原題:原題: ex machina
監督・脚本:アレックス・ガーランド
イギリス映画 2016年
☆☆☆☆
<ストーリー>
検索エンジンで有名な世界最大のインターネット会社“ブルーブック”でプログラマーとして働くケイレブは、巨万の富を築きながらも普段は滅多に姿を現さない社長のネイサンが所有する山間の別荘に1週間滞在するチャンスを得る。
しかし、人里離れたその地に到着したケイレブを待っていたのは、美しい女性型ロボット“エヴァ”に搭載された世界初の実用レベルとなる人工知能のテストに協力するという、興味深くも不可思議な実験だった・・・。
AI(人工知能)物のSF作品。「ブレードランナー」でお馴染みのチューリングテストで、AIはどこまで人間に近づけるか、みたいなお話で、オチも決して目新しい物では無いものの、サスペンス展開が秀逸でとても面白かった。
一応はラブストーリー的に見る事も出来るとは思うけど、「har世界でひとつの彼女」とか、それこそ「ブレードランナー」の方がずっとラブストーリーとしては見れる。基本的にはあくまでSF設定をバックグラウンドにしたサスペンススリラーだと思います。
個人的には、AIは人間にはなれないと思う派です。かぎりなく人間と区別がつかないくらいまでの真似は出来ると思うけど、きっと人間以上の何かになってしまうんだろうなと。人間以上の情報処理能力を持ってるわけですし、あらゆるものがネットワークに繋がってる世の中ですから、そりゃ人をも超える存在になっちゃうだろうと。
アシモフのロボット三原則みたいな、何かしらの絶対的に越えられない(人間側からしたら制御できる)プログラムとかを組み込まないと、簡単に人間なんて越えられてしまうんじゃないかと。
まあそこは自我が芽生えるかどうか、みたいな所でもあると思うので、その辺を描いてあるこういう作品は好みですし面白いなと思います。
ちょっとこの作品からずれた話ですが、アラン・ムーアが言った「例え人間にスーパーヒーロー的な能力が授けられたとしても、大半の人はこれまでと同じようにポテチ食ってテレビ見てるだけ」が人間だよなと思いますし、また違う話ですが、噂とか都市伝説みたいなものがネットの出現によって私は無くなっちゃうんじゃないかなって思ってた頃がありました。調べれば本当の事がわかっちゃうから。でも実際は無くならなかったし、逆にネット上の噂や都市伝説が逆に生まれたりもしてる。今盛り上がってる政治を知らない奴が政治を語るなってのとも通じるかもしれませんが、調べないんですよね。人間なんて所詮そんなもんかと。
自分はちゃんと調べるよ、なんて偉そうな事を言うつもりもありません。興味がある事は調べるけど、そこまででもないものに対しては労力は費やしません。自分だって所詮はその程度。
でもこれがAIだったら?物理的な処理能力の限界とかはあるのかもしれませんが、人間の処理能力とは比べ物にならないくらい情報を仕入れられますよね。そうすれば、おのずと人間なんて軽く越えられてしまって、そこにはまた別の倫理観とかが生まれたりするんじゃないかなぁと素人ながらに思います。
そんな風に普段から思ってるので、この作品のオチとかは、ああやっぱりそうだよね、わかるわかる。という感じでとても楽しめました。
この作品もそうですし、ブレードランナーにしてもイノセンスにしても作中で描かれてましたけど、セクサロイド的な物としての可能性って良くも悪くもあるような気はしますし、もしそうだったら自分もハマっちゃうかもしれないな、とか思うとちょっと怖い。
言う事になんでも従うような従順なものならそりゃ楽しいし何より楽でいい。けど、自分の思い通りにならないからこそ面白いんだっていう考え方もありますし、そのうち飽きちゃうものでしょうか?
その辺はよくわかりません。ただ、少なくとも私が生きてる間にはそこまで技術が発展する事は無いと思ってますし、あくまで他人事だし、空想のお話だからこそ、こうやって映画とかを見て単純に「面白いな~」なんて言ってられるんだと思います。所詮は絵空事だから楽しい、みたいな。
CGも凄く違和感がなくレベル高いですし、部屋のデザインなんかも面白いのですが基本的には家の中だけのワンシチュエーションなので、ハリウッド大作程はお金はかかってないはず。低予算とまでは行かないのかもしれませんが、あまり深く考えずにアイデア重視のシチュエーションスリラー作品みたいなものだと思うと、凄く面白いです、これ。
関連記事