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リスアニ! 2020 MAR. Vol.40.2 「ガンダムシリーズ」音楽大全 -Other Century-

リスアニ! Vol.40.2(M-ON! ANNEX 645号)「ガンダムシリーズ」音楽大全 -Other Centuries-

エムオン・エンタテインメント刊 2020年
☆☆☆☆

宇宙世紀編に続いてアザーセンチュリー?編。まあ宇宙世紀以外の奴です。
90年代のG/W/X、ゼロ年代の種とOO、10年代のAGEやオルフェンズ等、物凄く幅と作品数が多い。つーかこれ∀とGレコは宇宙世紀に入れた方が良かったのでは?富野だし、別の年号表記とは言え、一応宇宙世紀の未来って設定ですしね。

 

とにかく前冊と同じく、流石に楽曲に関わった人全員ではないにせよ、相当な人数のインタビューをまとめてあって、今まで読んだ事の無い人も多く居ますし、しばらく似たようなコンセプトの本を作る必要が無い程の決定版。ガンダムは特定のシリーズを少し見たくらい、の初心者ではなく全部とまでは言わないまでも大体の奴はガンダム見てるよって人なら、絶対に買って損は無い本かと思います。

 

私はしょこたんがMCやってるNHK-FM土曜2時からの「アニソンアカデミー」というラジオを毎週楽しみにしてるのですが(と言っても仕事中に聴いてるので、最初から最後まできっちりは聴けないのがもどかしいのだけど。去年の仙台公録に参加できて凄く楽しかったなぁ)水木のアニキとか堀江美都子さんとか大御所が出ると、大体の人がアニソンを取り巻く環境とか今と昔では全然変わっちゃったからね、ってよく言うんですよね。

 

宇宙世紀編の方で、ファーストの劇盤とかZの主題歌で、富野がそれ以前まではアニメの音楽なんて業界からはバカにされてきたものを変えようとしてきた、みたいな話は新鮮だな的な事を書きましたけど、その後の流れの、アニメファンには悪評高くネタにされがちな90年代の「アニメの内容とは何も関係ないようなタイアップ」の時代から、ようやく作品に沿った曲を作るようになるゼロ年代、そしてCDが売れなくなりつつもアニソンだけはそれなりに売れ続けて(他のランキングはジャニーズとグループアイドルとエグザイルだけっていうね)音楽業界もアニソンを無視出来なくなってくる10年代とか、それぞれの時代でガンダムの音楽は何をしてきたのか?みたいな所が読み取れる構成になってるのがメチャメチャ面白いです。

 

正直に言えば、CDが売れないから色々なアーティストがアニメに近づいてきてこれまで散々バカにしてきた所謂オタク層からお金をいただこう、みたいな流れだと私は思ってました。うん、それまあオタクの被害妄想に近いけど。

 

でも、この本を読むと、割とアニメ業界の方からのアプローチの仕方も変わって行ってたんだなぁというのを知る事が出来ました。ただアーティストに丸投げするわけじゃなくて資料や脚本まで渡して、この世界観に合う形で作ってほしい、みたいなのをちゃんとやるようになって、一つの作品を一緒に作る、的な形になっていったと。

 

90年代でも本当はそういう形でやりたかったアーティストも居るんじゃないかな、なんて言ってる部分もあって、なるほどそういうものだったのかも?なんて思わせられる所はありました。

 

その辺、ガンダムは90年代の時点でもそれなりのブランド力はありましたし、G/W/Xもきちんとガンダムの世界観に寄り添う形で楽曲が作られているのでそこは恵まれてる方だと思います。私はその中だと「ガンダムX」が凄く好き。

 

でもね、ガンダムXの監督の高松真司(他は「銀魂」と「マイトガイン」が代表作)私も詳しい事は知らないのですが、少し前に高松が監督してた何かの深夜アニメで主題歌が決まってたそのアーティストが、つまんないアニメの主題歌やる事になったけどどうせなら銀魂の方が良かった的な発言をしちゃって、高松がそれにブチ切れて、放送直前に主題歌の話を白紙に戻したとかいう事件があったじゃないですか。

 

元からアニソンシンガーを目指してた系のアーティストならともかく、普通のバンドとかとのタイアップだと、まだまだそんなものなのかもね、とは思ったりします。

 

ガンダム」とか、或いは他の有名なアニメならともかく、有象無象の深夜枠1クールアニメとか、そこまで作品に合わせて一緒に作るなんてやりたがらないでしょ?みたいなのはまだまだあるのかも。となるとアニソン系シンガーとか、声優アーティスト、或いは出演声優にそのまま主題歌も歌わせちゃうとか、やっぱそっちに流れちゃうよね、とも思わなくは無いです。

 

そんな感じの事を考えると、何だかんだ言って「SEED」って挑戦も上手くハマったし、西川が本気で協力してくれたのも良かったし、更にはその裏でというかEDで梶浦由紀を使うセンスも凄いなと認めざるを得ない。種はそんなに好きなわけじゃないのですが、確かに21世紀のファーストガンダムと呼ばれるのは決して過言ではないそれだけのものはあったのかもしれないな、と改めて知らされました。

 

因みにOOのED石川智晶「Prototype」を作る時に水島監督が筋肉少女帯の「モーレツア太郎」を参考に渡したという下りがこの本のハイライトです。ああ、こんな感じの曲が欲しいんですね・・・ってなるか!


prototype pv


筋肉少女帯 - モーレツア太郎

 

主題歌を歌った人全員分のコメントが欲しい!という欲はありますが、それでもこれだけの人を集めたのは凄いし2冊合わせてメチャメチャ満足度の高い良い本でした。

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