僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

ピーター・パーカー、スパイダーマン:シビル・ウォー

f:id:curez:20220128224307j:plain

PETER PARKER, SPIDER-MAN: CIVIL WAR
著:ロベルト・アギーレ-サカサ(ライター)
  クレイトン・クレイン、エンジェル・メディーナ、
  ショーン・チェン(アーティスト)
訳:秋友克也
刊:MARVEL ヴィレッジブックス
アメコミ 2016年
収録:SENSATIONAL SPIDER-MAN #28-34(2006-7)
☆☆☆☆★

 

超人登録法を巡り対立する賛成派と反対派。
その狭間で揺れ動くスパイダーマンは、
この内戦の最大のキーマンであり、
犠牲者でもあった。

尊敬するトニー・スタークに勧められるまま、
その素顔を公表した彼は、
思わぬ苦境に立たされることになる。

彼が何よりも大切に守り続けてきた家族、
妻のメリージェーンと伯母のメイが、
宿敵達の復讐の標的となったのだ。

己の軽率な行動に苦悩するピーター・パーカー。
その一方で、家族もまた、
各々の身の振り方に惑う事になる。

スーパーヒーローである事、
その家族である事の意味を鋭く問いかける、
スパイダーマン主演の
シビル・ウォークロスオーバー第2弾、
ついに登場!

君はどちらに付く?


すみません、仕事が忙しくてブログ更新滞り気味。
今回はスパイダーマン:シビル・ウォーの2冊目。1冊目の続きでは無く、別視点のセンセーショナル・スパイダーマン誌の方で展開された話で、オムニバス短編に近い。

 

各種ヴィラン、MJ、メイ、ブラックキャットと各視点で、超人登録法というより、スパイダーマンが正体を明かした事に寄る影響の方が中心のお話。オムニバス集としてメチャメチャ面白かった。

 

■#28
まずはドクター・オクトパス編。
・・・なのだけど、高校でピーターが生物学の臨時講師を務めている中で、その受け持ちのクラスの生徒の一人の話がメイン。

やせっぽちで運動は苦手で、科学だけが得意という、かつてのピーターと同じタイプの生徒のジョーダン・ハリソン。親身になって相談に乗ってくれるパーカー先生に親近感を抱いていたが、彼がまさかのスパイダーマンだった事をTVニュースで知る事に。

 

ドクター・オクトパスはかつてメイ・パーカーに近づいた事もあった事から、ピーターは全て知っていて、影で自分の事を笑っていたのかと怒りに駆られ、スパイダーマンに襲いかかってくる。
そのピンチをジョーダンが勇気を振り絞り、スパイダーマンを助けようとする、というようなお話なのだけど、ジョーダンはこの話にしか出て無いキャラのようで、まさに読み切り短編っぽい感じになってて、そうだよね、いつの時代にもピーターみたいな子は居るもんだよね、っていう感じで凄く微笑ましい。

パーカー先生に推薦状を書いてもらい、ジョーダンは後の世にタコの研究で頭角を現し、学会ではドクター・オクトパスと呼ばれるようになったというオチが秀逸。

 


■#29-31
こちらはカメレオン編という感じかな。
スパイダーマンの正体を知ったカメレオンが他のヴィランらを集め、復讐に動き出す。集めたヴィランはエレクトロ、スケアクロウ、ウィル・オ・ウィスプ、スウォーム、モールトンマンら。
ブラックキャットの助けを借りて、スパイダーマンに襲いかかってきたヴィランは何とか撃退したものの、その隙にカメレオンはメイに忍び寄る。

 

ピーターに変装したカメレオンは、知らずに接するメイの首を・・・と思ったら、自分の息子が本物か偽物かなんて見分けられるぞと、機転を利かせたメイの逆転勝利というのが面白い。

クッキーの中にヒ素を混ぜておいたわ、とカメレオンに毒づくメイ伯母さんが最高です。いや実際は睡眠薬ですが。
MJもこちらはこちらで何とかスウォームを撃退と、スーパーヒーローじゃない生身の人間がヴィランに機転を利かせて勝つっていう面白さが最高な半面。毎回こうは上手く行かないだろうなと、やはり危うさも同時に感じさせてくれる。

