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映画 フレッシュプリキュア! おもちゃの国は秘密がいっぱい!?

映画フレッシュプリキュア!おもちゃの国は秘密がいっぱい!?(初回限定版) [DVD]

監督:志水淳児 脚本:前川淳
日本映画 2009年
☆☆☆★

 

プリキュア映画7作目。TVシリーズ6作目「フレッシュプリキュア!」の秋映画。
フレのTV本編はシリーズで唯一、途中からシリーズディレクター(監督)が志水淳児→座古明史と途中で変わってるのですが、何かしらのトラブルでの変更とかではなく、志水さんが前半の立ち上げが終わったくらいで、この先映画版もあるけどどうする?となった時に映画の方に移ったという事のようです。MH2作とSSの映画版の監督もやってるので映画媒体に思い入れのある人なのかも。

 

監督によって作風は多少なりとも変わってくるものですので、基本的にプリキュア映画はTVの番外編的な感じになりやすいのですが、そんな経緯もあってこのフレッシュに関しては番外編でもありつつ、違和感も少なくTVと凄く地続きな印象。

 

お話的には思いっきりプリキュア版「トイストーリー」で共通する部分も多いです。突出した物があるわけじゃないのですが、アクションとか話のテンポが良いので、リピートで割と定期的に何度も見てる作品です。

 

例によってこっからは長々と前置き。
TVシリーズ「フレッシュプリキュア」は初代からの鷲尾プロデュサーが前作までで身を引いて、新しくフレッシュから4作ほど梅澤プロデュサーの体制になるので、公式の区分けではないのですが、ファンの間ではフレからがプリキュアシリーズの2期目と区別される事も多い。

 

「オールスターズDX」の記事にも書きましたが、シリーズを継続していく上で新しい血を取り入れてアップデートさせていき、風通りを良くして停滞を防ぐ、という長期コンテンツへと成長させる為の仕掛けを意図してやったわけですが、そこが上手くいって実際に現状17年目まで続いているのがプリキュアの凄さです。

 

勿論、その真似をすれば同じように長く作れるコンテンツになるのかと言えばそんなに簡単には行かないでしょうけれども。立ち上げた鷲尾さん自身がプリキュアの原作者的な立場になる事をせずに、むしろオールスターズという引き継ぎの場所まで作って、その後は思い切って身を引くという判断。意外とこれをやるのは難しい。我欲が強いとついつい自分の手柄にしたくなっちゃったりするものですし、作る方の立場としても、中核になる人が居た方がブレなくていい、というのもあったりしますしね。

 

そしてそこを引き継いだ梅澤プロデュサー。映画のミラクルライトの生みの親のみならず、今やこれもプリキュアの代名詞になったCGダンスEDも梅澤さんの功績。ダンスED自体はSSのガンバランスからですし、何なら初代から部分的にダンスっぽい部分はあったものの、周囲の反対を押し切ってCGにこだわり、将来的にはそれが単体でも売りになると言いきって、実際にそうなるまでに育て上げます。

 

しかも面白いのは鷲尾Pと同じく梅澤Pも退いた後に、ミラクルライトやCGダンスがプリキュアの代名詞になってる事は嬉しい半面、それももう過去のものになるような新しいアイデアが出てほしい、とコメントするセンスが流石です。自分が残したものをただいつまでも続けるだけより、それを上回るものがあってしかるべきだと。そこも凄い。

 

まあそれは終ってからの話ですので、じゃあ最初に何をやったのか。ただ前任者の仕事を漠然と見よう見まねで引き継ぐだけに終始せず、徹底的なマーケティングとか(フレでダンスをフューチャーしてるのは子供たちの好きな物を調査してそこにダンスがあったからとか)1年間のドラマ作りと商品展開の組み立て方とかを見直して作り込む。1クール最後に武器アイテムを出して2クール目で追加戦士、3クール目で箱物大型アイテムとかその後のプリキュアのスタンダードな流れを作ったのもフレッシュからです。引き継ぎはしつつも、一から自分で考え直す事をしているからこそまさしく新鮮でフレッシュな新しいものが生まれたわけです。

