僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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ハーレイ・クイン&バーズ・オブ・プレイ

ハーレイ・クイン&バーズ・オブ・プレイ (ShoPro Books)

HARLEY QUINN AND THE BIRDS OF PRAY
著:ポール・ディニ他(作)キャメロン・スチュアート他(画)
刊:DC 小学館集英社プロダクション ShoProBooks
アメコミ 2020年
収録:Detective Comics#831(2007)、Showcase '96#3(1996)、Nightwing/Huntress#2(1998)、Gotham Central#6(2003)、Batman#567(1999)、CatWoman#16(2003)
☆☆☆

 

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』の公開を記念して、映画登場キャラクターたちの短編集が登場!ハーレイ・クインブラックキャナリー、ハントレス、レニー・モントーヤカサンドラ・ケイン、ブラックマスク…バーズ・オブ・プレイの各メンバーたちの代表的な作品と、凶悪ヴィランのブラックマスクの物語を6つ収録!これを読めば映画をさらに楽しめること間違いなしだ。

 

という事で映画に合わせて出版されたこちらのキャラクターオムニバス集。日本版独自編集とかでなく、本国でも出た底本があるっぽいです。アメコミ映画が年に何本も公開され、どれもヒットが続いているような状態ですが、じゃあそこで原作のコミックも大ヒットかと言えば、なかなか映画のようにはいかないのは日本だけでなく、本国でも同じらしいです。キャラクタービジネスとしては成功しても実際のコミックはまだまだ一部の嗜好家の為の物から抜け出せていないのだとか。

 

MCUで言えばガーディアンズなんかが思いっきりそんな感じで、誰よこいつら?みたいな人が大半。なので本国でも新作映画に色々なキャラが出るみたいだけどどんなキャラなの?と、こういった入門編のオムニバスが出るようです。

 

お試し版という感じなので、中途半端な所から始まって、途中で終わるみたいな話多いですが、そこはあまり深く考えずに、へぇ原作ではこんな感じのキャラなのか、程度に読むべし。私も名前とおおまかな設定くらいは知ってるけど、ガッツリそのキャラがメインの話とか読んだ事無いキャラの方が多いので、その点では十分楽しめました。

 

ちなみに6本収録中、2本は既存の他の単行本にも収録されてる話なのですが、持ってはいても読んでないものばかりでしたので、全て初見です。

 

■ハーレイクイン編
■ディティクティブコミックス#831(2007)
脚本:ポール・ディニ 作画:ドン・クレーマー
(ヴィレッジブックス「バットマンハーレイ・クイン」にも収録済)

 

ハーレイの生みの親とも言えるポール・ディニが脚本。アニメイテッドとかアレックス・ロス絡みの奴以外でも普通のレギュラーシリーズの脚本もやってたんですね。知らなかったよ。

 

私にとってもハーレイと言えばこちらの方の初期ピエロコス時代です。バットマンと組んで、腹話術ヴィランのベントリロクイストと対峙。ハーレイにもハーレイなりの倫理観があるんだよ、的な感じで、ラストの余韻が素晴らしい。ポールディニ脚本って他の作品でも余韻が凄く良いんですよ。

 

ブラックキャナリー
■ショーケース'96#3(1996)
脚本:ジョーダン・B・ゴーフィンケル 作画:ジェニファー・グレイブス


バーズ・オブ・プレイ」誌が刊行される前ですが、オラクル(バーバラ・ゴードン)のバックアップを受けながらキャナリーが活躍するという、プレバーズオブプレイな内容。個人誌は同年ですので、そこを見据えたプレリュードなのかな?
ただ二人だけでなく、スーパーマンの恋人のロイス・レインもメインですので、「バットマン」「グリーンアロー」「スーパーマン」3誌のヒロイン集合が主軸っぽくもある。キャナリーがカッコ良いです。

 

■ハントレス編
ナイトウィング/ハントレス#2(1998)
脚本:デヴィン・グレイソン 作画:グレッグ・ランド&ビル・シンケビッチ

 

ナイトウイングとハントレスのチームアップ物のミニシリーズからの収録。対立しながらも惹かれあう二人、みたいな話なのだけど、解説読むと凄い事が書いてある。結局は一夜の関係のみで終わったそうです。えぇぇぇええええ~っ!?


