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映画 プリキュアオールスターズDX3 未来にとどけ! 世界をつなぐ☆虹色の花

映画プリキュアオールスターズDX3 未来にとどけ!世界をつなぐ☆虹色の花 特装版 [DVD]

監督:大塚隆史 脚本:村山功
日本映画 2011年
☆☆☆★

 

プリキュア映画10作品目記念作品。「オールスターズDX」3部作の最終作。TVシリーズ8作目「スイートプリキュア」春の新人研修映画。

 

2011年と言えば忘れてはならない、東日本大震災3月11日。そしてこの映画の公開日が3月19日。確か海の場面の津波っぽい表現の1シーンだけ直前になってカットして上映された、というような背景がありましたが、単純に作品としては当然1週間前にはもう完成していますので、作品の内容にはその辺りの事情は関わってきません。

 

TVシリーズの方はそういった時代背景を踏まえ、後半の方の展開が変わったとされていますが、その辺の事情は後のスイート映画の方に回して、とりあえず今作では単純にDXシリーズ最終作として語らせていただきます。

 

今回からプリキュアの数は21人。50人越えした今となっては、それでも半分以下だったりしますが、敵に「いつのまにか凄い数だなプリキュア」とか言われちゃうくらいに多いです。

 

過去2作と違って、今回のDX3はピンクチーム、ブルーチーム、イエロー&他とシリーズの垣根を越えたチーム編成にして話を進めるという変わった作り。その分、今まで見た事の無い組合せの会話も多く、クロスオーバーの醍醐味が存分に味わえる作りで、ファンにもとても人気の高い作品。

 

そして次回のオールスター作品からは、画面上には居てもしゃべらないキャラクターが出てきてしまうので、「オールスターズ」映画としては続くものの、実際に全プリキュア大集合としてのオールスター映画としては一応の完結編とも言えます。
しばらく後の15周年記念として「オルスターズメモリーズ」で全プリキュアがしゃべる作品も再度作られますが、そこはあくまで記念作品の特別な形。

 

「DX1」が1度だけのお祭り作品として作られながら、結局2本目3本目と作られ、やっぱり前作より規模が小さくなってはお祭りとして寂しいので、どんどんインフレ化していって、その頂点がこの「DX3」。

 

「DX1」の敵が各シリーズの怪人集結。それが「DX2」では各シリーズの敵幹部集結。そして今回の「DX3」ではこれまでの映画のボスキャラ集結。果てはラスボスがブラックホールと、まさしくインフレ。

 

実は私、昔からインフレ物が好きではありません。「ドラゴンボール」とか興味無いのはその為。先日還暦を迎えた荒木飛呂彦が「ジョジョ」の単行本の作者近影で語ってました。強い敵が出てきて倒したと思ったら、今度はもっと強い敵が出てくる。それを繰り返したら最後どうなっちゃうんですか?みたいな事を。(実際ジョジョも2部の時点で究極生物やっちゃいましたしね)だから4部では恐怖とか心の闇みたいな事をやったと。ええ、私はジョジョは4部派です。インフレってきりが無いのです。なので、私は最強とかそういうのどうでもいい派。

 

プリキュアでもたまにありますよね。誰が最強かとか、初代最強論とか。私はそういうのどうでもいい。初代以上に強さを測れる描写なんて以降のシリーズにもちゃんとあるし、そもそもプリキュアはみんな違うから素敵だと言ってる作品なのに、何でそんなプリキュアのテーマに反するようなものに拘るのか私には理解しかねます。

 

って、微妙にDX3から外れた話になっちゃいましたが、じゃあ何故このDXシリーズはインフレ映画になっちゃったのか。それはやっぱり元に戻って「お祭り映画」だからという事になります。

 

「オールスターズDX」3部作を完結させた後に、大塚監督はTVシリーズの「スマイルプリキュア」のシリーズディレクターを担当する事になります。その時に言っていたのが「一番気をつけたのは、日曜の朝にどんなアニメをやっていてほしいか」
という事と「今日もプリキュア楽しかったなって思ってもらえて、後はその後に外に遊びに行ってほしい」というような事を言っていました。

 

そして映画DXに話を戻すと、子供達にとってはおそらく映画館で見る始めての映画。映画に行く前日からわくわくして、映画館の暗がりでドキドキして、お父さんやお母さん、おじいちゃんやおばあちゃんと一緒にお出かけする体験こそが映画なのだと。ポップコーンを買ってもらったり、ミラクルライトを一生懸命ふったり、作品の話や内容はよく憶えていないかもしれないけど、その体験はきっといつまでも残るものになる。それがプリキュアの映画なんだと言う事。

 

要は映画として作品性うんぬん以前に、「イベント」という視点で映画を作っている。それってまさにお祭りですし、私は映画オタクでもあるので、テーマがどうのとかすぐに言いがちになりますが、こういう視点がメチャメチャ新鮮に感じました。なるほどこういう所こそがプリキュアというコンテンツの独自性なんだなと、そこは他の作品にはあまりない個性で、凄く面白いと思います。

 

沢山のプリキュアが出てきて、強い敵をやっつける。極論を言えば映画の内容なんてそれでいいじゃないかと。子供達が楽しい1日を過ごせて、それが大切な思い出になる。そこが一番大事と言いきれる作り手側の強い信念。

 

なるほどなぁと唸らされます。良い歳したおっさんが作品としてどうこう言う事に意味なんか無い。ひたすらどうこう言いまくってる私の存在なんて、プリキュアを外部から見てる意見でしか無いのです。でもそれで全然OKだと思います。

 

今後もどうこう言い続けますけども、やはりそういう所は常に頭にはおいておきたい。ただ純粋にお祭り騒ぎとして子供達に楽しんでほしい、それがプリキュアオールスターズDX。

 

3部作で「出会い」「継承」「別れ・卒業」みたいな形に一応はしてあるものの、基本的には次はもっと規模を大きく、とかを続けてやった作品であるのだと。

じゃあインフレの限界までやりきった次はどうするのか?クリエイターが変わって、また別のテーマが発生する「NS」はいかなる作品なのか?そこもまた面白かったりしますし、引き続き順番通りに行きますので、それはまた次の機会に。

 

天然系のピンクチームで唯一のしっかり者のブロッサムと、その逆でしっかり者の中で唯一のギャグキャラになるマリンとハートキャッチ勢の個性の立ち方とか、一人でひたすらツッコミ役をやらざるをえないルージュとか、作品を越えてシャッフルしたのが良い具合に生きてて楽しい。

 

そして「プリキュア」の前番組として「明日のナージャ」で初主演を務め、初代プリキュアでは偽プリキュアだった小清水亜美が「スイートプリキュア」メロディ役で満を持しての登場とか、メタ要素でもグッと来る部分があります。あまり使いたくない言葉ですが、今風に言うとエモいってやつですね。

 

単純に映画としたら、何じゃこりゃ?としか見えない作品でも、その背景には色々なものが詰まっている。単純に面白いと一言で済ませてしまうより、それはどういう視点なのかとか、文脈を踏まえた上で見えてくるものとかもいっぱいある。


その辺りはやっぱりプリキュアの歴史でもあるし、時にはプリキュアという枠を超えて考えてみたりするのもまた楽しいものです。


PreCure All Stars Dx 3 trailers

 

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