僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

クリード 炎の宿敵

クリード 炎の宿敵 [DVD]

原題:CREED II
監督:スティーヴン・ケイプルJr
アメリカ映画 2019年
☆☆☆☆

 

<ストーリー>
『ロッキー4/炎の友情』で最大のライバルにして親友のアポロは、ロシアの王者イワン・ドラゴと対戦。壮絶なファイトを繰り広げた末に倒され、そのまま帰らぬ人となった。あれから歳月が流れ、ついにその息子同士がリングに上がる。シリーズに新風を吹き込んだ傑作と全世界から大絶賛を受けた『クリード チャンプを継ぐ男』でロッキーのサポートを受け、一人前のボクサーへと成長した亡きアポロの息子、アドニスクリードマイケル・B・ジョーダン)。対する相手はドラゴの息子、ヴィクター。ウクライナの過酷な環境から勝ち上がってきた最強の挑戦者だ。アドニスにとっては、父を殺した男の血を引く宿敵となる。アポロVS.ドラゴから、アドニスVS.ヴィクターへ。時代を超えて魂のバトンが手渡される因縁の対決。絶対に見逃すわけにはいかない。世紀のタイトルマッチのゴングが、いま鳴り響く!

 

とゆー事で「クリード」2作目。「ロッキー」シリーズで言えば8作目。
スポーツとか基本興味の無い私はこちらのシリーズは名作と名高い1作目くらいしか見てなかったのですが、「クリード」の1作目が物凄く評判が良かったので見たくなり、それならばと、改めて1作目から順番に去年すこしづつ見ていったのでした。
クリード1、めちゃめちゃ良かった。そしてロッキーシリーズとしては、流石に正直どれもが名作という事はなく、次こそはとなんとなく続けていた感は否めなかったのですが(だって「最後のドラマ」の次に「ファイナル」ってあなた)それでも1作1作にちゃんとやりたいテーマみたいなのはちゃんと感じられて、見どころもあるので色々な意味で面白いシリーズではありました。

 

そういう意味では、同じように名作ばかりではないんだけど、毎回ちゃんと作り手の意図みたいなのが込められている事はわかってどの作品も面白い部分はある「猿の惑星」シリーズなんかとも近い印象でした。


そして「ロッキー」から「クリード」へと、ちゃんと次の世代へ受け継いで、ちゃんと今の映画になっている奇跡のような出来のクリード1作目。後に「ブラックパンサー」を手掛ける事になったライアン・クーグラーから監督が交代して、果たして2作目はどうなのかなと少し心配もしましたが、全然良いじゃないですか。
まず何より「敗者のドラマ」である事が素晴らしい。冒頭からロッキー4で敗者となった(それも歴史的な)ドラゴのその後が示唆される描写に唸らされます。

 

ロッキーに特別な思い入れが無い私は、ロッキーってどうしてもアメリカンドリームの体現者、勝者の物語っていうイメージが強いんですよね。そもそも1作目で試合に勝ってはいないし、基本的に毎回、一度落ちてそこから這い上がるっていうのが基本的な展開ですので、実際は勝者の物語より敗者の物語の方が色濃い作品であるとは思うのですが、パブリックイメージとしてロッキーは勝者である感じがしてしまう。

 

なので冒頭のドラゴでグッと引き込まれます。「ロッキー4」のみを見た時は、敵国のロシアに乗り込んで、ロシア国民が諸手を上げて最後はロッキーを称えるって何だこの茶番劇と正直思いました。リアリティねーなと。
けど、こうして視点を変えて破れたドラゴはどうなったのかを見せられると、なんかもうメチャメチャリアルに見えるという不思議。当時ネットはまだなかっただろうけど、もしあったら大炎上の戦犯扱いだったろう事は想像できます。

 

そこだけでもう十分すぎるくらいに面白かった。今回はドラゴ親子の方にドラマの重点を置くのかなと思いつつ、意外とそこは描写が少なかったのですが、ブリジット・ニールセンも再び登場してくれて(今回の役柄でよくオファー受けたと思う)色々と想像が出来る作りになってるし、結果的に語り過ぎない所が良かったと思います。

 

そんな「敗者」の姿があるかと思えば、一方の主人公側のクリードもまた敗北から立ち上がる作りになってるのが作品のカラーとしても統一されている。正直、いつものロッキーのパターンで(あの変な特訓とかもな!)挑発されてカッとなったり、勝者のおごりであったり、守るものが出来て戦う事の意味がかわってきたりと、ロッキーがシリーズ通して経験してきた事の繰り返しをクリードでやっているという感じはしたのですが、その敗者たちの最後の最後のドラマがこれ以上無いというぐらいに上手かった。

 

ロッキーが、ドラゴが、クリードが、ヴィクターが、そしてアポロが、そこに居る全員が救われるあのラスト。
誰もが心のどこかで抱えていたわだかまりがあの行動一つで、解放され、次へ進む一歩を踏み出すことが出来るであろう事は想像に難くない。
何故止められなかったのか、何故止めてくれなかったのか、あれが本当に正しかったのか。今、本当にやるべき事は何なのか。

 

この脚本考えたやつ天才じゃないかと。もうこれ以上は無いだろうと思うくらいこれまでのドラマにカチっとハマって、もうこれが正解。100点の解答としか言いようがないなるほどそうだよな、と頷くラスト。
まさかロッキーシリーズで、こんなミステリーの謎が解けてスッキリみたいな味わいを体験できるとは思いもしませんでした。

 

大団円です。これ以上やると蛇足になる気がするし、これ以上に語れるドラマも無いような気がするので、ここで完結して良いです。とゆーかこれ以上はもう次見たくない。今までありがとうスタローン。

ランボー」に続いて「ロッキー」ここに完結です。


え?ラストブラッド?「最後の戦場」でついにランボーは家に戻ったんじゃないの?最初がファーストブラッドから始まったから最後をラストブラッドにしようとかそれタイトルだけで企画考えただけなんじゃ・・・。

う~ん、終わらない男、スタローンおそるべし。