僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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ゴジラvsコング


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原題:GODZILLA vs. KONG
監督:アダム・ウィンガード
アメリカ映画 2021年
☆☆

 

<ストーリー>
モンスターの戦いによって壊滅的な被害を受けた地球。
人類が各地の再建を計る中、特務機関モナークは未知の土地で危険な任務に挑み、巨大怪獣の故郷<ルーツ>の手がかりを掴もうとする。そんな中、ゴジラが深海の暗闇からその姿を現し、フロリダにあるハイテク企業エイペックス社を襲撃、世界を再び危機へと陥れていく。ゴジラ怒りの原因は何なのか。
エイペックス社CEOのウォルター・シモンズ(デミアン・ビチル)はゴジラの脅威を訴える。モナークとエイペックスは対抗措置として、ネイサン・リンド博士(アレキサンダー・スカルスガルド)やアイリーン博士(レベッカ・ホール)のチームを中心に、コングを髑髏島<スカルアイランド>から連れ出し、怪獣のルーツとなる場所を探ろうとする。
人類の生き残りをかけた争いは、ゴジラ対コングという最強対決を引き起こし、人々は史上最大の激突を目にすることとなる。


モンスターバース4作目、一応は今作で一区切り、という事らしいですが、本国では大ヒットを記録したらしいので、間違い無く次も作られる事でしょう。

 

私は「ゴジラ」も「コング」もそうですし、怪獣とかほぼ興味が無いのですが、このシリーズの過去3本、割と面白く見れていて、特に前作の「キングオブモンスターズ」は非常に楽しめました。怪獣を太古の「神」であると解釈した部分が特に面白味に感じました。

 

なので今回も割と楽しみにしてたのですが・・・
う~ん、怪獣プロレスなのはわかる。でもさ~、これ、プロレスだっていうのなら

 

「しょっぱい試合ですみませんでした!」


ってやつですよねこれ。

 

夢のドリームマッチってね、やっぱり夢のままにしておいた方が良かったのかな?と、正直思ってしまった。いや私観てないけどゴジラ3作目の時点で「キングコング対ゴジラ」ってあるみたいですけど。

 

プロレス話をするなら馬場vs猪木でも、三沢vs武藤とかでも何なら鶴田vs前田とかでも良いんですけど、そういう実現しなかったドリームマッチっていうのがある。そこは夢が膨らんで、妄想でいくらでも語れちゃうわけですよ。そこは勝手な想像だから。もしそういうものが実現したとしたら、凄い試合になった可能性もあれば、まあこんなものだよね、でも顔合わせが見れただけでも良かったなぁ、とか自己弁護しなきゃならなくなる可能性だったあったわけで、そこはね、難しい所かなと思います。

 

今回の映画も、えっ?どんな試合になるんだろう?ワクワクするなぁって待ってる時が一番楽しかった。「エイリアンVSプレデター」とかもそうだったんですが、別につまんなくはないのよ。うう~ん、まあこんなものかな。夢の中で想像してた程では無かったかも、ぐらいの塩梅でした。

 

かと言って単純な駄作かと切り捨てるものかと言えばそんな事も無くて、こんな企画の時点で面白いし、実際に見るまでのわくわくも含めた、しょっぱい試合なりに語れる試合、という印象かなぁ?

 

前作で面白いなと思った神としてのアプローチじゃなくて、今回はむしろ普通に巨大生物っぽい路線でした。そこで、私はあの面白い部分を捨てちゃったんだって乗れなくなってしまったし、その生物アプローチがあるからこそ、感情がよくわからないんですよね。特にコングの方が。

 

ゴリラってね、なまじ人間に近い造形と言うか人間に近しい存在だからこそ、特にアメリカとかで数ある動物の中でも凄く人気があるわけですよね。

 

故郷に戻って、王座に座るコングは何を思ったのでしょう?そこが私はよくわからなかった。露骨にでは無いけどなんとなく安心とか喜びの方の感情として描いてるように感じたんですけど、いやそこ逆じゃね?と私は思ってしまった。

 

なんか虫とか鳥っぽい怪獣は居ましたけど、自分に近いような同類は居ない。例え故郷に戻ったとしても、そこは孤独感を募らせるだけだった、という悲哀の感情であったのなら、子供と心を通わせるっていう所に説得力も出たような気がするし、ゴジラとの戦いでも、せめてこちらがわの頂点でありたいという悲しい感情とか出せたんじゃないかなぁ?コングが何を考えていたのかっていうのがよくわからなかったのが怪獣プロレスにしても乗れない原因の一つでした。