初代ロビンことナイトウィングディック・グレイソン、濃いファンの間では何故かスケコマシ野郎とかたまに言われてたのですが、なるほど、こういう話が結構あったりするのね。

 

陰キャでコミュニケーション能力に欠けるブルース・ウェインに対して、陽キャなディックって、色々とお互いに複雑な感情はありながらも、バットファミリーの長兄として互いに特別な信頼を置いている二人っていうのが色々な作品でのナイトウィングの私の印象ですが、うん、まあこういう話があるとちょっと・・・。

うん、ハントレス編なのにディックの事しか語ってない。

 

共同作画でビル・シンケビッチの名前がありますけど、ペイントアートでないとシンケビッチどこを描いてるのかよくわからん。


■レニー・モントーヤ
ゴッサム・セントラル#6(2003)
脚本:グレッグ・ルッカ 作画:マイケル・ラーク

 

アイズナー賞、ハーベイ賞、LGBTをテーマにしたゲイラクティック・スペクトラム賞を受賞してる高い評価を受けた作品のようです。

 

リアルな刑事ドラマ風のストーリーで、一人奮闘するレニー・モントーヤだったが、ラストでレズビアンである事が公の場で明かされてしまい・・・という感じなのだけど、1話のみの収録なのが勿体無い。ただ、この話だけでもテーマ性は伝わってくるので悪くは無いです。

バットマン:イヤーワン」「デアデビル:ボーンアゲイン」のマズッケリ風の筆厚を生かしたアートもとても良い。

 

カサンドラ・ケイン編
バットマン#567(1999)
脚本:ケリー・パケット 作画:ダミオン・スコット
(「バットマン:ノーマンズ・ランド」2巻に収録済)

 

映画ではキャラクターの背景がほとんど描かれてませんでしたが、この話がカサンドラ初登場で、この時点では言葉を失っていた所から始まるので映画でも最初、言葉を話せないっぽいしぐさを一瞬見せるという原作を生かしたネタがありました。

 

悲劇に見舞われた少女が自分の人生を取り戻す、みたいなキャラでしょうか。「ノーマンズランド」完結してから読もうと思ってたのですが、辞書みたいな厚さが4冊も揃うと、え!?これ読み切るのメチャメチャ大変じゃん!と結局積ん読です。大分古いですが、あの時点のバットファミリー大集結(アズにゃんもね)ですので、まあ読めば楽しいんでしょうけど。

 

■ブラックマスク編
キャットウーマン#16(2003)
脚本:エドブルベイカー 作画:キャメロン・スチュワート

 

ブラックマスクこええよ!脚本がエドブルベイカーだけに話がやたらとハードでキャットウーマンが壮絶な悲劇に巻き込まれていく。

 

アングラ(オルタナ)コミックのダニエル・クロウズっぽい絵柄もいかにもアメコミらしい味わいで、その中でのアクション描写が日本の漫画っぽい感じもあって独特の印象。最近は日本の漫画の影響も大分入るようになって、そこまで大きく差は無い感じにはなってますけど、少し古めのやつは、日本の漫画とは違うテンポなのが逆に面白くて好きです。あっちの人から見ると日本の漫画はまるで絵コンテに見えるのだそうな。

 

 


現在進行形のオンゴーイングも読みたいし、映画を観るような感じの単発で完結してるミニシリーズも読みたいですし、今回のみたいに古い作品も入った(と言っても一番古くて96年ですが)オムニバスも味わい深いくて良いものです。アメコミ楽しいので、また映画で新しいキャラとか出たらこういうの出していただけるとありがたい。

 

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