僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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パンケーキを毒味する


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監督:内山雄人
日本映画 2021年
☆☆☆

 

第99代内閣総理大臣菅義偉の素顔に迫った政治ドキュメンタリー。
私のいつも通ってる映画館ではちょっと遅れての今週公開でしたので先日、菅総理の退陣が発表された後では旬を逃す事になっちゃったかな?とも思いましたが、まあそれでも今の世の中を知るには良い機会ですし、前総理の安部さんが退陣してからまだ1年未満とかじゃないですか?それで1本ドキュメンタリーを作るって凄いなと感心するし、これはやっぱり見ておかないと、という感じです。

 

あと、プロデューサー河村光庸という人は「i新聞記者ドキュメント」も手掛けられている人なんですね。官房長官時代の菅氏との質疑応答で話題になった東京新聞の望月衣塑子記者のドキュメンタリーでしたし、ここは菅さん2部作という感じで捉えても面白いかなと。

 

以前の菅さんと言えば私の中では「令和おじさん」のイメージだったんですけど、国会とか質疑応答とかでの、あの前もって書いてある書類以外の事は絶対に言わないぞ!っていう姿勢や(全然質疑応答じゃねーじゃん!っていう)コロナ禍での強引な五輪決行と、この明らかに頭おかしい人間って何者なの?こんな人がトップに居る国って何?と言う意味では、非常に興味をそそられる題材でした。

 

まあ基本的には菅批判みたいな所も多いし、そういう目的で作られてる映画と言うのは疑いようも無いのですが、それでも菅さんの政治的な生い立ちみたいな所もきちんと描かれていて、へぇ~菅さんってこんな人だったのか?というのはなかなか興味深く観れました。

むしろブラックユーモアみたいなのを無理矢理入れてる所は逆にちょっと鼻につく感じだったかも、くらいです。

 

私は政治思想的には左側の方ですけど、この手の映画の結局は左思想の人しか見なくて、そっち側の人達だけが狭い中で喜んでる、みたいなのはちょっとそれどうなんだろうなという気持ちも同時にあったりしますので、ただむやみに批判するだけとかよりは、まず相手がどんな人なのかを掘り下げて知っていくという所がちゃんとあるのは良かった。

 

うん、でも菅さんって、勝負所で一か八かの賭けに出るような部分は過去にもあった人なのね。コロナにしてもオリンピックにしても、賭けに出たけど負けちゃった、という部分ももしかしたらあるのか。いやいや、「カイジ」とかじゃねーんだから人の命を賭けんなよ、駒にされるこっちはたまったもんじゃねーぞ!って言いたくなる所ですが、どうせ祭りごとで忘れ得ちゃうのが日本の国民性でしょ?っていう舐められた感覚を作ってきたのはまさしく国民なんでしょうけど。

 

私は政治にあまり詳しくないので、私の中での菅総理のイメージというか役割って、安部が逃げ出した後に、泥をかぶる役割だけど、嵐が過ぎ去るまでの間だけで良いから総理の役割をやってくれと。その分の報酬だけは弾むからと、最初からただの代理で損な役目を仕方なく買っただけの、ある意味可哀相な人なのかな?って思ってました。だから自分の言葉や意見なんて一つも無くて、上から(総理なのに!)指示された事を一字一句読むだけのただの傀儡、操り人形でしかないのかなと。

 

でも今回のドキュメンタリーを見た限りでは、自分はこの賭けに勝って、バカにしてきた奴らを見返してやるぞ!と思ってたけど、やはりというか当然というかその賭けに負けてしまって、誰も味方をしてくれる人もおらず、ただのしっぽ切りで捨てられてしまった哀れな人間、という感じになっちゃったかなぁと。そういうドラマとして見ても面白いかもしれない。いやいやいやいや、国を動かす総理でそんなドラマやっちゃダメだろう!という感じではありますが。

 

これもまた素人考えだけどさぁ、このコロナ禍って、ある意味では政治的にチャンスでもあったと思うんですよね。自民党が本当に国民の事を思って、多少強引でも、ちゃんと国や国民を救う政策をしていれば、変な話、ここ20年30年ともう自民が圧倒的な支持を得られて、もう自民党の盤石な支持基盤が作れたと思うんです。自民党だったからこそ日本は救われたんだっていう感じで。

