MARVEL CINEMATIC UNIVERSE GUIDBOOK: THE GOOD, THE BAD, THE GUARDIANS
著:マイク・オサリバン他
刊:MARVEL 小学館集英社プロダクション ShoProBooks
2019年
☆☆☆☆
MCUキャラクターガイド本。日本で出たのがエンドゲーム後の2019年なのですが、収録されている内容がMCU9作目「キャプテンアメリカ:ウィンターソルジャー」から、15作目「ガーディアンズ・オブギャラクシーVOL.2」までの7作のみ、という若干中途半端な本。
エンドゲーム時期に、色々と日本でもMCU総括ムック本みたいなのが数冊出たのですが、シリーズ総括みたいな情報を求めた人にとっては、おいおい中途半端にしか収録されてないじゃねーか!と困惑したであろう事は想像できます。
私はこれ、もっと後になってから中古本で確保したので、そこはさほど気になりませんでした。こういう本なんだなと素直に受け止められたと言うか。ガイド本的なのはそもそも正規には買っておらず中古本が出たらそれでいいかな?ぐらいのスタンスで昔から映画単体のアートブック的なのたまに出てましたが、その辺りは確保してません。
2大日本語アメコミ刊行の小プロ(もう一方はヴィレッジ)から、普通の邦訳アメコミと同じサイズで出てるだけあって、本国での底本があっての日本語版なのですが、これの何が凄いって、映画を映画として扱っていない所。
「アイアンマン/トニー・スタークをロバート・ダウニーJrが演じている」みたいな情報が一切無いのです。
コミックのキャラクターガイド本なんかと同じ文脈で、あくまでMCUという世界の中でのキャラクターガイドとして描いてある。そのスタンスがちょっと凄い。勿論、映画としての情報が欲しい人にとっては、え?何これ監督とか俳優とかの表記が一切無いってどういう事?と思ってしまう事請け合いなのですが、そういうのは他の本に任せて、これはこれと割り切って読むには情報が濃くて非常に面白い。
出た時期が時期でしたが、こうやってシリーズ通して見返していく中で、そこに合わせて読むには凄く面白い本でした。1本づつ見返していく上で、観終わる度にこの本の該当作品部分と、あとはまた別の本でてらさわホークの「マーベル映画究極批評」を読み返す、という事を私はやってました。そっちの本も面白いので時期的にエンドゲーム後にでも改めて取り上げます。
で、こちらの本に話を戻すと、ストーリー説明をキャラクター解説内に押しこめる(こういう登場をして、こういう行動をして、こういう結末になった)というこれまたちょっと変わった解説の仕方ではありつつ、メインキャラクターだけでなく、脇の名前のある小さいキャラまでほぼ網羅してあって、その辺りがコミック解説本の文脈だなと思えて個性的で面白いし、何より基本解説のほかに、「コミック版ではこういうキャラだった」みたいなのが書いてあるのが個人的には一番響く部分。
私は昔からのアメコミファンなので、映画も大好きですが、コミック要素との比較みたいなのもアメコミ映画の面白味の大きな要素。ただ、昔からのファンと言っても日本語版オンリーなので、広大なコミック世界の全てを知ってるわけではない分、こういう細かい解説が本当にありがたいし、とても面白い。
立ち寄った店の店員とかまで原作に居るキャラ使ってるのか!とか、このキャラは原作には無い映画オリジナルなんだな、みたいなのを見ていくだけでも、かなり脇の細かい所まで網羅してあるのが強み。
限定された作品数、映画としての情報は無し、原作と映画の比較、と的を絞った面白味にはなってしまいますが、その前提で読むにはとても面白い本です。
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