僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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ワンダーウーマン 1984

 


映画『ワンダーウーマン 1984』日本版予告 2020年12月18日(金) 全国ロードショー

WW84
原題:WONDER WOMAN 1984
監督・脚本・制作:パティ・ジェンキンス
原作:DC COMICS
アメリカ映画 2020年
☆☆☆☆

 

<ストーリー>
勇敢な女だけが住む島、セミッシラ。そんなセミッシラで生まれ育ったダイアナは、かつて島に偶然辿り着いたスティーブ・トレバーに連れられ外海へと飛び出した。スピード、力、頭脳の全てを持ち合わせていた彼女は、かつて仲間達と共に世界の危機を救った。しかし、その戦いの最中で、最愛の人であるスティーブを失ってしまう。そして、時は流れ1984年。その年、人々からの注目を一身に集める人物がいた。その人物とは、実業家であるマックス。人々の欲望を叶えるマックスだったが、実は、その裏ではとある陰謀が渦巻いていた。さらに、謎の敵であるチーターもダイアナの前に立ち塞がる。果たして、1人立ち向かうダイアナの運命は。
「MIHOシネマ」さんからの引用


ワンダーウーマン」単独タイトル映画2作目。一応DCEUとしては9作目になりますが、前作同様、時代的に「ジャスティスリーグ」とかよりもずっと前の話なので、世界観の共有とか他の作品とのリンク云々は基本的に関係無し。

 

マーベルと比べると、そういう作品間のリンクが無いのは寂しい感じもしますが、逆に言えばこの世界での最古のスーパーヒーロー的存在がWWなのか?なんて風にも考えられるので、それはそれでちょっと面白いかも。

 

80年代という事で、DCで言えばクリストファー・リーブ主演リチャード・ドナー監督「スーパーマン」1作目が1978年ですので、割と近い時期でもある、世界に降り立った最初の超人がその時はスーパーマンだったという所を、ワンダーウーマンに置き換えて考えてみたりも出来るので、その辺りも面白い部分かなと思ったり。結構、今回はスーパーマンオマージュ的な所もありましたしね。

 

つーか1984年ていうと、オタク的にはどうしても、ジョージ・オーウェルの「1984」がとても有名なので、今回はそこらへんが元ネタとして大きいのかなぁと想像してたのですが、モニター越しに世界を変革するみたいな所が共通点としてあるかなくらいで、そこまでガッツリとした元ネタとかではなかったっぽい。

 

じゃあ何で1984年なのかと思えば、監督がパンフで語ってます。今回は現代におけるワンダーウーマンの位置付けを描きたかったと。ただそこをストレートに今と同時代にせずに、暗喩や寓話として描きたかったので、今の時代に繋がる流れの源流として80年代を設定したという話でした。

 

なるほど、WW1作目が女性の社会進出・権利獲得の源流が第一次世界大戦にあったから原作とは違う形であの時代に設定してあるんだなとの見立てを私は前作の感想で書きましたけど、要は今回もそれと同じ作りになっている、という事だと思われます。

 

関係無いけどワールド・ウォー1とワンダーウーマン1ってどっちも「WW1」だったりするのか。

 

今回の敵のマックス・ロードはトランプっぽい要素もありつつ、1984年にはレーガン大統領の再任とかもあった年ですし、元は俳優が国を牛耳るというのも共通していますし、その辺りを大きく重ねている、という感じでしょうか。

 

で「虚構と真実」みたいな所で作品のテーマとして繋がってくる所で、ワンダーウーマンの愛称の一つでもある「スピリット・オブ・トゥルース」を描いた作品でもあるのだと。今回、やたら真実の投げ縄ばっかり使うのですが、テーマ的にもそこはあってるのかな?

 

ワンダーウーマンらしいアクションって何だろう?みたいな所を模索している中で、シルクドソレイユみたいなのが画面的にも映えるし、今回はそれで行こうってなったようですが(序盤のアスレチックアクションもそんな感じよね)、真実の投げ縄ってWWの基本のアイテムの一つですけど、そこまでアクションで多用するってイメージあまり無かったので、結構独特な路線で今回は来たなぁと思いました。水面蹴りみたいな体術も結構使ってて、個人的にはそっちの方が好きでしたが。

 

アイテムと言えばね、遂に透明飛行機登場ですよ。バットマンバットモービルみたいなもので、WWと言えば透明飛行機!みたいな部分もあるにはあるんですけど、初期の頃の面白アイテムみたいな印象の方が強くて、そこ拾うのか!ってちょっとビックリしました。

 

で、その透明飛行機でロマンチックな見せ場があるんですけど、ゴメンなさい、私は今回そこが全く乗れなかった。前作に出たスティーブ・トレバーが時代設定的にもう出れないなっていうのもちょっと可哀相ですし、何らかの形で出してくれるのはまあ良い。ダイアナの恋人としてトレバーは原作でも描かれてるキャラですしね。

 

