僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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時をかける少女

時をかける少女 角川映画 THE BEST [DVD]

監督:大林宣彦
原作:筒井康隆
日本映画 1983年
☆☆★

 

<ストーリー>
高校生の芳山和子は、学校の実験室で白い煙とともに立ちのぼったラベンダーの香りをかいだ瞬間、意識を失い倒れてしまう。それ以来、時間を移動してしまうような不思議な現象に悩まされるようになった和子は、同級生の深町一夫に相談するが……。


時かけ」多分、初めて観ました。アニメ映画がヒットしたので、今だと多分そっちの方が有名かと思いますが、原田知世主演の角川映画の方です。何度も映像化されてるようですが、他のバージョン含め、一度も見て無いと思います。主題歌だけは流石に知ってるかな?ぐらい。

 

映画好きとか言ってるくせに、こういう有名だけど見た事無いものなんて山ほどあります。大林宣彦は2008年の「その日のまえに」ってのを見たくらい?映画雑誌とかは普段から読んでるので大林監督の「尾道3部作」とかそういうのは知識…というか字面は幾度も目にしていましたが、実際に見るのは今回が初めてです。

 

自己擁護みたいに聞こえるかもしれませんが、「ファンならこれ見て(読んで)て当然!」みたいなのは全く気にしません。タイミングなんて人それぞれですし、もし見て無い作品があったらこれから見ればいいだけの話。


先日の「今日は一日ガンダム三昧」ってラジオがあって、アシスタントの方が前々ガンダム知らなくて、仕事に合わせてファースト劇場版3部作を見たくらいという事でしたが、司会者やゲストが、じゃあこれから楽しめる物がいっぱいあっていいね!って言ってて、やっぱそうありたいなと私も思いました。

 

映画好きなんて尚更そうです。昔の作品でも、これから見るものなんて山ほどある!こんなに楽しい事は無い。

 

と言う事で、初「時かけ」ですが、タイムリープ物なのは流石に知ってましたが「バックトゥザフューチャー」みたいに、過去に戻って未来を変える、みたいな話なのか、「シュタインズゲート」とか「ミッション8ミニッツ」みたいに今風のループ系みたいなものなのか等、一口にタイムリープと言っても色々と種類があります。さて時かけは・・・ん~?んん~???

 

一応言っておきますが、基本ネタバレで感想を書きます。


これがなかなかタイムリープしない!
自分の知ってるのとは違って、時間軸がちょっとおかしい所をミステリーみたいに解き明かしていくみたいな意味でのタイムリープなのか?とちょっと焦ってしまいました。全体の半分くらいになった所でやっとタイムリープするんですねこれ。

 

そこからやっと不思議な世界みたいにSFっぽくなって、2度くらい繰り返した後に、色々と謎が解き明かされる事になる。

 

ああでもなるほど。これ「まどマギ」のほむらちゃんみたいに時間遡行者だから「時をかける少女」じゃなくて、エピローグみたいな、あの数年後こそが時をかける少女になってるわけか。へぇ~凝ってて面白い。

 

タイムトラベラーが作った新しい時間軸で、その人に恋をしてしまうと。で、自分はこの時間軸の人間じゃなくて、本当のあなたは別の人と恋をして結ばれるんだよ、と言ってその人は去って行く。でも主人公はその恋が忘れられずに、永遠に結ばれる事は無い世界で、ただただ再会することを夢見て待ち続ける。彼女は時間に翻弄され、時の迷い人になってしまったのだ、という意味での「時をかける少女(の心)」みたいな感じでしょうか。

 

原作小説とは色々変えているらしいですが、そういう二段落ちみたいなのは元々あるものなのかな?そこはSFとして面白い。

 

でもこれ、自分が思春期の時とかにもし見てたら、いつか二人は再会して結ばれる可能性だってあるはずだ!とか夢見そうですが、こうして映画オタクになって最後のシーンはそれぞれ違う方向に歩いてるんだから、それは道が交わる事は無いという示唆をセリフや説明で無く画で表しているんだ!と、あのカットの意味とか読めちゃう辺りが良くも悪くも大人になったなと思いました。

 

うん、でもこれ当時ならではなのかもしれませんが、男は現実的で、主人公の女の子は夢見がち、みたいになってるのって、今ならそれ逆かなぁと思ってしまいました。女の方が現実的で、むしろ男の方が夢を見続けたい、みたいな方がしっくり来ます。まあそんな事言っちゃうと、そもそも男だから女だからとかジェンダーでひと括りにする方がおかしい、そんなのその人しだいでしょ?って結局はなってしまうのですが。

 

アニメ版の方もいつか見ておきたいと思います。そっちは男が夢見がちで女が現実的という感覚が逆になってると予想。

 

あとはそのエピローグの後のエンドロール。原田知世が素直に可愛い。私は「アイドル」って子供のころから全く興味の無いジャンルで、そこは今もそうなのですが、映画には「アイドル映画」っていうジャンルもある。その辺も正直よくわかんねえな~って感覚でいるのですが、それこそ同じ角川映画で薬師丸ひろこの「探偵物語」を数年前に見た時、凄いこれ今見ても薬師丸ひろこ可愛い。こういうのがアイドル映画なのか、とか思った事がありました。

 

今回の「時かけ」も同じジャンルなはずだしな、みたいな感覚で見てたのですが、これがなかなか案外原田知世が可愛く見えない。う~んどうしたものかと思ったのですが、エンドロールのとこは素直に可愛かった。
99%の虚構の中に、1%だけ見えるリアルがあってその瞬間こそがアイドル映画なんだって以前どこかで聞いた事があるのですが、そういう意味では十分にアイドル映画にはなってました。

 

ここからは映画とはちょっと外れた話。
大林宣彦、或いは尾道3部作ってメチャメチャ有名ですので、そこから他の作品に与えた影響も大きい。

 

テガミバチ」の浅田弘幸。私は「BADだねヨシオくん!」「眠兎」「蓮華」辺りの初期の作品しか読んで無いのですが、大林宣彦が好きで、漫画の最初に「A COMIC」って入れるのは大林監督の「A MOVIE」の真似ですって言ってたので、実際に見ておおこれかって思ったり。(今もやってんでしょうか?)

 

主人公がタイムリープし始めたとこの朝食のシーンが、あれこれもしかして「ジョジョ」4部の川尻早人がバイッツァダストで朝を繰り返すってこのシーンのオマージュだった?って思ったり。

 

桃栗3年柿8年って歌、これ筋肉少女帯大槻ケンヂが歌ってたけどこれが元ネタでこの映画のシーンを再現してたのね、と色々発見がありました。


時をかける少女 「愛のためいき」


筋肉少女帯 愛のためいき

後の作品に影響を与えた元ネタっていうだけでも十分に見た甲斐があったかなと。

色々とツッコミ所も多く、素直に面白い作品かと言えば若干微妙ですが、同じくツッコミ所は多いタイムリープ物の作品でクリストファー・リーブ主演の「ある日どこかで」って映画が私はとても好きなので、あまりとやかくは言えません。

 

予告編


時をかける少女