SPIDER-GEDON:EDGE OF SPIDER-GEDON
著:ジェド・マッケイ、ロニー・ナドラー、ザック・トンプソン、
ジェイソン・ラトゥール、アーロン・クーダー、クリストス・ゲイジ、
カレン・バン、ニラ・マグルーダー、ジェームズ・アスマス、
ライアン・ノース、ジョフリー・ソーン(ライター)
ジェラルド・サンドバル、アルバート・アルバカーク、トンチ・ゾンイッチ
アーロン・クーダー、ウィル・ロブソン、マイク・ホーソーン、
スコット・コブリッシュ、ハビエル・ブリード、シェルドン・ベラ、
ホアン・ゲデオン、マーク・バグリー、デビッド・ウィリアムズ、
トッド・ハリス(アーティスト)
訳:秋友克也
刊:MARVEL ヴィレッジブックス
アメコミ 2021年
収録:EDGE OF SPIDER-GEDON #1-4(2018)
SUPERIOR OCTOPUS #1(2018)
VAULT OF SPIDERS #1-2(2018-19)
☆☆☆☆
絶対の危機にスパイダーマン達は再集結を果たす!
スパイダーアーミーを招集せよ!
『スパイダーゲドン』前日譚!
スパイダートーテムの力を受け継ぐ者達を喰らう吸血鬼「インヘリターズ」一族の復活を受け、かつて彼らと戦った「スパイダーアーミー」が再集結される事になった。
多元宇宙から呼び寄せられた顔ぶれとは……。スパイダーアーミー召集の過程を描いた『スパイダーゲドン」前日譚。わざわざ“マンガ風”に描かれた特撮版スパイダーマンの“続編”とも言うべき作品から、映画版で話題となったペニー・パーカーの主演エピソードまで、個性あふれる短編を多数収録!
という事でスパイダーゲドン前日譚オムニバス「エッジ・オブ・スパイダーゲドン」です。
■エッジ・オブ・スパイダーゲドン #1
ジェド・マッケイ(作)ジェラルド・サンドバル(画)
スパイダーパンク編。
イギリスが舞台でスパイダーマンが反攻の象徴みたいになってる設定が最高に面白い。この世界だとキャップがキャプテン・アナーキーになってて、未来から征服者カーンが何故か企業戦士みたいになって来訪。
スパイダーマンの版権を管理して利益を出しているようで、何故キャップよりスパイダーパンクの方が象徴になってるのか問うと、老いさらばえて落ちぶれて死んだから、若くして死んだスパイダーマンの方が象徴として商品になるっていう皮肉が抜群。一発ネタに近いけど、コンセプトの勝利。100点。
■エッジ・オブ・スパイダーゲドン #2
ロニー・ナドラー、ザック・トンプソン(作)アルバート・アルバカーク(画)
ペニー・パーカー編。
映画「スパイダーバース」で可愛くアレンジされてましたが、原作のスパイダーバースとこちらは思いっきり「エヴァンゲリオン」リスペクト作品。
エヴァまんまのSp//drは前作でも出てましたが、今回はヴェノムベースのVEN#mが出てきて暴走、エヴァどころか「AKIRA」みたいになってくる。展開とかドラマとしても日本のアニメが好きでああいう路線をやりたいっていうのが凄く伝わってくる一本。アニメ版みたいに可愛くはないけど面白い。
■エッジ・オブ・スパイダーゲドン #3
ジェイソン・ラトゥール(作)トンチ・ゾンイッチ(画)
スパイダーベン&ピーティ編。
ピーターがより幼く、ベンおじさんがヒーローとしてコンビを組んで活躍している世界なものの、なかなか上手く関係性が築けないでいるという結構シブイ設定。
ベンおじさんもね、ピーターの事を心から愛してたし大切に思ってたけど、若い子供の感覚の全てを理解出来ないでちょっと困ってたのはオリジナルでも多分変わらない部分なので、その辺をクローズアップしてあるのが面白い部分。
■エッジ・オブ・スパイダーゲドン #4
アーロン・クーダー(作・画)
ノーマン・オズボーン版スパイダーマン編。
スパイダーゲドン本編でも全く協調性が無く、一人自分の目的の為に動いて話の途中で離脱してましたが、そりゃあグリーンゴブリンとは相入れないわな。この世界ではピーターがオズコープの悪行を暴こうとしたものの殺されて、ハリーがピーターの意思をついでる様子。その行動が遂に暴かれた時・・・という所でスパイダーゲドンに続きますが、本編見ただけでは何こいつとしか思わなかったキャラが、実はこうだったというのは実にサイドストーリーっぽい。
