ジム・ジャームッシュのゾンビ映画『デッド・ドント・ダイ』予告編
原題:THE DEAD DON'T DIE
監督・脚本:ジム・ジャームッシュ
アメリカ映画 2019年
☆☆☆★
<ストーリー>
警察官が3人しかいないアメリカの田舎町センターヴィルで、前代未聞の怪事件が発生した。無残に内臓を食いちぎられた女性ふたりの変死体がダイナーで発見されたのだ。困惑しながら出動した警察署長クリフ(ビル・マーレイ)と巡査ロニー(アダム・ドライバー)は、レイシストの農夫、森で野宿する世捨て人、雑貨店のホラーオタク青年、葬儀場のミステリアスな女主人らの奇妙な住民が暮らす町をパトロールするうちに、墓地で何かが地中から這い出したような穴ぼこを発見。折しも、センターヴィルでは夜になっても太陽がなかなか沈まず、スマホや時計が壊れ、動物たちが失踪する異常現象が続発していた。
やがてロニーの不吉な予感が的中し、無数の死者たちがむくむくと蘇って、唖然とする地元民に噛みつき始める。銃やナタを手にしたクリフとロニーは「頭を殺れ!」を合言葉に、いくら倒してもわき出てくるゾンビとの激闘に身を投じるが、彼らの行く手にはさらなる衝撃の光景が待ち受けていた……。
ジム・ジャームッシュとか久々に観ました。私が映画を沢山見るようになってから娯楽大作みたいなものよりすぐにミニシアター系の方を多く見るようになったので、その辺りからジム・ジャームッシュは活躍してて、「ブロークンフラワーズ」とか「コーヒー&シガレッツ」とかはリアルタイムで見た記憶があります。その後は忙しくてまた映画から離れてた時期があったので、結構間が開いてますが、なんか相変わらずでとても楽しく見れました。
特別好きな作家ってわけでもなかったので、見ようかどうかは迷ってたのですが、自分がゾンビ物をやるならロメロっぽい感じでなら行けると思ったから、というジャームッシュのコメントを見て、ロメロリスペクトなら見とかなきゃと足を運んできました。
うん、ロメロリスペクトたっぷりで面白い。パンフも買ったのですが、「ゾンビ」よりも「ナイトオブザリビングデッド」をかなり意識してある辺りがまた素敵です。私も「ゾンビ」と同じくらい「ナイト~」も好き。
微かに残る生前の記憶に導かれて、自分のこだわりの生活圏をさまよう、という所がロメロゾンビから引き継いでいる部分。
いや~、私がゾンビになったらブックオフとお宝ショップと映画館をフラフラしてるんだろうな~とか思っちゃっいました。
世の中がスマホゾンビになっていると感じたのがこの作品の発想の原点だそうですが、「ワイファイ」「ブルートゥース」「シリ」の3コンボは爆笑。オフビートコメディなので、基本的に派手なギャグっていう感じでは無いのですが、思わず何度か声を出して笑ってしまった。
もはや人外なのが当たり前で、人じゃ無い何かの専門役者的な立ち位置を掴んでしまったティルダ・スウィントンもまた素敵です。
ビル・マーレイとアダム・ドライバーと女の人の警察官3人組のバランスも面白しい、わが身を見るようなオタク君も凄く良かった。
テーマ曲の「デッド・ドント・ダイ」は雰囲気あって好きですが、そこをメタネタで攻めたのと、オチらしいオチもなく終幕なのが若干気になった所ですが、作品としては嫌いじゃないです。世間がゾンビでアポカリプス物に走るなら、自分はこういう方向に行くよ、っていうのが素敵です。みんながメジャー志向ばかりじゃつまらないですしね。
更生施設?に居た子供たちがどうなったのか気になりましたが、パンフを読むと、せめて子供達には未来に向かって生きてほしいという意図だったようです。うん、こんな世界に生きてる俺らってバカだよね、でも君たちはそうならないで生き延びてほしい、という感じでしょうか。
じゃないと死んでも死にきれませんね!ゾンビだけに。
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