僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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ドラゴンクエスト ダイの大冒険

ドラゴンクエスト ダイの大冒険 8 [Blu-ray]

DRAGON QUEST The Adventure of Dai
シリーズディレクター唐澤和也
原作:三条陸稲田浩司
TVアニメ 日本 2020~22 全100話
☆☆☆☆☆☆

 

TVアニメ版、2年分の全100話で遂に完結しました。
元々原作は大昔に完結してるわけですから、最初からこの分量でという形ではやってはいたのでしょう。

でもプリキュアを始め他の東映アニメでもそうでしたが、不正アクセスだかによる長期の放送休止があって、それは当然「ダイ大」も例外ではありませんでした。でもそこで、短縮という形をとらずに枠を伸ばしてでも、きちんとした形で最後までやり遂げる。何年越しの再アニメ化なんだと、今ここで半端な事をやるわけにはいかないという執念。

ここはね、制作が東映アニメーションで良かったなぁと改めて思う。最近の流行アニメみたいな、全編ハイクオリティではないですよ。でも業界最大手だからこそ、そうやってトラブルにも対応出来たり、ただの数字が全てじゃない作品を送り出す事も出来てると。

 

インタビュー記事とかそんなには読んで無いので、私は今回の再アニメ化の経緯みたいなのよく知らないんですけど、プリオタとして東映アニメーションにそれなりに馴染みがある身としては、初代プリキュアのプロデューサーで、現東映アニメ全体の統括プロデューサーになってる鷲尾さんのインタビューとか見てると、こういう人が居るのは本当にありがたい事だなと思うんです。

「ダイ大」についての話じゃないけど、今は子供達に向けたアニメが少なく、これでは将来的にアニメそのものが先細りしてしまうと。そこを見据えて「おしりたんてい」とか「銭天堂」とかの子供が楽しめる作品を作ったし、東映まんがまつり的な企画を復活させてるのは、自分たちで将来のユーザーや業界の未来を作っていかなければならない、それが出来るのはもはや大手の東映だけなんじゃないか的な気持ちがあるからやってるんですというような事をおっしゃっていました。

 

ドラゴンボール」や「ワンピース」そういった繋がりもあるし、旧アニメも東映で作ったものだったという縁もあるのでしょう。スピンオフや色々な媒体のゲームなんかも含めた、複合的なプロジェクトだったのは見ててわかりますけど、まずは皆が納得出来るアニメをやり遂げる事、これを完遂してくれた事には本当に感謝したい。

 

リメイクアニメ全盛期ではあるけれど、例えば同じような例・作品として「うしおととら」なんかもありました。ダイと同じく、私も昔から好きな作品で、再アニメ化も原作者が構成まで協力してくれたけど、残念ながら原作の全部をアニメ化とかは結局出来てませんでした。決して残念なアニメ化だったとは思いませんし、出来る限りはやりたいと上手くやってましたし面白かったのですが、やっぱりどこかに心残りはありました。

そういう例も考えたらね、ダイ大は本当に良くやり遂げてくれたなぁと感謝しかありません。

 

元々大好きな漫画で、リアルタイムで単行本も買ってましたし、その後大人になってからまとめて読み返した事もありました。でも、改めてアニメを見て行く中で、今まで気付いていなかった事や、歳を重ねたからこそ見えてくる部分なんかもあって、なんかね、また改めて「ダイの大冒険」の魅力を教えてもらった気分。

 

直近なのでラスト周辺の印象なんですけど、ダイが最後に竜魔人化して、こんなものが正義であってたまるかっ!って泣きながら言うシーンがね、とてつもなく胸に刺さりました。

 

ここね、漫画で読んだ時には、そんなにひっかからなかったんですよ。でもね、バーンが言う、力こそがこの世界の全てで、頂点に立つ物の言葉こそが真実だみたいな言い分の肯定じゃないですか。そのバーンを上回る力でねじ伏せるしか、もはや手段は残されていない。ダイ本人も力でねじ伏せる事なんか望んでいないのに、そうせざるを得ない無念さ。

 

かつてのアバンの言葉「力なき正義もまた無力」みたいな所にも繋がるんだろうし、そっちは子供心にも含蓄のある言葉的に印象には残ったんですけど、ダイがバーンを力でねじふせるしかなく、お前はこうやって殴られれば納得するし、そうしなきゃ言う事も聞かないんだろ?でも俺はこんなのやりたくないし、こんなやり方認めたくないんだよ!

っていうの、凄くないですか?
暴力を肯定する虚しさとか、正直かつて子供だった頃の自分には感じて無かったと思う。

 

しかもジャンプ全盛期にこれを書いてるんですよ?時期的に遊幽白書とどっちが先でしたっけ?確かほぼ同時期ですよね。確か遊幽白書でもお前ら永久に戦い続けてればいい的な、ジャンプ思想の批判みたいなのあったかと思います。強さが正義みたいな少年の心に響くし、単純で面白いけど、それって怖い事だよね?それであんたら本当に良いの?力でねじふせたものだけが勝者になれる、そんな世の中で本当にいいの?

