僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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GUNDAM EXA

GUNDAM EXA(1) (角川コミックス・エース)

ガンダムエグザ
漫画:ときた洸一 
シナリオ:千葉智宏スタジオオルフェ
刊:角川書店 角川コミックス・エース 全7巻 2011-14年
☆★

 

わたしの大嫌いなときた×千葉のガンダム漫画。
ダムエーで連載が始まった時は、過去のガンダム世界が全てデータとして処理。○○の世界を次々と巡る、みたいな設定だけで、おいおい勘弁してくれよ、と正直思ったのですが、実はこれ、ゲームの「ガンダムVS」シリーズのコミカライズ版だった、というのが判明して、ああまあそういう事ならまあゲームだからデータだわな、と少しは納得出来ました。

 

ゲームの方は、おおまかな設定があるだけで、基本的には対戦ゲームなので、そこをベースに漫画になるようストーリーやキャラを作った、という感じでしょうか。

 

ガンダム版「ディケイド」的な事をやりたいんだろうなというのはわかったものの、各世界があまりにも薄っぺらでゲンナリするし、MSV的なきちんとした活躍が描かれていないモビルスーツ。例えば1.5(アイズ)ガンダムとかプロトマーク2とかそういうのの活躍が描かれるだけは見所と言えるかな?ぐらいに思ってた所、早々にゲームオリジナルのエクストリームガンダムが主人公機かつライバル機になってしまって面白味も半減。マイナーMSの出典元がちゃんと書いてあるのは良い部分でしたが。

 

あ、因みに私は元のゲーム一切やってません。ゲームをやってる人なら、自分が動かしてた機体がこうやって漫画でも活躍の姿が見れて嬉しい、みたいな感覚もあるとは思うので、あくまでゲームやってない人の視点としてです。

 

でもさ~、例えゲームやってて、プレイヤー=主人公のレオスなんだとしてさ、それが安易な感じのイケメンキャラになってて、ナビゲーター役のヒロインが可愛くってそれとイチャイチャするとかさ、それ楽しいのかな?私はそういうオタクの妄想みたいな奴、大嫌いなのです。

 

ゲームがゲームだけに、目的が最強のガンダムを目指すっていうのは話としてはわかる。ただ、理解は出来るけど、「最強のガンダム」とかもう私は恥ずかしいやら情けないやら、最強のガンダムとか下らなすぎて反吐が出そう。

 

その上、世界観の違う各ガンダムシリーズを「人類の進化」みたいな所を軸に繋げようとする始末。ニュータイプとかイノベイターとかを人類の進化として戦闘力が凄い奴が進化した人間なんだ、みたいに話が進むものだから、ひえぇ~勘弁してよ、という感じです。


本当のニュータイプというのは戦争なんかしないで済む人間だって言ってやりたくも
なりますわ。

 

ドモンとのバトルで格闘進化。ヒイロとのバトルで射撃モードに進化、とか、ああはいそうですか。

 

ただ、序盤から「00F」のフォン・スパークがちょっと不穏な動きを見せる。やっすいキャラクター付けで本編のフォンもそんなに好きにはなれなかったキャラクターですが、この作品で言えばジョーカー的なワイルドカードとして、ちょっと面白い存在として描かれます。


主人公のレオス、ヒロインのセシア、ライバルのイクスとこの漫画のオリジナルキャラに全く肩入れ出来ない状態でしたので、もしかしたらフォンがこの下らない世界をブチ壊してくれるのか?とちょっと期待してしまいました。

サブヒロインのピーニャは悪く無かったけど、結局はただの駒としてしか扱われなかったのが不憫です。

 

で、実際にフォンが本来は「00」世界のキャラにも関わらず、「EXA」世界をもかき回す部分は面白く読めました。フォンにはサポート役の874も居ますし、いわば裏主人公的な存在にもなりますしね。

 

メタ的な所で言えば、ときたはボンボン時代から色々なガンダムマンガを描いてきた人ですので、その人が改めて各作品を別視点で描くって言うのは勿論面白い要素ではあるんです。ガンダムアスクレプオスとか、過去作を読んできた人はわかるよねっていうネタは面白いし、まさかの「SDガンダム英雄伝」まで入れてくる辺りは予想外で面白い部分ではありました。

