僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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Fukushima 50


映画『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)予告編


フクシマフィフティ
監督:若松節朗
原作:門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎福島第一原発
日本映画 2020年
☆☆

 

どうせこんなの原発大好き、自分が良ければ他人なんかどうなったって気にもしないクソみたいな右翼や自民党が大好きな人しか見ない映画でしょ?命をかけて自分達の仕事を全うしようとした人を勝手にお国の為とか英雄視して原発は必要なんだアピール。
それって日本の侵略戦争を正当化して勝手に英霊扱いして亡くなった人の尊厳までも政治利用にして魂までむしりとるのと全く同じじゃーん!な映画だと観る前から思ってました。いやまあ実際そんな映画だったけども。

 

「プロレスを八百長だとか言う奴が居る、でもこれを見ろ!この体の傷は本物なんじゃ!これでもプロレスを八百長と言うのか!」と、かつてプロレスラーの大仁田厚は言いました。
いや傷は本物かもしれないけど、それとプロレスの勝負が八百長かどうかは別問題じゃ?思いっきり論理のすりかえしてないか?っていうのと似たようなものかと思います。
あ、一応言っておくけど私はプロレス好きよ。

 

右か左かで言えば私は左の人です。とは言ってもまともな政治的信条なんて持ってないし、森達也とか雨宮処凛とか読むだけでも今は左らしいので、そんなんで良いんだったら、んじゃ左でしょ、程度のものでしかないですが。


ただ、それこそ森達也の「i新聞記者ドキュメンタリー」とか日本アカデミー賞とった「新聞記者」とかで現政権批判みたいなのをやって、よし!いいぞもっとやれ!って言うのも、私自身は好きなんですけど、とある映画評論の動画を見てて、その中で、結局ああいうのは左の人が作って左の人が見ているだけ、そこはちょっと疑問なんだよねみたいな事を言ってる人が居て、確かに言ってる事もわかるな、とも思ったのです。今の自民が好きな人はそもそも「新聞記者」なんてわざわざお金を払って観に行きませんよね?

 

私も反戦映画とか反原発映画の自主上映企画に参加して、頑張ってチケット売ったりした経験もあるので、先日友達に上記のような話をしたところ、別に全員って事もないんじゃない?たまたま映画見てみようと思う人や、よく知らないからせっかくの機会だから映画見てみたっていう人だって居るよ。あなたも私も最初はそうだったじゃん、と言われて、それもなるほどと思ったしだい。

 

そんな経緯もあったからこそ、こんなの右翼映画じゃん!と思いつつも、私みたいな左側の人でも右の映画も見ておかなきゃな、という感じで見てきたしだいです。

 

だいぶ前ですが「靖国」ってドキュメンタリーがあって、上映差し止めだ何だと散々騒がれましたが、地元じゃ普通に上映して、私も普通に見ました。で、あの映画って政治思想うんぬん以前に、ディスコミュニケ-ションを描いた映画なんですよね(少なくとも私にはそう見えた)
右も左もね、自分の主張だけを一方的にただしゃべり続けるだけで、どっちも聞く耳持たない。いやいやいや、まずお互いの言い分に耳を傾けてみようよ、そうじゃなきゃ議論も始まる以前の問題じゃん、っていうのを教えてくれる映画でした。

まずは見て相手が何を言ってるのか最初は聞いてみないとね。私は幸福の科学がやってるアニメ映画みたいなのも、恐る恐る見に行って見た事もあるくらいですし。

 

さてそこで今回の「Fukushima 50」ですが、ずいぶん偏った映画だなぁと思ったし、アメリカ軍とフレンズって露骨にぶっこんできやがったな!と笑えるくらいでした。

 

かと言って、私はこういうのもっと中立に、ニュートラルに作れよ!とも思いません。偏ってて全然いいです。それを見て支持するのも、批判するのも見たひとりひとりが自分の頭で考えるべき問題なのですから。

 

福島原発事故、あるいは東日本大震災をテーマにした映画、今後も継続的に作られていくと思います。たまたま早かったのがこの映画っていうだけで、今後作られていく作品はその作品なりのテーマや主張が込められていくはずですし、それで十分だと思います。個人的には、小さいTVドキュメンタリーとかは結構やってますので、そういうのの延長としてのドキュメンタリー映画が見たいかな。

 

実話に基づく系の映画って、私はどちらかというと逆にこれは実際にあった現実とはだいぶ違うんだろうなって思って見てしまう方。映画ではこうだったけど、本当はどうだったの?ってのが気になるタイプ。今回の映画も、サラっと調べただけでもずいぶん実際は違うんだなと思いました。

 

でもそういう感覚が元々ある分、流石は世界の渡辺兼、良い演技してるなぁとそこは楽しめました。各々の俳優さんの演技は、ドラマとしてぐっと引き込まれるものはありました。逆に、露骨に悪役を作っちゃうのは映画としても安易さを感じた部分です。
あと、国会議事堂(だよね?)までゴーストタウンになった世界みたいなのをビジュアルで見せちゃうのは、あまりにも陳腐というかやりすぎ感あって、こういうのいらないのに!って思ったりも。

 

ゴーストタウンと言えば、スタッフロールの時に映像出してましたけど、国道6号線、再開して2年目だったっけかな?大洗まで遊びに行った帰り、そっちももう再開してるから6号線でも帰ってこれるよと知人に言われて、そういや原発の隣のとこだし、せっかくだからそっちの道使った事無いし通ってみようと半分興味本位くらいで通ったのですが、入る前の検問はあるわ、何ミリシーベルトだのデジタル表示されてるわ、車の窓は閉めてエアコンは外気でなく内気循環にして下さいとか書いてあるわ、何より6号線のこれだけの距離がゴーストタウンになってるの?ともうメチャメチャ恐怖を感じて家路についたのでした。


あれがもう物凄くインパクトありすぎて、これ実際に見たら「シンゴジラ」なんて陳腐に感じて1ミリものれねーわ、ってなった思い出があります。

なので私はシンゴジよりもキングオブモンスターズ派、ケン・ワタナベも出てるしな。ってそれ全然関係ない話。

 

私は山形県在住なので、お隣の福島には年に2~3回くらいは遊びに行きます。北関東まで行く時は福島通るのでそれ経由で含めればもっとかも。ただ、やっぱ行くのは内陸の福島市とか郡山の方ががメインですので、原発のある海沿いはほとんど行ってなかった。

 

あとは逆に北の方に行けば青森県まで年に何度かは行きますが、一度最北端の方まで行きました。睦市に行く時、その手前六ヶ所村に行く道あるんですよね。実際に六ヶ所村には行ってませんが、看板見た時に、ああここが六ヶ所村なのか、こんな北の辺鄙なとこに原発の廃棄物持ってきてるのか、何だろうねこれ?なんて思う事がありました。
こんな原発を推進する日本って?自民って?しかもあの震災と事故を経験してなお脱原発には向かない世の中。

 

福島原発の問題ってまだ何も解決してないんですよ?それをさも解決したような印象を持たせた上に、東京オリンピックの聖火はここからはじまる的なテロップに開いた口がふさがりません。

 

うん、色々な意味で「面白い映画」でした。
面白かったけど、私は同じテーマでももっと違うアプローチのものも見たいな。

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