僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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ザ・マミー

ザ・マミー [DVD]

原題:VUELVEN
監督・脚本:イッサ・ロペス
メキシコ映画 2017年
☆☆☆☆★

 

<ストーリー>
11歳の少女エストレヤの母親はギャングに連れ去られ行方不明となっていた。残されたエストレヤは母を捜すため家を出るが、その日から不気味な声が聞こえ、奇妙なものを見るようになる。母の声、引きずり込もうとする腕、話す人形、動く血の模様、死者たち…。そして、ある日ギャングの一人カコが何者かによって殺されると、また母の声がした。その声は、カコを殺した男がエストレヤを捜しに来ると告げ、男を自分の元に連れてくるように言うとどこかへ消えてしまった…。

 

トム・クルーズ主演のあれではありません(つか、そっちまだ見てない)
ギレルモ・デル・トロスティーヴン・キングが絶賛したというメキシコ製ホラー。

 

・・・という肩書がついてましたが、これ全然ホラーじゃありません。
無理矢理な邦題と予告編で必死にホラー映画っぽく見せてますが、ホラーとファンタジー要素の入った実質ジュブナイル物かな?確かにデルトロとキングが凄く好きそうな映画。っていうか私も物凄く好みのタイプの映画。

 

メキシコの麻薬戦争で親達が殺され、路頭に迷う子供たち。子供だけの力でまとまって、なんとか生きていこうとするものの、ひょんな事からギャングの抗争に巻き込まれてしまい、仲間を失いながらも、死を乗り越え、受け入れ、ほんの少しだけ成長する子供達のお話。

 

シティオブゴッド」みたいに、子供もギャングの世界に足を踏み入れていく、っていうのじゃなくて、まだ10歳前後くらいの子供達ばかりなので、もっと純粋な子達です。その中で、死者の声が聞こえてきたり、3つの願い事みたいなファンタジー要素をスパイス的な感じで散りばめられてある。

 

子供達が生きるには、あまりにも過酷すぎる環境。大人達が何故争っているのか子供達にはまだ理解できない。子供は子供なりの、ファンタジーも含めた自分達なりの解釈でそれを受け入れていく。受け入れていかざるを得ない現実。
パンズラビリンス」を作ったデルトロもそりゃ絶賛するよね、っていう。

 

内容知らずに、普通にホラーとして見ちゃってたので、学校での会話とか序盤は結構流して見ちゃってたのですが、最後まで見終わって、願い事とか虎とかこれ何だったっけ?と思って見返すと、ああなるほど示唆とか隠喩とか色々含めたものを序盤の方でやってたのか。こういう作品なんだと理解した上で2回目見るとメチャメチャ面白いです。

 

お母さんも見た目怖いけど、導いてくれていたんだって見方が全然変わる。あなたが大人になったらね、と最後にエストレヤがブレスレットを受け継ぐ。ああ、いい話だ。つらい現実を受け入れ、こうして少女は大人になっていく。私がメチャメチャ好きなパターンの映画じゃねーか。

 

主人公の女の子のエストレヤだけでなく、少年達のリーダー格である顔にやけどの跡があるシャイネの男の子っぽさ、虎のぬいぐるみを抱える純粋でやさしいモロ、なんかそれぞれにわかるキャラで凄い良かった。

 

なんでもデルトロがこの監督の次回作プロデュースを引き受けたとか?デルトロプロデュースは「永遠のこどもたち」とかもメチャメチャ良くて、個人的に凄く好みの路線です。これは次回作にも期待したい所。

 

年間100本くらい映画館で見てた時期は、この手の有名ではないけど凄く良い映画を引き当てる喜びとかメチャメチャあったんですけど、最近はそこまで見れなくなってしまって、変わりにGEOとかTUTAYAで「ナントカ賞受賞」みたいなのがパッケージに書いてある奴ちょこちょこ見てたりするんですが(主にホラーとかサスペンス)これが結構外れる。


インビテーション」とか「ショートウェーブ」とか「グッドナイトマミー」とかそんな感じの奴。まあそれぞれに見所とか個性は多少あるし、見て損したとかはないものの、佳作にもちょっと届かないくらいの微妙さ。そんな中で大当たりを引いて久々に、そうそうこういうのだよって感じを味わえて満足です。


映画「ザ・マミー」予告