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キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー(MCUその5)

キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]

原題:CAPTAIN AMERICA THE FIRST AVENGER
監督:ジョー・ジョンストン
原作:MARVEL
アメリカ映画 2011
☆☆☆☆

 

遂に来ましたキャプテンアメリカ第1作。エンドゲームの時も散々言われてましたけど、この作品のラストのね、デートの約束が…ってとこから繋がる辺りがやっぱりメチャメチャグッと来ます。初見の時はどうだったかなぁ?もう忘れてしまいましたが、今回は終盤もうボロボロと泣きながら見るしかありませんでした。
2作目の「ウインターソルジャー」の時でしたっけか、現代の年老いたペギー・カーターと再会するとことかも、それはもう涙無しでは見られなかったのですが、それはやはりどちらもこの1作目があったからこそ。

 

ああ、因みに彼女が主役の「エージェント・カーター」は見てません。ファーストシーズンのDVDだけは確保したので、いずれ見てみようとは思ってますが、スピンオフドラマ系の扱いは今後どうなっていくんでしょうか。ドラマの方もマーベルスタジオが主導になって、そこで作られたものはきちんと世界観に組み込まれていくんでしょうけど、それ以前の奴の扱いがちょっと気になりますね。デアデビルとアイアンフィスト辺りは映画でも今後使いたいキャラだろうし、不評で1シーズン打ち切りになったインヒューマンズはマーベル世界においても相当に重要な役割を担う訳ですし、上手く処理していってほしい所です。

 

話をキャップに戻しますが、今でこそアイアンマンとキャップで人気を二分するマーベルを代表するキャラクター、MCUやアベンジャーズでもこの二人がメインの主人公格的な扱いになったわけですが、昔からアメコミを追っていて、MCUも最初から見てた身としては、これが公開された時でも、正直言って世間のキャプテン・アメリカへの評価って映画にしてもキャラクターの事にしても散々な言われようでした。そこは忘れちゃいけません。

 

何も「俺の方がファン歴長いんだぜ」的なマウントとりたいわけじゃなく、私もこの時とかは、別にそんなキャップに思い入れも肩入れもしてませんでした。映画の1作目で一気に跳ねた「アイアンマン」と違って、徐々に受け入れられるようになっていって、結果ここまで大ブレイクするに至ったMCU10年の流れの中のキャプテン・アメリカの受け入れられ方もまたMCUの歴史を語る上でとても面白い部分だなと思っています。

 

本国のアメリカ人がキャプテン・アメリカというキャラクターを最初に見てどう感じるのかは想像しにくいですが、日本人から見たキャプテン・アメリカって星条旗をあしらったコスチュームに、名前からしてもうキャプテン・アメリカですよ。何この気持ち悪い愛国心ヒーローって、ほとんどの人が思うんじゃないでしょうか。こんなの右翼アメリカ人しか喜ばないし、日本じゃ絶対受け入れられないだろうって最初思いませんでした?うん、私は思ってたよ。

 

映画の中にも上手く組み込まれていますが、実際に愛国プロパガンダ的なキャラクターとして誕生しています。コミック初出の「キャプテン・アメリカ・コミックス#1」(1941)の表紙の時点でヒトラーにパンチをかますキャップの姿が描かれていたりします。(日本語邦訳版だと「フォールン・サン:デス・オブ・キャプテンアメリカ」という本に収録されていますが、通販限定での発売だったので今からの入手はやや困難かも?)アメリカが第二次大戦に本格参戦するより少し前の時期の時点でそういうのが描かれていたり、マーベル・コミックスに社名を変更する前のタイムリー・コミックス時代のものだったり、実はスタン・リー創作のキャラでは無かったり、古いキャラクターですので色々と面白い歴史があります。

 

そんな誕生からまもなく戦争に突入し、映画で描かれたように前線で戦う兵士の銃弾や包帯になるから国債を買おう!みたいな所でプロパガンダヒーローとして利用されていくわけです。愛国ヒーローとして悪のドイツ軍や日本軍と戦う姿が描かれていた、なんて聞くと、やっぱり日本人にはちょっと複雑な感情を抱いてしまうキャラクターですよね。

 

そんな背景がありつつ、戦後なると人気も落ち、たまに復活させてみたりはするものの、そこでは思うような人気にはならず、フェードアウトしていきます。そんな中で後に「ファンタスティックフォー」や「スパイダーマン」でヒーローコミックが人気を博すような時代になると、「アベンジャーズ」の4号目で今度はスタン・リーがキャプテン・アメリカを復活させます。(こちらも「アベンジャーズ:ハルクウェーブ」という本に収録されてるので日本語で読めるのですが、多分絶版)そこから現代におけるキャプテン・アメリカのストーリーが続いていく事になります。原作だとそんな感じのおおまかな流れがある。

 

