僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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アベンジャーズ:ハルク・ウェーブ!

アベンジャーズ:ハルク・ウェーブ! (MARVEL)

THE AVENGERS:HULK WAVE!
著:カート・ビュシーク、スタン・リー、クリス・クレアモント(ライター)
アラン・デイビスジャック・カービー、マイケル・ゴールデン(アーティスト)
刊:MARVEL ヴィレッジブックス
アメコミ 2012
収録:AVENGERS Vol.3#38-40(2001)
 AVENGERS Vol.1#1(1963)#4(1964)
 AVENGERS ANNUAL#10(1981)
☆☆☆☆★

 

町を呑み込む緑の波!
そして、雲を割って振り下ろされた
巨大な拳が大地をえぐる…!
ハルクの津波を前に、
アベンジャーズは如何に戦うのか!?

マーベルユニバースにその名も高き
世界最強のスーパーヒーローチーム、アベンジャーズ!
その誕生から、キャプテン・アメリカの復活、ハルク軍団との戦いまで、
歴史に残る戦いを選り抜いた
日本オリジナル編集の傑作選、ここに登場!

 

とゆー事で、MCU「アベンジャーズ」1作目に合わせて出た、底本無し日本のみの特別編集の1冊。確か当時は「ハルクのパンツがついに破れる!」とかいうアホなポップが宣伝で使われてたような記憶があります。
まあそこよりも、スタン・リー&ジャック・カービーアベンジャーズ1号とキャップが復活する4号が収録されてるのが貴重な一冊になっております。

 

映画再見に合わせて当時ぶりに読み返しましたが、抜群に面白い。ただ、古い作品ですので、初心者向けではありませんのでご注意を。映画で興味を持ってじゃあアメコミ原作触れてみよう、的になったらまず今風の作品を読んだ上で、慣れてからこの手の古い作品に入らないと正直キツイかなぁと。この古臭さも味、と思えるようになってから読めば死ぬほど面白いのですが。

 

まずは収録されてる順に。

アベンジャーズ Vol.3 #38-40(2001)
カート・ビュシーク(作)アラン・デイビス(画)

 

表題作のハルクウェーブ編。謎のヴィランの策略で一つの町全員がハルク化。一人でもやっかいなハルクが何千人も現れ、アベンジャーズはどう立ち向かうのか。

 

この辺の時代は完全にX-MENの一人勝ち状態でアベンジャーズタイトルは人気の無かった時代。「マーベルズ」「アストロシティ」のカート・ビュシークがライターやってたんですね。Xタイトルもチームが多数あってキャラがやたら多かった時期ですが、アベンジャーズもとにかく人数多い。映画「キャプテン・マーベル」見て、モニカ・ランボーとか初めて知るキャラだな、とか思ってましたが、ちゃんとこれに出てました。

 

事件解決に現場へかけつけるメンバーの他にも宇宙に居たり、アベンジャーズマンションでまた別の話が展開したりと、とにかくゴチャゴチャしてます。

 

町中の人がハルク化している中で、分子が不安定だか何だかで、ハルク同士くっつければ融合。段々と巨大化していくものの、数が増えるよりはその方が対処しやすいとくっつけまくるのですが、え~!それ元は町の普通の人たちだけどいいのか?と、強引というかおおらかな展開が逆に楽しい。

 

このゴチャゴチャした流れのまま「ディスアッセンブルド」で終わって「ニューアベンジャーズ」からアベンジャーズがユニバースの中心になってくんだな、みたいな流れを踏まえて見ると、この時代はこの時代で貴重な邦訳。

 


アベンジャーズ Vol.1 #1(1963)
スタン・リー(作)ジャック・カービー(画)

 

記念すべきアベンジャーズ第1号にして第1話。マーベル映画でのカメオ出演とか、ほとんどのキャラの生みの親としてまさにマーベルの顔として有名ですけど、こうして彼のやってきた仕事の極一部だけでも読めるのが嬉しい。

 

マーベルメソッドとして有名ですが、割とざっくりした脚本だけアーティストに伝えて、絵が上がった後にスタン・リーがセリフとか細かいとこを詰めていく、というスタイルなので、全てがスタンの功績じゃないよ、とそれこそカービーと揉めたりなんて話もあるものの、やっぱりスタン・リー節的な物にあふれてて、そこが凄く面白い。

 