 

そうすれば今後の憲法改正とかも、まあ自民のやる事だから支持するよ、っていう土台にもなったなじゃないかと。

それがコロナのドサクサに紛れて無理矢理法案を通そうとしたり、この状況下でさえ私腹を肥やす事しか考えていないっていう・・・。

あんたちょっとセコイよ!と言いたくもなりますわ。

 

勿論、そこは政党の根本的な部分で、自由民主主義って基本は自分が良ければ他人なんかどうなったって構わない、勝てない奴は努力が足りないだけ。それは自己責任ですよっていう価値観から生まれてくる考え方ですよね。政治家はお金持ってるから、国民が困ろうがくたばろうが関係無い。だって自分は一生食っていける財産もう持ってるも~ん!自分は困らないからあとは自分で勝手に努力してね、自分は努力して政治家になったんだから他人にとやかく言われる筋合い無いよ!って事っですよね。

 

今回の映画の中にも出てきてましたが、国はお前ら助けないから自助で!って言ってるのが自民の基本理念だし。菅が退陣しようが、自民が政権を握ってる以上はそこって絶対に変わりません。

 

「政治なんて誰がトップに立っても変わんないでしょ」って言うのが政治に無関心な人の常套句でありますけど、そりゃ自民の内部で人が変わろうが世の中はかわらんわな。同じ政党内なんだから。でも現野党とかに政権が変われば世の中って多分変わりますよ。政治に興味の無い人はそこら辺がわかってないのかな?という気がします。いや昔の自分もそんな感じで政治の事はわからないものと思ってましたし。

 

ああ、野党で思いだした。野党って与党に対して批判的な事ばかり言って、揚げ足取りみたいな事をやってる印象、っていう人もたまに居ますよね。いや中央政権が暴走しないように監視するのが野党の役割だから、そういう役目を担ってるんだよ、という社会構造の基本的なルール、仕組みを覚えてもらうのは基本なんだけど、そんなルールの話じゃ無く、感情的な部分でさ、「批判される事を物凄く嫌がる人」って多く無いですか?

 

イマドキの若者は打たれ弱いから批判をとにかく嫌がるっていう、ありきたりな若者論もあれば、同時に年寄りも批判をとにかく嫌う人って結構居ます。歳くってる場合だと、今まで自分が築き上げてきたものが否定されるようで、まるで自分の人生そのものが間違っていたみたいに言われるのが嫌、という感じなんだと思います。

 

私は左寄りというのもあってか、何で自民なんか支持するんだ?国会中継とかニュースとか見てても、野党の方が真っ当な事を言ってるケースの方が多いような?という気がするのですが、もしかしたらそこには前述のような「批判してくる人を嫌がる感情論」みたいなものが働いているのかなぁ?という気もしています。

 

今回、映画の中で共産党の機関紙である「赤旗」編集部の内部が描かれてるのですが、そこはめっちゃ面白かった。正直、全体的には微妙な映画かなぁと思ってた部分もあったのですが、赤旗の部分だけで十分におつりが来ました。「共産党」というだけである意味世間からはちょっと特異なものとして扱われがちですので、あんまり見る機会が無いものなんじゃないかと思います。

 

共産党ってやっぱり連合赤軍とか中国共産党とかのイメージが強くて、政治に無関心な人には「ヤバイ人達」みたいに今でも思ってる人が中には居るのかなぁ?とか思ったりしますが、本当にそんなヤバい人達だったら、そもそも国会に出席したり出来ません。国家転覆を企むアナーキストだとか、管理社会を生む独裁者だとか、そんなわけねーから。むしろ今は自民が格差社会を生みだして管理国家のディストピアまっしぐらを目指してるわけですし。

 

私は単純に共産、社民、立憲、れいわとかの現野党の方がみんなが幸せに生きられる社会に繋がると思ってるので、そういう意味で左よりかなぁぐらいです。
アベンジャーズとかのアメコミヒーローだって、日本の仮面ライダースーパー戦隊プリキュアだって多分、大概人を救うヒーローは左ですよ。みんなを救いたい、みんなが幸せに生きられる社会をっていうヒーローなんですから。

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