僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

トゥルーマン・ショー

トゥルーマン・ショー(通常版) [DVD]

原題:THE TRUMAN SHOW
監督:ピーター・ウィアー
アメリカ映画 1998年
☆☆☆★


<ストーリー>
離島の町シーヘブンで暮らすサラリーマンのトゥルーマンは毎日同じ生活を繰り返す日々。小さい頃から海の向こうへ行くことを夢見ているが、昔海で父が死ぬのを目の当たりにして水恐怖症となってそれもかなわない。

ある日通勤途中に死んだはずの父とすれ違う。しかしまるで再会を邪魔するかのように周囲の人々や車に阻まれ、父であると確認することができなかった。

学生時代、トゥルーマンはローレンという女の子と恋に落ちた。しかしローレンはいつも何かに追われているかのようで、2人きりになると周囲を気にしていた。
2人が思いを確かめ合った日、ローレンは自分の名前が本当はシルビアであり、トゥルーマンは偽りの世界で常に監視されていると話す。トゥルーマンが困惑している間にローレンは誰かに連れ去られ、それきりとなってしまった。

朝の出来事でシルビアの話を思い出し、どうやら自分の周辺がおかしいと疑い始める。
MIHOシネマさんより引用

 

自分の人生が知らぬ間にTVショーとして世界中で放送されていたら・・・という、そんな妄想あるある的なアイデアを映画化して、割と有名な作品。今回、私はオチとかも全く知らずに初見です。

 

何これ、メチャメチャ胸糞悪くなるホラー映画だったのか。というか、80年代くらいの印象を持ってましたが、1998年の作品だったのね。ジム・キャリー主演という事で、基本はコメディー映画なのかと思ってたら、コメディーはコメディーとしても、ブラックコメディというか、基本的には風刺劇?なのかと思います。

 

私はジム・キャリーと言うと「バットマンフォーエバー」のリドラー役くらいで、多分主演作品とかはほとんど見て無いと思います。コメディー俳優としてメチャメチャ有名な人ですので、勝手なイメージだけ持ってた人でした。っていうか改めて見ると凄くイケメンだなぁ。それで面白い人ならそりゃあ人気出そうですね。

 

でもね、勝手な思い込みってやっぱり良くない。ジム・キャリー主演で、奇抜なアイデアで驚かせて、最後はきっとホロっとさせるんでしょう?ぐらいの感覚で見始めました。

 

設定的にはね、真面目に考えちゃうと20年とか30年とか外の世界に出ないとかありえないだろ、と思っちゃうんですけど、じゃあ自分はどうだろう?修学旅行とかそういうのを除けば20代前半とか地元からほとんど出た事なんてなかったんじゃないの?と思ったりもする。北日本どこでも行動範囲だぜ!なんてやってるの確かもっとオッサンになってからな気がするし、人と話をしてると、意外と地元からほとんど出ない人なんて山ほど居る気がする。

 

住人が役者だったり、セットが半端にしか組まれて無かったり、見ていてこれ無理が無いか?という気になる部分ばかりで正直リアリティは全く無くて、そこはとても苦痛に感じました。でもね、そこはしょうがない、これは映画ですし、そういう設定で見てね、というのは理解するし、多少無理でも映画と言う作り物の2時間で何を描くのか、何を伝えるのかっていう脚本や演出の妙を楽しむのもまた映画の面白さではある。なのでそこは我慢する。

 

で、その苦痛を更に上回る要素。見ていて胸糞が悪くなったし、お前らこえーよ、と心の底から嫌悪したのは、劇中のトゥルーマンショーを楽しんで見てる人達。気持ち悪くないか?映画の中の都合とは言え、何の疑問も持たずにこういうものを楽しんで見てる人達って怖くないか?

 

うん、これはTVを見てる人達への批判なんです。そこはわかる。それでもトゥルーマンの感動ドラマとかに一喜一憂してる人達を見てると、吐き気がしてくる。

 

1998年の作品ですし、それくらいの時期のリテラシーなんだという部分もあるにはあるんですけど、今も根本は変わって無いというか、TVのリアリティーショーとかを喜んで見てる人達っていっぱい居ますよね。多分、リアリティショーってもっと昔からあるし、今はネットとかも含めた多チャンネル時代だから、そういうのがより作られるようになったり人気になったりするってのもあるのでしょう。でも私はそういうの大嫌いです。

 

勿論、見てないで批判は良くないし、プロレスラーの木村花さんでしたっけ?彼女が亡くなられた一連のニュースとかだけ見て、勝手なイメージで嫌悪感を抱いてるっていうのもあるのでしょう。

 

そういうのを批判して、自分は違うって言いたい所もあるのかもしれない。でもね、全然違わないんですよ。自分だってそういう人達と大差なんか無い。

 

「進め電波少年」とかもこれくらいの時代でしたっけね?猿岩石のヒッチハイクとか、私は大好きで毎週楽しみに見てましたもの。猿岩石日記とか本も買って読んでました。うん、大して変わんないよね。

 

今だって、大好きな「プリキュア」とか「スーパー戦隊」とか毎週楽しみに見ていて、劇中のストーリーやドラマを楽しんでるのと同じように、1年間見続けて「感謝祭」で成長した役者を見るのが本編の物語やドラマと同じように、あるいはもしかしたらそれ以上にそこが楽しみ、みたいな部分はあったりする。そこはトゥルーマンショーを楽しんでる人と何が違うんだろうか?

 

例えば私はスポーツとか全く興味が無いけれど、天才卓球少女としてもてはやされた福原愛さんが「サー!」とか言いながら頑張ってた頃から、何時の間にか大人になって、外国人と結婚して、今度は不倫騒動とかでマスコミを賑わしてるのを横目で見てて、あの小さかった少女が不倫とか人生の酸いも甘いも経験してこんな風になっちゃったんだな、とか、好きでもなければ親心でも無く、なんとなくのイメージで、なんとなく勝手に「人間ってこんなもんだよな」なんて無責任にふとTVやネットニュースが目に入って簡単に考えてしまったりする。それさ、気持ち悪くないか?

 

或いは富野由悠季の若いころからガンダムとかを追い続けて、すっかり老害おじいちゃんになった富野を見て、ああこういう人生を送るとこういう人になっちゃうんだな、半分は哀れに思う。でも半分はやっぱりそういうとこも含めて流石富野だ面白い、なんて思っちゃったりする。

 

他人の人生を勝手に覗き見て、そこに一喜一憂して楽しんでる奴が、リアリティショーを見て喜んでる人を何が批判できるものか。お前も同じ穴のムジナじゃん。気持ち悪いし怖いよ。

 

トゥルーマンショー」を見ても全く笑えないし、全く感動も出来ない。ショーを見て喜んでいる人の気持ち悪さに吐き気を憶えつつ、同時に自分の醜さを省みる事にもなる。

 

ああ、これはホラーだ。とてつもなく恐ろしい。
これはお前だよ、と突き付けられた。

 

大変に胸糞悪い映画だった。でも同時に、こんな映画が作られた事は面白いなとも思う。所詮コメディーでしょ?アイデアは面白いと思うけどね・・・なんて見てもいない作品なのに勝手に決めつけてタカを括っていた自分の愚かさも身に染みたし、舐めてた映画に感情を動かされ、予想もしていなかったものを突き付けられて、ちょっと呆然としてしまった。

 


最後の階段を昇る絵とかはとても素晴らしかったけど、映画として面白かったかと言えば、正直面白くは無かった。でもね、凄い映画だと思った。


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