原題:How to Talk to Girls at Parties
監督・脚本:ジョン・キャメロン・ミッチェル
原作:ニール・ゲイマン
イギリス・アメリカ合作映画 2017年
☆☆☆★
<ストーリー>
1977年、ロンドン郊外。大好きなパンクロックだけを救いに生きる冴えない少年エンは、偶然もぐり込んだパーティで、不思議な魅力を持つ美少女ザンと出会う。エンは好きな音楽やファッションの話に共感してくれるザンと一瞬で恋に落ちるが、2人に許された時間は48時間だけだった。2人は大人たちが決めたルールに反旗を翻すべく、大胆な逃避行に出る。
以前、そえまつ映画館で紹介されてて知った作品だったかな?タイトルからは想像しにくいけど、イギリス系SFの傑作なんですよ的な紹介で、へぇ~面白そうと思ってた作品。
実際に見てみると、ラストシーンのコミックショップでの描写で「sandman」の文字が。ああ、ニール・ゲイマンへのオマージュ的な作品なのか。凄くそれっぽいしなと思っってたら、普通にクレジットで「原作:ニール・ゲイマン」でした。いや本人かよ。全然知らないで見てたよ!
ニール・ゲイマンはコミックファンならやっぱり「サンドマン」。映画ファンならスタジオライカの「コララインとボタンの魔女」なんかが有名でしょうか。現代の幻想文学の最重要人物とかよく言われてる人ですね。
先日、友達とツタヤの閉店セールみたいなの覗いて、ほぼ売り尽くされてたけど、「ミラーマスク」とか残ってました。まあ別にレアソフトとかではないし、大傑作とかいう程の映画では無いですけど、ビジュアル的にも面白いし、一見の価値はあるかも。
それはそれとして、こちらの作品。イギリス=パンクの国だよなぁって認識がある人にとっては面白いかも。「007」「キングスマン」みたいな英国紳士とかってよりも、イギリス=皮肉の利いたひと癖ふた癖もある文化の最先端の発信地、みたいな面も合って、それはブリティッシュインベイジョンと言われたパンク音楽とかもそうですし、コミックの分野でもアラン・ムーア、そして盟友ニール・ゲイマンとかを中心とした新しい波があったりした。私は詳しくないですけど、SFとかもそういう感じのあったはず。
まさしくそこがベースになってる作品。もしかしたらそういう文化背景を知らないと、おかしなB級程度に感じる可能性も結構ありそう。
実際、見た目は普通の地球人と変わらない見た目ながら、ファッションとか言動、そして文化が地球とは明らかにずれてるだけで宇宙人を表現してます。別に宇宙人が侵略してくるわけでもなければ、地球と争いが巻き起こるアクション映画みたいなものでは一切無いですし。
少年が痛みを知って大人になる通過儀礼と、少年だったからこそ持っていた謎のエネルギーとか、過ぎ去ってみれば、あれって何だったんだろうな?的なノスタルジーなのかな?かつての少年が、大人になった時の姿が描かれるのがやっぱり素晴らしい。基本的には青春映画なんでしょうけど、その青さだけで終わって無い辺りが面白さと言うか、捻りどころ。
いかにも英国SFっていう感じが個性だと思います。
「メアリーの総て」「孤独なふりした世界で」とかちょっと捻った作品に出るエル・ファニングらしさも良いですし、まるで「ブレードランナー」のプリスみたいなパンキッシュなニコール・キッドマンも良い味出してます。中盤のライブシーンだけでも十分に見た価値はありました。
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