ドヤ顔で、この展開面白いでしょ驚いたでしょ、みたいな物が連続して展開する辺りが、ものすご~~~くスタン・リーっぽい。意外と絵を信じて無くて、説明セリフで面白味を出そうと必死なのは、スタン・リーと言うより当時のアメコミらしさかな?いや、スタンの影響がそれだけ大きく広がっていった、という面もあるのかもしれない。

 

ロキの陰謀でハルクが暴れてる、という所からヒーロー終結になるものの、ファンタスティク・フォーが忙しいからパス。他のヒーローが何とかしてくれるんじゃね?どうしてもの時は行くけど、という凄まじく雑な展開が面白い。いや、ヒーロー集結してる中でFFは何故こなかったの?っていうエクスキューズなんでしょうけど、ザ・雑。

 

ワスプの扱いも、今読むとフェミニズムうんぬんで叩かれそうな扱いですが、そっち方面でもまたそういう雑な時代なんだよ、と許せるしそこもまた逆に面白い。

 


アベンジャーズ Vol.1 #4(1963)
スタン・リー(作)ジャック・カービー(画)

 

続いてこちらがキャップ復活の4号。2号3号が収録されて無いのが残念ですが、2号でいきなりハルクがチーム離脱。そんなハルクを利用してサブマリナーがアベンジャーズと激突。という流れの4話目のようです。

 

当時はまだインベーダーズ(だっけ?)の設定が無いのでキャップとネイモアは互いに名前を知ってる程度で面識が無いっぽい感じなのがちょっと違和感ありつつも、新しい読者向けにキャップ上げをしながら他のアベンジャーズの面子も同格なんだよ、という描き方が凄く面白い。

 

流石に映画がこういう作風に影響を受けている、とまでは思わないけど、時代を隔てても共通する部分って意味ではメチャメチャ面白く読めました。変な宇宙人とかも含めて、こっちの話もやっぱり物凄くスタン・リーっぽい。

 


アベンジャーズ・アニュアル#10(1981)
クリス・クレアモント(作)マイケル・ゴールデン(画)

 

こちらは特別編増刊号のアニュアル。X-MENを人気タイトルに育てたクレアモントだけに、今はキャプテン・マーベルとして知られるキャロル・ダンバーズ(当時はミズマーベル)がアベンジャーズからX-MEN側へ移る話。

 

クレアモントは過去にミズマーベルのシリーズを担当してた事もあり、アベンジャーズ誌ではストーリーライン上雑に扱われてた彼女を自分の担当するX-MENに持ってきた、という事らしい。ライターによってお気に入りのキャラが違ってて、ライターが変わればその辺のキャラの扱いも変わってくるというのは割とアメコミらしい部分でもある。

 

悲劇のドラマとして締めてある辺りはクレアモントらしい作風かも。マーベル史におけるX-MENのローグの初登場号としても有名なこのエピソード。後のローグとは似ても似つかぬビジュアルですけど(メッシュはもう入ってますが)ここでキャロルの記憶と能力をコピーして、後はずっとミズマーベルの力をローグが使ってる事になるわけですが、この二人の関係も凄く複雑。

 

ローグは旧X-MEN映画にも出てましたし、人気キャラですけどこの辺りはMCUではどういう処理をしてくるのか気になる所。スーパーパワー無くても一時的なコピー能力だけで十分に話は動かせるし、面白い描写は出来そうなんで、特に関係は持たせない気はしますけどもどうなるでしょうか。つーかMCUにX-MEN参戦もまだまだ先の話か。

 

カマラちゃん参戦は決まってるようなので、まずはドラマもあったインヒューマンズをどうするかも気になる所。キャプテンマーベル2にカマラちゃん出てきて、私もあんなヒーローになりたい、くらいの描写は入りそう。

 

それはともかく、最後の話はスパイダーウーマンがキャロルを助けるって所から始まりますし、色々なキャラも見れるし、60年代80年代00年代とアベンジャーズ1号のみならず各時代の話が読めて、とてもお得な一冊。
あとは「ルークケイジ」が日本独自編集の本だったっけかな?底本無しでこういうのは珍しいですが、そもそもの濃いマニアが編集してるのが日本のアメコミですので、こういうのは大歓迎。

 

最初にも書きましたが、絵柄が古臭くて初心者にはちょっとキツイかとは思いますが、マニアにとってはメチャメチャ楽しめる一冊です。

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