MOBILE SUIT GUNDAM AGE -Final Evolution-
漫画:ばう
刊:角川書店 角川コミックス・エース 全1巻 2013年(連載2012-13)
☆☆☆
2部「アセム編」に続いて3部「キオ編」のコミカライズ・・・と思いきや1話でキオ編の最後だけやって4部の「三世代編」です。まあ3部4部は基本地続きでしたので、要はAGE-3の活躍は飛ばしてAGE-FXがすぐに出てくる感じです。
作者は2部の人と同じながら、そっちはニュータイプエースでの連載でしたが、最後のこちらはガンダムエースの方に移ってきての完結編。単行本1冊分なので、サブキャラはほとんど触れずにアスノ家3人とゼハートの描写に終始。ドラマの軸がブレないので逆に読みやすい。
あと何気に絵が凄くアセム編の初期の頃と比べると上手くなってる感じで、あまり違和感無く読めました。
1話目のキオ編の火星につれていかれて、ヴェイガン側のボス的存在のイゼルカントの意図を聞かされるキオ。おじいちゃんに散々聞かされてきたヴェイガンは悪魔だ、あいつら滅殺すべし、という今までの教えに疑問がついてしまって、キオはどうしたらいいかわからなくなる、というドラマは定番なパターンではありつつ面白い要素。
敵も実は人間だったから不殺どうのって方向はまあガンダムだと結構毎回微妙になるのですが(「種」のキラしかり「08」のシローしかり)要はおじいちゃんに散々洗脳されてきたキオが、自分の目で見て、自分の頭で考えるようになる、みたいな所は結構面白い部分だと思います。右翼とか左翼とかに重ねちゃうと流石に行きすぎですが、誰かの教えをそのまま鵜呑みにするんじゃなくて、自分で考えろよ、っていうぐらいの所で。
ただこれ、イゼルカントも優勢種だけを行き残させて理想の世界を作ると言うプロジェクト・エデンの事はキオにも話してない。敵の言う事も鵜呑みにしちゃいけないよ、という辺りを残してある辺りが結構いじわる。
で、そこを引き継ぐのがゼハートになるわけですが、こいつの小物感がやっぱり面白いなと。その理想理念に共感したとかじゃなくて、もうここまで部下とか散々殺して来ちゃったから今更もう後戻り出来ないんだよ、というヤケクソ感が凄く醜い。でも、こういうのもまた人間だよね、と思えて嫌いになれない。まさしく4人目の主人公キャラという感じがして、総集編OVA「メモリーオブエデン」でゼハートを軸に据えたのは良かったと思う。近々見返そうかな。
ただ、そのゼハートを止める役割くらいにしかなってないのがアセムの微妙な立ち位置にしかなってなくて、フリット、アセム、キオ、ゼハートそれぞれ対比となるようなキャラが上手く配置されずに、結構しっちゃかめっちゃかになってるんですよね。そこもある意味ガンダムらしいっちゃらしいんだけれども。まあわかりやすくはないわな。
一応、無理矢理ラスボス的な存在としてヴェイガンギアとか出してきて、パイロットはこいつ誰でしたっけ?イゼルカントのクローンとかだったかな?(漫画版じゃ名前すら出て来ません)フリットじいちゃんがキオに諭されて過ちを認めて本当の英雄になる、という形でまとめてますが、やはり強引なのは否めず。
TVシリーズの方でも、まとめきれないなら1クール分くらい延長しますか?とサンライズ側から打診したけど、日野は断っちゃったんですよね。そこはもう最初の目的である、新しい子供達にガンダムを楽しんでもらうという目的はこれ以上あがいても無理だなと、自分でもわかっちゃってたのではないかと。
少し引き伸ばして、いくらかは作品として形を整えても、それは最初の目的とは違うものだし、上手く行かなかったものはきっぱり見切りをつけてしまえるというビジネス的な判断ありきで、そこは日野らしさかなぁとも思ったり。
色々と上手く行ってないな、というのも見えてしまう作品ですが、これはこれとして部分部分で面白い所はあるし、案外嫌いにはなれない作品です。
こうしてコミカライズ版で振りかえってきたら、TVシリーズまた1から見返したくなってしまいましたもの。これに限った話じゃないけど、BD揃えたんだけど一度も見返してないですし。まあとりあえず総集編くらいにしてそれはいつの日にかでも。
次は外伝「トレジャースター」です。
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