僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

帝都物語

帝都物語 [DVD]

監督:実相寺昭雄
原作:荒俣宏
日本映画 1988年
☆☆☆☆

 

<ストーリー>
明治末期、都破壊を目論む謎の軍人、加藤保憲が出現。彼はサイキック・パワーを自在に操り、東京の地霊・平将門を怨霊として目覚めさせ、帝都・東京の壊滅を目論む。加藤の野望を阻止するべく、平将門の末裔である辰宮洋一郎と妻の恵子、そして一千年に渡って日本を見守ってきた陰陽師の末裔、平井保昌が立ち上がる。彼らに幸田露伴森鴎外泉鏡花ら近代日本の実在の人物たちが協力する。

 

レンタルとか見かけないなぁとか思ってたら普通にアマプラの無料にありました。子供の頃に凄く好きだった作品ですが、大人になってから見返したりはしてない。
口から白い虫を吐き出すとことか、結構なトラウマだったのですが、好きでTV放送がある度に見てました。VFXシーンとかが好きで見てたとかではないような気がする。何が好きだったんでしょう?怖いけど凄い!みたいな感覚だったような。「孔雀王」とかも好きでしたし、こういう路線は子供の頃から好きだったのかも。

 

で、今見返してみてもやっぱり面白い。私の好きな要素がてんこ盛りでした。


まず一つ目。実際の歴史や実在した人物が物語に絡む、実際はこうであったかもしれない歴史。いやこれね、凄くツボです。それこそ「コンクリートレボルティオ」とか「X-MENファーストジェネレーション」とかの架空の歴史。歴史の陰ではこんな事が実はあったんだ的なの。

 

今回見返してて、人間では幻覚に太刀打ちできない。対抗できるのは人造人間だ!と「學天則」なるロボットが出てくる。え?子供の頃の記憶に残って無いぞ?というか何だこのヘンテコなのは???と思って調べたら、実際にあったものなのかこれ!?いや凄い。しかも開発者の西村博士の実際の甥が映画では西村博士を演じていると。何それ超面白い。

 

フリッツ・ラング作「メトロポリス」のマリアがフィクションにおける人造人間の祖的なものであるなら、それを実際に日本が作った的な系譜としての面白さ。そういや関係無いけど「鋼の錬金術師」の最初の映画も、私はハガレン知らないのに、フリッツ・ラングが出てるってのでわざわざ映画館に足を運んだ。あれもフィクションと実在の人物をミックスさせてる作品でした。

 

そして面白ポイントその2.マサカドの怨霊、首塚。マサカド様と言えば私は「女神転生」を思い浮かべてしまうのですが、どう考えてもメガテンってこれの影響下にある作品ですよね?小説とそのOVAがベースにある1作目はともかく、ゲームオリジナルの話になった「DDS女神転生II」(「真」じゃなくその前のFC版の話です)もマサカドの復活どうのって話じゃなかったっけ?私はファミコンの頃からドラクエよりもFF派、FFよりもメガテニストだったので、今更ながらこれも元ネタの一つだったかと気付く。後世に影響を与えた元ネタとしての面白さ。

 

元ネタと言えば嶋田久作演じる魔人加藤保憲。「スト2」のベガとか、「バスタード」のアビゲイルとか、色々とサブカルに影響を与えまくった存在。それも頷けるカッコよさ。怖い、異形感が凄い、でもそこに美しさやカッコ良さも感じる。
魔界転生」のジュリーの天草四朗時貞とかと並んで(こっちは「サムスピ」の天草がまんまでした)アイコンとしてこれは影響受けるのわかりますわ。
調べると嶋田久作じゃないけど「妖怪大戦争」にも出てるんですねぇ、気になる。

 

調べたついでに、ギーガーは私のトラウマのあの虫かと思ったら、加藤が使役するあのチェーンソーマンがギーガーだったんですね。いや面白いな。

 

陰陽道や風水をエンタメに持ち込んだのもこの作品からのようですし、そこ考えると、直接の影響では無いにせよ、「呪術廻戦」とかだって、おそらくはこの作品が無ければ生まれなかったでしょうし、色々と面白いです。
流石は荒俣宏といった感じだなぁ。オタクの無駄な知識を総動員して話を作ってる感じがして、メチャメチャ面白いですわ。

 

そもそも私のブログを若い人が見てるかは疑問ですし、全員が全員ではないんでしょうけど、昔のオタクと違って、今のオタクは元ネタを遡って辿っていくみたいなのはあまりやらなくなった印象。それをやらなきゃダメだとは言わないけれど、そういう楽しみ方もあるんだよ、それはとても面白い行為なんだよってのは古いタイプのオタクの私としては伝えたい部分ではある。


ただ受動的に、何か面白い作品無いかなとか受け身になってるよりも、自分から主体的に楽しむ事。楽しませてもらうんじゃなく、楽しむっていうのを覚えるとね、オタクライフは100倍くらい楽しくなるものです。

 

子供の頃に好きだったものを改めて大人になってから触れて、違う部分も見えてくるシリーズ。え?これ監督が実相寺昭雄だったのか!とか発見も沢山あってとても楽しい。
このまま勢いで「帝都大戦」も見よう。そもそも見た事あったかな?こちらと違って曖昧な記憶も無いような気がする。

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