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映画 プリキュアオールスターズDX2 希望の光☆レインボージュエルを守れ!

映画プリキュアオールスターズDX2 希望の光☆レインボージュエルを守れ!【特装版】 [DVD]

監督:大塚隆史 脚本:村山功
日本映画 2010
☆☆☆★

 

プリキュア映画8作目。春のオールスターズ映画としては2作目。TVシリーズ7作目「ハートキャッチプリキュア」の新人研修映画です。17人のプリキュア全員集合。

 

オールスターズ1作目「DX」は企画の上では一度だけのスペシャルな特別編。・・・のはずでしたが、これが単発の秋映画以上の大ヒット。ヒットした以上は、そりゃあ続編の話が出るのは必然でしょうけど、1作目の時点ではあくまでお祭り企画として次の予定はしていなかったので、2作目はかなり短いスケジュールになったような事がスタッフインタビューで語られています。

 

2を作っている時点では、ならば上手くまたヒットしてくれれば、おそらく3もあってキリ良く3部作みたいな形で行ければ、というイメージはあったそうですが、プリキュア映画の場合、単独の秋映画よりも春のオールスター物の方が興行成績が良かったりするので、これ以降も毎年の春の定番となっていきます。

 

一つの挑戦が身を結び、結果的にそれが定番のものとして、あって当たり前になる程まで定着するに至る。こういった所も非常にプリキュアらしい部分です。

 

何度でも書きますけど、初代プリキュアは女児アニメとしては異質なものとしてスタートして、今やプリキュアこそが女児アニメのスタンダードになってしまうというこの流れ。女児向けアニメとして単独で映画をやる事が挑戦だったものが、今や年に2回も映画を見れるまでになるプリキュア映画の挑戦。それは決して当たり前で普通の事なんかじゃないのです。

 

今年の春映画「プリキュアラクルリープ」、一度は5月に変更とアナウンスされましたが、TV放送の中断と共に再度公開日未定になりました。当たり前じゃない日常がホントにもどかしい。いかに今が、非日常になってしまったかが本当に身につまされます。いつかまた当たり前の日常に戻れるって、わたし信じてる。

 

春映画と秋映画を比べると、好みの差は当然あるものの単純に出来の良さでは秋の方が話やテーマも練られていて面白かったりするのですが、やはり1シリーズだけでなくそれ以前の作品も参加してるのは大きい。例え現行のシリーズを見ていなくても、前のプリキュアの活躍が見たいからと、世代の幅を多く取れるのはやっぱり強みです。

それはドル箱になるべくしてなったのだろうと結果を見てから言うのは簡単ですが、そこもまた工夫や試行錯誤の積み重ねがあってこそですし、そんな所もまた見所でもあり面白い部分です。

 

まず一つ目。前作「DX1」の時点でも、プリキュア新人研修のいわゆる「引き継ぎ」要素はありました。ただ、前作の時点ではあくまで一度きりの全員集合。作品の公開時期の都合上、フレッシュプリキュアプリキュアになったばかりの新人の時期でしたので、前年までのプリキュアと比べた時に、まだまだ経験が浅いだけであくまでプリキュア全員集合のクロスオーバー作品として、同列の存在として全員が初対面。初代とSS、SSと5ではまだオールスター作品が無かった為に、その世代間でも特に引き継ぎというものはされてきませんでした。

 

そこ実は中の人、声優さんでも同じのようです。中にはお仕事上、他の作品の収録現場で個々にお会いするケースもあったかと思いますが、SSの二人が初代の二人に会ったのは、オールスターズの現場が初めてで、TVシリーズで初代からSSになっる時にはこれといった引き継ぎ的な物はなかったと言う事です。

 

ただ、前の作品で脇役をやっていた人が後の作品でプリキュア役をやる、例えばミルキィローズ仙台エリさんは初代でなぎさの友達の久保田志穂もやってましたし、キュアルージュ竹内順子さんはSSで咲らのクラスメイトの星野健太役です。キュアピーチ沖佳苗さんは5では新人として名前も無いようなモブ役を多数やってました。