 

今の世の中だから余計にそれが刺さったというのもあるのかもしれないけれど、自分では知っていたと思っていた「ダイの大冒険」の、今まで知らなかった魅力や奥深さに気付かせてくれたという意味では、それだけで私にとってはこのアニメ版も特別な価値が出ました。

 

私はね、前の感想記事にも書いたけど、昔この漫画を読んでいて、自分はポップになろうと思ったし(というかマトリフさんの教えですが)実際にその影響は少なからずある。だからこそ自分にとっても特別な作品っていう感覚はあったんですけど、改めてアニメで最初から最後まで見返したり、公式の「ダイ好きTV」とか、いくつかリアクション動画とか見たりと、より深く見る事で、自分でも気付けなかった魅力とかを改めて知ることが出来た。

 

凄い作品だな、良い作品だなとは以前から思ってたけど、そんな自分が思ってた以上に、もっと凄い作品なのでは?と思えたのは凄く発見。アニメだから思う事もいっぱいあったしで、凄い貴重な経験でした。

 

因みにですけど、都合良く記憶改変されてる可能性もありますが、私、漫画を読んでて初めて泣いたのが「ダイの大冒険」を読み返してる時だったっていう記憶があるんですよね。クライマックス近くの、ニセ勇者のとこでした。黒の結晶が世界各地に落とされて、極寒の地だけには流石に誰も居ない。でも神の涙で奇跡がおきて、こんな地の果てにも勇者は居るんだぜ!偽物だけどなっ!っていうとこで涙が止まらなくなって、ああ漫画を読んでいても泣けるものなんだなってその時に初めて経験したから凄く印象に残ってます。

 

今はね、漫画もそうですしアニメや映画見てても普通にしょっちゅう泣きまくってますが、ダイにはそういう記憶や思い入れもあったりしました。なので今回のアニメでもね、そこのシーンが一番来るんだろうなと思ってたんですが、実際はちょっと違ってて、そこよりもゴメちゃんの語りがもう涙でボロボロになりました。ここはね、声優さんの力が凄く大きい気がした。

 

ゴメちゃん役の降幡愛さん、私が知ってるのは「ラブライブサンシャイン」のルビィちゃんくらいですし、ダイ本編でも基本はゴメちゃんはピィピィ鳴き声ですが、ここのラストとポップがメガンテ使って死んだ時の2シーンだけ精神世界なので普通に言葉をしゃべるんですよね。普段の鳴き声もちゃんと本人的にはセリフのつもりでやってるとはおっしゃってましたが、それでもやっぱりちゃんと伝わるのは、2年の長さでこの二つのシーンだと思うんですよね。ここに照準を合わせて演技プランを練る声優さんって凄いなと。それは彼女の声質を見込んでキャスティングした人も、そうだし音響監督やアニメ監督の指示もあったかもしれない。とにかく全てが上手く行ってる感じがして、鳥肌が立つほど、涙が枯れるほどゴメちゃんが素晴らしかった。

 

他の声優さんも同じような事は言ってましたけど、原作はもうとっくの昔に完結してる作品ですし、完結した作品が故に全体のバランスを考えて、その中での自分のキャラの見せ場、或いはファンが期待してるシーンはここだよね的な想定も含め、そこを考慮した演技もまた凄く面白かった。これはリアルタイムのオリジナル展開とかには無い要素ですよね。ハドラーの最後とか、よくぞここまでやってくれた感が本当に凄い。そこもまた監督や脚本、演出とか作画とかとにかく全部に愛を感じる作りでした。

 

いやもうね、こうして思いかえしてるだけで色々な思い出が蘇ってきて泣けてくる。

 

私は基本的には、その世代その世代に合わせたものがあってしかるべき、自分のノスタルジーを若い世代に押しつけたりするのは、ちょっと違うのかなと思っている部分もありつつ、同時に自分では、古い映画も沢山見たりしますし、時代や世代を超えた不朽の名作的なものも確かにあるはず!という思いもある。そういう意味ではね、自分達の世代のものだった「ダイの大冒険」をまた別の世代にこういう形で伝えられたのは本当に嬉しいし、それはきっと制作者側の思いでもありますよね、きっと。自分達が最高だと思ったこの作品の魅力を、今の時代の人にもちゃんと伝えたいんだっていう気持ち、それがあったからこそのアニメ100話だったなと、そこは本当に感謝です。

 

原作の時点からの不満点も無い事は無いんです。やっぱりマァムとレオナの女性陣の活躍が、男性陣に比べるとちょっと弱いなとか、クロコダインが戦力外になってしまうとかは昔から、多少残念に思う部分ではあったりします。でも下手に強引な変更を加えてしまうよりは、オリジナル部分は多少の演出の補強程度に留めてくれてたのは良かったと思う。でもこれが俺達が感動したダイの大冒険だよね、っていうのは崩さずに居てくれたのは良かったと思う。

 

いやしかし、とにかく見せ場が多いというか、毎週みたいに、ああ次はあの名シーンの再現が来るのか的なのの連続で、知ってる人には毎週クライマックスみたいなアニメでした。そういうとこも良いですし、先述のニセ勇者もそう、ノヴァもしかり、そして勇気の印なんかもそうです。誰だって、誰かの勇者になれる。きちんと「ダイ」という勇者を軸に描きながらこういう描き方をするセンスって正直凄い。強さの話もそうですが、王道を王道としてきちんと描きつつ、それが全てじゃないよっていう部分もちゃんと伝わる人には伝わる話として成立させてるのが本当に凄いと思う。

 

他の作品を下げるとかはしたくないけど、例えば私、昔のこの辺の漫画でも「聖闘士星矢」とか「キン肉マン」とかも今でも好きですし、面白いんだけど、ダイ的な漫画としての深さとか、「人生にとって大切な事を教えてくれる」みたいな漫画なのかと言えばね、ちょっとそこはなと思うし、決してどちらが上か下かなんて決められるものではないのでそっちはそっちで別の魅力の面白さだよねと言うしかないのですが、改めて、ダイの大冒険凄いなと思うしだい。

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