず「ほえる犬は噛まない」「殺人の追憶」「グエムル」は見た。
「母なる証明」は見たっけかなぁ?見たやつもあまり深くは憶えてないし、こういうときやっぱ記録をつけておかないのは痛いし勿体無い。
映画見てた時期の記憶としては韓国映画と言えばポン・ジュノ、パク・チャヌク、キム・ギドク辺りは見ておいて損は無いというイメージ。
という事で今回の「スノーピアサー」
BD(バンドデシネ=フランス語圏の漫画)原作なんですね。
アメコミは好きなのですが、アメコミと言っても基本スーパーヒーロー物メインでオルタナ系は「ゴーストワールド」のダニエル・クロウズとかを少し程度。
昔は日本語版の出版数が少なかったので、海外コミックの日本語版は基本全て買っていて、その中にはBDも少し入っていたのですが(「ユーロマンガ」というオムニバス誌が刊行されていた頃です)日本語アメコミの刊行点数が劇的に増え、アメコミヒーロー物に絞って行くようになり、BDはブックオフとかでたまたま安いものがあれば、くらいになってしまいました。
ニコラ・ド・クレシーとか、ブラックサッドとか良いとは思ったものの、ユーロマンガとか読んでると、漫画は漫画でもBDは絵にこだわる方向で話はあんまり、という印象が強いです。勿論、そんなのは作品によりけりなんでしょうけど。
漫画は奇麗な絵を見るものではないと言いたい方の人なので、今のところBDはあまり好きなジャンルではありません。
って話が思いっきりズレたな。スノーピアサーに話を戻そう。
ポン・ジュノにしては珍しいSFなので、こういうのもやる人なのかというのが最初の印象。グエムルも怪獣物だけど、現代韓国が舞台でしたし、まず冒頭から世界設定の説明に入る。
・・・のだけど、まずしょっぱなから色々苦しい。
温暖化対策をとったら間違って地球全体が氷河期に???
残った人類は永久機関で走り続ける列車の中だけ???
う~んだけど、そこはSFだしそういうものと割り切るしかない。
そこで列車先頭の上流階級と、後部の貧民層に分けられていたと。
なるほど、どういう経緯でポン・ジュノがこの映画を作ることになったのかは知らないが、要するに階級社会の話をやりたいのね。
シュールな世界観にシュールな笑いとかはちょっとジャンピエールジュネっぽくて面白いかもしれない。
うん、そこまでは良い。
レジスタンスの反乱の顛末から新しい世界の描写、そしてあいつとあいつが繋がっていて、さらには主人公へ意外な決断が・・・と話のプロットや絵作りは決して悪くないような気はする。けど、透視って何????エンジンが不調だから子供が動かす???
実は世界がこうでしたーみたいなの、上流の人はわかってなかったの???
そもそも内部はまだしも路線や車輪の整備とかは????
下流はあの状況で子供を作るとか変じゃね???
等々、なんか細部が気になって話にのめり込めない作りでした。
原作だと細かい所も設定とか上手く出来てるのかもしれませんが、映画だけだとなんだかご都合主義の変なお話、にしか見えず正直楽しめませんでした。
なんか、向いてない作品を無理やり作って誰も得していない印象。
原作を生かしたいならもう少しSF心をわかってる別の人がやるなり、階級社会を描きたいならもう少し別の設定でも良かった気がしてなりません。それが次の「パラサイト」なのかな?
パラサイトの方は賞とかもとってるみたいだし、これはスルーしてそちらへGO。
ティルダさんの素敵な演技を見たい人にはオススメ