 

他にもベローネ学園(初代の中学校)はプリキュア排出校だったとファンの間では言われるくらいに他の例も多数。今回から参加の「ハートキャッチプリキュア」来海えりか/キュアマリン役、水沢史絵さんも以前の「マックスハート」ではひかりと友達になる加賀山美羽役でセミレギュラーでした。

 

そういう所で、前に脇役で出ていたプリキュア作品のメインを今度は自分がやる、といったような個々の精神的な面での引き継ぎはあったにせよ、前作「DX1」で実際に別々の作品が出会うという場がまず作られ、その続編を作る事になった際に、明確に「継承」をテーマとして作られたのがこの「DX2」になります。1作目の作風から逆算して「出会い」→「継承」→「別れ」という形で3部作になりそうなテーマだったから、と後に大塚監督が語っています。

 

この「継承」が毎年新しく仕切り直しをやるプリキュアというコンテンツの流れと非常に相性が良く、オールスターズDX3部作以降も、前年のシリーズから、始まったばかりの新シリーズへの引き継ぎという明確な役割が与えられ、恒例事項として定着していく形になります。ただ漠然としたものでなく、役割が明確になっているのはやっぱり大きい。

 

ただ、世界観・ストーリー・キャラはTVシリーズ上は設定として繋がっていないので、あくまで映画だけのお祭り特別編という位置付けは今でも変わっていません。プリキュア初心者の方には、その辺りが最初わかりにくいかもしれませんが、そこはお祭り映画なのだと割り切りましょう。

 

プリキュア映画のDVDやBDは特装版の方だと特典として試写会か初日の舞台挨拶が収録されています。レンタル版は不明。一部収録されて無いものもあるのですが(前作のDX1は入って無い。残念)このDX2に収録されている声優舞台あいさつを見ても、その継承・引き継ぎが演じる声優さんにとっても凄く意識されている事が見てとれます。

 

先輩達が引き継いできたバトンを引き継いで、また次の世代にちゃんと渡せるようにしていきたい、そう語る緊張気味の水沢史絵。(確か後に恒例になるバトン渡しの写真をSNSに上げ始めたのも水沢さんからでしたっけ?調べて無いので間違ってたらごめんなさい)そして先輩ピンクプリキュア4人の温かい言葉。ドリーム役の三瓶さんはもう涙ながらに語ってます。

 

初代で雪城さなえ役の野沢雅子が言ったという「10年続けましょう」そして「AKBじゃないけど目指せプリキュア50」と語るブラック役の本名さん。どちらも達成した今の時代にこれを見ると、ますます感慨深いです。


1000円くらいしか変わらないので、プリキュア映画のソフトを買う時は絶対に特装版を買いましょう。この辺を見たくて私はソフトを買ってると言っても過言では無いくらい楽しみにしてる部分です。特に声優ファンとかやってるわけではないですが、毎回のこれのおかげでプリキュアの声優さんに対しては思い入れ120%になります。作品だけでなく、そういった背景まで含めてプリキュアはより面白く見れます。

 

とまあ割とまとまりのない雑文はここまでにして、こっから映画本編を語ります。

 

ファンの間では定番のネタになってますが、今回から参加の「ハートキャッチ」組。つぼみとえりかのキャラが本編とあきらかに違います。

 

キュアブロッサム/つぼみが天然ボケキャラで、キュアマリン/えりかが常識人でツッコミ役。TVシリーズを見るとわかりますが、本来はその役どころが真逆です。


プリキュア界の珍獣として今後のTVシリーズ数々の伝説を残し、オールスターズのシリーズとしても、しばらくはコメディリリーフとしてマリンだけ必ず特別な見せ場(ギャグシーン)が容易されるなど、全プリキュア中でもその特異なキャラで圧倒的なインパクトを残し、「NHKプリキュア大投票」でもレジェンドな初代の1・2位に続く3位に入る、キュアマリン/来海えりかのキャラがこの作品のみちょっと違うキャラ付けがされています。

