僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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仮面ライダーBLACK SUN

www.youtube.comKamen Rider BLACK SUN

監督:白石和彌
原作:石ノ森章太郎
配信ドラマ 2022年 全10話
☆☆☆☆

 

アマゾンプライム限定配信「仮面ライダーBLACK SUN」ようやく見終わりました。

 

間違いなく現在の邦画界のトップクリエイターであるあの白石和彌が手掛ける仮面ライダー庵野のやる「シン・仮面ライダー」なんかよりこっちの方がずっと価値があるだろうと、発表になった時点で注目してました。ただ・・・、え?映画じゃ無くドラマなの?う~んまあ同じようなフォーマットだった「仮面ライダーアマゾンズ」はメチャメチャ面白かったし、それはそれでアリかな?個人的には映画が良かったけど・・・という辺りから、遂に予告編が公開されると、ちょっと予想外な作風に、え?大丈夫かこれと不安になる。

 

で、実際ドラマが一挙配信となり、見進めると・・・う~ん何だこれ?終わってみたら、珍作とかそっちの部類?

 

何で連合赤軍の話を仮面ライダーブラックでやるんだ???そこは正直面食らいました。


いやまず、一つ目のハードルとして、「仮面ライダー」で政治の話をやるなとは言いません。むしろどんどんやってほしい。私はエンタメ、娯楽にそういうのはいらないって言う人間じゃありません、むしろ社会問題や政治、現実とリンクしてる部分こそが面白味でしょと思う方。そういう意味では、今回の作風はとても好みです。

 

しかも私は共産党支持者です。右の思想が大嫌いで、左よりです。そもそもがヒーローって基本が左じゃないですか。ライダーだって戦隊だってウルトラだってプリキュアだって、勿論アベンジャーズだって人権差別なんかしないし、目の前で困ってる人が中国人や韓国人だから助けないなんて事はしませんよね?ヒーローはいつだって弱者の味方ですし、怪人にやられるのは自業自得だからと見放したりはしないはずです。それが理想主義なのは百も承知してますし、そんな理想主義に殉じようとするからヒーローは美しいしカッコ良い、あこがれるしお手本になる存在であると。

アンチヒーローみたいなものも居ますけど、それは当然メインストリームがあってそれに対するカウンターとしてのアンチでしかありません。それ単体で意味を成すものでは無い。

 

そういう意味で、左翼思想が描かれる本作は、個人の好みで言えば、凄く好みな作風。
でも・・・結局最初の疑問に戻るけど、何でこれを「仮面ライダーブラック」を使ってやろうと思ったの?そこが全然わからん。

 

元の「ブラック」にそういう要素があったわけじゃないんですよね?私、世代的には丁度ブラックの頃なので、TV見てた記憶はあるんですけど、大人になってから見返したりはしてないし、詳しく話を覚えてるわけでもないです。

 

今回、仮面ライダー50周年記念作品として、50年前の1972年が丁度浅間山荘事件と重なるという部分はある。白石監督、若松プロの系譜なのでそこで接点があるという流れもある。TV版では無く、漫画版石ノ森章太郎の「仮面ライダー」は社会問題や政治批判なんかを含んでいたという経緯もある。そこはわからんでもないし、そういうのを描くのは大いに結構だし、むしろ私が求めるものでもある。

 

いやでもさ~、ゆ゛る゛さ゛ん゛!からのキレッキレの変身ポーズだとか、最終話のOP再現とか、ビルゲニアだのクジラ怪人だの、TVシリーズからこれ持って来ましたよ的なのが寒い事寒い事。オリジナルへのファンサービス的な所が逆に思いっきりノイズになってなかったですか?私はオリジナルのファンじゃないから何とも言えないけど、いらねー!って思いましたもん。

 

いやぁ、何を求めるかにもよるんでしょうけど、私は白石映画を見たかった、そこを期待したんですけど、何かお互いの気まずさみたいなのが上手く噛み合って無い部分が多かった気がする。こういう話なら、変身ポーズいる?創世王の作り物感、サタンサーベルとかキングストーンってそもそも何?とか違和感しか無かった。あと、予算なんだろうけど、服着てる怪人とそうでないやつの違いとかも。

