原題:IRON MAN 2
監督:ジョン・ファヴロー
アメリカ映画 2010年
☆☆☆
「アイアンマン」2作目、MCUとしては「インクレディブル・ハルク」に続く3作目。
前作からまたもう1カ月近く経ってます。う~ん、早い。予定としてはもう少しペース上げたいのですがどうなる事やら。多分プリキュア映画の方がどんどん先に行く気がしてきました。(あっちは尺が短いので楽に見れるのよ)
という事でアイアンマン2ですが、初見の時は、物凄く「アベンジャーズ」への繋ぎ映画っぽく感じたのですが、今回見直していて、思った以上にはアイアンマン個人としてのドラマがありました。
そうか、ラストも次の「ソー」への繋ぎのムジョルニアのカットで終わるし、フューリーとかブラックウィドウの登場で、元々のアメコミファンだった私的にはその次を想像しちゃってて、そういう部分で「アベンジャーズへの繋ぎ」の印象がリアルタイム時は強く残ったんだろうな、と思ったものの・・・
トニー・スタークとしてのドラマはリアクターの悪影響が出て死にかける。そんな中でフューリーに一時的な処置をしてもらうものの、根本的な解決には父ハワード・スタークの残した遺産がカギを握ると。
自分は父に愛されていなかったと思っていたが、実はそうじゃなかった、みたいなのがトニー・スターク個人としてのドラマ。そこが後々のエンドゲームのあのシーンにも繋がるわけですね。
私はMCU派生ドラマは「デアデビル」のシーズン1・2しか見てないのですが、確か「エージェントカーター」でハワード・スタークのドラマとシールド設立が描かれてるんでしたっけ?それ見てればまたハワード・スターク側の視点でも見れたりするのかも。
で、そんなトニーの反対側としてウィップラッシュこと、アントン・ヴァンコのドラマも描かれる。ハワードと共にリアクターの開発に携わっていたものの、袂を分かち、その恨みを募らせた父イワンの息子。
要は父の世代からの因縁を子供の二人が受け継いだその対比、みたいなのが物語の軸になってるんだろうけど、そこが設定上の話だけで、ウィップラッシュの言い分もわかる、みたいに感情移入出来るドラマになってないのが非常に残念。初期のMCUは敵に魅力がないとか散々言われてましたけど、まさしくそんな感じ。
ヒーロー物って、どうしても1はヒーロー誕生の部分に尺が割かれてしまうので、ヒーローになった状態から始まる2はドラマに尺が割ける分、2の方が名作になりやすいとよく言われます。
んじゃアイアンマン2はどうなのかと言えば、トニーのその後、ペッパーと会社の事、相棒のローディのウォーマシン誕生、アベンジャーズの布石、敵もウィップラッシュだけでなく、競合会社のジャスティン・ハマーと二人分。う~ん、こうして並べてるだけでも詰め込みすぎ。色々詰め込んだ分、一つ一つのドラマが薄くならざるを得ない。
1と2の監督を務めた、ジョン・ファブローはこれ以降監督業としては降板してしまいました。
で、その後に作った「シェフ 三ツ星フードトラック始めました 」がすごく良い作品になってます。ファブロー自身が主演の三ツ星シェフなのですが、店のオーナーから、これをやれあれはやるなと散々口出しされ、評論家は評論家で昔の派気が無くなっただの勝手な事ばかりで批評してくる。嫌気がさしたシェフは三ツ星レストランを退職し、気の合う仲間と家族と共に、こじんまりとしたフードトラック店を立ち上げる、というのがおおまかなあらすじ。
そう、アイアンマンの1と2を経験したファブロー自身の話をそのままやってます。スタジオからの無茶な要望やら、評論家の勝手な批評に嫌気がさす。そして気の合う仲間、ダウニーJr.もスカヨハさんも「シェフ~」に出てるのです。実質的なアイアンマン3みたいな作品でとても面白い。もし、ご覧になられていない方がいらっしゃいましたら、是非。アイアンマンうんぬんを抜きにしても普通に面白いですしね。
ただ、ファブローも喧嘩別れしたわけではなく、その後のMCU作品にも制作に名を連ねていたり、何よりハッピー役の役者として「スパイダーマン ファーフロムホーム」では凄く良い役をやってくれています。こんなスタジオではやってられん!と匙を投げてしまうのでなく、これはこういうコンテンツなんだからと理解は示してるんでしょうね。ファブロー良い人だ。
MCU2作目の「インクレディブルハルク」がその後にはあまり影響しない作品になっている事を考えれば、アイアンマン1から物語がスタートし、アイアンマン2でそこからMCUというより広い世界を作り上げる事を担った重要な作品とも言えるわけで、ここでスタジオの意向を重視して踏ん張ってくれたファブローが居たおかげで今のMCUがあると。そこ考えると安易に「とっちらかってダメな作品」と批判するのも、それはそれでどうかなって気はしてきます。
今でこそ、MCUは映画界を、そして世界を制したコンテンツと堂々と言えますし、ガラパゴスな日本でさえMARVELのロゴとそのキャラクターが日常にあふれてる今の世の中になりました。
でも、まだこのアイアンマン2の頃なんて全然でした。アベンジャーズ1作目のまだ前ですから。元々アメコミ好きな私でさえも、アベンジャーズまで本当にこれ行けんの?と懐疑的ですらありました。それが今は自分の想像すら遥かに越えて、と改めて感慨深いです。
単純に映画としてはそんなに褒められたもんじゃないと思いますし、入ってる要素の一つ一つが薄い分、初見の印象と同じく繋ぎ映画だなとは結局の所思ってしまうのですが、派手なシーンやガジェットはやっぱりカッコいいし、特にマーク5の装着と、背中合わせのアイアンマン&ウォーマシンはそれだけで十分と言わせるものがあります。
そんな所で次は「マイティ・ソー」へ。
先はまだまだ長い。とか言いながら寄り道はちゃっかりしていく私。
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