僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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シークレット・エンパイア 1

シークレット・エンパイア1

SECRET EMPIRE 1
著:ニック・スペンサー(ライター)
 ダニエル・アクーナ、アンドレア・ソレンティー
 スティーブ・マクニーブン、ロッド・レイス、レイニル・ユー(アーティスト)
訳:秋友克也
刊:MARVEL ヴィレッジブックス
アメコミ 2020
収録:SECRET EMPIRE #0-4(2017)
 FREE COMIC BOOK DAY 2017 SECRET EMPIRE(2017)
☆☆☆☆

 

ハイドラに栄光あれ!

ハイドラの使者、その名はキャプテン・アメリカ
英雄の裏切りに、アメリカは崩壊の時を迎える!

 

という事で序章「ロード・トゥ・シークレットエンパイア」に続いて本編開幕。
プレザント・ヒル事件の顛末でコズミックキューブの影響により歴史改変がおこり、スティーブ・ロジャーズは元からハイドラ党の信奉者だった事になり、やがてはその党首の座につく事になる。一気にその勢力を増やし、遂にアメリカはハイドラが管理する国家になってしまった。

 

残されたヒーロー達は抵抗を試みるも、キャップの圧倒的な戦略の前にその半数は宇宙へ追放、残りの半分は地下に潜伏し、レジスタンス活動を続けていたものの、疲弊し、風前の灯になっていた、というような状況。

 

「ロード・トゥ~」の後からも個人誌の方で今に至るまでの流れが描かれたようで、正史世界のこれまでの流れの上での歴史改変というような感じになっているらしく、その辺が古くは「エイジ・オブ・アポカリプス」とか近年だと「ハウス・オブ・M」みたいにイベントとして急に別世界が提示されたというのとはちょっと違う感じ。まあ過去も改変されてるっぽいので似たようなものと言えば似てるけれども。

 

ハイドラ党ですので、いかにもな悪の帝国っぽさはありつつも、管理国家ながら経済とかは以前よりも上手く回ってたり、犯罪率も低くなったとか単純に悪に乗っ取られたとも言いきれない辺りがキャップらしくて面白い。

 

シビル・ウォーの第一次第二次どちらの時もそうだったけど、何だかんだ言っても、やっぱりキャップが居る側が正しい、みたいな感じがちょっとありましたが(最近はブラックパンサーがその役目を引き継いでる印象もありますね)じゃあその、常に正しいキャップがこういう位置に来ちゃったらどう?みたいな感じがして、とても面白い。

 

絶対的な柱が無い状態。シビルウォー1の時に対立したトニーは今は死んでる状態で、AIトニーがその代わり。シビル・ウォー2の時のキャプテン・マーベルは宇宙へ追放されて孤立して地球に戻りたくても戻れないよう追い込まれてしまう。
じゃあ頼みの綱のブラックパンサーは何やってるかと言うと、今回はアメリカ国内の問題なので、今の所は干渉無しらしく出番も無い(後半出てくるのかは私は知りません)

 

ホークアイとブラック・ウィドウが何とかレジスタンスをまとめているものの、キャップがこうなってしまったのには何か裏があるはずだとクリントはそれでもキャップを信じて救いの手を探し求めるものの、ナターシャはここまで来たら暗殺するしかもう手段は残されていないと、レジスタンスも二分してしまうと。

 

そうそう、ホークアイってキャップの信奉者みたいな部分があるんですよね。以前邦訳されてたホークアイの個人誌でも、キャップと一緒に戦ってると、自分が正しい事をしていると思えるんだよ的な事を言ってました。今回の作中で語られる部分では無いですけど、これって多分、ホークアイアベンジャーズに加入した時の事も大きいのかなぁと個人的には思います。

 

ホークアイって元は敵として登場して(そういえばホークアイは初出話が邦訳されてないな)その後改心してアベンジャーズに参加する事になるわけですけど、その時期って、BIG3とかもそれぞれに別の道に歩むみたいな流れになって、キャップだけがアベンジャーズを続けて、その時のメンバーがホークアイと同じく元ヴィランだったスカーレットウィッチにクイックシルバーでした。ヴィラン更生組チームみたいに世間に揶揄される中で、自分を信じてくれたキャップには心の底から恩義を感じてるんだろうな~と私は勝手に想像してます。

 

俺の知ってるキャップがあんな人間なわけがない、きっと誰かが入れ換わってるか洗脳されてるかなんだ、とどこまでも信じたいホークアイの姿が凄く良いし、逆にナターシャは、汚れ役をやるのがブラックウィドウであって、自分はヒーローではなくスパイだから、ここぞと言う時に覚悟を決められるのは自分しか居ない、みたいに思ってる感じが、こっちはこっちでまた良い。

 

それで面白いのが、キャップの暗殺が目的では無いにせよ、「シビルウォー2」で予言された、自分がキャップを殺す未来に向きあうという目的の為に、ナターシャについていくマイルス・モラレススパイダーマンとそれに付きそうチャンピオンズの面々っていうのも意外な感じで良いです。

 

キャップ信者と言えばのパニッシャーも普通にハイドラキャップ側についてたり、理由は不明なものの、オーディンソン(ソー)もハイドラアベンジャーズに居たりと、色々面白い。

 

2017年の作品というのもあるのかな?MCU人気もかなり極まってきた時期ですし、MCUのメインキャラが割と出番多いのはその辺の兼ね合いなのかなとも思うのですが、それでいて新世代キャラの扱いも大きいのは、読んでて非常にワクワクさせられます。特定のキャラが大活躍って程では無く、とにかく人数が多いので、ピックアップされても数ページ程度になってしまいますが、それでも新旧キャラが満遍なく出てくるのはとても楽しい。

 

邦訳だとこれまでもちょこっとは出てきていつつも、モブと大差無かったアイアンハートことリリ嬢がここに来てやっと結構な存在感を示してくれました。

 

あとはスコット・ラングもまた良し。ウルトロンと同化したピムに対して、(ピムのコンプレックス爆発も見所ではある)堂々と向き合う姿が素晴らしいです。

 

「あんたを見て思ったんだ。失敗しても立ち止まらない男がいるんだって。
 後悔しながらでも、正しいと思う事を続ける人間がいるんだって。」
「勇気づけられたよ。理想の自分への道には程遠かったけどな。
 そんなわけで俺には新たな目標になる誰かが必要だった」
「俺らみたいな人間はいつもベストな判断ができるわけじゃない」

 

今回の脚本、「アントマン:セカンドチャンスマン」と同じくニック・スペンサーなんですよね。やっぱりスコット・ラングのこの描き方最高です。

 

という所で後編も期待。どうせキャプテン元に戻るんでしょ?ってのは当たり前の話ですし、その中で個々のキャラクターがどう動くか?みたいな所を面白く描いてくれててとても良かった。

 

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