 

その辺りの、引き継いでいる部分と新しい部分っていうのがまた面白くって、前任の鷲尾Pも新しい物を作ってほしいからと退いたわけで、あまり明確に「プリキュアはこうなんだよ」的な説明はしていない様子。そこが顕著に表れているのがプリキュアのデザインです。

 

プリキュアが履いている靴、ブーツとかヒールの事は「プリキュア5 鏡の国のミラクル大冒険」でも書きました。次の「ハートキャッチ」ではハイヒールどころか刺さるくらいのピンヒールになってたりするのと比べるとまだ大人しいレベルですが、このフレッシュからプリキュアの靴のデザインがハイヒールっぽくなります。(変身時の着地の音がパインだけ違うのは割と有名)

 

あとは「プリキュアヒストリア」でもやってましたが、初代~5までのプリキュアは拳の所までアームカバーがついてます。そこにはパンチする時に素手の拳だと生々しい&痛そうなので手甲風のデザインにした、というプリキュアならではの工夫と意図がありました。これ、フレッシュのキャラデザの香川さんは、後から知って焦ったそうな。自由にデザインしていいよ、と言われてそういう過去のプリキュアの注意点みたいなものへの指示は無かったそう。フレッシュはリストバンド風で、拳の所は覆ってないデザインになってるんですよね。フレ以前はデザインに意図があった、プリキュアらしいヒールやアームカバーはのデザインは継承していません。

 

では手足と来たら体の方はどうでしょうか。フレッシュはアンナミラーズの制服とかああいうものをデザインのベースにしてある分、フレッシュはおっぱいが割と目立ちます。勿論、子供向け作品ですので、殊更セクシャルな要素を強調するようなものではありませんがデザイン的に胸の部分が別パーツ化?されています。

 

それって逆に言えば、何故それ以前のプリキュアではそれが気にならなかったのか。その秘密が胸についてる大きいリボンです。可愛さを出すための記号であると同時に胸周りを隠すための機能的意味合いを込めたデザインになっているんですよね。その辺りの意図をを知った時に、そうだったのか!確かにほとんどのプリキュアは胸に大きなリボンがついてるデザインになってて、胸周りの違和感とかは一見してわからなくなってる!と私は改めて子供向け作品ならではの作り方をしているプリキュアの凄さや面白さを感じました。

 

長いですが、プリキュアとおっぱいの話をもう少し掘り下げます。胸のあるフレッシュよりも、むしろ、胸のふくらみが全く無いデザインになっている、シリーズ10作目「ドキドキプリキュア」の方がむしろちょっと違和感があるデザインだと個人的には感じました。(ドキも胸の大きいリボンがついてないデザインなので)

 

プリキュアは子供向け作品なので、性的な目線を排除する為にも極端な女性の胸の強調みたいなのは避けている、という部分もゼロではないのですが、設定上は中学生の女の子なので、おっぱいを完全な真っ平らにしてしまうのも、それはそれで逆にちょっと不自然であったりします。(強調しない程度に多少の自然な影はどの作品でも入りますが)

 

でも、それ以上にプリキュアの胸が平らなのには意味があって、メイン視聴者の子供達にとっては、胸がある=大人であって自分達とはまた違う存在である、という認識になるのだそうな。でもプリキュア以外の存在、お母さんとか先生、いわゆる脇役の場合は普通に胸のふくらみの描写はあったりしますよね。敵の女幹部とかも。ただそこは視聴者の子供が感情移入する存在ではないのでそれが許される、という事のようです。

 

これがプリキュアの立場だと、見ている小さい子供達にとっては、自分もプリキュアになりたい、自分もプリキュアになれるんだと思い願う存在であるので、自分とは違う「胸がある=大人」と認識させない為にもプリキュアは胸が平らなのです。この辺の話、面白くないですか?

