僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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小説 魔法つかいプリキュア! いま、時間旅行って言いました!?

小説 魔法つかいプリキュア! いま、時間旅行って言いました!? (講談社KK文庫)

文:村山功
絵:宮本絵美子
刊:講談社 講談社KK文庫
2017年
☆☆☆☆

 

キュアミラクルキュアマジカル
キュアフェリーチェ、モフルンたちにまた会える!
魔法つかいプリキュア!が帰ってきた

テレビアニメ『魔法つかいプリキュア』の
お話を書いていた村山功さんが描く、
まったく新しい物語!

 

という事でまほプリ小説版。帯にもある通り、まほプリ終了1年後くらいに出た奴です。


プリキュア小説版はブログで取り上げるの今回が初なので、少し補足的に説明しておくと、基本的にプリキュアはメインターゲットが未就学女児なので、小説とか文字が沢山ある奴はリアルタイムとかでは出てませんでした。感じにルビがふってある絵本とかそっちが商品としてはメインなので。

それが2015年辺りからだっけかな?前に取り上げたまほプリドラマCDとかもそうだと思うんだけど、丁度この辺の時期は、プリキュア10周年も過ぎて、色々な展開を模索してたのと、後は女児向けの他のコンテンツが強くなってきたのもあってか、プリキュア全体の商品売り上げが低くなってきていた時期でもあるので、何か新しい展開も必要と考えたのか、過去シリーズの「小説版」が色々と出ていた時期でした。

 

正確に言うと、オールスターズで「DX3」と「NS1」だったかな?そっちでもいわゆるノベライズ版というのは出てたんですけど、映画を小説におきかえたものであって、あくまでただのノベライズ版以上のものではなかった。小説だけの新しいオリジナルの話が読めるようになったのはこちらの方の時期です。

「無印」「MH」「フレッシュ」「ハートキャッチ」「スイート」「スマイル」が普通のライトノベルの形で出てて、「ゴープリ(というより映画短編のレフィの話)」とこちらの「まほプリ」の2作が低年齢層向けのジュニア文庫として出ました。


「5」もアナウンスされてたんですけど、結局出ないまま今に至る。他の作品も含め特にその後は情報も出なくなってしまったので、勝手な想像ですが、商業的には上手く行かずに中断しちゃった感じかなと思われます。

 

プリキュア自体は今後も続いていくでしょうから、いずれまた機会はあるのかなとは思います。たまたまなのか、過去コンテンツで子供向けを意識しないで済むからなのか、大人向けに書いてる話が大半で、小説はシリアスで重たい話が多いんですよ。私個人としても、それなりには楽しめましたが、正直ファン受けもあまりしなかった印象。私もブログ続けてれば、そのうち読み返して書く作品を取り上げる日もいつか来るかなと思うので、それぞれの作品の感想はその時にでも。

 

そこ行くと、今回の「小説まほプリ」ジュニア文庫枠で出たので、軽く読める楽しい話になってて、凄く良いです。キャラデザの宮本絵美子の絵もふんだんに使われてて、一本のOVAを観てるような感じで楽しめる、まほプリファン必読のお勧めの1冊。

 

タイムライン的にはTV後半の時期で、オルーバがフェリーチェは何者なのか正体がつかめず、その出生に秘密があるのではと闇の魔法でプリキュア達を過去の時間軸に飛ばしてしまうものの、プリキュア達の抵抗で予定通りにはいかずに、25年前に飛ばされる。そこでは魔法学校創立祭の準備が行われていて、そこでリコは学生時代のお母さんのリリア、お父さんのリアンと出会う。というようなお話。

 

まあ元ネタは「バックトゥザフューチャー」です。若いころのお母さんお父さんを上手く結び付けないと、自分が消えてしまう、という感じの話になってます。

 

みらいも勿論その手助けをするわけですが、戦いに巻き込まれる本の冒頭で、ちょっとお母さんと言い争いになっちゃうんだけど、お母さんがしかるのは自分を本当に心配してくれているから、というのを学ぶストーリーラインもあって、意外な事にそこは若いころの教頭先生がキーキャラクターになります。、

その辺は流石TVの方でもシリーズ構成を担当した村山さんです。イケメン枠で目立つ存在だった校長先生と違って、そんなにキャラクターとして掘り下げがあったわけではない教頭先生ですけど、ある意味での生みの親である村山さんとしては、教頭先生も「まほプリ」という作品を形成する大切なキャラクターだったんだろうな、と思えて微笑ましいです。

 

村山さん、昔からプリキュアには関わってる人ですけど、単純な商品としてでもなければ、ただ可愛いキャラクターを描きたいとかそういうのでもない。当たり前なんですけど、子供達に何を伝えたいか、伝えるべきかとかね、そういうのを一生懸命考えてるんだなぁというのが凄くわかる。

 

この辺はね、私みたいなおっさんのプリオタにはちょっと耳が痛い。次に取り上げる予定の「コンプリートブック」の時にも触れるかとは思いますが、私は「まほプリ」って最初の内は、ちょっと子供向けだなぁと前半はやや苦手意識がありました。あくまで「やや」ですよ。全話毎週リアルタイムで楽しんではいましたし。

そこって子供向けのアニメなんだから、それで正しいんです。本当に私みたいな気持ち悪いおっさんのプリオタが望むものを作るようになったらそれはプリキュアの終わりです。あくまで子供達に向けた作品であって、そこに向かって一生懸命、誠実に作ってあるからこそ大人が見た時にも何かしら響く物もある、というのがプリキュアの面白さだと私は思ってます。

 

「バックトゥザフューチャー」の何が凄いってね、映画ファンにも愛されてる不朽の名作ですが、そんなに濃い映画マニアとかじゃなくても、好きな映画のランキングとかつけると1位になるような作品ですよね。あれってちゃんと理由があるんです。タイムリープ物ってね、理屈で考えると実は結構難しいものなんです。SFマニアとかは「エンドゲーム」の時とかでも理屈とか理論的に正しいかどうかとか、散々騒いだじゃないですか。本来、実はそんなに難しいものであるタイムリープを、誰でもわかるように描いたのが「BTF」で、あれも両親が仲よくしてくれないと、自分が消えてしまう、とか時間のロジックをサスペンスに置き換えているから、ハラハラドキドキして楽しめる作品なんです。

ぶっちゃけあれ理屈で考えると結構変だし、今の倫理観で見ちゃうとツッコミ所もあるんですけど、難しい物を誰にでもわかるような形で説明してある事があの作品の白眉なんだと私は思ってます。

 

いやこの小説がそれに匹敵するものだ、なんて言いませんけれど、ああいう面白さを子供達に伝えようと思うそんな気持ちが面白いし、プリキュアなんだから何か子供達に学びや教育的な要素も入れなければ、なんて考えてストーリーを作ってるんだろうな、というのも透けて見えるし、まほプリの世界やキャラクター達のもっといろんな所を描きたいな、みたいな所もあって、色々な面で面白いなぁと。

 

いや、オタク的には、まほプリにまた会える!宮本さんの挿絵もいっぱいある!リリアさんの若い頃可愛い!とか、そんな感じで消費するだけでも十分なんですけど、個人的にはその背景にあるものも私は好きです。

 

とゆーわけで次はまほプリ語りの締めで、いつも通りコンプリートブックにかこつけて私なりのまほプリ雑感を語っていきたいと思います。

 

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