僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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機動戦士ガンダムUC バンデシネ Episode:0

機動戦士ガンダムUC バンデシネ Episode:0(1) 機動戦士ガンダムUC バンデシネ Episode:0 (角川コミックス・エース)

MOBILE SUIT GUNDAM UNICORN BANDE DESSINEE Episode:0
ストーリー:福井晴敏 コミカライズ:大森倖三
刊:角川書店 角川コミックス・エース 全3巻(連載2017-18年)
☆☆

 

ガンダムUC本編コミカライズ後に連載された前日譚ストーリー。
元はアニメ完結前、中盤くらいまで展開されてた時に出たゲーム用の前日譚ストーリーで特典として小説化された、シナンジュ強奪事件「戦後の戦争」のコミカライズ化。

 

作画の大森倖三は「リーンの翼」「ガンダムOO」辺りをやってた時は良かったけど、ユニコーンの中盤、中東のテロリストの描写辺りからやたら濃くなってきた印象があります。

 

一応、私のUCに対するスタンスから書いておこうかな?
ダムAの連載中は読んで無かったのですが、確か連載の終了のタイミングくらいでアニメ化が発表されたんだったかな?で、アニメになる前に単行本で一気読み。アニメ版もそんな印象でしたが、シャンブロ戦辺りが山場で、その後はちょっとな、くらいの印象でしたが、この時点では、あくまで逆シャア後のサイドストーリー、ただの外伝ですよ、っていう体を保っていたので、これはこれかなと思ってました。

 

「0080」「0083」「第08MS小隊」外伝OVA系と同じような位置付け。フル・フロンタルも小説版の時点では、あくまでシャアの伝説を模す為に作られただけの
ただの強化人間でしかなかった。

 

その中で、ジオン側にもジオン側なりの事情や理由がちゃんとあるっていうけど、全人口の半分を死に至らしめた原因を作った部分はどうしても見過ごせない。そこがあるからどうしてもジオンの人がどんな正当な主張をしても、どうしてもひっかかってしまう、的な事を作中で描いてたのは個人的にとても評価していた部分です。

 

そう、これ私もUC前からずっと気になってた部分で、その違和感をきちんと作品内で描いていた事に、やっぱ作者も同じ事気になってたんだなと思ったし、そこをストレートに書いた物はそれ以前にはありませんでした。

 

今は全部を追っかけるのは流石にもうやめてしまいましたが、UCくらいまでは基本的に外伝とかの全てのガンダムを追っかけてました。流石に雑誌で1回載っただけで未単行本化みたいなもので追えないものは一部ありましたが、それでもマイナーな物含めて雑誌のバックナンバーなんかもかき集めて全てのガンダムストーリーの9割くらいは読んでたと思います。

 

例えばガンダムとは関係無く、現実の今の世の中で全世界人口の半分が死んでしまう戦争があったとしましょう。それがある程度、それも仕方なかったな、なんて思えるようになるまで、100年程度では足りないと思いません?1000年後くらいだとわかりませんけども。

 

例えば「アベンジャーズ:エンドゲーム」でも全ての生命の半分が消えたと。その後の荒廃した世界とかちょっと描かれてたわけじゃないですか。
その描かれ方が正しいかどうなのかはわからないけど、そこで何も無いように同じような世界が続くってちょっとありあえないと私は思う訳で、メンタルなり文化なりそこを境に何かが変わったとかはガンダム世界だとわからない。というかそこを描かない違和感。あのナレーションはただのハッタリなだけで、そこはリアルに描かないガンダムの基本的な嘘の部分なんだなと。

 

少なくともガンダムの劇中だとUC0079でその「総人口の半分を失う戦争」があって、Zで0087、逆シャアで0093、F91で0123、Vガンで0153ですよね確か。ガイアギアでやっと0200年代に入ったくらい。

 

直接的に前のストーリーを引き継がない逆シャア、F91、Vでそれぞれ30年くらい開けてるのは、30年もあれば赤ちゃんが青年になるくらいで、世代も一回りするので、前の時代とは違う時代にしてもよかろう、みたいな事は多分富野も意図的にやってますよね。

 

バナージ君は戦後生まれで、実際の1年戦争(というかその前の世界)を知らないので、逆にそこが頭でっかちで考えてしまう、というのが劇中の面白い部分で、メタ的には、戦後生まれの日本人が考える戦争という面での面白さでもある。

 

で、やっとこちらの漫画の話をすると、実はガンダムの世界の中ではあまりリアリティの無い世界に対して、現実の戦争とかテロとかを必死に勉強して、その現実のリアルをどうにかガンダムの世界の中で表現してやろう、的な意図を物凄~く感じる作り。それは本編コミカライズの時にちょっと違和感を感じ始めた中東テロの描写の時とも通じる部分。

 

私も漫画やアニメや小説をただの絵空事として描いてる作品より、現実に重なる部分は入れてほしいと思う派。その点でバナージの違和感っていうのは素直に面白いと思えたのですが、その先をあまりやりすぎて、今回の漫画みたいにリアルなテロってこうなんだ、復讐の連鎖ってこうなんだ、みたいなのを必死にやろうとしちゃうと、それはそれでちょっと微妙だな、という感は拭えず。

 

いや、基本的にはガンダム漫画の体裁は装ってるんですよ。でもそこからにじみ出てくるなんかちょっと違う感が結構ツライ。それが、そういうテーマを扱ってるからなのか、単純に脚本としてつまんねーだけなのかは判断はしにくいのですが。

 

ただこれ、またUC本編の話に戻っちゃいますけど、フル・フロンタルは所詮はただのニセモノ。ユニコーンという作品もあくまで外伝。と程度をわきまえてるくらいなら良かったんだけど、アニメでフロンタル役を本物か偽物かわからなくするために池田秀一を使ってしまって、原作ではあくまで偽物でしか無かったフロンタルを、「ただの偽物」と切ってしまえる程どうでもいい存在じゃないんですよ、本物のシャアの思念が宿るくらいには、近い存在なんですよ、みたいになっちゃった、ならざるを得なかった辺りがね、私がユニコーンという作品に対して一気に醒めた要因でもあって、更には人気も凄く出た事もあって、ユニコーンはただの外伝じゃ無くて、宇宙世紀の正伝の中の一つなんですよ、的な顔をしはじめた辺りが、更に更に私を醒めさせる。

 

その上、今度は終了後に福井がニュータイプの定義みたいなのを自己解釈で始めちゃって、ニュータイプは時間軸に干渉できる能力とか言われても1ミリも乗れねぇ、状態になってしまいました。

 

ガンダムUC」という作品に対しても、この漫画単品の評価としても、やっぱりそこは「行きすぎは良くないよね」と思ってしまったという話でした。

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