 

プロレスなんて大男が取っ組み合いをして迫力満点ならそれで良いんだよ、っていう人も居るかもしれませんが、それはプロレスをバカにしすぎです。その背景や感情があってこそプロレスというのは面白くなるもの。プロレスはただの見世物でもただの競技でもなく、ドラマですから。

 

そこ行くとゴジラの方はまだ理解できたかな?人間が神様に楯突こうとしてるぞ、お前らふざけんなって制裁として動いてるわけですから。そこに噛みついてくるコングに対しても、お前何もわかってねえよひよっこめ。という、まさしく王者の風格が漂っていて、そこは終始貫いてあったのでブレる事無く、かくあるべし、っていう感じで良かったです。

 

でもね、プロレスってどちらかというより、挑戦者側の方がドラマとしては面白くなりがちで、例え試合に負けても株を上げるっていうようなケースも発生するのがプロレスの面白さです。ただの勝負論や結果が全てじゃない辺りがプロレスの面白さや特色。

 

そういう意味ではある種卑下した意味や、バカにした意味での「怪獣プロレス」であって、プロレスそのものはこの監督はわかってねぇな、という感じでした。

 

終盤に乱入してくるアイツは、まあ噛ませ役ですよね。王者を惹きたてるただのいきがってる悪役に徹していたのは非常にプロレス的だったとは思います。

 

あとは細かいとこで言えば、地球空洞説とかは面白いし私としても好きなネタではあるんですけど、そこに行く時の描写のワープゲートみたいなのはいただけない感じ。何でそこSF描写っぽくするかなぁ?そのくせ出てくる時はそういうの無いし、あんな時空をこえるエフェクトみたいな描写無しで良かったのに。普通に怪獣が開けた穴とかで、空洞世界への道が地続きで繋がったんだ、と言う方が私はワクワクするかな?

 

おさわがせ3人組みたいな人達も、陰謀論を信じてるようなバカ集団と思わせておいて、実際に凄い陰謀があったんだ!みたいなのは面白いのですが、そこはやっぱり地続きでストレートに繋がってた方がリアリティラインがあって面白かった気が。

 

小栗旬が、白目剥いてアヘ顔晒すだけのギャグ要因ってのも面白かったし、あれはちょっと小栗旬のイメージとは違う感じはしますけど、要は怪獣オタクは怪獣を想像して白目剥いてエクスタシーに達するような人達だよね、っていうのを入れたかったんだと思うけど、前の3人組のオタク君が、実はここ一番でその知識を生かして頼りになるっていうオタクキャラ描写の定番をあえて外すっていうギャグだったので(「HTMLならいじったことあるよ」「何十年前だよ!」って笑えました)小栗旬も日本アニメ的な凄腕メカパイロット風に思えて実は役立たずだったという外しなのかなと。

香港の街並みから見上げる巨大な存在ってのはサイコガンダムっぽくて面白い画でしたが、もっと画面が引くとビルがネオン管で彩られてるんですよね。なんだこのサイバー空間は。昔のグリッドマンかよ、と割と楽しげな画ではあったのですが、互いにぶつけあって壊れるビルと、打ちつけられてダメージになるビルも違いがよくわかんなくて、そこは見ていて凄くモヤモヤしました。質量的にギリギリって設定なのかなぁ?簡単に壊れる建物は手抜き工事で、叩きつけられてダメージになるような硬い奴はちゃんとした建物って事?その辺のリアリティラインがよく理解出来て無くて、素直にバトルも楽しめなかった。

 

最初に私は怪獣に興味無いって言いましたけど、最初のゴジラなら戦争や原爆のメタファー、シンゴジなら震災の暗喩、KOMなら神に翻弄されて信者みたいになってる描写とか、そういうのは面白くて良いなと思うんです。

 

そういう部分では、前作までと比べてしまうと、なんかとても食い足りないと感じたし、プロレスとしてもね、あんまり上手くないなぁという残念な印象の映画でした。

 

日本語吹き替え版で見たんですけど、普通に原語クレジットの後で別に吹き替えキャストクレジットとしてマンウィズアミッションの曲が流れるのは良かった。マンウィズのシュールなビジュアルも面白いし、日本版テーマって大概は元のクレジットで流れてる曲を消して重ねちゃうので、そこはいかがなものかと前々から思ってましたし、こうやって別枠でやってくれるのならそれは大歓迎です。

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