MARVEL'S GUARDIANS OF THE GALAXY PRELUDE
著:ダン・アブネット、アンディ・ラニング、マイク・フリードリヒ、
ジム・スターリン、ブライアン・マイケル・ベンディス、ビル・マントロ(作)
ウェリントン・アウベス、ダニエル・ミカ・ゴーバー、ジャック・カービー
ジム・スターリン、スティーブ・マクニーブン、サル・ビュッセマ(画)
刊:MARVEL 小学館集英社プロダクション ShoProBooks
アメコミ 2014年
収録:MARVEL'S GUARDIANS OF THE GALAXY PRELUDE #1-2
MARVEL'S GUARDIANS OF THE GALAXY:DANGEROUS PLEY (Infinite Comic #1)
THE INVINCIBLE IRON MAN #55(1973)
STRANGE TALES # 181(1975)
THE INCREDIBLE HULK #271(1982)
TALES TO ASTONISH #13(1960)
GUARDIANS OF THE GALAXY #0.1(2013)
☆☆☆☆
MCU公式タイ・イン「プレリュード」シリーズ、ガーディアンズオブギャラクシー編。映画の前日譚+原作エピソード収録ですが、ガーディアンズはチーム物なだけあって、各キャラの初出エピソードをメインに多数収録。今回も2作程他の本とのかぶりがありますが、それでも非常に充実した内容。
■ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:プレリュード#1(2014)
映画前日譚のネビュラ編。
1作目のみだと執拗にガモーラを狙う敵の一人、くらいの出番でしたが、2とかその後のエンドゲームとかではかなりの重要ポジションだったネビュラ。
墜ちたらまた飛べばいい、とやられる度に体を強化して弱さを排除してく姿がなんとも痛々しく描かれる。やられたらまた立ちあがれって言葉で書くとヒーローっぽい感じですが、ネビュラの場合ひたすら悲しい。
■ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:プレリュード#2(2014)
映画前日譚ロケット&グルート編。
映画だといきなりお宝を奪いに乱入してきた印象でしたが、そのひとつ前の賞金稼ぎエピソード。二人の友情とか、悪態ついてても意外と良い奴なロケットの姿が描かれてます
■ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:デンジャラス・プレイ(2014)
映画前日譚ガモーラ編。
「ソー:ダークワールド」のクレジット後映像のコレクターの元にシフ&ヴォルスタッグがエーテルを預けにくるシーンと、ガモーラの強キャラっぷりが描かれるプロローグ。
話には絡まないけど「スクラル探知機」なるものの存在があるようで、MCUでは「キャプテン・マーベル」までその存在が出てこなかったスクラルの存在がこの時点で示唆されてる辺りが興味深い。まあ映画の敵のロナンがクリー人なので、原作読んでる人にとってはそりゃクリー人が居るならスクラル人も居るだろうってとこではありますが。
■インビンシブル・アイアンマン #55(1973)
ドラックス初登場エピソードとして紹介されてますが、何気にこの話、サノスの初登場エピソードでもあります。そういう意味じゃとても貴重。
ドラックスの容姿と設定が映画とは全く違いますが、原作でもその後に設定の変更や掘り下げがあって今のドラックスに近づいていく事は解説書で説明されてるのでそこはとても親切。解説書のありがたみが身にしみます。
ドラックスと共にサノスの成り立ちみたいなものも描かれてますが、惑星タイタンにあるスーパーコンピューターが反旗を翻したサノスに対して、ドラックスを生み出し、地球でも有数な技術を持つ存在としてアイアンマンにも応援を要請する、というような形になってますが、映画でも何故か初対面のアイアンマンに対して「お前の事は知っている」と言ってたのは、多分このエピソードが元になってるのかなと思われます。タイタン星のマザーコンピューターにもトニー・スタークが地球でも重要な人物として記されていたと。
トニーがアイアンマンスーツを着るシーンが物凄くシュールである意味見どころ。スーツケースに入ってるアイアンマンスーツは「おっ!」と思わせてくれるものの「この鋼鉄メッシュのアーマーが」って、おいおいそれ全身金属じゃなくてメッシュだったのか。
■ストレンジ・テイルズ#181(1975)
ガモーラ初登場エピソード。
主人公は「インフィニティ・ガントレット」でも活躍したアダム・ウォーロックのその後。やたらサイケデリックなアートと共に、初登場のガモーラのビジュアルも凄い。全身網タイツ?
