僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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ブラック・ウィドウ:イッツィ・ビッツィ・スパイダー

ブラック・ウィドウ:イッツィ・ビッツィ・スパイダー (ShoPro Books)

BLACK WIDOW:THE ITSY-BITSY SPIDER
著:デヴィン・グレイソン、グレッグ・ルッカ(作)
 J・G・ジョーンズ、スコット・ハンプトン(画)
訳:吉川悠
刊:MARVEL 小学館集英社プロダクション ShoProBooks
アメコミ 2020年
収録:BLACK WIDOW(1999)THE ITSY-BITSY SPIDER #1-3
 BLACK WIDOW(2001)BREAKDOWN #1-3
☆☆☆☆★

 

ブラック・ウィドウ単独誌、日本初上陸!

ソ連のスパイから転身し、アベンジャーズの一員となった
ブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフ。
完璧で冷静なプロフェッシュナルとしてその名を轟かせた
ナターシャの次なる相手は、もう一人のブラック・ウィドウ、
イリーナ・ベロバだった。自分こそが真のブラック・ウィドウ
であることを証明するために、イリーナは手段を選ばず
ナターシャに向かっていく。若く、自分に匹敵する才能を持つ
イリーナに対し、ナターシャのとったある秘策とは……?

二人のブラック・ウィドウの初対面秘話が、
今ここに明かされる!


やはり日本も映画「ブラック・ウィドウ」来年に延期になってしまいました。状況が状況だけに仕方ないとは言え、今年はMCU映画は1本も無しという状況に。MCUじゃないけどせめて「ニューミュータンツ」くらいは公開してくれないかなぁ?帯の「11月6日公開」の文字が悲しくなってきますが、それはさておき、映画に合わせての刊行だったこちらはお先に出ました。邦訳版では初の単独誌です。

 

映画にも出てくる、もう一人のブラック・ウィドウ、イリーナ・ベロバ(映画だとベロワ読み?)との戦いを描いた1999年と2001年のミニシリーズを収録。

 

その前にまず解説書が圧倒的に凄い。ナターシャ初登場の60年代から10年づつ約60年分のブラック・ウィドウの歴史を解説。もうこれだけで120点つけられる内容で、ここまでのウィドウを語る上で最高の資料になってます。ファンサイトのデータベースの間違いを指摘してるくらいで、これ本当に調べつくして書いた感じがして本当に凄い。

 

私のウィドウとの出会いは90年代の小プロX-MEN。第二次世界大戦時に、ウルヴァリンキャプテンアメリカ、ブラックィドウが共闘していた、っていう話があったんですよね。ミニシリーズとかじゃなくて、普通のレギュラー誌で1話だけ描かれてた部分だったんですが、その辺もちゃんと解説書で語られてるし!いやもう凄く嬉しい。たまにアメコミ関連記事で語ってますが、原書で無く日本語版だけ追ってても、あの話と繋がった!みたいなの結構あるんですよね。うん、アメコミ楽しい。

 

でもってブラック・ウィドウ。これだけ歴史のあるキャラでありながら、単独誌としては前半収録の「BLACK WIDOW:THE ITSY-BITSY SPIDER」が初のミニシリーズなんですね。1冊完結・単発のワンショットとか、他の作品との併録みたいなのでは過去にもあったようですが、看板としては1999年になってようやく初作品。

 

先に「インヒューマンズ」でデビューしたイリーナとの初対面。(インヒューマンズ序盤くらいしか読んで無かったのでせっかくですしその内読もうかと)ロシアのスパイ養成機関レッドルーム出身ながら、祖国を裏切りアメリカのエージェントになったナターシャに対して、自分の方が上だと、自分が真のブラックィドウなのだと露骨にライバル心むき出して対抗してくる若きイリーナ。


くぐりぬけてきた修羅場の数が違うと、そこを軽くあしらおうとするナターシャの老獪さがカッコいい。

 

マーベル映画、というかアメコミ映画全般かな?自分と対になる、自分の影みたいな存在と戦うって定番の流れですが、単純にアベンジャーズのキャラバリエーションでセクシーな女スパイみたいな位置から、単独で一人立ちするのはやっぱりこういう展開が必要だよね、っていう感じが良いです。

 

キャラの特徴として、スパイ物としての物語で前半の「イッツィ・ビッツィ・スパイダー」はエンタメっぽい感じですが、個人的には後半の方の「ブレイクダウン」編の方がメチャメチャ面白かった。

 

まさしくブラック・ウィドウはヒーローじゃないんだ、あくまでスパイ、道具として使われる存在なんだって覚悟を決めているナターシャの悲哀、そしてそこをまだ理解せず、自分がいかに優秀かを証明したいイリーナの若さ。で、そんな彼女をも救ってあげたいと願うナターシャ凄くないですか?

 

だってナターシャから見たらイリーナって結構うざったい存在ですよ?任務も程ほどにライバル心むき出しで事あるごとに噛みついてくるんだから。敵国でありながら、どこか自分の後輩として危なっかしいイリーナを見て、彼女に自分のような道を歩んでほしくない、あるいは一流のスパイとしての矜持を伝授してあげたい、みたいな部分がグッと来ました。

 

いかにもアメコミっぽいギラギラした感じの濃いアートの前半に対して後半はどこか冷たい感じのするペイントアート、この対比も凄く良い。

 

この時期はデアデビル/マット・マードックと恋仲にあった時期のようで、前半後半共にデアデビルが親密な関係性として出てくるのですが、なんだよこいつ、とついつい言ってしまいたくなる感じなのも色々な意味で面白いです。
いやデアデビルも「ボーンアゲイン」「マンウィズアウトフィアー」とか超名作ですよ。でも視点を変えるとというか、ストーリーや描く人が違うとこんなキャラになっちゃうのか、なんて思ってしまえるのもまたアメコミの面白さ。

 

ナターシャとイリーナの容姿を入れ替えてしまうとか、スパイが任務によって顔変えるとかそんなレベルじゃなくない?みたいなとこもありつつ、ドラマとしては後半の「ブレイクダウン」編、メチャメチャ面白かった。

 

映画に合わせてこういう面白い作品を紹介してくれてありがとうと、少しは映画が待ち遠しい気持ちを紛らわす事が出来ました。


一応来月に毎度おなじみ「プレリュード」編も刊行予定なのですが(こっちは延期しないのかな?)プレリュード部分は期待して無いけど、旧作収録で何が入ってるのか楽しみです。レッドガーディアンは全然知らないキャラなので、その辺の話入ってくれてると嬉しい。

 

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