僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 2nd SEASON -覚醒前夜-

マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 2nd SEASON-覚醒前夜- 1(完全生産限定版) [Blu-ray]

Magia Record: Puella Magi Madoka Magica Side Story
2nd season THE EVE OF AWAKENING
総監督・シリーズ構成:劇団イヌカレー(泥犬)
TVアニメ 2021年 全8話
☆☆★

 

マギレコアニメ2期。
本来なら昨年末にファイナルシーズンとしてクライマックスを放送予定だったものが、今年の春に延期になった模様。

つーか全8話で最後は最終決戦に挑む前に尻切れトンボな感じで終わりとか、普通に制作間に合わなくって落としただけじゃねーかこれ!
と、誰もが突っ込みたくなる変な状況です。まあ最初からクライマックスはファイナルシーズンとして後から放送するよって言ってはいましたが・・・。

 

1期がとても微妙でしたが、やはり経験の無さが力不足と判断されたのか、総監督とは別に監督とシリーズ構成にベテランが入って軌道修正。原作ゲームからしてキャラクターが多いというのもあって、そこを裁き切れていない印象はファーストシーズンでもありましたが、話が少し進んでキャラに馴染みが出たからか、制作にフォローが入ったからなのか、セカンドシーズンは幾分見やすくはなったかな?という気はします。

 

いきなり1話はオリジナルの方のまどマギの見滝原組の話だったりして、嬉しい半面、わかりにくいなっていうのは相変わらずでしたけれど。

 

ただ、私がファーストシーズンの時の感想に書いた、今後ここをベースに社会背景としての新興宗教と現代の疑似家族コミュニティをちゃんとテーマとして今後描いてくれるのであれば評価もするけど、というのは、その通りの展開になってくれていて、そこは一安心です。まどマギってやっぱり社会構造についての話ですからね。

 

新興宗教団体の「マギウスの翼」が色々と動き出して、劇中でやたらと言われるのが「弱者の救済」と言う言葉。映画とかでも現代性の最も象徴的な部分として分断社会を描くのがトレンドですけど、ちゃんとそこを意識してテーマにしてあるのは褒めてあげたい部分です。

 

でもどうなんだろうな?このアニメを見てる人達って、分断、あるいは格差社会の下の方っていう認識はあるんだろうか?私は若くないのでそこは正直わかんないです。これは自分達の今を描いてる話なんだっていう認識はあるのかしら?作中で言われる「弱い魔法少女」は自分達の事なんだって思ってる人はどのくらい居るものなのかな?

 

おっさんのヨタ話になっちゃうけど、昔はアニメとかオタクとか今ほどカジュアルに消費されるような時代では無かったので、そっち系の人って劣等感があったと思うんですよね。果たして同じような感覚が今の人にあるのかどうかが私はよくわからん。

 

昔はそれこそ新興宗教団体であったり、ネズミ講だったりしたものが、今は陰謀論とかオンラインサロンみたいなものとして新たに出てきたりしてるんだから、無い事は無いとは思うんですけど。

 

心の病にかかる人も多い世の中ですし、ツイッターとか見ててもちょこちょこそういう人は見かける印象ですけど、実際にその辺が増えているのかどうかは統計学としてちゃんと知ってるわけでもないし、単純に昔よりその手の人が認識されやすくなった事で、自分もそうなんだ的な感じで数字として現れてるだけかもしれないとは思わなくもない。

 

それはともかく、社会的弱者の救済を掲げるマギウスの翼と、みかづき荘って、どちらも本質的には弱者の連帯っていうコミュニティですから、似たようなものなんですよね。

 

なので、今回あからさまにやちよさんの欺瞞が暴かれるのがなかなかに面白い展開。鶴乃の事を理解しているように思えて、実はそうじゃなかったっていうのは結構痛快でした。

 

かつてチームを組んでいたももことの溝もそうだし、調整屋のみたまさんの葛藤なんかもそうで、やちよさん、ぶっちゃけコミュニケーションがあまり上手な人では無い。

 

やちよさんダメダメじゃーん!とかバカにしたいわけじゃなくて、そんな誰もなかなか上手くコミュニケーションをとれない中で、「コネクト」して手を繋いで行くっていう展開が素晴らしいなと。

 

コネクトって多分、原作ゲームの合体攻撃的な位置付けなんでしょうけど、そこをちゃんとテーマとして取り入れてくる辺りが上手いなと思ったし、凄く感心すると共に、見ていてグッと来るんですよね。

 

分断社会における、弱者の対抗手段って、共栄とか同盟と言われてますし、手と手を繋いでコネクトするって、ある意味救済でもありますし。

 

で、そんなコネクトと対になってるであろうシステムが「ドッペル」その溜まった穢れを攻撃に変えてしまうと、時にそれに乗っ取られてしまう。これ、実際の世の中でもよくありますよね。自身の溜まった鬱憤を暴走させちゃう人。
「荒んだ心に、武器は危険なんです!」って言ってたのはVガンダムだけど、ネットとかでやたら噛みつく人ってこういう事です。自分より下だと見下して、自分は弱者なんかじゃないって虚勢を張る人。


一見、まどマギという作品内のルールだと、穢れをドッペルとして自分に溜めこまずに外に放出する事で、魔女化を防ぐって結構理にかなったシステムのように思える辺りがまた面白い。

 

そうすれば戦いの連鎖から抜け出せる=そのシステムの創造主であるきゅうべぇのロジックに陥らずに済むし、魔女を倒せない弱い魔法少女も救済されるんですよ、という甘い誘惑。

 

いやぁ、まさしくオンラインサロンとか陰謀論みたいじゃないですか。自分に都合の良い情報だけを受け入れて、実はその首謀者の企みの掌の上で踊らされてる事には気付かない。あるいは見ようとしないという面もあるかもしれない。

 

新興宗教団体も、オンラインサロンも、こうすればみんな幸せになれるんですよ、とか言って、ガッポガポお金を儲けてるのはその教祖様だけですから。あなたもこちら側に回れるよ、と甘いささやきを投げかけて、その実、そういう人こそを食い物にしてるだけです。劇中でもマギウスのトップの幹部の企てですしね。

 

或いはその共済自体は本心だったとしても、新しいシステムを生みだす事でこれまでとは違う社会システムを作り出すっていうのは、自分がきゅうべぇになり変わるっていうのと同じような事ですし、小さいきゅうべぇがわざとそれを泳がせて観察してるのだとしたら(私はゲームやって無いので小さいきゅうべぇの正体は知りません)いつ本性を現してくるのかも見物です。

 

まどマギ本編だと、因果律の収束という流石に想定外な理由で社会システムを作り変える事に成功しましたが、そういうきゅうべえの想像を超える手段でもなければ、裏をかくって難しい気がするけれど。

 

マギレコはあくまで「外伝」でもありますし、この厳しい社会をサバイブして行くのはコネクトで小さいながらも同盟(ユニオン)を作っていくしかないんだ、みたいな想定内の話であっても、描き方によっては現実問題としてそうですし、いくらでも良い物になると私は思う。

 

ういの存在がどうたらとか、幹部のトップの中でもアリナさんだけ違う動きをしてるとか、ゲームには居ないらしいアニオリキャラのクロエがどう絡んでくるとか、そういうのも楽しみではあるものの、個人的にはそこよりはこの社会の中でどう生きて行くべきなのかっていうテーマの方をきちんと描いてくれる事に期待したい。

www.youtube.com

関連記事

curez.hatenablog.com