■スーペリア・オクトパス #1
クリストス・ゲイジ(作)マイク・ホーソーン(画)
スーペリアオクトパス編。
NYじゃなくLAを拠点にしてるっぽい。本人曰くLAにはロクなヒーローが居ないという事ですが、実際A級ヴィランからヒーロー転向した超天才なので頭一つ抜けてる感じが否定できない。元ヴィランらしく憎たらしいんだけど、言ってる事は正しいみたいなの面白いキャラクター付けだと思います。
ゲドン本編での活躍もそうでしたが、このキャラの活躍をもっと読みたいと思わせてくれるのは上手くいったリニューアルじゃないかと。
こっからは1話で3~4キャラに焦点を当てる更に細かいシリーズ
■ヴォルト・オブ・スパイダーズ #1
▼ザ・ウェブスリンガー
カレン・バン(作)スコット・コブリッシュ(画)
西部劇版スパイダーマン。
レトロな作風の中で結構ドラマや設定もしっかり作ってある
▼最終銀河戦
ジェド・マッケイ(作)シェルドン・ベラ、(画)
東映版スパイダーマンのその後を描いた児童誌のコミカライズ版という位置付けの78話という設定。どこまで拘ってるんだ。モノクロで擬音もアリ日本の漫画スタイル。ただこれ、アメコミ基本の左開きのページ構成で、セリフを立て読みなので実はメチャメチャ読みにくい。ただ一見の価値ありなのは間違いない。本編では出番の無かったGP-7もアリ。
▼スパイダーバイト
ニラ・マグルーダー(作)アルバート・アルバカーク(画)
電子世界のスパイダーマン。
ただのネットゲーでスパイダーマンの格好をしてるだけじゃないのか?という気がしないでもないけど、能力ありきでそういう事が出来てるのかも。
▼サヴェッジ・スパイダーマン
ジェームズ・アスマス(作)ホアン・ゲデオン(画)
サベッジランドバージョンのスパイダーマン。
ケイザーはクレイブンと合わさって敵になってる。ピーターの両親を始末したキングピンへ正義の裁きを下すという短いながら上手くまとまった話で面白い。
■ヴォルト・オブ・スパイダーズ #2
▼スパイダーズマン
カレン・バン(作)マーク・バグリー(画)
蜘蛛の集合体にピーターの意識が乗り移ったというちょっと気持ち悪い設定。スワンプシングみたいな感じ。敵もゴブリン軍団と集合体を意識してある感じか。設定的には凄く面白いけど、これの続きを読みたいかと言うとちょっと勘弁してほしいキモさ。
▼スペクタキュラー・スパイダーマム!
ライアン・ノース(作)デビッド・ウィリアムズ(画)
こちらは先ほどのベンおじさんの逆でメイおばさんがスパイダーマンになってる世界。元々「ホワット・イフ」で描かれたのが初出のようですがその延長の話で、ベンとピーターにも秘密を打ち明け、3人でチームとして頑張ってるのが面白い。敵もバルチャーとシルバー世代を意識してあってテーマやオチが凄く秀逸。短編としてメチャメチャ完成度高くないかこれ?
▼ザ・スパイダー
ジョフリー・ソーン(作)トッド・ハリス(画)
こちらはグウェンの父親、ジョージ・ステイシーが覆面をかぶり刑事では出来ない事をやるという渋い一作。映画の「アメイジングスパイダーマン」の方には出てたし、初期のストーリーではグウェンだけでなくお父さんも重要なキャラでしたしね。
という事で以上が「エッジ・オブ・スパイダーゲドン」でした。
本編で出てくるキャラばかりでしたし、前作のスパイダーバースの時の短編は正直そんなに面白い物でもなかった気がしましたが、今回の奴は物凄く面白かった。
短編として物凄く面白いスパイダーパンクとかスパイダーマムもあればやっぱり東映特撮版を漫画として描いた奴は一見の価値ありだし、ペニーちゃんの話とか、スーペリアオクトパスも普通に面白かった。そんなに期待しないで読んだのもあってか、満足度は非常に高い一冊でした。
次は3冊目の「スパイダーゲドン:カバード・オプス」です。
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