僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)THE LEGEND OF HEI


『羅小黒戦記』(ロシャオヘイセンキ) 予告編

原題:罗小黑战记
監督・脚本・原作:MTJJ
中国映画 2019年
☆☆☆☆☆

 

<ストーリー>
妖精はただの伝説ものだと思われるが、本当はこの世界に実在するものだ。妖精はすべてが怖くて悪いものではない。人間の格好をして人間社会に溶け込むものもいれば、山の奥に隠して暮らすものもいる。
猫の妖精羅小黒(ロシャオヘイ)は、森で楽しい日々を過ごしていたが、人類の開拓により、森を追われ、あちこちを放浪し、暮らせる場所を探す旅に立った。
旅の途中で妖精と人間の仲間たちと出会う。そこで出会ったのは、同類のフーシー(風息)と人類のムゲン(無限)。小黒(シャオヘイ)は二人と一緒に、信頼・理解・責任を学んでいき、ムゲン(無限)と深い師弟関係を築いた。
果たして小黒(シャオヘイ)は、安心して暮らせる所を見つけられるのだろうか?


予告も映画館でやっておらず、ポスターとチラシのみの情報しか無い。わざわざ中国のアニメ映画を映画館でやるんだから何かしらはあるのだろう、でもチラシに原作はWebアニメと書いてある。う~ん、新海誠みたいな奴だったら嫌だなぁ、一人で作ったとかその制作背景は凄い。でも面白いかと言ったら微妙だしなぁ、ただの話題先行とかだったらどうしよう?う~んう~ん、まあ悩んでも仕方ない。何の情報も無いけど、他に中国アニメ映画なんて見る機会はあまりなさそうだし、一応見ておくかとかけこみで見て来ました。

 

が!これがとんでもない凄い作品でした。
まずこの情報を観てしまった方はゴメンなさい。その分、面白さが少し減ってしまいました。こういうのはやっぱりよく知らんけどちょっと見てみるかな?ヤバイ、凄い物を見ちゃった!みたいなサプライズもまた面白さです。

 

他人に見てほしくてこんなブログをやってる奴が言うのもどうかとは思いますが、他人の評価とか評判なんていちいち気にしちゃいけません。自分の目で見て、自分の頭で考えて、自分で判断を下す。それが一番大事。自分と同じ人間なんて世の中に居やしませんから。

 

それでもあえて色々と説明を。予告やチラシだと、自然との共生うんぬんがテーマのような作品に見えますが、思いっきりオタク向けの能力バトルアクションアニメです。ほのかに漂うジブリ臭なんて実際はほんのちょっとだけ、「NARUTO」が日本らしく忍者アクションなら(すみません実はナルトさっぱり知りません)、こちらは中国らしい五行思想とかに基づいた能力バトル。どっちかつーと「ヒロアカ」とかに近いかな?


しかも木火土金水の内、主人公の能力は火とかじゃなくて金。マグニートーが超絶アクションを繰り広げる、みたいな感じです。宗教色(というか文化かも)が強いので、「幻魔大戦」中国版、みたいな印象。

 

そしてチラシ見ただけだと、絵がちょっと微妙かな?と思ってたのですが、キャラクターが影無しの単色塗り。キャラデザインもレベル5系の癖が少ないシンプル系。ちょっとだけですが、「新羅万象チョコ」っぽくも感じたかな?でもそのシンプルさが上手く生きてて、労力の全てを動きに全フリしたような圧倒的なアニメーション。これが超絶に凄い。

 

日本の劇場アニメの超クオリティシーンみたいなのがもう次々と。勿論、2Dアニメは日本が少し前までは先進国でしたが、そういうのをちゃんと自分達の物にした上で、そのネクストレベルと言って良いくらいの圧倒的なクオリティ。日本ではあまり無い自国の文化を生かした世界観なのもあって、日本アニメの影響は見えつつ、独特のアングルや画面レイアウトなんかもあって、とても新鮮に思えました。


2Dと3Dの違いはありますが「スパイダーバース」を見た時のような圧倒的クオリティに酔いしれます。

 

私はいわゆる絵的な「アニメーション」にはそんなに興味が無く、どっちかと言えばテーマやドラマ性の方を重視して見ちゃう方ですが、それでもやっぱりグリグリ絵が動くアニメーションの面白さ、気持ち良さはあると思ってはいます。それがこの作品には存分に感じられました。

 

アニメの動画とかかつては中国へ外注していて、いつかその技術が吸収される時が来るんだろうなとは思ってましたが、まさにこの作品を見ていると、そういう流れがもう来ているんだな、と思わせられる作品になっていました。

 

オタク的にはフィギュアの大量生産とかもそうですし、オタク的な所で無くても技術大国日本がもう先進国では無くなっているのが現実ですよね。そういった時代背景も感じられて、そこもまた面白く見れました。

 

発展途上国から先進国へ、みたいな中国の時代性が感じられるのがまた面白いと言うか。映画業界も今後はどんどん日本なんかより中国の方が重要視されていくのは時代の流れとしてもう出てきていますし、そういうのをより感じられる作品として、もどかしくも面白いです。

 

で、「自然と環境破壊」みたいなテーマは、日本としてはもう飽きちゃったよ、とつい言いたくなるテーマであって、そこ事態に目新しさは無いのですが、そこはね、日本も80年代90年代で散々やってきたわけですから、発展途上国では必然的に出てくるテーマで、まさしく発展途上国の中国でも、そうそうやっぱこういうテーマやりたくなっちゃうよね、わかるわかる、みたいに思えてまた楽しい。

 

今の所、中国語音声の日本語字幕しか無いようですが、これちゃんとした声優使った吹き替え版でも見てみたいと思える作りでした。師匠の事を「シーフー!」って呼ぶのはジャッキー映画とかカンフー映画で散々見て来ましたので、それはそれで中国語の味はあるものの、吹き替え版やっても日本のアニメと変わらない(或いはそれ以上の)感じで見れるかと思います。

 

観に行くのが遅かったからか、パンフレットがもう売り切れてたのが残念。私は元々、猫派というのもあって、とっても好みの作品でした。予告も見ないまま、謎の作品として足を運びましたが、今はスルーせずに見ておいて良かったと心から思います。

 

一般向けの作品では無いですが、オタクなら見ておいて損はしません。

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