 

フェミニストがよくアニメの女性キャラはありえないようなおっぱいの形とかで、それは性的搾取だって定期的に話題になる印象ありますけど、もしそれが男の夢や欲望なのだとしたら(そこはまた別の話になるのでここで掘り下げはしませんが)プリキュアの胸には子供達の夢や希望が詰まっている、とか考えると対照的で面白い部分では無いかなと思ったりしてます。

まあフレッシュの場合は、その方が自然だと普通に胸があるキャラデザインになってるわけですが、シリーズとして見た場合、この作品のみの特徴で終わってたりします。

 

新鮮で新しい風を巻き起こすべくとここで作ったものがスタンダードになって以降の定番になって行くものもあれば、そんな感じでこの作品単発で終った描写もあり、そういう意味でも試行錯誤の転換期の作品としての特異さがあってまさしくフレッシュで面白い作品です。

 

過去にも何度か書いてますが、そんな感じの理由でプリキュア初心者はこの「フレッシュ」か、次の転換期でありそこまでの集大成でもある「プリンセスプリキュア」が入り口としてふさわしいのではないかと思っております。

 

前置き終わり。こっから映画の話。
プリキュア版「トイストーリー」と最初に書きましたが、時系列的には3よりはこちらの方が先なので、捨てられたおもちゃの行く先と捨てられた側の復讐みたいなテーマはこの作品の方が先かも(トイストーリー映画は全部見ましたが、特に思い入れも無くあんまり憶えて無いので間違ってたらスミマセン)

 

「ASDX1」と同じく、ラブのメンタルの弱さが出てたりするのですが(まあそりゃ曇るわな、って話ですが)個人的にはそこを叱咤するミキタンがカッコ良くて好き。「アタシ完璧」と高飛車っぽいですが、要は自分に厳しくストイックなんですよね。それが美貌に対するストイックさだけなら何とも思わないのですが、「しっかりしてよ、今のあなたはキュアピーチでしょ。子供達に約束したんじゃないの」的に、プリキュアとしてもストイックな所が垣間見える辺りが素敵です。

 

それを「大丈夫よ」ってホンワカ言えるブッキーも良いし、「何度だってやりなおせるそう教えてくれたのはラブよ」っていうせっちゃんも愛おしい。(ついでにパジャマパーティでキョトンとしてるせつなも可愛い)

どうしてもラブとせつな(イース)の関係が大きく取り上げられがちですが、フレッシュはチームとしてのバランスが凄く良い。

 

チームと言えば、後年BDの座談会とかで明かされた中の人の会話で、ピーチを演じた沖さんがベリー役のキタエリが当時ちょっと怖かったっていうのもね、個人的には好きな話。それ以前のプリキュアでモブ役やってた沖さんが初主演でガチガチになってたのもわかるし、mktnと同じく意識高いキタエリがちょっとピリピリしてて、しっかりしてよ!って感じだったんだろうなと。で、今になってそれを言われて、オッキーゴメンよ~あの時は若かったって素直に言えるキタエリさんも素敵です。

 

中の人ネタなら、特撮ファンの沖さんがヒーローを意識して特に「五星戦隊ダイレンジャー」リスペクトな感じで演じてたってのを後年になって知って、イースとの戦いはおそらくオッキーの中ではダイレンジャーにおけるリュウレンジャーVS陣(ライバルキャラ)が頭の中にあったんだろうな、とか思うとちょっと面白いです。合体技のラッキークローバーもゴレンジャーストームがベースだったりしますので、ニチアサらしさ、という部分でも面白い気がします。プリキュアは色々な角度から見れる作品ですけど、ヒーロー物として好きっていうの私の中で結構大きいですし。

 

そんな所で、次はオールスターズDX2です。
みんなで幸せゲットだよ!

 


映画フレッシュプリキュア CM (2009)

 


Fresh Pretty Cure! Movie OP subbed

 

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