僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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機動戦士ガンダムAGE -First Evolution-

機動戦士ガンダムAGE -First Evolution-(1) (角川コミックス・エース)

MOBILE SUIT GUNDAM AGE -First Evolution-
漫画:葛木ヒヨン
刊:角川書店 角川コミックス・エース 全3巻 2012年(連載2011-12)
☆☆☆☆

 

機動戦士ガンダムAGE「フリット編」のガンダムエースコミカライズ版。
確か次のアセム編が始まっても完結しておらず、そちらのコミカライズと少し連載期間が被ってたような気がします。そういうのもあってか、葛木ヒヨンのコミカライズとしてはフリット編のみで、以降は他の人がやってました。

 

本人はこの後「アクロス・ザスカイ」「ラストサン」「ヴァルプルギス」とUCの外伝を続けていますね。このコミカライズ作品が初連載のようで、「オルフェンズ」の時にも書きましたが、ガンダムというビッグタイトルを実績の無い新人に描かせるという傍から見たら不思議な事をやっている流れは昔からあるよな、という感じです。

 

え~と、まずは「機動戦士ガンダムAGE」という作品から。
ガンダムはそもそも煩い古参のファンが多いので、新しい作品が出る度に何かと批判されがちです。諸手を上げて誰もが賛というような作品はハッキリ言って無い。必ず批判的な事は言われる作品でもあります。なので、超がつくビッグタイトルながら、意外とやりたがらないクリエイターも多く、メインスタッフ集めるのも苦労するのだとか。

 

最近だと「ガンダムUC」が古参ファンも納得の~みたいに語られる事も多いですけど、実際そんな事は無い。だって私的にはガンダムUCってあくまでただの外伝的な立ち位置としてならまだ許せるけど、あれがガンダムの本伝的なものだと言われると、え~っ!ってなっちゃうもの。私自身が煩いファンの一部です。

 

で、そんな中でもとにかく誰からも徹底的に叩かれまくったのがこちらの「ガンダムAGE」。多分、たまたまこれからガンダムに入ったという人は、他のガンダムとの比較なんか出来ないし、これはこれで楽しみに毎週見てたけどな~って人も中には居ると思います。そんなに悪い作品なの?自分は好きだけど、こんなに叩かれるととても悲しい、という人に言っておくと、周りの評価なんざ気にする必要は無いです。ガンダムなんか何やっても必ず毎回文句ばっか言われる作品なので、自分が好きならそれはそれで堂々と好きでいれば良いんじゃないかと。

 

勿論、それは単純に自分の思い入れ的なものであるとか、好きなら好きでちゃんとその理由を探るとか、多少の理論武装はしておいてほしいものですが。私個人で言えば一番好きなガンダムは「Vガンダム」ですから。そこは勿論思い入れたっぷりですし、他人からどうこう言われようが全く揺るぎません。


うん、AGEから話が逸れた。個人的なAGE評としては、序盤は悪くなかったけど、後半になるにつれてどんどん評価が下がって行った感じかなぁ。

 

一番にこりゃAGEダメだなと思ったのは3部のシャナルアさんでしょうか。様々な事情があって、仲間を裏切ってしまうスパイ話みたいなやつでしたが、もう結末ありきのキャラクターでしかなくて、あのやさしかったシャナルアさんが裏切るなんて嘘だ!的な感情移入をしようがないくらいの短いスパンでやっちゃってるので、「ただのイベント感」が半端無い。劇中のキオの感情とかと違って、よくわからんポッと出のキャラがよくわからん裏切り方をして、よくわからん感情が作中では渦巻いてる、という観てる人置き去りな展開で、ああこれまさしく「AGE」っていう作品をよく表している流れだなと。

 

そもそもの「AGE」という企画自体がそっち方向。おっさんのファンは一杯いるけど、子供にはあまり人気が無いのがガンダムというコンテンツ。

それを何とかしようと「レイトン教授」「イナイレ」「ダンボール戦記」「妖怪ウォッチ」と子供向けのヒットコンテンツを次々に生み出したレベルファイブに、ガンダムも子供達に人気出るような形で何とかしてほしいというような企画。代表の日野さんもガンダムは好きだったようですので、じゃあ気合い入れて考えるかと。ガンダムがこれだけ長いコンテンツになってるのはそこに歴史があるからだと。

 