ウォーロックの話が途中から始まるのは仕方ないですが、ガモーラもこれがホントに初登場なのか?っていうくらいに普通に過去に色々なエピソードがありそうな脇役として出てくる。
■インクレディブル・ハルク#271(1982)
ロケットの実質的な初登場的なエピソードとして収録。
今回の話と共に、実際の初登場エピソード(別アースなので)も含め、ヴィレッジから出ている「ロケット・ラクーン&グルート」の方にも収録されてます。
ロケットの出身惑星のハーフワールドの話はそっちの方で詳しく読める。
ハルクとは割とすぐに打ち解けて一緒に戦う一編。映画でもエンドゲームでソーを連れ戻しにいくとこはスマートハルク&ロケットという意外な感じの組み合わせでしたが、今回のエピソードを意識してるのかも。
■テイルズ・トゥ・アストニッシュ#13(1960)
グルート初登場エピソード。
こちらも前述の「ロケット・ラクーン&グルート」にも収録。
今回収録の中では最も古い時代のエピソードで、なんとマーベルに社名変更する前のアトラスコミックスの時代。まさに先日読んだ「マーベル怪獣大進撃」で拾われてた時代の作品じゃないですか。
映画や後のグルートとは同種族で別の個体という事になってますが、そんな設定うんぬんよりも、まず話が面白いです。
マーベルヒーローは学者が多いのと、その能力も科学・化学に由来するものが多めなのが特徴。そこはその辺りの学問が発展途上でそこに未来を見ていた時代に生まれたヒーローが多いからなのですが、その辺りのマーベルらしさがこの話にもすごく表れてます。
マッチョイズムが男らしさと言われていた時代に、突如現れた巨木怪獣グルート。皆が力で立ち向かう時に、一人その場を立ち去り、主人公の生物学者はその知恵を使って見事にグルートを撃退してみせる。
弱っちいとか言ってゴメンね、やっぱりあなたが一番ステキよ!とまるでブルワーカーの広告に出てくる女の如く、ころっと態度を変えるオチが爆笑物です。
コミックブックの読者なんておそらく昔からナード層だったんでしょうし、その後のシルバーエイジでマーベルが若者の心を掴んで躍進していく流れの源流みたいなのも感じられて、メチャメチャ面白い一編。
解説書にはスタン・リーとジャック・カービーの黄金コンビって書いてますが、「ロケット・ラクーン&グルート」の方の解説を読むと脚本のラリー・リーバーさんはスタン・リーの実弟のようです。
■ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー#0.1(2013)
最後にやっとスターロードことピーター・クイルのエピソード。
初登場エピソードではありませんが、映画化に合わせてスタートした新シリーズのエピソードゼロ的な奴で、クイルが自身の生い立ちをアイアンマンに話をする、という内容なので、クイルのキャラ背景の説明みたいな形。
映画の方は2008年(だっけかな?)くらいにスタートした新生ガーディアンズがイメージソース的な形になってるようですが、映画化前はまだまだ知名度が低かったので、映画に合わせてアイアンマンをガーディアンズに加入させてテコ入れしたと。その新シリーズのエピソードゼロがこの話、という事のようです。
設定も映画とは全然違いますが、クイルの悲しい過去と両親の話でなかなかに読ませてくれるシリアスな一編。
という事でガーディアンズプレリュードでした。
歴史を感じられる多彩なエピソードの収録で大満足な一冊。
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