 

これは単純にキャラ崩壊と批判してしまうのは憚られる複雑なプリキュアの制作背景事情があります。プリキュアの流れとしては2月の頭にTVスタート。3月中旬にオールスターズ公開。という形になります。

 

まず視聴者側。ただアニメを見てる分には、5話か6話くらいまで見た次にオールスターズを見る、という流れになっています。

 

次に声優側。3話くらいまで収録した後にオールスターズの収録。映画のアフレコは2日間でやってるようなのですが、前シリーズの最終回がTV放送される1月の最終日曜日にオールスター映画の収録をやるのが毎年の決まったスケジュールになっているようです。


朝に最終回の放送を見てからアフレコに望むのか、感極まって通常の演技が出来なくなってしまう為、あえて見ずに収録に望むのか、声優さんによってそこは分かれる所のようで、前述の舞台挨拶映像とか、ムック本などのインタビューでこの辺はほぼ毎年語られるプリキュアでは定番の話になってます。人数の多いチームでは、実はTVより先に映画の方が変身シーン先だったとか、5人の合わせセリフや合わせ必殺技を映画で初めてやった、というのもセットで。


つまりそこでTVと映画で順番通りに収録されてるわけではないという事がわかります。そりゃそうだろうという話ですが、アフレコは基本的に映画完成の終盤。制作上はその前に、絵を描いて、アニメを作り、さらにその前に話や脚本がある。TVと映画では、基本的に違うスタッフがほぼ同時進行で同じキャラクターを描かなければならないという、よくよく考えてみると、相当にトリッキーで難易度の高い制作状況ですよね。

 

じゃあ次は制作側。基本になるTVシリーズの1話2話が完成したのを見てから作り始める、ぐらいならまだしも、まだそれすら無い状態。インタビューなどによれば、大体6~7話くらいまでの脚本とコンテを読んで、その上で脚本を書かなければならないのだそうな。


(それが露骨にわかるのが「ドキドキ」の時でした。自己中はダメぇ~っ!ってTVで序盤に一度だけ使ったセリフを春映画ではまるで決めゼリフであるかのように的に使ってました)

 

まだアニメが出来あがっていない状態の脚本の段階で、キャラクター性がようやく見えてきたかどうかという所で、そのキャラを中心にした映画の話を作らなきゃならない。よくよく考えると、相当に難易度高いですよね。

 

なので春映画は毎回同じような新人研修話に終始していて、あまり物語性が無いのはそういった背景もあり、作品のテーマを重視したりキャラクターの個性が掴めた上で物語性も強い秋映画に比べると、映画の完成度的に多少なりとも劣ってしまうのは仕方のない部分なのかなと思います。(逆にそういった時期や背景を考えると秋映画は追加戦士の扱いが難しいのですが)

 

そういう所も踏まえて見れば、この映画におけるつぼみとえりかのキャラクターがTVとは違和感のあるものになっていたりする理由もわかりますし、逆に言えばわかった上で見るなら、常識人のえりかがとても面白く思えてきたりします。

 

マリンがこの後TVシリーズでいかにイロモノキャラとして肉付けされていったのかというのも面白い部分ですし、次の「DX3」では特にそのキャラ付けがハートキャッチらしい他の作品との差別化がなされていたのかが浮き彫りになりますよね。

 

これ以前のシリーズだと、基本的に全ての作品で「ピンクが天然キャラ」相棒の「白とか青が常識人でツッコミ役」でした。「初代」のなぎさとほのか、「SS」の咲と舞、「5」だとのぞみと青のかれんさんと言うより長馴染みのりんちゃんが相棒役でツッコミポジションでした。「フレッシュ」のラブとミキタンも大体そんな役割。

 

そこが「ハートキャッチ」だとピンクのつぼみが常識人で、青のえりかがボケ役というこれまでとは逆の立ち位置。そこを序盤の脚本だけでは読み切れずに、DX2ではこれまでと同じ感じで脚本を書いてしまったのではないかと思います。実際えりかも一番最初はちょっとシリアスな悩み抱えてたりしましたしね。

