僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

X-MEN2

 

X-MEN2 [DVD]

 

原題:X2
監督:ブライアン・シンガー
原作:MARVEL COMICS
アメリカ映画 2003年
☆☆☆☆☆


シリーズ2作目。
アメコミヒーロー物は2作目が傑作になりやすい、と言われるものの代表例の一つじゃないでしょうか。
1作目は説明が多く必要なのに対して、2作目はそこを省いて最初からドラマを中心に描けたり、尺に余裕がある分、敵勢力とか主人公以外の部分にも尺がさけるから、より深みを出しやすくなるとか、そんな構造上の理由ですね。勿論、全てがそうではないし、頑張って作ったものだけが面白くなるわけですが。

 

そんなX2、前作では割とおっかなびっくりというか、手探りで方向性を探りながらやってる感もありましたが、それが上手く受け入れれられたのを見て、あとはこの方向でOKと自信を持ってやってる感じが大変に素晴らしい&面白い。

 

今見ると、結構ごちゃごちゃしてるなぁという印象なんですけど、やりたい事を詰め込んでるなっていう感じが良いし、このテンポ感も小気味良い。怒涛の展開って感じで、飽きさせないし、変な所をあまり気にさせないでどんどん話が進んで行くのが上手い。

 

気になる人は気になるのかもしれませんが、多分、初見だとほとんどの人は「言われてみれば」くらいにしか思わないだろうなっていうのがある。深夜の学園にストライカーが攻めてくる序盤のシーン、ウルヴァリンが孤軍奮闘して頑張るんですけど、ここのシーン、一切血が出ないんですよね。多分、PG指定とかそういうのを気にしてこんな作りになってると思うんですけど、結構ウルヴァリンはあのクローで人間刺しまくってます。下手すりゃ殺してる。

 

私は何回か見てる内に気付いたんだったか、何か本かネットで突っ込まれてるのを見てなるほどって思ったんだったか忘れましたが、最初は全然気にしてませんでした。子供達が狙われるっていう緊迫した場面に、ヒーローであるウルヴァリンが戦うってカッコいいシーンでもありますし、逃げ惑う子供達の様々なミュータント能力が子出しで色々見れたりする面白いシーンでもある。だから血がどうこうとか、これ人殺してないか?とかそういうのはあまり気にならない。

 

他にもね、今回の敵はウィリアム・ストライカー。強力な能力を持ったミュータントとかじゃなく、普通の人間なんですよね。そこを描ききるのも凄い。前作は基本、ミュータントVSミュータントでしたが、テーマとしては勿論、人間との対立軸があるわけで、そっちの方が深みは出る。ただ相手を人間にしちゃうと、超能力バトルみたいなものは描けないので、どうしても派手さには欠ける。それこそ人間側にテクノロジーで作ったセンチネルみたいなものでも持ってこないと、派手なアクション大作としては難しい。なのに、そんな難しい事をサラッとやっているのが凄い。

 

一応、今回の話は原作があって「ゴッド・ラブズ・マン・キルズ」だったかな?X-MENの中でも不朽の名作とされている話ながら、邦訳版が出た事が無い。機会を逃してしまった感はあるけど、それでも私は日本語版がでるのをずっと待ってます。

 

新キャラのナイトクローラーに、マグニートー回り、ウルヴァリンの過去、ローグとアイスマンパイロとか若いミュータントとか、場面転換も多く、結構せわしないんだけど、その一つ一つのピースがまた面白いんですよね。

 

前作同様、マイノリティ故の葛藤みたいなものはちゃんとアイスマンの家族とかで描いてあるし、ここでブチギレて暴走するパイロとかも、それはそれでね、良くない事だとはわかりつつ、気持ちはわかるわ~って思わせてくれる辺りが面白味。

 

サム・ライミスパイダーマンなんかもそうですけど、ちょこちょこコメディシーンみたいなのもあったりする辺りが今のMCUにも通じる部分で、細かいけどそういうとこもちゃんとやってたんだなって思えて面白いですよね。

 

私はさんざん「MCUは社会派要素があるから素晴らしい」的な主張をしてるわけですけど、全員が全員そんな見方をしてるわけではないと思うんです。そんな小難しい事はよくわからないけど、単純にアクションとかドラマとかそういうのが面白くて見てるんだよ、っていう人が実は大半なのかなとも思う。逆に言えば、どちらの見方も出来るような作りにしてあるという事です。まさしくその辺は今回の「X2」にも共通している部分で、シリアスに見ても面白いし、深く考えずに見ても面白いっていうのは流石だなと思う。

 

ケヴィン・ファイギが特にこの作品に影響を受けたとか言ってるわけでもないけれど、アメコミヒーロー映画って、80年代の「スーパーマン」と90年代の「バットマン」があってのその次がこの辺の「X-MEN」「スパイダーマン」辺りの流れだったわけじゃないですか。そこはやっぱり系譜として繋がってて、スパイダーマンは特にそういうクラシックな流れを上手く引き継いだ感じしますけど、「X-MEN」は集団ヒーローというまた新しいチャレンジで、1作目は割とそれでもシンプルな作りでしたが、この「X2」は、より登場人物も増やすし、場面やテーマも複雑化していると。ただそれをちゃんと処理できれば、ただの散漫なだけの作品にはならないっていうのは、後の「アベンジャーズ」とかにも繋がっていると思うのは考えすぎでしょうか。

 

何度見たかわからないくらいには見てますが、今回改めて一番感じたのはその辺りでした。
スクリーンで実写のX-MENが見れるのか!的な1作目の思い入れとはまた違いますが、その波をより大きなものにした2作目は素直に面白いし、「スパイダーマン2」と共に、自分が作ったわけでもないのに、どうよ?アメコミヒーロー映画って面白いでしょ?と勝手に変な誇りを当時は感じてた気がします。

 

www.youtube.com