僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

her 世界でひとつの彼女

her/世界でひとつの彼女 [DVD]

原題:her
監督・脚本・制作:スパイク・ジョーンズ
アメリカ映画 2013年
☆☆☆

 

<ストーリー>
そう遠くない未来のロサンゼルス。ある日セオドアが最新のAI(人工知能)型OSを起動させると、画面の奥から明るい女性の声が聞こえる。彼女の名前はサマンサ。AIだけどユーモラスで、純真で、セクシーで、誰より人間らしい。セオドアとサマンサはすぐに仲良くなり、夜寝る前に会話をしたり、デートをしたり、旅行をしたり……一緒に過ごす時間はお互いにとっていままでにないくらい新鮮で刺激的。ありえないはずの恋だったが、親友エイミーの後押しもあり、セオドアは恋人としてサマンサと真剣に向き合うことを決意。しかし感情的で繊細な彼女は彼を次第に翻弄するようになり、そして彼女のある計画により恋は予想外の展開へ――!“一人(セオドア)とひとつ(サマンサ)”の恋のゆくえは果たして――?


マルコヴィッチの穴」「かいじゅうたちのいるところ」スパイクジョーンズ作で
アカデミー賞オリジナル脚本賞受賞作。主演はホアキン・フェニックスなのですが、見てる時は全然気づきませんでした。この人どこかで見た事あるような気がするけど誰だっけ?くらいだったのですが、まさか昨年「ジョーカー」で話題になったホアキンだったとは。

 

ちなみに私的に「ジョーカー」は普通に面白かったのですが、元ネタの「キングオブコメディ」を後から見て、あれ?ジョカーってほぼこのままじゃね?つかキングオブコメディの方が面白いんじゃ?という感じでちょっと微妙な感覚です。

 

でもって「her」。PC上にだけ存在するAIに恋をするっていう設定だけがちょっと特殊な純愛ラブロマンスなのかなと思ってましたが、途中からSF設定絡みのサスペンスも若干だけ入る。そこは、あそっちに話行くの?と前半退屈してた中で引き込まれる部分にはなってました。「ラースと、その彼女」かと思ったら「イノセンス」だったのね的な。あと「ブレードランナー2048」の前半も結構似た話でした。

 

う~ん、こういうのはもし自分だったら?って考えるとAIとの恋愛なんて乗るわけねーじゃん!なんて事を言っておきつつ、話をするだけなら実際の人間ともう差が無いレベルであればコロっと乗っちゃうような気がしないでもない。映画のお話としても正直乗れなかったけど、実際わからんよな、と結局モヤモヤ。

 

そういった感情的に乗れるか否かは別として、AI側が一度は人間にあこがれるものの、そこから更にアップデートして人間以上の何かに変貌していく、というのはSFっぽくて割とゾクゾクしました。同時に何千人と話してて、その中で何人かとつきあってる、それが何か?あなたへの愛は変わらないわ、って非常に怖い。

 

かといって、そこのSF要素はひとまず置いといて、単純に普通の恋愛物として見た時に、問題はAIかどうかじゃなくて、相手への理解とか向き合い方とかそこが問題でしょ?という風に読み取る事も出来る作品になってて、そこはなかなか上手い脚本だなと思いました。

 

自分からばかり他人に求めて、みたいに言われると、割と皆ドキッとしてしまうものなんじゃないかなぁと思ったりもするし、私自身は割と人との関係性をめんどくさがる部分もあり、そういうので失敗した経験もあったりもしましたが、見ていて結構痛い部分もありました。しかも今でもさほど変わってなかったりもするので、未だに嫁さんも貰えん、的な。

 

映画にはあまり乗れなかった半面、良く出来た部分もあるし、なんかちょっと不思議な作品でした。


『her/世界でひとつの彼女』予告