僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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ハルク:グレイ

ハルク:グレイ (ShoPro Books)

HULK:GRAY
著:ジェフ・ローブ(作)ティム・セイル(画)
刊:MARVEL 小学館集英社プロダクション
アメコミ 2017年
収録:HULK:GRAY#1-6(2003-4)
☆☆☆★

 

すべてが白と黒にはっきりと
分けられるわけじゃない。

 

ブルース・バナーがハルクだと世界が知る以前、
ブルースがベティ・ロスに愛を告白する以前、
ハルクが緑色になる以前、
ハルクは“グレイ”だった……。

 

不朽の名作バットマン「ロングハロウィーン」「ダークビクトリー」のジェフ・ローブティム・セイルがマーベルで手掛ける各キャラクターの初期の物語を新たな視点で描く「カラーシリーズ」の1作。

 

そういえばハルクの第1話(INCREDIBLE HULK#1)って日本語版は今までどこにも収録されて無かったような気が。光文社版は持ってないのですが、そちらには収録されてるのかな?90年代以降の本には確か未だに未収録のはず。

 

精神科医ドク・サムソンの元を訪れたブルース・バナーが初めてハルクになった時の事を語り出す。付き合いの長いふたりだったが、ブルースの語る物語はドクターにとっても初めて聞く驚愕の真実が隠されていた・・・的なお話。

 

ハルクは時期によってはバナーの精神と統合されたり、全く別の人格だったりと色々と設定の遍歴はありますが、互いの精神の根本にあるものに迫って行く多層的な構造。

 

ベティとお父さんのロス将軍。オリジンに関わるリック・ジョーンズが話の中心ですが、まさかの某シェルヘッドさんまで登場。公式の記録の上ではアベンジャーズ#1で初対面という事になっているものの、実は知られざる対面があった、というのが面白い。ブリキロボなビジュアルもレトロチックで素晴らしい。

 

ハルクの元ネタとされる「ジキルとハイド」的なアプローチではなく「フランケンシュタインの怪物」をモチーフにしてある辺りも悲劇性が増してなかなかに読ませる脚本でした。

 

ティム・セイルの絵って多少の癖はあれど「ロングハロウィーン」とか、アメコミに馴染みの無い人にも読みやすい絵なんじゃないかなと思うのですが、ちょっと今回のハルクに関してはアクが強すぎるかも。

 

巻末の作者コメントでも触れられてますが、映画アン・リー版「ハルク」より前の作品だったんですね。ハルクのオリジンをどういうアプローチで今描くのかという面でその違い(というか全く違うわけですが)を考えてみたりするのも面白いんじゃないかと思います。

 

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