映画の方はその辺りを色々とアレンジしながら使っているのですが、例えば敵をストレートにドイツ軍とかにせず、本来ならその末端組織であるレッドスカル率いるヒドラ党が、ナチスの意図さえ越えたベルリン襲撃まで目論む悪の組織として描いてあります。これはアメリカVSドイツではなくあくまでヒーローと悪の組織の戦いですよというのを強調しているわけです。他にもヒロインのペギー・カーターが、ああいった組織の上層部に女性が実際の戦時中に居たのか?と考えれば現実問題としてのリアリティには欠けるだろうし、似たような部分ではキャップと共に戦うハウリングコマンドーズ(という名前こそ映画内では出ませんけども)も白人だけでなく、黒人やアジア人混在のチームになっているなど当時の情勢ではありえない描写を、凄く今の世の中に合わせた形でとても現代的なアレンジで映画にしてあります。

 

たかがスーパーヒーロー映画に現実の問題とか重ねたらダメでしょ?元々が荒唐無稽なヒーロー物なんだし、って思う人も中には居るかもしれませんが原作のコミックが実際の戦争にも多少なりとも関与してきた歴史があるのがキャプテン・アメリカというキャラクターでもあり、他のキャラクターにはない特徴の一つでもあります。(アイアンマンはベトナム戦争が背景にあったりしますが)

 

そういう面から考えると「もし」を言ってもそこに意味があるかはわかりませんが、もしかしたらもっとリアリティを重視して現実問題や政治性の強い物としても作る事が出来たかもしれない作品ではあります。

 

ただ、そこを完全には無かったものにはせず、現代的なアレンジであくまでヒーロー映画に収まる範疇で描いた、というのがこの作品なのでしょう。初期の案では現代を舞台にして過去は回想シーンとかに留めるみたいな案もあったらしいですが、実際はそうせずに現代的なセンスは入れつつもちゃんと過去の話で1本作る、というのは十分に頑張った結果だし、全て現代風にアレンジしてしまうのではなく、原作のそのキャラクターの持っていた魅力を大事に生かした上で魅力のあるものにアレンジする、というMCUのその後の成功の要因にも繋がって行く部分ですよね。

 

それでもマーベルおなじみになったエンドクレジット後の映像が、ストレートに次回のアベンジャーズ予告編になっている辺りからもわかりますが(ここからwill return「キャプテンアメリカは帰ってくる」が入る。この一言がやっぱ燃えますね)これまでの作品以上に、アベンジャーズという一大プロジェクトへ繋げる為に置きに来た作品という印象は結構強い。変に尖った作品にする前に、まずは無難に次への繋ぎを全うしようと思うのは、まあ仕方のない部分ではある。

 

逆に次のアベンジャーズの中でキャップ復活と言う形にせず、この作品の中でラストに現代に復活したスティーブ・ロジャーズを先に見せておくという形が、一本の映画として独特の印象にも繋がっているとも思います。現代部分無しで、テロップだけで次もあるよと言うだけだったら、また少し違う印象になっていたのかなと。

 

そういう意味では、アイアンマンともソーともまた違う意味でこれもアベンジャーズ或いはMCUの始まりを感じさせてくれる、まさしくフェイズ1、ファーストアベンジャーという感じの作品だったのだなと、見返して改めて感じました。

 

よく、2作目の「ウインターソルジャー」からマーベル映画は1ランク上に質が変わったって言われるんですけど、そこは私も同意する所です。アベンジャーズの方から入って、後追いでこの作品を観たりした人が、キャプテンアメリカってダサくね?っていう印象を覆す程のものがあるかと思えば、流石にそこまでには至っていないかなとも思うのですが、それでもただの右翼ヒーローかと思ってたのとは少し違ったっていう印象を持たせるくらいにはなってるのかなぁとは思います。

 

私がキャップ好きになったのって、確かこの時期くらいに映画に合わせて出た日本語版原作の「ニューディール」と原作の方の「ウインターソルジャー」が切っ掛けです。

アメリカと言う国に仕えるのではなく、アメリカが掲げる理想への信奉者であって、もし国が間違った方向に進むようになるのであれば、その間違ったアメリカとも戦う。それがキャプテンアメリカという存在であるのだと、そういう所が描かれてる2作で、ただのアメリカ万歳ではなく、アメリカの闇とも向き合うメチャメチャ面白い作品でした。いずれ読み返してブログにも記録を残しておきたい所です。

 

こういったご時世で映画館に行けない状況になってしまいましたので(山形県は今の所まだ休館までしてないのですが、夜の上映が無くなってしまい仕事帰りに映画ってのが出来ない状況です)ようやく月一ペースになっちゃってたMCU感想のペース上げられそうです。


次はいよいよフェイズ1の締め、アベンジャーズ第1作目になります。3回ぐらいは見てるはずですが、なんかドキドキワクワクします。


映画『キャプテン・アメリカ:ザ・ファースト・アベンジャー』予告編

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