原題:47 METERS DOWN
監督・脚本:ヨハネス・ロバーツ
イギリス映画 2017年
☆☆☆
<ストーリー>
メキシコで休暇を過ごしていたリサとケイトの姉妹は、現地で知り合った男から、海に沈めた檻の中からサメを鑑賞する「シャークケイジダイビング」に誘われる。水深5メートルの檻の中からサメを間近に見て興奮する2人だったが、ワイヤーが切れて檻が一気に水深47メートルまで沈んでしまう。無線も届かず、ボンベに残された空気もわずかという極限状態の中、サメの餌食になる危険におびえながら、2人は生還を目指すが……。
ただいま上映中2作目の「マヤの死の迷宮」の予告を見て、割と面白そうと思ったのですが、実は2作目だったっぽい。ストーリー的に繋がりとかは無さそうですし、別に2だけ見ても良いかなとは思ったのですが、演出とかで、1の描写を踏まえてのものがあったりしたらちょっと勿体無いし、もし仮に2が面白くて後から1を見た時にグレードダウン的に物足りなかったりしても、それはそれでやっぱり勿体無いかなぁみたいなのがあって(ゴメンなさい私は凄く貧乏性です)まあ90分くらいの作品だし、せっかくだから1見てから行こうかと。
サメ映画、私は「ジョーズ」の最初の奴と「オープンウォーター」「メグザモンスター」を見たくらいかな?最初に見たのもあってか、ジョーズは素直に面白かったし、目新しさもありましたが、サメ映画って結局は海に潜ったらサメに襲われた、こえぇ!みたいなスリルを味わうのがサメ映画の基本でしょみたいなのがあって、なかなかそれ以上のものは想像しにくいかな?という感じで、そんなに惹かれるジャンルではありません。
つーかそもそもサメ映画ってジャンル的には何なの?今回1作目のこれをレンタル店で探すにあたって、一体どこに置いてあるのかの見当がつかず、結構探すのに手間取りました。だって前述のジョーズもオープンウォーターもメグも全部別のジャンルの棚にあるし!!
単純に、恐怖を味わう作品なんだしと、普通に考えたらホラーかなとコーナー探してもどのサメ映画も置いてない。アクションだったりサスペンスだったりドラマにそれぞれ置いてあった。サメ映画って「動物パニック物の中の種類としてサメ」みたいな感じかなぁと思うのですが、作品を見る前のその時点でちょっと面白くなってしまった。
所謂「ジャンル映画」と呼ばれるものは、確か作品を見る前から、この作品はこういう所を楽しむ作品だよね的な物がわかるものを差すんでしたっけか?文芸作品なんかと違って、楽しむ所が明確になっているので、作品が選びやすい的なのがメリット。派手なアクションシーンが見たいと思って選んだら、重苦しい人間ドラマに終始していて、見たかった作品と違った、みたいな事が起こりにくい。そういう意味じゃサメ映画も、まごう事無きジャンル映画としか呼びようが無いとは思うのですが。
「メグザモンスター」はサメの恐怖を味わう作品かと思ったら、その身一つでサメと戦っちゃうのかよ!流石はステイサム!みたいな笑っちゃう変な作品でしたけど。
まあでもサメが空を飛んで襲ってくる!みたいな突拍子もない変化球でもなければ、なんとなくサメ映画って大体こんな内容だろうというのはやっぱりおおまかに想像できるジャンル。
ならば、どう怖がらせてくるのか?というその作品なりのオリジナリティというか、基本のベースがあるとして、そこをどうアレンジしてくるか?その一つ一つの演出を楽しむ、みたいな所が面白味かなぁと思います。
そういう意味ではこの「海底47m」は変に突拍子もないトンデモを入れてくる事もなく、割とスタンダードな作品になってたかなと思います。丁寧なサスペンス描写が積み重なっているというか。
ケージが海の底に落ちてしまって、まずその蓋が開かなくなる。装備品を外せばギリギリケージの外に出て、外から開けられるけど・・・みたいな一つ一つのイベントをこなしていくような作り。
これ外に出ちゃったらサメ襲ってくんじゃね?というドキドキを見ている人に与えるわけです。いきなりドーンと来るシーンも勿論ありますが、ただそれだけに終始しない辺りが演出としては丁寧な感じに思えます。ショック演出とサスペンス演出の違いをちゃんと使い分けているというか。
ただ、話を最初に戻してサメ映画に限らず、スラッシャーホラーでもよくある流れというか冒頭30分の襲われる前のドラマパート、キャラクター説明部分は流石にとても退屈。早送りしても飛ばしても全く差し支えのない感じでしたが、そこはホラー映画として仕方のない部分と見るか、いやそこも面白くしようよと不満に感じるかは微妙な所。
面白い作品だと「悪魔のいけにえ」なんかも確かそうでしたが、最初の30分もそこはそこで不穏な空気が流れてて怖かったりするんですよね。レザーフェイス出てこないけど、自分の手を切っちゃうやつとか居たりして。
こういうのって、序盤からエンジン全開で怖がらせてきたりとかだと、やっぱりメリハリが無くなっちゃうのかな?それとも90分そのペースだと流石に疲れる?よくはわかりませんが、そういう所も含め、映画の構成のなんたるか、みたいな事が色々と頭をよぎる作品ではありました。
例えば伏線として、窒素で幻覚を見るみたいな事は先にちゃんと言ってますが、サメが1匹じゃなくて2匹居るぞ、みたいなのは生かされなかったり、サメは下から襲ってくる!と言ってる割に発煙筒で追い払うとこは横からしかこなかったり、色々と不思議な所はあります。
ただ今回はヒロインが姉妹と言う事で一人だけだと出来ない物語(というかクエストに近いか)の動かし方だとか、パニック系の役割を一応の主人公の姉の方にやらせたり色々と考えて作ってある作品だなぁと思えました。ノリと勢いだけでなく、それなりに練って作ってあるなと。これがジョーズみたいなA級作品だとは思いませんが、ただのB級よりは考えてるぞ、みたいな。
私の勝手な偏見ですが、B級だと、最後に救われた!みたいに思わせておいて、突然一気にサメがぱくっとおいしくいただいた瞬間でエンドロール。で、ハードロックかヘビーメタルみたいなAH~~~っていうシャウトで始まるやかましい音楽が流れる。的なのが私の中でのB級の定番。それはそれで勝手な思い込みだろうと思いつつ、今回はそうじゃなかったので、よしこれはB級映画じゃないぞ!みたいな判定がつきました。
さて、特別良かったって程では無いにせよ、映画の構成や演出の何たるかを考えさせてくれる面白い作品ではあったので、これから続編観に行ってこようかと思います。