僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

映画 プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪

映画プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪(DVD特装版)

監督:志水淳児 脚本:井上美緒
日本映画 2015年
☆★

 

プリキュア映画18作目。春のオールスターズ映画としては7作目。TVシリーズ12作目「Go!プリンセスプリキュア」が初登場の春の新人研修映画。

 

コアなファンの間ではプリキュア史上でも最高傑作との呼び声も多く耳にする「Go!プリンセスプリキュア」ですが、それはTVシリーズの話で、こと映画に関しては恵まれなかったというのが正直な所。こちらの春のオールスター映画もファンの間では評価も低く、秋の映画もその時に語りますが、オムニバス映画になってて、そちらも残念ながらあまり評判はよろしくない。

 

前作の「ハピネスチャージプリキュア」が「ヒーローとしてのプリキュア」という、シリーズ的に見た時にプリキュアの第2期としての終着点みたいな部分があったと前回のハピのコンプリートブックの記事に書きましたが、要はここが次の転換期でもあったわけです。Goプリからがプリキュアにおける第3期みたいな形になるのですが、そこはTVシリーズでの話なので、またコンプリートブックの時にでもその辺は語ろうかと思います。

 

とりあえずはまずこちらのオールスターズの事から。
DXシリーズ3部作、NSシリーズ3部作という形で、一応の区切りが前作でつけられました。各作品の感想を読んでいただければ、その経緯と遍歴みたいなものを語ってますので、詳しくはそちらを参照にしていただければとは思いますが、おおざっぱに言ってしまえば「お祭り」作品として始まったオールスターズDXが、毎年の恒例として定番化していく中で、ただのお祭り騒ぎではなく、きちんと作品としてテーマ性を持たせた意味のあるものにしていこう、という変化がNSだったわけです。

 

ただし、あくまで「プリキュアオールスターズ」と銘打ってる以上、歴代のプリキュアが全員出さなければならないという縛りもあるので、毎年4~5人くらい増えて行くプリキュアを裁き切れないというのはNSの時点でも見え隠れしていました。1作目の時点では14人だったプリキュアが今作ではもう40人です。倍どころじゃない。

 

40人を裁き切るストーリーって素人目に見ても流石に無理があります。しかもプリキュア映画はメインターゲット層の未就学児の集中力を考えて70分程度と言う短い尺でもある。ここまで来ると、ストーリー性とかではなく、原点に立ち返ってまずはお祭り映画であるべきじゃないかと、まさにタイトルにある通りのお祭り=「春のカーニバル」になるわけです。

 

確か「スマイル」のキュアマーチ緑川なお役の井上麻里奈だったっけかな?皆に平等に出番作るなら敵と戦うとかじゃなく、オールスターズはプリキュア全員で運動会をやるのはどう?とか、過去のインタビューで声優さんに心配されるくらいこの辺の問題は誰の目にも明らかでした。

 

今回の春のカーニバルの企画アイデアはおしゃれOPで有名な「ハト映画」も担当していたギャルマド・ボグダンという東映のプロデュサー。プリキュア独自のコンテンツの魅力として、ファン内外にまで毎回話題になるEDダンスの部分に注目。プリキュア達が歌って踊る姿だけでもメインターゲットの子供達は楽しいし喜んでくれるんじゃないか?というような所から今回の映画はスタートしたと。


ディズニー映画のミュージカル要素も子供達には人気だし、プリキュアでもそういった作品を作れるはずだし、それが新しい映画になりえるという発想です。

 

ただ、アニメでミュージカルって相当に手間がかかるんですよね。それ用に歌を作って、しかもアニメで歌に合わせて踊る作画も必要。プリキュアTVシリーズのEDCGは2~3分程度の物を半年かけて作ってるのに、同じ半年で映画を作ると。コンセプトとしてはわかりますが、映画1本分とか普通は3年とか4年とかかけて作るのに、流石にそこは無理を通す感じなのは想像できます。

まあ今回の反省点を生かして次のオールスターズで実際それやっちゃうわけですが(しかも出来も良いですし)、今回の時点では出来る限りの事をやってみようという形でした。

 

まず歌は過去シリーズのOPやEDをそのまま流用して使ってしまえと。オールスターズなんだからそこで過去作品のフォローもできると。今回、力の入ったミュージカルシーンって2曲だけなんですよね。クライマックスのGoプリの「イマココカラ」と、今回の映画ゲスト枠のオリエンタルラジオ演じるメイン敵のオドレン、ウタエンの盗賊コンビの2曲。

 

一応、序盤の「39フェアリーズ」もそうではあるので3曲と言えば3曲かも。作画的にはいかにもローカロリーで、ややとってつけた感もありましたが。

 

オリラジの部分は2Dアニメ。Goプリは3DCGと、それぞれのチームに山場的な見所を分担して作ってもらったのがよくわかります。

 

・・・でもね、プリキュアの映画を観に来てるのに、オリラジのミュージカルなんて誰が喜ぶんだこれ?って事ですよね。しかも力が入って出来は良いんだこれが。

 