本物の歴史でなく、フィクション作品でその世界の中の年表が作られるような作品は、他にはあまりない。そこは強みや魅力だと考えて、じゃあその面白さを持った子供向けの新しいガンダムを作ってしまえばいいのだと。「ファースト」「Z」「ZZ」「逆シャア」までの一連の流れを一つの作品の中でやってしまえば、ガンダムの面白さは子供にも伝わるはずだ!的な企画だったのは素人目に見てもわかりますよね。ゲーム会社のウチはその合間を埋めるゲームとかも作れるし!みたいな。

 

でもそういう作品としてコンテンツとしての俯瞰視点、歴史の俯瞰視点ばかりに着目してしまったが故に、その一つ一つの物語を十分に描き切れずにただのイベント的に消化する事しか出来ずに、観てる方はさっぱり感情移入も出来ないまま終わる、という、ある意味必然的な結果になってしまったと。シャナルアさんのイベントとかまさしくそんなのがよく現れてます。

 

ガンダムを親だけでなく、子供が楽しめる親子コンテンツにしようとした事が、作中でも3部に分けて世代を重ねていく100年の物語として描く「AGE」のキモで現実のメタとしては面白いし、やっぱり俯瞰視点で考えると、凄く行けそうな気はしますよね。でも俯瞰のみでは結局子供がついてこれるはずもなく・・・みたいなのが「AGE」。うん、こういうのも結果論としてやはり俯瞰して見る分には面白かったりするのですが、そんなのは後の祭りでしかない。

 

主人公のアスノ家以外での部分で世代引き継ぎやってる所、面白い部分はあるんですけど、上手く行かなかった部分もやっぱり目について、そこはおいおい語っていこうかなと思います。


で、やっとコミカライズの話。
序章の部分ですし、アニメもそうでしたが、キャラデザの微妙さはさておき、単純に新しい世界観のガンダムとして1部は割と面白かった記憶があります。

 

意図したものではなく、たまたまそうなった感もありますが、元々1クールちょっとだった話をさらに短くしてあるので、コンパクトにまとまってて結構面白い。3巻構成で、表紙のノーマル、タイタス、スパローと呼応するような大きな戦いが3つくらいのみに絞ってあるので、凄く読みやすくて良いです。

 

流石にサブキャラの掘り下げとかやってる余裕は無いですが、1部って敵がUE(アンノウンエネミー)の状態で、最後に正体がちょこっと明かされるだけで、あとはデシルが居るくらいで敵の描写もほぼない。これが凄く生きてて、フリットが戦いに巻き込まれて、何を感じてどう成長していくのか、っていうのに絞られて丁寧に描かれてる。

 

いや、ホントはまだ少年だし、ここからどう成長していくかでしょ?みたいに思ったりするのがホンネではありますが、序章としては悪くないなぁというのが正直な所。うんうん、AGEも1部の頃は結構面白かったよね、とか思いながら読めました。

 

グルーデックさんとラーガンが割と好きでした。あとユリンも。各キャラそんな掘り下げも無く、出番も少ないので、TVシリーズでの思い出とか含めたシーンの補完ありきだと思いますが、結構グッと来るシーンはあって良かった。

 

コロニー崩壊からのディーヴァ脱出までは凄く良いけど、その後のヤクザの抗争みたいな所に巻き込まれるとか、あれは何だったのかとか色々と良い所悪い所が見える。因みに当時ネタにされて有名になったイワークさんの「強いられているんだ」は完全にカット。

 

後、ライバルキャラとして出てくるデシルがやっぱり幼すぎる感じがするなぁ。2部で大人になって出てくるんだろうとは当時から思ってましたが、2部はゼハートが出て来ちゃうので、あんまり大した役割じゃ無いんですよね。全部終わってから制作された総集編の「メモリーオブエデン」だと、ゼハートにとって兄のデシルがどういう存在だったのか追加されて強調されてて、それ見てやっと納得できたという感じでした。(そこはTVシリーズで不十分だと感じたから足したんでしょうけど)

 


確か小説版がアニメの変な所を結構フォローしてたと聞いてたんですが、そう言えばAGEの小説版は読んで無かった。その前までのはガンダム小説も全部読んでたのですが、確かこの辺で、もうガンダム全部を追っかけるのはもういいかな?みたいな気分になっちゃった記憶が。

 

それはともかく、この辺は買うだけ買って全く読んで無かったので外伝含め、しばらくAGE関連続けて読んでいこうかと思います。

機動戦士ガンダムAGE -First Evolution-(2) (角川コミックス・エース)

機動戦士ガンダムAGE -First Evolution-(3) (角川コミックス・エース)