原題:THE CALL OF THE WILD
監督:クリス・サンダース
原作:ジャック・ロンドン
アメリカ映画 2020年
☆☆☆
<ストーリー>
カリフォルニア州に住むミラー判事(ブラッドリー・ウィットフォード)のもとで暮らしていた雑種犬のバックは、4歳のときにさらわれて売り飛ばされ、そり犬として働いていた。その後再び売られて厳しい環境で重労働を強いられていたところを、一人で旅をしていたソーントン(ハリソン・フォード)に助けられる。世話をされるうちに、ソーントンとの間に信頼と友情が芽生え、彼らは地図にない地を目指す冒険に出る。
正直、そんなに見るつもりはしてなかったのですが、監督が「ヒックとドラゴン」(の1作目)の人という事で、ヒックっぽい要素もあると聞いて、一応見ておくか的な感じで鑑賞。
なんと今回で6度目の映画化になるのだそうな。原作が世に出たのが1903年と言う事で、100年以上前の作品という事になる。なんかもうそれだけで凄い。
今回の映画化の特色は、犬をフルCG化。「ライオンキング」の時も騒がれてましたが、実写と見間違うレベルの本物っぽい質感でありながら、タマタマがついてないという、思いっきり日和った仕様。別に金玉を見せろよ!とか叫びたいわけじゃないですが、こういうものを見てリアルだと勘違いして、本物を見た時に何これってなったりしないものかとちょっといらぬ心配をしてしまいますね。
その分、リアルな見た目のまま犬に人間的な表情をつけたり演技させたりと、本物の犬を撮影してたのでは出来ない表現や、逆に記号化されたアニメ絵ともまた違う味わいがあるというのが、今リメイクされた意義みたいなものかなとは思います。
飼い犬だった時代、そこからさらわれてソリ犬になり、お役御免となるとハリソン・フォードと暮らし友情を育み、やがては自然に帰る、みたいな流れ。
単純に「野生の呼び声」ってタイトルと、飼い犬が野生を取り戻すって流れなら、最後は自然の中で暮らすようになって、弱肉強食の獣と化し、元の飼い主にまで牙を剥き、飼い主が食い殺されながら、そうだお前は野生に戻るのだ獣になれ、うははは~みたいな狂気じみた感じで終わるものだろうと勝手な妄想を繰り広げてしまいますが、当然そんな話じゃありません。私は何か変なのに毒されすぎです。
でもそれって結局、色々な映画でも漫画でも本でもそういうやつを積み重ねてきたからそんな風に思うわけですよね。
見てる最中、お!やっぱ「ヒックとドラゴン」っぽいって思ったり、「もののけ姫」みたいだなぁと思うシーンがあったり、なんかまるで「銀牙」の高橋よしひろ犬漫画の世界だなぁなんて事を考えました。そしたら実際、高橋よしひろが特別イラスト描き下ろしとかやってたんですね。原作には多大な影響を受けてるのだとか。
100年前の原作で、しかも何度も映画化もされてるとなれば、動物と人間の描き方だとか、ペットが野生に帰ってどうのこうのとか、色々な所で後の作品への影響力って大きいものです。
自分が何か好きになった作品があったとしましょう。で、作者が「○○の影響は大きいですね」、みたいな事を言ってて、その原点にあたってみたら、ほとんどそのままだった、みたいなの、よくありますよね。(ただ、最近のオタクはこれあんまりやらないっぽい)なんだかそういう感じで、この100年前の原作が、後に枝葉が別れて色々繋がっていくんだなぁとか思うとなかなか面白く見れました。
白い狼、もうライトフューリーにしか見えません。
出会って友情を育んで、死を経験して再生に至る、みたいな物語の基本的な所からそうだし、トラウマを乗り越えて成長、みたいなわかりやすいドラマもありました。
え!前のリーダーだったシベリアンハスキーは放置なの!?とか、最後そんなんでいいんかい!とか色々突っ込み所はあるし、実際の所ペットが野生で生きてくなんて無理なんじゃないの?なんて穿った見方もそりゃ出来ますが、そこはまあ古典として暖かく見守りたい所です。
たまにはこういうのも悪くない。
とゆーか、「ヒックとドラゴン」日本じゃ泣かず飛ばずですが、ホントに面白いのでそちらも是非見て下さい!・・・という私からの呼び声。
原作はこちら
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