僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

孤独なふりした世界で

孤独なふりした世界で [DVD]

原題:I Think We're Alone Now
監督:リード・モラーノ
アメリカ映画 2018年
☆☆☆☆★

<ストーリー>
人類が死に絶えた世界で生きながらえたデル(ピーター・ディンクレイジ)は、無人の町で空き家を整理して回り、死体を弔いながら自分だけの楽園を築いていた。ある日、謎めいた少女グレース(エル・ファニング)が町にやってくる。グレースは自分以外に生存者がいたことを喜び、デルの世界に入り込んでくる。しかしデルは、彼女を受け入れようとしなかった。


面白そうなタイトルと、エル・ファニングが割と通好みの面白い作品を選んで出演してるような印象だったので、あまり情報も無いままに借りてみた。

 

主演が小人症俳優のピーター・ディンクレイジ
X-MENでミュータントハント用巨大ロボット・センチネル開発者のボリバー・トラスクとか、アベンジャーズでもハンマーを失ったソーが新たな武器のストームブレイカーを作りに行った惑星で、巨大なドワーフだったりした人だ。小人なのに巨大ロボット開発したり、小人なのに大きかったりとマーベルはこの人を面白い使い方してますね。

 

ポスト・アポカリプスの時代っぽく、主人公以外は人類全滅したらしい。死んだ人は変に腐敗したりせずにミイラっぽくなってる。釣りで食料を確保してたりするので、人間以外の生き物はまだ残ってるのか、でも死体にうじがわいたりはしてない感じ。何故こうなったのか、現在はどういう状況なのか、この状況になってからどれくらいの期間が経ったのかはよくわからない。色々な描写から自分なりに考えるしかない。もし自分だったら発電機探すかなぁ?とか色々と想像してしまう。

いやもうこの状況がもうあまりにも私のツボ。「アイアムレジェンド」とかもそうでしたけど、この世界にたった一人、自分だけが生き残った、みたいな状況がもう私は大好きで、心の底からこういう世界にあこがれます。こんなシチュエーションになってみたいという憧れがもうメチャメチャあって、好きで好きでたまらん超絶ツボでしたこれ。

 

こんなご時世になっちゃったので、旅に出られず物凄くストレス溜まってるのですが、自分が住んでる所から遠く離れた知らない土地に一人旅するのが好きなのはこういう感覚に似てるからっていうのがあります。
自分を知ってる人が誰も居ない世界で、全てのしがらみから解放されて自由気ままに旅するってメチャメチャ楽しい。そこでケータイに仕事の電話が入ったりすると、もうクソほど腹が立つ。俺は解放される為にここに居るんだよ!何県も外れたとこに居るんだから勘弁してくれって思います。

 

それはさておき、もう最高に憧れて好きすぎるシチュエーションにもう目が離せませんでした。語りすぎず、説明もしすぎず、間のとりかたとかも最高。一体これは何が起きているんだ?みたいな緊張感がずっと続いて、見てるのは疲れますけど、これもうメチャメチャ好きな奴。

 

ピーター・ディンクレイジのビジュアルも凄くカッコいいし、「1600人が居る時の方が孤独だった」とか「ゴミを片付けると世界から混沌(カオス)が一つ減る」とかもうカッコよすぎる。1件1件、順番に遺体を片付けて行ったり、元は図書館務めで、借りっぱなしの本を回収して行ったり、もうトキメキが止まりません。自分もこうなりたい、こうしたい、みたいな感じで感情移入度MAXです。

 

もし自分だったら、とか考えるともっとダラダラしそうだなとも思うのですが、コレクター気質だったり、飽きずに黙々と単純作業をするのも性に合ってたりする方なので自分と彼が同じかどうかはわかりませんが、凄くわかり味がありました。

 

ヒロインのエル・ファニングも、適度にうざさはありつつ、これくらいの関係性なら、つい心を許しちゃうかなというのもありますし、犬に対する嫉妬心とかも気持ちとしてはわからなくもない。(もし自分だったら彼女とも動物ともほどよい関係を作って行きたいとは思うけど)

 

もうこの映画100点じゃね?もう好きすぎる要素が大きすぎて最高!

 

・・・と2幕目までは思ってた。3幕目、ヒロインの秘密が明かされ、実はこの世界は・・・みたいになる所は正直ガッカリ。一気に醒めました。ここで納得出来るかつ面白いネタ明かしがあれば100点のまま終われたのですが、う~ん、正直残念。

 

意外と曖昧なままで、ガッツリ明かされるわけではないし、その点でも微妙でしたし、作品のテーマとしても、過去を背負ったまま生きるのか、或いは未来だけを見ていきるべきなのか?みたいな所だと思うんですけど、描き方がちょっと微妙かなぁと。

 

多分あれ、あまりにもな世界になちゃったので、生きていく上でも悲しみとか辛さのウェイトが大きすぎてしまうから、物理的に脳手術とか施して、そういう気持ちを排除した世界なんですよね?


嫌なことや嫌な気持ちを排除して、前だけ見て生きるっていうのもそれはそれで気持ち悪くないか?みたいな主張だとは思うのですが、そこはなんかオチとしてもテーマとしてもドラマとしてもちょっと微妙。

 

これ100点じゃね?からもう一気に評価はダダ下がりなラスト30分でしたが、それでも1幕目2幕目の90分が超絶好きすぎる。

 

良い作品だったなぁとは正直言いがたいのですが、それでも前半の圧倒的な魅力は捨てがたい。そこだけは本当に自分のツボをもう心からグイグイと刺激してくれてこんなに心地良い作品は他に例を見ない、くらい最高でした。


『孤独なふりした世界で』予告編

 

関連記事

エル・ファニング主演

curez.hatenablog.comピーター・ディンクレイジ出演

curez.hatenablog.com