SUPER STARS
監督:池田洋子
脚本:米村正二
日本映画 2018年
☆☆☆★
プリキュア映画24作目。
TVシリーズ15作目「HUGっとプリキュア」春の新人研修映画。
3世代クロスオーバー路線としては前年の「ドリームスターズ!」に続いて2作目。
前作はまだお祭り感がある感じでしたが、今回はどちらかというとストーリー重視の秋映画に近い感じで、春の映画としてはちょっと珍しいタイプ。
監督は「映画スイートプリキュア」、そして後にTVシリーズの方の「ヒーリングっどプリキュア」を手掛ける事になる池田洋子。脚本は「スマイル」のTVシリーズのシリーズ構成と映画版の脚本を手掛けた米村正二。
基本的にははなちゃんの過去にまつわる話として軸を作ってある為、さあやとほまれの出番は少なめ。「まほプリ」「プリアラ」組も、先輩らしい部分が見れてそこは微笑ましくてとっても良いのだけれど、それぞれのセンターのホイップ/いちかとミラクル/みらい以外の出番が少ない。
しかもね、変身バンクは終盤に全員分まとめて集約してあったり、オールスター全盛期の変身バンクで尺が埋まるような、一部ではドラッグムービーとさえ称された路線とはだいぶ違う路線です。そこは意図的な部分で、人数が少なくなった分、秋映画みたいにストーリー重視の作りにしたと監督も言ってます。
まあ、HUGはプリキュア15周年記念作品として秋映画がオールスター路線なのと、TVシリーズでも中盤でオールスター回があったりしたので、こっちはこっちでシンプルな話にしてあるのも春秋が逆転したと思えばそこまでの不満は無いかも。
ただ、3月公開の映画ですので、キャラを掘り下げるにしても、まだTV本編がそんなに描かれて無い時期です。脚本もHUGプリTVの方のシリーズ構成である坪田さんが書いてるわけでもないので、TVシリーズと直結したストーリーが描かれているとかじゃない。
春の映画って、だいたいTVシリーズの7~8話くらいまでの脚本を踏まえて映画の脚本も書いてるとか言われてますので、まだ序盤もいいとこです。おそらくは「野乃はな」っていう名前から連想して、誰もが褒め称える高級で美しい花ではなく、雑草魂的な、普段はあまり見向きもされないけど、そこにはそこにしかない美しさがある、というのが今後描かれて行くのではなかろうか?という発想から、ゲストキャラクターをクローバーという、ある種クローバーの精霊なものにしたんだろうなというのは想像出来る。
「フレッシュ」でモチーフとして使われたように、幸せを運ぶ四つ葉のクローバーではなく、あえて普通の三つ葉のクローバー。3世代作品としても重なる部分がありますしね。
クローバーの生態とか繁殖とか私はよく知りませんけど(教えて花咲先生)花はシロツメクサですよね確か。風にのって種子が運ばれるっていうイメージはあんまり無いけど、実際の所はどうなんだろう?まあでもそんな地に足をつけて動けない感じが作中のクローバーのイメージとも重なるし、花は散っても再び芽を出す、というのが毎年新しい花が咲くプリキュアにも繋がる部分で、OPの「明日笑顔になぁれ!」と、EDの「七色の世界」の歌詞にも上手く表現されてて、そこはとっても好きです。
テーマとしては嘘と約束、みたいな感じで、ここはねぇ、プリキュアらしい教育的要素でも言いますか、ストレートな部分が子供たちにも響くんじゃないかとも思うし、そういうものを真っすぐ描いてあるのが素敵だなぁと思う。
嘘ってね、子供もよく簡単にすぐばれるような嘘ついちゃったりしますし、大人になると今度は平然と嘘をつくようになってしまう。私もね、絶対に嘘は言いませんまでは流石に言えないけれど、どっちかと言うと嘘は苦手な方で、自分は正直者なんだってカッコつけたいわけじゃなくて、嘘をつくと自分に罪悪感が募ってしまって、そこが凄く嫌というか苦手。自分の心に負荷をかけるのが嫌だからなるべく嘘はつかないようにしている、みたいな感じかなぁ。
あと面白いのは、はなちゃんが、じゃあ自分がしなきゃいけない事、したい事って何?と自問した時、まず謝らなきゃってなるのがね、真っすぐで良いなと。
前にも何かの記事で書いた記憶がありますけど、とにかく「ゴメンなさい」が言えない人って多く無いですか?間違った事をしたり、迷惑をかけたならまずゴメンなさい言えばいいのにって凄く思う。
そんな当たり前の事をストレートに描くプリキュアって素晴らしいなと思うし、子供達もね、素直にゴメンなさい言える子になってほしいなと切に願います。
あのね、ゴメンなさいって決して恥ずかしい事じゃないのよ。ゴメンなさいを言えない事の方がずっと恥ずかしい事だと私は思う。
とまあ、プリキュア映画見て何を語ってるんだかっていう感じなのですが、なんか今回はそんな凄く普通の事を描いてある作品なのです。これはこれでちょっとプリキュア映画の中では珍しい部類な気がする。
真面目な話はさておき、やっぱり初期なだけあって、まだ素直じゃ無いほまれの姿が描かれてたり、そしてそこに鬼絡みするあおちゃんが可愛くてとても微笑ましい。そして普通に絡むひまりん。いやぁひまりんも成長したよね。きっと初期の頃だったら、いくら後輩でもおどおどして話しかけられない感じだったし。
そしてみらいとリコのアイコンタクト、言葉で伝えなくてもわかる二人の関係性とか、短いながらも、面白いシーンはいくつかありますね。先輩って言われて嬉しいはーちゃんも可愛い。
そして自信なさげで困ってるはなちゃんに、大丈夫だよって言ってあげられるいちかの成長とかも、そうそう、プリキュアの春映画はこういうので良いんだよ、という所は抑えてある。
あきらさんの天然ジゴロっぷりもありつつ、個人的にはゆかりさんの魅力がちょっと足りないかな?というのが若干物足りない。この後の「オールスターズメモリーズ」「ミラクルユニバース」とかではこれぞゆかりさんってとこもちゃんとあって良かったんだけど、脚本の米村さん的にはゆかりさん難しいキャラだったのかも。その辺もまたゆかりさんっぽいですが。
割と丁寧に作られた良作の部類かと思われますが、その分、飛び抜けた個性とまで言える何かは無い気がするので、やや語りにくい1本かも。
と言う事で次は遂にプリキュア映画史におけるある種の頂点とも言える「オールスターズメモリーズ」です。
丁度「デパプリ」の穴埋めでTV放送やってますが、1週目見た感じだと、結構細かくカットされてる部分が多かった。TV放送版を見て、その上で劇場公開版も見た上で感想書こうかと思います。
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