 

でも、そもそもときた洸一の漫画って話が1ミリも根本的に面白くないのよ。それは千葉と組んだ各外伝シリーズも同じ。肝心のバトルもきちんとしたロジックのある戦いとかは描いた事が無い人なので、ただカッコつけたポーズで「ナントカビームライフルだ!」とか叫ぶだけ。車田漫画かよ!って言いたくなるただのカッコつけバトル。いや私車田漫画好きですけども。ガンダムでそんな事やったって面白くないよ、という話です。

 

基本的にSDガンダム以外の奴はどのガンダムも全部私は見たり読んだりしてますよ。すでに終了した過去のシリーズが再度取り上げられるのは決して悪くない。ときたじゃなく千葉の方の「ブルーディスティニー」でマリオンのその後を千葉本人がこうして描くっていうのは確かに面白い要素です。でも、話が面白くないんだこれがまた。

 

読んでいて、お!今度はこの作品の世界か!という所だけが面白くて、読み終わるとその度に「う~ん・・・」みたいなのの繰り返しです。

 

そんな中で「クロスボーンガンダム」の世界が来た。
え?レオスはドゥガチ側につくの?ああ、なるほどバイオ脳を調べたかったのか、だったら「スカルハート」のアマクサ編の方がニュータイプの再現で話としてはそっちの方が合うのでは?ただいきなり外伝のスカルハートよりはまず本編のあくまで「クロスボーンガンダム」の世界でないと難しいか。


くらいに思ってたら、流石はトビアです。「僕はニュータイプが人類の進化だとは思いません」と、ちゃんとクロスボーンらしい事を言ってくれたのでした。え~っ!ちゃんと千葉わかってんじゃねーか。なんだよ面白いじゃねーかと。

 

更には何本か間に挟んで「∀ガンダム」の世界へ。闘争本能に従う者こそが!というギンガナムの主張がまさにこの「ガンダムEXA」の事のようで、メチャメチャ面白い。

 

いや、やっぱり富野なんだなぁと。(クロボンは実際の所富野成分より長谷川成分の方が強い作品ではあるけど)どの作品も似たりよったりな事をやってた中で、富野はこうやってみると、違う事をやっていたのだと再確認出来ました。

勿論それはガンダムの生みの親のオリジナルクリエイターだからであって、他の有象無象の作品はあくまでガンダムのフォロワー作品と言うか、子供とか孫みたいなものだからそこは仕方ないとは思う。でもこういう所に差がちゃんとあるんだなと。

 

欲を言えば今回のファーストは「オリジン」基準でやってるんだから、そこは安彦成分を出してほしかった。やっさん的なニュータイプもジオニズムもただの危険な選民思想。どっちも同じ穴の狢で気持ち悪いよ、っていうのをやってくれたらいいのに。そこら辺が出来ていないのがただの表層的な設定しか見て無くて、各作品ごとにある根っこの部分を上手く作品に絡められていたら本当に面白い作品になりえたのになぁと凄く残念です。

 

クロボンにしろターンエーにしろ、その作品の言葉とかに合わせただけであって思想性みたいな所まで本当に踏み込んだわけではなかった、というのがなんとなく見えました。戦後として「ガンダムX」とかは見事なくらいにカチっとハマったけど、そこはやっぱり設定なわけで。

 

で、結局オチとしてはやっぱりこの世界はゲーム世界でした、みたいな事が明かされて、次作の「EXA VS」に続く。

 

この作品はゲームじゃなく漫画ですので、流石に実はゲームを動かしていたのはあなた自身だったんだ、的なメタ方向には流石に振れず。プレイヤー=読者とかの話は流石に難しいか。面白くなりそうにもないし。

 

なんか続き読むのメンドくせーな、と思っちゃうけど、フォンの顛末は気になるので頑張って次も読みます。「AOZ」の世界には行くかな?ダムエーでの展開じゃなかったけど、個人的には2作目の「刻に抗いし者」とか正しくお約束をやるアップデートされたガンダム感が凄く好きだったりします。

GUNDAM EXA(7) (角川コミックス・エース)

 

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