僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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エイリアン3 オリジナル・スクリプト

エイリアン3:オリジナル・スクリプト 限定カバー版

WILLAM GIBSON'S ALIEN 3
著:ウィリアム・ギブソン(原作)
 ジョニー・クリスマス(翻案・画)
翻訳:ルビー翔馬ジェームズ
刊:ダークホースコミックス フェーズシックス
アメコミ 2019
収録:WILLAM GIBSON'S ALIEN 3 #1-5
☆★

 

「エイリアン3」ついでに、後々の世にコミックとして刊行された第一稿版。何度も脚本が書き直されて、多数の人の手が加えられていく、なんてのは映画としては全然珍しく無い普通の事ですが、エイリアン3が特に有名なのは、1と2の完成度に比べて、ちょっと微妙な作品になってしまった3が、後に有名監督になるデヴィッド・フィンチャーのデビュー作が同作っていうのもあれば、初稿がウィリアム・ギブソンというのも大きいようです。

 

私は全然詳しく無いので、ただの調べた知識でしかないですが、SF史における有名な重要作品「ニューロマンサー」の作者がウィリアム・ギブソンニューロマンサーサイバーパンクの代表作品らしいのですが、かの「マトリックス」の元ネタ。というかマトリックスの映画がそもそもニューロマンサーの映画化企画から始まったものの様子です。

 

有名なSF小説家だったので、そこを見込んで映画脚本も書いてみませんか?というのがエイリアン3の脚本。1と2が全く違う路線だったので、3もまた別路線とスタジオは考えたのでしょう。今度はエイリアンでサイバーパンクをやってみよう的な企画で、じゃあジャンルを代表する有名な作家に声をかけてみようか的な流れだったという事。

 

ただ、そこで自分のカラーで好き勝手書いたわけではなく、本人もシリーズのファンだったので、全くの別物では無く、普通に1~2の世界観を広げる程度の脚本を書いてしまい、ぶっちゃけさほど特徴の無い作品に。

 

唯一の価値と言えば、実際の映画の「3」で、あっさり冒頭で殺した2の生き残り組がこちらでは生存して、軍人のヒックスとアンドロイドのビショップは主役並みに出番が多い。(リプリーとニュートは死なないけど基本的に出番が無い)映画でのあまりにもな扱いと比べると、気持ち的にはやっぱりちゃんと生きてくれてて嬉しいんだけど、じゃあ「映画の3よりこっちが本当の3なんだよ!」なんて言えるほど面白いのかと言えば、ぶっちゃけ全然面白くない。

 

没になった脚本がわざわざこうやってコミカライズ化されたのは、この話が面白かったからというより、有名作家が手掛けた脚本ならそれを読んでみたい!というネームバリューの大きさだったのかなというのは想像できます。

 

あの有名作家が手掛けた奴なら面白いに違いない!と期待大で読んでみると、う~んこれは没ったのもやむなしかも?と現実を知ってしまう感じ。

 

エイリアンのDNAを人間と融合させるとか、面白そうな部分はあるのですが、そもそもこの話は誰が主人公がなのかもわからないし、そんないかにも主人公のヒロイックな部分が無いのは意図的なものだとして、じゃあエイリアンの方を実質の軸として描くかと言えば、そこも微妙だったりする。

 

エイリアンシリーズの歴史の一端であるとか、作家のファンとして駄作だろうと何だろうと幻の作品には触れてみたい、とかそういうニッチな人向けの1冊。

 

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