そもそも何でプリキュアは定期的に芸能人とか使うのかと言ったら、もうそれは宣伝の為ですよ。ただのアニメ映画だったら一般マスコミは報道なんかしません。でも芸能人が入る事でマスコミも取材に来る。そういうプロモーションとして芸能人を使ってるわけです。オリラジのファン層も取り込むとかそういう事ではありません。マスコミに取り上げてもらう事でプリキュアというコンテンツを世間に浸透させるというのがプロモーション戦略です。だから芸能人なんてチョイ役でいいのに。

 

クライマックスに流れる「イマココカラ」の方は流石に抜群に素晴らしいです。
「辛い時もグッと頑張るのは、いつもあきらめない背中見てたから」っていう先輩プリキュアを引き継いで行くというオールスターズらしい歌詞になってて、本当に泣けてグッと来る曲で私も大好きです。(これ、EDだとモーニング娘が同じ曲を歌うのですが、そっち方面に明るい人ならそこも継承を感じるんだろうなというのも何と無くはわかります。私はその辺詳しく無いですが)


『映画プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪』主題歌「イマココカラ」 ダンス映像

 

過去曲が流れるとこも、決して悪くは無いんですよ。EDにCGが採用されて無かった時期の初期キュアがCGで踊るのも見どころですし、ただの流用っぽく見える感じはありながらも、追加戦士加入前の前期EDをフルメンバーで見れる「フレ」とか「スイ」とかね、そこは凄く嬉しい部分。ただこれ、ただCGダンスを流すんじゃなくて、ほぼ止め絵で日常カットが入ったりしてじっくりは見れないのがちょっと残念ではある。

 

映像特典でフルダンスバージョンとかソフトに入れてくれたらそれはもうお宝映像として貴重なものになったと思うのですが、残念ながらそんなサービスは無し。

 

日常カットもね。それ単体で見る分には凄く良い。TVシリーズのその後的なカットもあったりして、白いピーちゃんとか涙物です。川村女神作画の今の絵のプリキュア5とかここはここで凄く見所はある。

 

コンセプトはね、間違って無いし一つ一つのピースで見る分には結構「おっ!これ良いじゃん」っていうとこある。でも、まとめ方というか繋ぎ方というか、一つのまとまった映画として見ちゃうと、どうしてもう~ん・・・とならざるを得ない。


Mステみたいな曲と曲の間のMCは最低だし、しゃべらないキャラの扱いがものすご~く酷い。なぎさとほのかが喋って、その後にひかりも喋ろうとするけど遮られるとか、扱いとして酷いと思うし、そこは制作の都合なのでっていうのが透けて見えてしまうってのがとにかく良くない。プリキュアと妖精を誘導して別れさせてアイテム奪うっていう作戦も物凄く雑。ご都合主義展開に見えちゃう。

 

なんだかな~って思ってると、最後にいつものオールスターっぽいアクション展開が少ないながらもちゃんとあって、正直言ってそこは面白いんですよね。オールスターズ定番のマリンとハッピーのコメディリリーフ展開とかメチャメチャ楽しいわけですよ。そこが結果的に、いつもの奴が見たかったなぁっていう印象になってしまう。

 

うん、今回はなんだか普通の感想に終始しちゃいました。

 

前作で一区切りついた所での、新しい道を模索している最中の作品であったと。あ、そういえば今回は5の映画以降ずっと続いてたミラクルライトがありません。プリキュアと言えばこれ、と言われるくらいの代名詞の一つになったものを、あえて廃止しました。代わりに子供達にプレゼントされたのがドレスアップキーのプリマヴェーラキーですが、次の作品以降またミラクルライトが復活して、以降またずっと続いてますし、映画限定のアイテム系もそれはそれで前売り特典とかになっていきます。次のステージに進もうとしたものの、残念ながらあまり上手くは行かなかった、という所でしょうか。

 

これはインタビューで言ってたとかでなく、勝手な想像ですが、TVシリーズの方でシリーズディレクターを務めた田中裕太監督としては、映画の方は別スタッフなので、この結果に少し歯がゆい思いをしたのではないかと。後にTVシリーズでなく映画の方を
監督する事になって、「映画スタプリ 星のうたに想いをこめて」で、ミラクルライトをコンサートライト、サイリウム的に使うっていう事をやってるんですよね。「春のカーニバル」を見て、自分だったらこんなミラクルライトの使わせ方もあるんじゃないかって考えたのかなぁ?と勝手に想像してます。

 

恐れず新しい事に挑戦するって、プリキュアにおいてはシリーズの理念みたいな所でもありますし、こういう挑戦を否定しちゃうのもね、それはそれで違うと思うし、過渡期における価値のある挑戦だった、と歴史的な面からは言えるかなとは。

 

まあでも数あるプリキュア映画の中では、単純に一つの作品として見た場合、割と残念な部類というのが正直な所でしょうか。

 

いや、お前は「春カニ」の何たるかを全然わかってない!この作品の本当の見所や価値はこういう所にあるんだ!っていうのがあれば是非教えてほしい所ではあります。


といった所で次回は秋映画の前にGoプリのミュージカルDVDです。


『映画 プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪』予告編

 

関連記事

curez.hatenablog.com

curez.hatenablog.com