 

■#32
こちらはMJ編。
前回の流れもあり、やはり不安を隠せないMJ。心配し、気にかけてくれていたスー・リチャーズに相談するも、自らスーパーパワーを持っているスーらとは同じように捉える事は出来ない。

 

その正体を知り、危険とわかっていながら共に寄り添う決意をしたのは何時だったか、と過去を振り返るMJですが、グウェン・ステーシーの死の時がきっかけだったんですね。

 

恋人のグウェンを死なせてしまった事で自暴自棄になってしまったピーター。MJとは当時はただの友達でしかなく、気遣うMJに対しても、自分の気持なんかわかるはずがないと突き放す。

それでも、そんな時だからこそ、MJはピーターの隣に今居なければと、自分がこの人を支えてあげなければと決意した事を思い出す。

この辺は凄くグッと来る話。

 

■#33
そしてこちらはメイ伯母さん編。

MJと同じく、過去を振り返るメイ伯母さんなんですけど、まだベンが健在で、本当にピーターを家族として受け入れる直前の部分。子供に恵まれず、ベンと二人で生きるつもりだっただけに、ピーターを家族として迎え入れるのには実は不安もあったっていう心情が、ああやっぱ普通に考えたらそうだよね、というこっちも凄くグッと来る話。

 

そしてピーターがまだ小さかった頃に、ご近所の子供と一緒に木登りをしていて、落ちて初めて大きな怪我をしてしまったと。ベンは、男の子なんだからこういう事は今後もあるんだ、そんなに心配するな、っていうだけど、メイとしてはもう気が気でない。自分がピーターを守らなきゃならなかったんだっていうね。

 

子供が大きくなっても、親にとって子供はいつまでも子供で、自分がこの子を守ってあげなければ、という親心。ピーターからの視点のメイ伯母さんともまた全然違って、メイ伯母さんの視点っていうのが、物凄く良い。

 

■#34
そして最後はブラックキャットことフェリシア・ハーディの話。
かつてはスパイダーマンと恋仲だったブラックキャットですけど、実はスパイダーマンが初めて自分の正体を明かしたのがフェリシアだったんですね。

自分が好きなのはスパイダーマンであって、素顔のあなたじゃないと、決して上手くはいかなかったものの、その後も二人は特別な関係ではあった。


今はフェリシアも他のパートナーと暮らしているものの、今回もまたアベンジャーズとかではなくフリーで動けるブラックキャットに助けを求めてくる仲ではあるし、自分にとってスパイダーマンとはどんな存在なのか?を改めて考えるフェリシアであった、みたいな話。

 

映画のアメスパでも中の人だけ出てましたし、スパイダーマン的にはグウェン、MJに続く3番目のヒロインっていう感じはあるかな。まあピーターは何気に人気者ですし、割とこの他にも何人か恋愛関係はありましたが。

 

ライノもカメレオンの陰謀に加担していたものの、出遅れたらすでにカメレオンは逮捕。雇い主が居なくなってじゃあ誰が金払うんだよ!とヤケクソになってピーターをボコボコにするも、ブラックキャットが介入して、バトルでは無く話し合いで決着をつけるという流れも面白いです。

 


いや今まで放置してたけど、面白い話ばっかで非常に満足度の高い1冊でした。
タイトルこそ「ピーター・パーカー、スパイダーマン」でありつつも、ピーター本人ではなく、その周辺の人達がメインでしたが、どの話も他ではあまり見た事の無い視点で、アメコミのシナリオの面白さを存分に味わえてホントに面白かった。

 

今は基本的にイベント中心の長編ストーリーが主軸になってる印象がありますけど、昔のシルバーエイジとか、スパイダーマンあるいはマーベル全体の初期の頃って、毎月出る1冊で話が完結してる単発の話がメインだった気がするんですけど(それこそスタン・リーの全盛期とか)そんな雰囲気も味わえる感じで、アメコミの奥深さを感じられて良かった。

 

次が3冊分最後の一冊の「フレンドリーネイバーフッド・スパイダーマン」です。

 

関連記事

curez.hatenablog.com