 

勿論、良かった部分も沢山あって、もう単純に光太郎と信彦、ブラックサンとシャドームーンの二人のライバル関係とかはベタだけど話の軸として良かったし、私は左翼思想ですけど、作品としては決して左翼を賛美してるわけではなく、宗教とべったりな上に差別主義者しか居ない自民党って怪人以下のクソみたいな奴らだよな、というのを面白おかしく描きつつ、でも左翼は左翼で内ゲバ繰り返してるどうしようもない奴らだよな、というのをちゃんと描いてる所が素晴らしい。あおいちゃんが最後引き継ぐとか言いながら、テロリズムで対抗しようとしてる描き方なのも面白いポイントでした。

 

ただね、現実はもっとおかしくて、もうドラマを作り終えた後だったでしょうけど、実際に総理大臣をテロリズムで殺害したのは思想犯じゃなくて、いわゆる「無敵の人」だったわけじゃないですか。それこそ映画「ジョーカー」に心酔する人が多いような時代で、1972年みたいに若者がイデオロギー闘争に没頭した時代とは明らかに違う。、劇中のクライマックスで葵ちゃんが配信でメッセージを伝える中で、「お前らに言ってんだよ」っていう所、私はメチャメチャ好きでこの作品の最大のハイライトだと感じましたが、そこからの終わり方が、また武力組織を育てるっていうのが微妙に外れてる感じがして、上手く現代に繋げられてなかった気がする。ちょっとそこは勿体無いなと感じた。


う~ん、自民党側、ルー大柴演じる総理は凄く良かったし、側近も良かった。スズメを殺したあの差別主義者も凄く良かった。ああ、いるいるこういう人、っていうかあの人がモデルなのかなって思える感じがとても面白い。
でもゴルゴム三神官や怪人側がいまひとつだし、光太郎と信彦はね、信彦は昔の姿のままだからこそ理想にまだ走るけど、光太郎はもう年取っておっさんだから自ら動く感じでは無いというのは悪くない。けど、上手く行ってる部分と、そうでもない部分のチグハグ感がやっぱり勿体無いし残念すぎる。

 

それでも、TVの仮面ライダーよりはこういう方がずっと面白いのは確かなんですが。


私は特撮に関してはそこまでマニアじゃないし、識者の話とかから勉強する事が多いのだけど、そもそもが東映特撮って昔は特撮界隈の中でも物凄く下に見られてたと。それは円谷(ウルトラ)や東宝ゴジラ)、大映ガメラ大魔神)はテーマなどがきちんとあり、決して子供騙しじゃあない。その中で東映はジャリ番(子供向けの低俗なTV番組)しか作れないと、一番下に見られていたと言う歴史がある。が、今はどうでしょう?完全に東映の一人勝ち。そんなジャリ番を作り続けて来たからこそ他に圧倒的な差をつけた大勝利。その恩恵にあずかれるからこそこんな思いっきり政治色の強い作品も作れたと言う面白い流れ。


「シン・仮面ライダー」は多分こういうのとも違うはず。それこそ石ノ森版とか初期の怪奇路線の延長でやったリメイク作「THE FIRST」とかそっち方向ですよね、多分。そういう部分では「BLACK SUN」って変な作品ではあると思うし、個人的には決して上手く行った作品だとは思わないんだけど、支持はしたいと思える作品ではありました。

 

良いか悪いかで言えば悪い方。好きか嫌いかで言えば好き。
これに懲りずにまた白石監督、何かやってくれませんかね?今回みたいにドラマでダラダラしたのじゃなく、いつもの映画見たいにキレキレで。


超人機メタルダー」とかどうでしょう?あれも戦時中に兵器として作られた存在ですし、日本と戦争、右翼が戦争を肯定したりする歴史修正主義とかに絡めて描くとか面白そう。つーか東映版実写コンクリートレボルティオみたいなのが私は見たい。

www.youtube.com主題歌はカッコ良くて好きです。

 

 

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