僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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オーメン

オーメン (特別編) [DVD]

原題:THE OMEN
監督:リチャード・ドナー
アメリカ映画 1976年
☆☆☆☆☆

 

リチャード・ドナー追悼企画その2

<ストーリー>
アメリカ人外交官ロバートは、6月6日午前6時にローマの産院で生まれてすぐに死んだ我が子の代わりとして、同時刻に誕生した男の子を引き取りダミアンと名づける。ところが、ダミアンが5歳の誕生日を迎えた頃から周囲で不可解な事件が次々と起こりはじめ……。

 

という事で、故リチャード・ドナー監督への哀悼として、こちらも有名作品の「オーメン」です。多分ですが、666が不吉な悪魔の数字っていうのを日本で有名にしたのはこの作品がきっかけかな?って気がします。

 

私は1しか見た事無いのですが、2以降は監督も違いますし、こういうのは人気が出たから無理矢理続きって感じで、大概のものはつまんないんだよね、という変な先入観があって、元々好きな作品ではあるのですが、続編は見てません。いや、中には「エクソシスト3」とか稀に傑作もあるにはあるんですけど。

 

まあ百聞は一見にしかずっていうのもありますし、そこは機会があればいずれ。他はリメイク版があってそれは映画館で見てたはず。劇場公開時はタイトルそのままだったんですが、ソフト化の際に差別化もあってか「オーメン666」とかになってたっけかな。

 

あとオーメンで思いだすのは「トクサツガガガ」でダミアンってあだ名をつけられてる子が居たんですけど、あれは一般人に通じるんだろうかともちょっと思いましたが、トクサツガガガ読んでる人がこの辺知らないはずもないか。

 

いや何年ぶりに見たのかさっぱり憶えてませんが、やはり大傑作です。
多分、この作品が世に出た当時は、まだあんまり「ホラー」っていう言葉が定着していなかった時期で、「エクソシスト」なんかと共に、オカルト映画って呼ばれてるジャンルだったと思います。多分。私この辺は後追いなもので。

 

ホラー映画は好きなジャンルなので、この手の有名ホラー作品、全部とは言わないまでも、大体の奴は後追いで色々見たんですよ。これがどれも面白いんです。やっぱり時代を築いて、後年にまで影響を与えるような作品は、後から見ても面白いものが多いです。

 

オーメン」で特に憶えてるのは、ガラスで首がすぽーん!って飛ぶシーンと、いくら悪魔の子だ何だ言われても、子供は殺せないっていう部分で、私の中では後者の方はこの作品のテーマと言うかキモみたいな部分だったよな、と記憶してたのですが、今回見返して見ると、実はそんな事無かった。そのシーンは勿論あったんですけど、作品のテーマとか言うほどでは無いっぽい。何か他の作品と混ざって記憶してたかな?

 

「子供を殺す」ってやっぱりタブーとされるもので、例え子供がおかしな行動をとるようになって、それは悪魔のしわざなのかも?なんて思ったとして、子供って大人の倫理観とは違うから、「いいかげんやめなさい」って言ったって、そこは素直に聞くとはかぎりませんよね。逆に親の気を引きたいからますます過激な事をやったりする事だってある。それは何故かと言うと、大人は、「いいかげんここまでにしておくか」みたいな倫理観が養われているのに対して、子供はまだその分別がつけられないというのがありますよね。そこの理解の差、みたいな所を作品のロジックとして落として込んである作品が「オーメン」なんだよなぁと私の中では思ってたのですが、今回見返した感じでは、そう言う要素もちょっとだけは入ってるんですけど、決してメインでは無かったっぽい。

基本的に、見てる側としてはこいつが本当に悪魔の子なんだっていうのはわかるようになっていて、主人公だけが、いやそんな事は無いかもしれない。デタラメかもしれないって葛藤したりする。それゆえに見てる方はもどかしいし、ヤキモキしたりするんですよね。そこが面白味になってる。

 

今回、メチャメチャ面白かったのは、Jホラーにも通じるような、思わせぶりなカットとかシーンが多いのが、サスペンスとして物語をグイグイ引っ張っていくんですね。この辺はリチャード・ドナーの上手さだと思います。え?これヤバイんじゃないの?ってドキドキさせてくれるんですよ。

 

ただ、音楽の付け方か、いかにもおどろおどろしくて、そこはちょっと古い作品だなとは思ったのですが、音楽はジェリー・ゴールドスミスで、彼にとってはキャリア唯一のアカデミー賞をこれでとってるのだそうな。

 

あとはいくつかある、動物のシーンとかも秀逸で、とにかく演出が上手い。ビックリドッキリ的な場面もありつつ、ジワジワと来る恐怖がとても楽しいし怖い。

 

映画に限らず、どのジャンルでもそうだと思うんですけど、後世まで受け継がれる時代を切り開いたパイオニア的な作品って、やっぱり丁寧に作られている作品が多くて、ちゃんとした作品なんですよね。

ただその後、ブームに沸いた後にそのおこぼれにあやかろうと、有象無象の作品が大量生産され始めると、結局は表面の上っ面ばかり真似するだけで、その作品の本質とか、面白さの根っこの部分とかは受け継がれないものが多い。

勿論、その大量生産された作品群にも一部で光るものがあって、そこから次世代が生まれてくる土壌にもなったりはするんですけど、やっぱり最初の一歩を踏み出した開拓者の偉業みたいな所には叶わないかなともまた思う。そこ考えるとやっぱりリチャード・ドナーって凄い人なんだなと改めて思うし、「オーメン」も間違いなくその傑作の一本です。

 

そしてやっぱりオーメンを語る上で欠かせないのが、あの首が飛ぶとこですよ。勿論、作り物っぽいのは一発でわかるんだけど、リアルかどうかとかそこが問題なんじゃない。メイキングとかは見て無いのでわかんないんですけど、あれ多分、狙ったものじゃなくて偶然ですよね?あんなに綺麗に首が舞うのって。

あまりにも凄いもんだから、出崎演出とか宇宙刑事の変身シーンじゃないけど、それぞれの角度のカメラの映像、パンパンパーン!って感じで繰り返し見せちゃうと言うサービス精神。

 あの3連発で見せるカット割り演出って、別にこの作品が元祖ってわけでもないんだよね?どうなのかな?教えて映画の歴史に詳しい人。

物語とかテーマとは別にして、映像としてはそこがこの作品のハイライトでしょう。ドナーもきっと、「やっべ偶然だけどメチャメチャ面白い画がとれた!」って絶対にあそこで喜んだはず。そこ観るだけでも十分な価値がある映画だと思います。

 

偶然と言えば、悪魔の使い?でもあるベビーシッターのおばさん、ミセスベイロックの最後のフォーク?が折れるシーンも素晴らしいです。でもあれは流石に偶然じゃなく仕込みかな?取っ手の部分だけが折れて、無念さが伝わる面白い絵でした。素晴らしい。

 

後はダミアン役の子役の子、その後どうしたのかなぁ?学校とかでいじめられてない?とかいらぬ心配をしてしまいます。

 

悪魔が政界進出を目論むという、ただのオカルトに留まらないアイデアも抜群に面白いし、こうして今回見返しても、メチャメチャ面白かったし、とても好みな作品でした。リチャード・ドナー、うん、いいな。

 

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