たださぁ・・・こんなラブロマンスっぽい話、必要?確かに「愛と真実の使者」ですよワンダーウーマンは。でもそれって博愛とか慈愛とかそういうもっと大きい奴で、ラブとかそういう個人的な奴だったっけ?60年近く経ってるのに、未だに想いをこじらせてる姿とか正直見たくなかった(そのあとのラブシーンも)。ここはすごくガッカリして、ああ~今回の作品ダメだなと思ってしまった部分。

 

いや、大切な人としていつまでも特別な存在として残っているのは良いんです。「僕は今日を救う、ダイアナ、君は世界を救え」っていうのは超名セリフですよ。ダイアナとスティーブが前作と逆の立場になって、今の世の中を教える下りなんかも悪くは無い。でも、ラブラブな二人~みたいなの、え?こんなワンダーウーマン見たくなかったよ!と一気に醒めてしまいました。

 

テーマ的にはね、恋人の死という真実を受け入れて、また一つ成長したっていうのは話としてはわかるんです。ただこれもう半世紀以上経ってるのに大丈夫かこれ?あえてなのかもしれないし、時代描写とも重なるのかもしれないけど、男に依存してしまうような女、みたいに見えてしまって、うわこれ見たくなかったな、と思ってしまいました。

 

「自分の足で凛々しく立つ事」を軸に描いた「プリキュア」見て面白いなと思った私が過去に遡って「セーラームーン」見たら、そこで「どっかにいい男居ないかな~」とか言ってる姿を見てゲンナリしてしまったのと同じ感覚でした。「キャプテン・マーベル」見て、おお現代的でこれは良い主張で面白いなと思ったのに、これ見てまたガッカリ、みたいな。

 

ヴィランチーターの描き方も、これ「バットマンリターンズ」でのキャットウーマンと大差なくね?話はわかるけどちょっと描写が古いような・・・という気がした。いやこれ設定が80年代ですから、と言われればそうかもしれませんが。

 


あとはWWが「飛ぶ」事に関しても、「スーパーマン:スマッシュ・ザ・クラン」を読んだばかりというのもあって、人が空を飛ぶ事に関しての描き方の雑さだとか、そもそも「願いを取り消す!」だけで消せるんかい!というのも超絶に雑。(いや普通はそういうのって、そんな都合のいい事だけじゃないんだよ、反省したってもう遅いんだ、ってなる所に面白さがあるような)

 

良いシーン、面白いシーン色々ありました。ただ同時に雑だなぁとも。ああ、ゴールドアーマーに触れて無いな。アーマーの造形はともかく、羽がシールドになるっていうのはちょっとガンダム的なメカニックの面白さがありました。

 

今回は全体的には手放しで大絶賛っていう感じでは無い物の、否よりは賛の方がいくらか大きいかな、ぐらいかな・・・

 

と思った所!最後にやってくれました。

 

あくまでおまけ的な部分ですが、リンダ・カーター登場ですよ!。


次回への引きとかじゃないです。70年代のTVドラマ版でワンダーウーマンを演じた女優さん。彼女がアマゾン族の英雄でゴールドアーマーの本来の持ち主アステリアだったと。

 

TVドラマ版、私見て無いですよ。ゴールドアーマーも90年代の「キングダム・カム」で初出なので、実際にドラマでそのアーマーがあったとかではない。でも、ワンダーウーマン知名度を上げたのはそのTVドラマ版が大ヒットしたおかげ。(日本でも放送してたらしいですし)

 

原作本の何かだったかな?それとも他の媒体とかだったかもしれません。近年になってからのインタビューでリンダ・カーターが語ってたんですよ。

 

当時ドラマをやっていた時には、自分が女性の代表だとか、社会のロールモデルだとかそういう事は全く考えていなかったって。何でもいいから仕事が欲しくてやっただけで、コスチュームとかも正直恥ずかしかったみたいな事を。

 

でも、後になってから、とにかくありとあらゆる所の女性から、あのドラマがあったから私は頑張れたんだって、今の自分があるのはあたなのおかげなんだって感謝の言葉を山ほど言われたと。

 

そこで自分もワンダーウーマンが女性達にとっての目標・あこがれ、指針になっている本当に特別なアイコンなんだって改めて思い知らされたと。自分がその象徴なんだとは思わないけれど、そう思ってくれる人がこんなに世界中に沢山居るのなら、それは本当に光栄な事だと。

 

それと同時に、そこで現実の厳しい世界を生き抜いてきたあなた達こそが本当のワンダーウーマンなのよ、的な事を言っていました。

 

まさに今回の映画で言おうとしてる事もそれじゃないですか?
だからリンダ・カーターを最後に持ってきた。

 

「虚構と真実」がテーマなら、この映画も堂々と「これは映画であって虚構ですよ」と主張して、この先はあなた達の物語です、という作品にしてある。ここ、凄くないですか?そこに関しては1億点です。

 

そう、やっぱりヒーロー物はこうでないと、と思いました。映画の中でのリアリティを追求しまくったって仕方が無い、この映画のメッセージだけ受け取って、後はあなたがヒーローになる番ですよ、と。

 

ワンダーウーマン」、前作も凄かったですが、今回もまた凄い作品でした。

 

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