 

あとはハトの場合、TVの方でも「史上最弱のプリキュア」という感じから始まったので、圧倒的な強さを持つ先輩プリキュアに背中を押してもらう、というのが上手く「継承」というテーマに合ってたのも大きい。映画の構成として、ハトの二人が順番に先輩プリキュアの助けを借りて、ボスの所までたどり着く、という形になってるのでストレートに継承が絵としても描かれています。

 

他にも単純に過去シリーズも含めてファンをやっていると、DX2はいわゆる敵幹部の復活がメチャメチャ嬉しいし楽しい部分。

 

きっと大人のプリキュアファンなら10人中10人が頷いてくれる事でしょう。レギュラーの敵幹部も主人公のプリキュア達と同じように愛してますよね。基本的に商品展開こそされないものの、プリキュアと対峙する敵側のレギュラーキャラも作品としてメチャメチャ大きい魅力です。

 

ファンなら「どのプリキュアが好き?」と同じくらいに「どの敵幹部が好き?」も同じくらいの熱量で語ってしまえるくらいにプリキュアという作品の魅力の一部です。まあ流石にメイン視聴者の子供達もそう思ってるのかは若干微妙ですけど。

 

で、今回はTVシリーズの敵幹部が再生怪人的に登場。ちゃんと元と同じ人がCVも担当してくれてるのが最高です。
「MH」からウラガノス
「SS」からカレハーンにモエルンバにミズシタターレにキントレスキー。
「5」からアラクネアとハデーニャ
「5GoGo」からネバタコスとムカーディア
「フレ」からはノーザ

 

ドロドロン以外の五行幹部が4人も出てるSSはホントに敵キャラも個性的で面白いんですよね。(ドロドロンは中の人も含めカオスな役なので出すと収拾つかなくなるとの判断でしょう)鷲尾期以降は敵幹部も割と和解路線になっちゃうので、再生怪人的に扱うのは難しいでしょうけど、またいつかこういうのはやってほしいネタです。やっぱりプリキュアは敵キャラもまた魅力的なの多い作品ですので。

 

例えばスーパー戦隊みたいに「10イヤーズアフター」みたいなのもしプリキュアでやったとしたら、何なら別に戦わなくてもいいのでやっぱ敵幹部とかも出てきてわちゃわちゃしてほしいよね。

 

ホンの少しだけでもキントレスキーVSブラックとかピーチみたいな夢のカードが見れるDX2はこれはこれで貴重だしとても楽しい作品です。


初代「ふたりはプリキュア」があって「スプラッシュスター」からプリキュアシリーズという形になって(ガンダムで言えば「Z」があったからこそ世界観を広げられるようになったっていう見方と同じです)最初の特別な「オールスターズDX」があって「DX2」からプリキュアは「継承」していくものだという流れが生まれました。

 

一度目のお祭りから、あれ?これって楽しいだけじゃなくて、ちゃんと作品を作る意味や役割があるよね、というのに気付いたのが「DX2」という作品なのです。


プリキュアという歴史においても割と重要なこの作品、是非楽しんでいただければ。へぇ~こんな背景があったんだ?ってよりプリキュアをもっともっと好きになってもらえたらこれ幸いです。舞台挨拶を見るだけで泣ける作品なのです。

 

さて次はハト映画の前にまたミュージカルの方に行きます。
フレのミュージカルは最初だったので書く事いっぱいありましたが、ハトはどうでしょう?今までの奴は見る前からあれ書こうこれ書こうとネタは山ほどある上で見てたのですが、次はちょっと未知数ですけどよろしかったらおつきあい願えればと思います。

 

長々と語ってしまいましたが「海より深い私の心もここらが我慢の限界よ」と言わずに読んでいただけましたでしょうか。限界を突破するのもまたプリキュアですよ。
みんなのハートをキャッチできてたら嬉しい。


Pretty Cure All Stars DX2 1

 


HD プリキュアオールスターズDX2 エンディング・コンプリートバージョン

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