僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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ブラックパンサー:暁の黒豹

ブラックパンサー (ShoPro Books)

BLACK PANTHER:WHO IS THE BLACK PANTHER?
著:レジナルド・ハドリン(作) ジョン・ロミータjr.(画)
訳:中沢俊介
刊:MARVEL 小学館集英社プロダクション ShoProBooks
アメコミ 2016年
収録:BLACK PANTHER Vol.4 #1-6(2005)
 Fantastic Four Vol.1 #52-53(1966)
☆☆☆☆★

 

漆黒の獣王が吠える!

 

という事で映画ついでにこちらも。大人向けのマーベルナイツブランドで発刊されたブラックパンサー第4シリーズの開幕と、初登場号のファンタスティック・フォーを収録。

 

映画で言うと「シビルウォーキャプテン・アメリカ」の時期に出た奴ですが、単独映画の時は何も邦訳版が出なかったので、単独タイトルとしてはこの本と原作シビルウォーの時のタイインくらいしか日本語版は出てない。勿論、マーベルユニバースの中では重要なキャラなのでイベントタイトルとか他の本には結構出てくる方なのですが、そういう意味じゃ割と貴重な1冊です。

 

脚本を担当したレジナルド・ハドリンが巻末で、いかにブラックパンサーが凄いキャラクターなのかを語っていて、そこが凄く面白い。歴史的経緯、ブラックカルチャーとしてのキャラクターの立たせ方や、マーベルユニバースにおける他のヒーローとの違いとか、新しいシリーズを立ち上げるにあたって何をどう見せたいのかみたいな所がよくわかって、入門編としても非常に分かりやすくてとても素敵です。

 

スタン・リー&ジャック・カービー作として初登場号で基本的な部分は作られてますが、そこからのアレンジが加えられて、映画の方に与えた影響もかなり多くて、映画よりずっと先に描かれた本ですが、映画と比べて見ても結構面白いんじゃないかと。こっちはキルモンガーの話ではありませんが、妹のシュリとかはここが初出になってます。

 

今回のヴィランは映画ではあっさり殺されちゃったユリシーズ・クロウ。というか、今回読み返してて初出のFFの方の話でもクロウがヴィランで、その話の最後に自らの全身を音波化しちゃって、これ以降は音波人間になっちゃってたんですね。そこが「シークレット・ウォーズ」でのクロウにも繋がってたのか。もう全然忘れてました。

 

で、第4シリーズの方のクロウは設定変更して描いてあって、因縁深いキャラクターはそのままだけど、音波人間では無く腕を自由に変化させる所だけ旧設定を生かしてより凶悪なライバルキャラとして描いてある。

 

ワカンダの資源を狙うに当たって、複数のヴィランや軍を率いて攻め込んでくるのですが、ライノ、バトロック、ラジオアクティブマン、ブラックナイト(今回が初出の4代目)新しいキャラのカンニバルと、一見B級ヴィランの寄せ集めに見えて、ジョン・ロミータjr.の迫力あるアートも相まって、これがメチャメチャ強いし強烈。

 

これワカンダやばいんじゃね?パンサー一人で守りきれるのかこれ?と、シンプルながら手に汗握る話になってて、凄く面白かった。


ロミータjr.のアート、クセがあって苦手な人も居るだろうなとは思うのですが、個人的には結構好きな方。ライノとかこんなに強いのか!と思わせてくれるのはロミータjr.の絵があってこそだと思います。「キックアス」とかも好きですけど、「ワールドウォーハルク」とか「ウルヴァリン:エネミーオブステイト」とかの走り出したら止まらない系描かせると、凄く合う印象。

 

単発のミニシリーズとかでなく、レギュラーシリーズの1冊目なので、この後もストーリーが続く感じで終わってますけど(新キャラのカンニバルは顔見せぐらいで終わってるし)ヴィランチームの侵攻の部分は一区切りつくとこまで収録されてますので、単品で読んでも十分に面白い。

 

ブラックパンサー初出という事でのファンタスティック・フォー#52~53も前述の通りスタン・リー&ジャック・カービーという黄金コンビで、非常に脂が乗り切った時期の絶妙な語り口が味わえます。

 

解説にもちゃんと書いてますが、丁度これ、FF誌がインヒューマンズ登場、増刊でのリードとスーの結婚式、そしてギャラクタス襲来という流れの直後なんですよね(日本語版でも「ファンタスティック・フォー:カミング・オブ・ギャラクタス」という本でFF#41~50+アニュアル#3が収録されてるので読める)その直後にこのブラックパンサー登場編になる。いわばマーベルの黄金期(アメコミ全体だとシルバーエイジですが)の作品。

 

後のクリエイターとかが、とにかく全員あの時期はマーベルが圧倒的に面白かったね、夢中になって読んでたよ、とホントに皆が皆言うような時代。その辺の作品を改めてこうして読む事が出来るというのは、とても貴重。

 

映画で毎回カメオ出演してたので、スタン・リーって映画だけのファンにも有名じゃないですか。多くのマーベルキャラクターの創造主としてあがめられてはいますけれど、その内の何割が実際スタンの作品を読んでるものなの?みたいな疑問が私の中ではちょっとあったりする。

 

私自身、アメコミ原書とかは全く読んで無い人なので、そこを批判的に言ったりする事は出来ないのですが、日本語版だけでもそれなりに代表作的なものはちょこちょこ読めたりする機会があるので、こういう収録はホントに嬉しいし、是非触れてほしいなとも思います。

 

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ジョン・ロミータJr.(画)

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